退職勧奨めぐりグーグル日本法人を提訴 約6300万円の損害賠償を請求

退職勧奨に応じなかったことを理由に大幅減収になり、不当な扱いを受けたとして、米グーグル(親会社Alphabet)の日本法人で働く6人が1月31日、同社側に約6300万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。原告6人はJMITUAlphabetユニオン支部(以下、JAU)の組合員で30~40代の女性2人、男性4人。グーグルは2023年1月、世界規模で1万2000人の削減を発表。日本でも退職強要が行われ、退職を拒否した労働者は4月、元の部署から望まない部署(いわゆる「追い出し部屋」)に異動させられたり、賞与を減らされたりしました。JAUの執行委員長と提訴した原告の一人からJMITU日本IBM支部にメッセージが寄せられましたので紹介いたします。

JAUの小林佐保執行委員長からのメッセージ

今回の事件は、会社からの退職勧奨を断ったことへの、1人あたり最大2000万円以上、合計5000万円以上にのぼる経済的な被害を伴う報復です。組合として退職勧奨を受けた社員から相談を受ける中で、「退職勧奨を断ったら、追い出し部屋に移された、賞与が減額されたというのは本当ですか。本当は家族の状況などを考えると今転職活動をするのは難しいのですが、そんなぶざまを晒すぐらいなら会社を辞めようと思います」といった相談もありました。退職勧奨を断ることへの見せしめとしての効果を実際に発揮しています。これでは、退職勧奨は社員の自由意志に基づいて合意するという理念が守られません。このまま放置すれば、他社が追従し、日本の法律を、骨抜きの実態にしてしまう可能性も考えられます。このやり方は退職勧奨の枠組みとして認められるものではないと、今回の事件で示さなければならないと思っていますグ 。ーグルは、各国の法律を守るというメッセージを社員に対して発信し、社員も会社を信じています。同僚に、今回の事件の話をしたところ「何かの勘違いか、手違いだよ。社員の声をよく聞くグーグルが、そんなことをするはずない」と言われたことがありました。グーグルは、それだけの社員からの重い信頼を裏切ってしまったのだと私は思います。裁判の結果で会社に誤りを認めさせ、償わせることでしか、再び社員との信頼関係を取り戻す一歩を踏み出すことができないと感じていますグ 。ーグル社員のため、全ての働く人のために、この事件を最後に、生活とキャリアを壊す退職勧奨を断ったことへの報復を繰り返させないよう、全力で原告を支えていきます。

原告からのメッセージ

上司に、株式で支払われる賞与(以下RSU)がゼロになることと、日本円で支払われる賞与も削減されると伝えられたとき、衝撃に打ちのめされました。特にその後、通常評価であるSIの評価を受けたときには、本当に殴られたかのように感じました。グーグルの経営判断に裏切られたという辛さもありましたが、それ以上に家計と家族の未来に直接的なダメージがありました。私の2人の娘はアメリカの大学に通っています。アメリカの学費の負担はあまりにも大きいため、娘達が生まれたときから計画的に貯金をしてきました。近年の円安で、学費の支払いの負担は大きくなっていました。RSUは米ドルに換金されるため、学費の支払いを支える要となっていました。2024のRSUの割り当てがゼロになったため、難しい決断を迫られることになりました。日本に住み続けることを諦めドルで給与が得られるアメリカに移住するか、娘に大学を中退してもらうか、他の解決策を探すかです。アメリカに戻るということは、仕事も、住まいも、子どもたちの学校も、イチから生活を作らなければならないということです。アメリカから日本に引っ越す際、私たちは1年かけて家族のすべての荷物をアメリカから日本に運び、住居と学校の生活環境を整えました。非常に時間がかかり、複雑で、体力も消費する作業であり、やっとのことで東京になじんで幸せな生活を送っていたところだったので、私たちは、到底再びアメリカに戻ろうとは思えません。グーグルは常に、イノベーションを起こして世界を変えるというメッセージを発信し続けてきました。公平・平等を掲げてきた会社が、このような心なく、視野の狭い行為をしたことに失望しています。

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