今年も従業員代表選挙が公示されました。従業員代表選挙で、ラインマネジャーからの立候補依頼、特定候補者への投票依頼などにあわれた方は、是非、組合トップページ(JMITU IBMで検索) の上部にある「従業員代表選挙不正行為通報」ボタンを押して、情報をご提供下さい。
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組合は、秋闘1次要求に続き、10月26日に秋闘2次要求を日本IBMに提出しました。回答指定日は11月9日です。
この秋闘2次要求は、1次要求から継続する重点要求に、職場のさまざまな労働条件の改善を求める詳細要求を加えた要求文書です。以下に詳細要求から主要な要求のいくつかをご紹介します。
シニア契約社員の労働条件に関する要求
パート有期雇用労働法は定年後再雇用の契約社員であっても正社員との差別が無いよう合理的な処遇をするよう定めています。組合は、パート有期雇用労働法の趣旨に従い、シニア契約社員の労働条件に関して以下を要求しています。
①賃金に関する要求
・シニア契約社員も賃上げをすること。
・シニア契約社員の月額給与を正社員との差別が無いよう合理的な水準にすること。
②賞与に関する要求
・シニア契約社員にも賞与を支給すること。
・シニア契約社員の賞与を正社員との差別が無いよう合理的な水準にて支給すること。
③福利厚生に関する要求
・シニア契約社員もリロクラブ等の福利厚生を正社員との差別が無いよう利用可能にすること。
労働時間管理に関する要求
2017年10月24日に「適正な勤務・健康管理の徹底について」が発表されましたが、実態は変わりません。
組合は、時間外勤務(または、出退勤時刻)を実績通りに入力できなかったり、時間外労働時間の過小入力がラインマネジャーにより強要されている実態を看過できません。よって、以下を要求しています。
①ラインマネジャーは、プロジェクトに参画している部下の勤務管理が適正に行われていることを確認し、時間外労働時間の過小入力を強要しないこと。また、ラインマネジャーは、プロジェクトに参画している部下がDPEなどプロジェクト側から時間外労働時間の過小入力を強要されている場合は、強要をやめさせること。
②コスト・オーバーランを起こしたプロジェクトの工数を確保するため、会社としてプロジェクトコストを補填すること。
③勤務実態に対する過少申告が生じる原因は、会社が設定しているSEレートが高すぎることである。プロジェクト見積もりが適正な時間数で見積もりできるよう、会社が設定しているSEレートを見直すこと。
④時間外勤務は、実態に即した事後承認による運用を認めること。就業規則を盾にとって事前承認が無いことを理由にして時間外勤務手当の支払いを拒まないこと。
⑤客先常駐プロジェクトの場合、請負契約であるにもかかわらず実態として日本IBMグループ社員が客先の出退勤時刻や働き方を強要される場合が目立つ。請負契約の場合は日本IBMグループ社員が日本IBMの勤務時間で勤務できるようにすること。
健康及び安全衛生に関する要求
今、職場では長時間過密労働やパワーハラスメントなどにより、健康破壊が進んでいます。組合は、従業員の健康増進のために以下を要求しています。
①会社は「適切に産業医を配置し必要な施策の実施に努めています。」と表明しているが、内科医が常駐していない「健康増進センター」が多数存在している。労働安全衛生法等の法令は最低基準を定めたもので、それを超えることを拒むものではない。・「健康増進センター」での就業時間帯においては、内科医・看護師を常駐させること。また、常備薬を復活させること。さらにカウンセリングを常時利用できるようにすること。・産業医・看護師が常駐する健康増進センターを幕張事業所に設置すること。
②2014年4月1日付で有料化した健康診断オプション項目を家族検診も含め無料に戻すこと。また、無料オプション検診については最初から検診メニューに組み込んだ形で提供すること。さらに、20代~30代への血液検査を5年ごとではなく毎年無料で実施すること。
③定期健康診断の検査項目に、(1)甲状腺エコー検査を無料オプションとして追加すること、(2)血液検査に甲状腺ホルモン関連の項目を無料オプションとして追加すること。
④インフルエンザの無料予防接種を復活すること。
YouTube中継リンク:https://www.youtube.com/channel/UCuVkXviVKdgKkBIJYRZiEeQ
(中継時間:AM8:45~10:00)
日本IBM従業員、および、日本IBMから移籍したキンドリルジャパン従業員の賃上げ回数は、2020年から2022年までの 3 年間に本来は3回であるべきところ、実際には右図の通り、会社は9月1日付賃上げを実施しないという就業規則違反を3年連続で行い、2回になっています。会社は就業規則通りの賃上げ回数をまもるべきです。
さらに、日本IBMの5月の組合推定平均賃上げ率はわずか1.5%、キンドリルジャパンの7月の組合推定平均賃上げ率はわずか1.6%でしたが、これではこの間の諸物価高騰を吸収できず、事実上の賃下げです。
このような低い賃上げ水準のなか、賃上げ回数を1回減らすということは、あまりにも従業員の生活への配慮が欠けています。組合は、この減らされた1回分の賃上げの実施を要求していますが、会社は実施を拒否しています。よって、 組合は第 8 次ストライキを決行します。
かいな前号(2412号)でお伝えした、組合が9月21日に日本IBMに提出した秋闘1次要求(回答指定日は10月5日)に対する会社回答が、10月4日にありました。
これを受けて、組合は翌5日の日本IBMとの団体交渉で、会社回答について協議しました。
以下に秋闘1次要求の賃上げ要求に対する会社回答についての協議内容(要旨)をご紹介します。
賃上げ要求に対する会社回答について
組合 就業規則通りに実施されなかった2022年9月1日付賃上げの実施要求に対し、会社は「2022年4月28日に人事担当執行役員カーラ・カン名で発信したレターのとおり、2022年度の給与調整は、同年5月1日付で実施しましたことを改めてお伝えします」と回答しているが、2021年度の賃上げはいつ実施されたのか。
会社 2021年度に関しては、2021年4月19日に「IBM Corporation CEOアービンド・クリシュナさんのAll IBMBroadcastKickoff Messageにて発表されたとおり、2021年5月1日付で給与調整を行います」と全社員に発表した。
組 就業規則は9月1日に賃上げするとなっている。2021年の9月1日賃上げは2021年5月1日に実施された、という理解で合っているか。2021年の9月の賃上げはいつ行われたのか。
会 こちらは2021年8月31日に「2021年度の給与調整は、IBMコーポレーションの方針に沿って、同年5月1日付で実施しました。同年9月1日付給与調整については、現在のグループのビジネス環境等を考慮し、実施を見送ることをお知らせします」という形で社員に発表した。
組 2020年9月1日賃上げはいつ行われたのか。
会 2020年8月7日にアービンドが「2020年度の昇給を保留し2021年の上半期に行う。」と発表した。アービンドの発表が社員に発表できる全ての情報だ。
組 会社は2020年9月1日賃上げをやらなかったのだ。2021年5月1日付賃上げを2021年度の賃上げと言われてしまうと、2020年度の賃上げはなかったことになる。
会 21年4月19日のアービンドの発表が社員に発表できる全ての情報だ。
組 双方の理解を一致させるために質問しているのに回答がない。不誠実団交だ。会社は答えなければいけない内容だ。(上図の通り20年から22年の)3年に2回しか賃上げされていないのに、そんな濁した回答はあり得ない。
会社の就業規則違反による不利益を救済せよ
会社は、20年から、9月1日付賃上げを実施しないという就業規則違反を3年連続で行い、3回あるべき賃上げを次の方法で2回にしています。
①20年9月1日付賃上げを実施せず、20年度の賃上げを21年の上半期に行うと発表。
②20年度の賃上げであるはずの21年5月1日付賃上げを21年度の賃上げと言い換えて、20年度の賃上げを消去。
会社は2022年9月1日付賃上げの代替策を実施し、20年から22年の「3年に3回」の賃上げ回数をまもるべきです。
かいな前号(2412号)でお伝えした、組合が9月21日にキンドリルジャパンに提出した秋闘1次要求に対する会社回答が、回答指定日の10月5日にありました。
これを受けて、組合は10月14日のキンドリルジャパンとの団体交渉で、会社回答について協議します。
以下に秋闘1次要求の主要な要求に対する会社回答の内容(要旨)をご紹介します。
在宅勤務関連手当の要求に対する会社回答について
在宅勤務関連手当の要求は、2020年5月の要求書簡で初めて(会社分割前の)日本IBMに提出して以来、秋闘、春闘のたびに日本IBM、キンドリルジャパン双方に提出してきました。その結果、ようやく今回の22秋闘でキンドリルジャパンから前進回答を勝ち取ることができました。(ちなみに、日本IBMからは未だに前進回答は得られておりませせん。)
組合は、要求に対する今回の会社回答の不足部分について、10月14日の団体交渉で会社にただします。
■要求
①在宅勤務手当
コロナ禍での在宅勤務の長期化を余儀なくされ、業務のための自宅水道光熱費および通信費の増加が顕著となっています。厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」の「4-(2) テレワークに要する費用負担の取扱い」は、「テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない」とガイドし、さらに、あらかじめ労使で十分に話し合うようにガイドしています。本来、業務のための水道光熱費および通信費は会社が負担するべきであり、会社は速やかに在宅勤務手当として1ヶ月あたり8000円を支給することを要求します。なお、在宅勤務手当については2020年3月に遡及して支払うことを要求します。
②自宅環境整備手当
会社は、在宅勤務に関して業務上必要なオフィス用品/PC周辺機器、通信環境の新規整備などについて半期単位にて一定額(オフィス用品/PC周辺機器については300USドル相当、新規Wi-Fiについては月に20USドル相当) の補助の制度を提供していると説明しています。
しかし、上記制度のカタログに掲載されていない物品を購入して自宅の就労環境を整備するための自宅環境整備手当として、一時金50000円を支給することを要求します。
■会社回答
①在宅勤務手当
会社は、全従業員を対象として、2022年10月から在宅勤務において従業員が必要とする業務費用に充てるため、日額200円の在宅勤務手当を支給するものと回答いたします。
在宅勤務手当については厚生労働省のガイドラインに則り光熱費、通信費等の費用の補填として、他社の制度等も参考にしつつ、金額を定めました。
②自宅環境整備手当
会社は、2022年9月から在宅勤務をする従業員のオフィスセットアップのため備品等の購入をサポートしています。PCデスク・椅子などについてはカタログに掲載されない商品を300米ドル相当(消費税込み)を上限として購入可能としました。
賃上げ要求に対する会社回答について
かいな前号でご紹介した、就業規則通りに実施されなかった2022年9月1日付賃上げの実施要求に対し、会社は実施しない旨回答しました。
これで会社は、2020年から、9月1日付賃上げを実施しないという就業規則違反を3年連続で行ったことになり、3回あるべき賃上げを2回(右図参照)にしています。
会社は2022年9月1日付賃上げの代替策を実施し、20年から22年の「3年に3回」の賃上げ回数をまもるべきです。
組合は、このように会社が就業規則に違反し、労使協議もなしに一方に賃上げ回数を減らすことを看過できません。
よって、組合は、この賃上げが1回少ない問題について、10月14日の団体交渉で会社にただします。
JMITUは春闘に続き秋闘も実施します。秋闘は各支部が要求提出を行い、様々な労働条件の向上とともに年末一時金の交渉も行います。秋闘要求は、支部要求とJMITU統一要求から成り、当支部(以下、組合)は2次にわたる支部要求を提出します。
組合は22秋闘としてまずは9月21日に秋闘1次要求(支部1次要求)とJMITU統一要求を日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出しました。
秋闘1次要求は、春闘要求から継続する重点要求に加え、当支部の喫緊の重点となる要求を提出しました。またJMITUの3つの統一要求として「くらしと雇用をまもり、企業の将来展望をつくる『合意協力型』労使関係をめざす要求書」、「安全・衛生に関する統一要求書」、「安心して働きやすい職場を求める統一要求書」もいっしょに提出しました。回答指定日は10月5日です。
以下に秋闘1次要求から賃上げ要求(要旨)をご紹介します。
賃上げ要求
10年以上にわたり満足な賃上げが実施されておらず、他社と比較して従業員の賃上げ額は低水準となっています。さらに、2020年から2022年の3年連続で9月1日付賃上げを実施しないという会社による就業規則違反により、この3年間で賃上げが2回しか実施されておらず、しかもその2回の賃上げもこの間の諸物価高騰を補うには極めて不十分な水準でした。このように年齢に応じた生活設計が狂っている状況を受け、就業規則通りに実施されなかった2022年9月1日付賃上げを、次の2段階で実施することを要求しています。
(1)本給が、組合が規定した下表の下限額(対象は正社員、契約社員、臨時雇用者、派遣社員含む)を下回っている従業員について、本給を下表の下限額以上に引き上げること。
(2)その上で、この間の諸物価高騰を受けた生活防衛のため、全従業員の月額本給賃上げ額の平均が5万円の引き上げとなるようにすること。
2022年9月8日、JMITU日本アイビーエム支部組合員2人がそれぞれ日本IBM(株)とキンドリルジャパン(株)を相手取って提訴していたパワハラ降格訴訟(東京地裁令和元年(ワ)第29752号)が東京地裁民事第19部(片野正樹裁判長)において、和解により円満に解決したことをここにご報告いたします。和解内容については会社の不当な降格に一定の歯止めをかけたものと評価しています。
これまで絶大なるご支援をしていただいた各方面の皆様、誠にありがとうございました。改めまして厚く御礼申し上げます。
1面に続き秋闘1次要求の中から、当支部が日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出した賃上げ以外の主要な重点要求を以下にご紹介します。
争議解決の要求
(1)定年後再雇用賃金差別争議を解決すること
改正高年齢者雇用安定法に基づいて作られた日本IBMとキンドリルジャパンの再雇用制度である「シニア契約社員」制度は、月給が17万円と低すぎる上に賞与も手当も無く、これではとても生活できません。
さらに、10月1日から東京都の最低賃金が1072円に改正されましたので、定年後再雇用の月給17万円は労働日数が21日以上ある月では最低 賃金違反になります。
現在、2人の組合員がシニア契約社員の月給17万円、年収204万円は不当であるとして東京地裁に提訴し争っています。さらに組合が東京都労働委員会にシニア契約社員の賃金交渉における不誠実団交の救済を申し立て争っています。
(2)AI不当労働行為争議を解決すること
AI(ワトソン)を利用した人事評価・賃金決定に関する組合の情報開示要求に対して、会社が団体交渉に誠実に応じないのは不当労働行為に当たるとして、組合は東京都労働委員会に救済を申立て争っています。
手当に関する要求
(1)本来、業務のための水道光熱費および通信費は会社が負担するべきであり、会社は在宅勤務手当を支払うべきです。
キンドリルジャパンでは組合要求への回答が前進し、10月1日から開始したフレキシブルワーク制度により1日200円の在宅勤務手当が支給されるようになりました。しかし、組合要求の1ヶ月あたり8千円にはまだ不足しているため、組合の要求どおり1ヶ月あたり8千円を2020年3月に遡及して支払うこと。
一方、日本IBMは未だに在宅勤務手当を支払っていないので、日本IBMは速やかに在宅勤務手当として1ヶ月あたり8千円を2020年3月に遡及して支払うこと。
(2)会社は、在宅勤務に関して業務上必要なオフィス用品/PC周辺機器、通信環境の新規整備などについて半期単位にて一定額(オフィス用品/PC周辺機器については300USドル相当、新規Wi-Fiについては月に20USドル相当)の補助の制度を提供していると説明しています。
しかし、上記制度のカタログに掲載されていない物品を購入して自宅の就労環境を整備するための自宅環境整備手当として、一時金50000円を支給すること。
(3)フレックスタイム制勤務対象者の出勤時間は午前8時から10時、終業時間は午後4時30分から6時30分となっています。しかし、これでは通勤時の満員電車を避けることができないので、出勤時間、終業時間の範囲を広げること。
働き方改善の要求
(1)IBMコンサルティング部門(旧GBS部門)では、Think Fridays( 17~ 18時)、夜学、土曜日にIBM-Way Day(3000名程度が参加している)等、スキルアップの時間は業務時間外に設定される場合がほとんどです。このような正式な労働時間の外(夜間や休日など)で実施されているLearningを、全社で正式な労働時間の中で実施させるよう改善すること。
(2)現在の世界の流れに従って、週休2日制への移行時に月曜日から金曜日に付加された36分(元は土曜日の3時間)を削減し、賃下げなしで1日の労働時間を午前9時から午後5時までの7時間、週35時間に短縮すること。これにともない稼働率の上限値を64.9%とすること。
(3)勤務間インターバルの適用については就業規則に規定が無いなど実体がともなっていません。勤務間インターバルについてライン管理職向けの勤務ガイドで周知する(すでに実施中)だけでなく、以下の内容の勤務間インターバルの規定を就業規則に追加すること。
1)深夜勤務時の次の勤務開始までのインターバル(裁量労働制と年俸制勤務者を含む)を最低11時間とすること。
2)1)の結果、次の勤務開始時刻が通常の勤務開始時刻(フレックスタイムの場合はコアタイム開始時刻)よりも遅くなった場合は、その時間は勤務したことにすること。
* * * * *
勤務間インターバル宣言
株式会社ワーク・ライフバランスが募集した「勤務間インターバル宣言」に日本IBMは参加しています。
(https://work-life-b.co.jp/workinterval)
「私達は、勤務と勤務の間に11時間休息を取る、勤務間インターバル制度に賛同します。」
(勤務間インターバル宣言企業一覧からの抜粋)
組合は、日本IBMの賃上げ再回答内容とキンドリルジャパンの賃上げ回答内容を不服として、6月30日午後半日、猛暑の中、第6次ストライキを決行しました。
さらに組合は、両社が2022年は9月1日賃上げを実施しない考えを示したことを不服として、9月1日午後4時36分から1時間、雨を押して第7次ストライキを決行しました。(写真上)
両社の賃上げ状況
日本IBMの今年5月の組合推定平均賃上げ率はわずか1.5%であり、これでは今般の諸物価高騰の中、実質的な賃下げです。そこで組合は日本IBMに対し、5月賃上げの第2次有額回答(賃上げ額上積み)を要求していますが、日本IBMはこの要求に未だに応じていません。
また、キンドリルジャパンの今年7月の組合推定平均賃上げ率もわずか1.6%であり、同様に実質的な賃下げです。
両社は今般の諸物価高騰を考慮し従業員の生活に配慮した賃上げを実施すべきです。
両社とも9月1日賃上げなし
組合は両社との団体交渉で、2022年は就業規則で決められている賃上げ日の9月1日に賃上げを実施するかどうかをただしました。
これに対して日本IBMは7月27 日、8月29日の団体交渉で、キンドリルジャパンは、8月23 日の団体交渉で、22年度分の給与調整はそれぞれ22年5月、7月に実施済であると回答しました。つまり両社は、22年は9月1日賃上げを実施しない考えを示しましたが、就業規則には従業員だけではなく会社も縛られていますから、これは就業規則違反であり、これで9月1日付賃上げを実施しないという会社による就業規則違反は20年から3年連続となります。
そして、これにより日本IBM従業員、および、日本IBMから移籍したキンドリルジャパン従業員の賃上げ回数は、20年から22年までの間に本来は3回(毎年9月1日)であるべきところ、実際には延期により2回(21年5月、22年5月・7月)と、1回少なくなっています。
このように会社が就業規則に違反し、労使協議もなしに一方的に賃上げ回数を減らすということは、従業員の生活を顧みない会社都合の押し付けであり、その正当化を許してはなりません。
組合が日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出する秋闘統一要求の中から「安心して働きやすい職場を求める統一要求書」の内容を以下にご紹介します。
すべての労働者の均等待遇を実現する要求
①賃金・一時金、手当、特別休暇、退職金等の労働条件において、性別、雇用形態、国籍などによる格差をなくし均等待遇を実現すること。
②「均等待遇」を口実にした正社員の賃金・労働条件の引き下げを行わないこと。
長時間労働を規制する要求
①人間らしい生活を実現するために、支部分会の具体的な要求にもとづき、所定労働時間の短縮と時間外・休日労働の削減で一日の労働時間を短縮すること。
②テレワークや在宅勤務、裁量労働制などあらたな労働時間制を導入する場合は、労働組合と事前に協議し同意のうえ行うこと。
③36協定は可能な限り限度時間を短時間に設定し、原則として特別条項を設けないこと。臨時的・突発的に、限度時間を超える必要性が生じた場合には、労働組合とその都度、事前協議し36協定を再締結すること。労使の合意のうえ、特別条項を設ける場合であっても、限度時間を超える場合は都度、労働組合と事前に協議し同意を得ること。
④限度時間を超える場合の割増率を50%以上とすること。
⑤長時間労働の是正をすすめるために、職場の業務量の実態に見合った人員増をおこなうこと。
⑥人手不足を背景にした業務繁忙で年次有給休暇が取得しづらい環境を改善し、年次有給休暇取得の権利を保障すること。そのためにも、職場の有給休暇取得状況を開示して改善に向けた具体的な協議を行うこと。
労働者の雇用をまもる要求
①「無効解雇の金銭解決制度」に反対し、「労働者の雇用をまもる」という経営責任を明確にすること。労働者の解雇・退職勧奨など雇用に関する施策については、労働組合と事前に協議し同意を得ること。
②本人の希望にもとづき、有期雇用者・派遣労働者の正社員化を促進すること。正社員化にあたっての賃金・労働条件は労働組合と事前に協議すること。
③無期転換労働者の賃金・労働条件は正社員と同一とすること。
65歳までの定年延長と継続雇用者の賃金・処遇の改善要求
①賃金を引下げることなく65歳まで定年を延長すること。
②定年延長を実現するまでの間も、継続雇用者の賃金について60歳到達時の賃金を維持すること。また、特別休暇や住宅手当・家族手当など正社員との均等待遇をはかること。
③継続雇用者の無年金期間中の生活と65歳以降の生活に配慮し、60歳到達時の退職金を2,000万円以上に引き上げること。
④労働者が65歳以降も雇用継続を希望する場合、選別は行わず、賃金・労働条件、労働環境、働く条件を維持し雇用すること。
ハラスメントをなくす要求
①ハラスメント防止法(2020年6月施行、中小企業は2022年4月より適用)を踏まえ、別紙「協定モデル」にもとづき、ハラスメント防止のための制裁処分や相談窓口の設置、被害者の救済措置および再発防止などについて労使協議し協定化すること。
②ハラスメントの温床となっている過重労働と人員不足の解消、過剰なノルマ(目標)の設定や成果・業績主義を改善すること。
* * * * *
次に「安全・衛生に関する統一要求書」の内容を以下にご紹介します。
職場の総点検
①労働安全衛生法令にもとづき、作業環境や労働者の健康状態などについて労使で点検すること。また、JMITUと当該企業代表による安全パトロールを通常6ケ月ないし1ヶ年に1回実施すること。これらの結果にもとづき、違反事項や改善すべき事項をただちに改善すること。
安全衛生方針と安全衛生体制の確立
①労働安全衛生法令にもとづく安全衛生方針を作成し、職場に周知徹底すること。安全衛生方針は、派遣など非正規雇用者や関連子会社従業員など、職場ではたらくすべての労働者を対象とすること。安全衛生方針の作成や実施にあたっては、JMITUの意見・要求を反映させること。
②子会社、派遣労働者、請負労働者など様々な雇用形態や指揮系統のもとではたらく労働者が混在する場合は、一体となった安全衛生管理体制を確立すること。