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相談窓口

日本IBM・キンドリルジャパンのパワハラ降格争議和解円満解決の御礼

 2022年9月8日、JMITU日本アイビーエム支部組合員2人がそれぞれ日本IBM(株)とキンドリルジャパン(株)を相手取って提訴していたパワハラ降格訴訟(東京地裁令和元年(ワ)第29752号)が東京地裁民事第19部(片野正樹裁判長)において、和解により円満に解決したことをここにご報告いたします。和解内容については会社の不当な降格に一定の歯止めをかけたものと評価しています。
 これまで絶大なるご支援をしていただいた各方面の皆様、誠にありがとうございました。改めまして厚く御礼申し上げます。

秋闘1次要求の紹介

 賃上げ以外の重点要求について

 1面に続き秋闘1次要求の中から、当支部が日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出した賃上げ以外の主要な重点要求を以下にご紹介します。

争議解決の要求

(1)定年後再雇用賃金差別争議を解決すること
 改正高年齢者雇用安定法に基づいて作られた日本IBMとキンドリルジャパンの再雇用制度である「シニア契約社員」制度は、月給が17万円と低すぎる上に賞与も手当も無く、これではとても生活できません。
 さらに、10月1日から東京都の最低賃金が1072円に改正されましたので、定年後再雇用の月給17万円は労働日数が21日以上ある月では最低 賃金違反になります。
 現在、2人の組合員がシニア契約社員の月給17万円、年収204万円は不当であるとして東京地裁に提訴し争っています。さらに組合が東京都労働委員会にシニア契約社員の賃金交渉における不誠実団交の救済を申し立て争っています。
(2)AI不当労働行為争議を解決すること
 AI(ワトソン)を利用した人事評価・賃金決定に関する組合の情報開示要求に対して、会社が団体交渉に誠実に応じないのは不当労働行為に当たるとして、組合は東京都労働委員会に救済を申立て争っています。

手当に関する要求

(1)本来、業務のための水道光熱費および通信費は会社が負担するべきであり、会社は在宅勤務手当を支払うべきです。
 キンドリルジャパンでは組合要求への回答が前進し、10月1日から開始したフレキシブルワーク制度により1日200円の在宅勤務手当が支給されるようになりました。しかし、組合要求の1ヶ月あたり8千円にはまだ不足しているため、組合の要求どおり1ヶ月あたり8千円を2020年3月に遡及して支払うこと。
 一方、日本IBMは未だに在宅勤務手当を支払っていないので、日本IBMは速やかに在宅勤務手当として1ヶ月あたり8千円を2020年3月に遡及して支払うこと。
(2)会社は、在宅勤務に関して業務上必要なオフィス用品/PC周辺機器、通信環境の新規整備などについて半期単位にて一定額(オフィス用品/PC周辺機器については300USドル相当、新規Wi-Fiについては月に20USドル相当)の補助の制度を提供していると説明しています。
 しかし、上記制度のカタログに掲載されていない物品を購入して自宅の就労環境を整備するための自宅環境整備手当として、一時金50000円を支給すること。
(3)フレックスタイム制勤務対象者の出勤時間は午前8時から10時、終業時間は午後4時30分から6時30分となっています。しかし、これでは通勤時の満員電車を避けることができないので、出勤時間、終業時間の範囲を広げること。

働き方改善の要求

(1)IBMコンサルティング部門(旧GBS部門)では、Think Fridays( 17~ 18時)、夜学、土曜日にIBM-Way Day(3000名程度が参加している)等、スキルアップの時間は業務時間外に設定される場合がほとんどです。このような正式な労働時間の外(夜間や休日など)で実施されているLearningを、全社で正式な労働時間の中で実施させるよう改善すること。
(2)現在の世界の流れに従って、週休2日制への移行時に月曜日から金曜日に付加された36分(元は土曜日の3時間)を削減し、賃下げなしで1日の労働時間を午前9時から午後5時までの7時間、週35時間に短縮すること。これにともない稼働率の上限値を64.9%とすること。
(3)勤務間インターバルの適用については就業規則に規定が無いなど実体がともなっていません。勤務間インターバルについてライン管理職向けの勤務ガイドで周知する(すでに実施中)だけでなく、以下の内容の勤務間インターバルの規定を就業規則に追加すること。
1)深夜勤務時の次の勤務開始までのインターバル(裁量労働制と年俸制勤務者を含む)を最低11時間とすること。
2)1)の結果、次の勤務開始時刻が通常の勤務開始時刻(フレックスタイムの場合はコアタイム開始時刻)よりも遅くなった場合は、その時間は勤務したことにすること。

* * * * *

勤務間インターバル宣言

 株式会社ワーク・ライフバランスが募集した「勤務間インターバル宣言」に日本IBMは参加しています。
https://work-life-b.co.jp/workinterval
「私達は、勤務と勤務の間に11時間休息を取る、勤務間インターバル制度に賛同します。」

(勤務間インターバル宣言企業一覧からの抜粋)

日本IBM・キンドリルジャパン 5月・7月賃上げは実質賃下げ

9月1日賃上げは両社とも実施なし
22春闘
第6次・第7次ストライキ決行
両社とも従業員の生活に配慮せよ

 組合は、日本IBMの賃上げ再回答内容とキンドリルジャパンの賃上げ回答内容を不服として、6月30日午後半日、猛暑の中、第6次ストライキを決行しました。
 さらに組合は、両社が2022年は9月1日賃上げを実施しない考えを示したことを不服として、9月1日午後4時36分から1時間、雨を押して第7次ストライキを決行しました。(写真上)

両社の賃上げ状況

 日本IBMの今年5月の組合推定平均賃上げ率はわずか1.5%であり、これでは今般の諸物価高騰の中、実質的な賃下げです。そこで組合は日本IBMに対し、5月賃上げの第2次有額回答(賃上げ額上積み)を要求していますが、日本IBMはこの要求に未だに応じていません。
 また、キンドリルジャパンの今年7月の組合推定平均賃上げ率もわずか1.6%であり、同様に実質的な賃下げです。
 両社は今般の諸物価高騰を考慮し従業員の生活に配慮した賃上げを実施すべきです。

両社とも9月1日賃上げなし

 組合は両社との団体交渉で、2022年は就業規則で決められている賃上げ日の9月1日に賃上げを実施するかどうかをただしました。
 これに対して日本IBMは7月27 日、8月29日の団体交渉で、キンドリルジャパンは、8月23 日の団体交渉で、22年度分の給与調整はそれぞれ22年5月、7月に実施済であると回答しました。つまり両社は、22年は9月1日賃上げを実施しない考えを示しましたが、就業規則には従業員だけではなく会社も縛られていますから、これは就業規則違反であり、これで9月1日付賃上げを実施しないという会社による就業規則違反は20年から3年連続となります。
 そして、これにより日本IBM従業員、および、日本IBMから移籍したキンドリルジャパン従業員の賃上げ回数は、20年から22年までの間に本来は3回(毎年9月1日)であるべきところ、実際には延期により2回(21年5月、22年5月・7月)と、1回少なくなっています。
 このように会社が就業規則に違反し、労使協議もなしに一方的に賃上げ回数を減らすということは、従業員の生活を顧みない会社都合の押し付けであり、その正当化を許してはなりません。

JMITU秋闘統一要求

~ 2つの統一要求書の紹介~

 組合が日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出する秋闘統一要求の中から「安心して働きやすい職場を求める統一要求書」の内容を以下にご紹介します。

すべての労働者の均等待遇を実現する要求

①賃金・一時金、手当、特別休暇、退職金等の労働条件において、性別、雇用形態、国籍などによる格差をなくし均等待遇を実現すること。
②「均等待遇」を口実にした正社員の賃金・労働条件の引き下げを行わないこと。

長時間労働を規制する要求

①人間らしい生活を実現するために、支部分会の具体的な要求にもとづき、所定労働時間の短縮と時間外・休日労働の削減で一日の労働時間を短縮すること。
②テレワークや在宅勤務、裁量労働制などあらたな労働時間制を導入する場合は、労働組合と事前に協議し同意のうえ行うこと。
③36協定は可能な限り限度時間を短時間に設定し、原則として特別条項を設けないこと。臨時的・突発的に、限度時間を超える必要性が生じた場合には、労働組合とその都度、事前協議し36協定を再締結すること。労使の合意のうえ、特別条項を設ける場合であっても、限度時間を超える場合は都度、労働組合と事前に協議し同意を得ること。
④限度時間を超える場合の割増率を50%以上とすること。
⑤長時間労働の是正をすすめるために、職場の業務量の実態に見合った人員増をおこなうこと。
⑥人手不足を背景にした業務繁忙で年次有給休暇が取得しづらい環境を改善し、年次有給休暇取得の権利を保障すること。そのためにも、職場の有給休暇取得状況を開示して改善に向けた具体的な協議を行うこと。

労働者の雇用をまもる要求

①「無効解雇の金銭解決制度」に反対し、「労働者の雇用をまもる」という経営責任を明確にすること。労働者の解雇・退職勧奨など雇用に関する施策については、労働組合と事前に協議し同意を得ること。
②本人の希望にもとづき、有期雇用者・派遣労働者の正社員化を促進すること。正社員化にあたっての賃金・労働条件は労働組合と事前に協議すること。
③無期転換労働者の賃金・労働条件は正社員と同一とすること。

65歳までの定年延長と継続雇用者の賃金・処遇の改善要求

①賃金を引下げることなく65歳まで定年を延長すること。
②定年延長を実現するまでの間も、継続雇用者の賃金について60歳到達時の賃金を維持すること。また、特別休暇や住宅手当・家族手当など正社員との均等待遇をはかること。
③継続雇用者の無年金期間中の生活と65歳以降の生活に配慮し、60歳到達時の退職金を2,000万円以上に引き上げること。
④労働者が65歳以降も雇用継続を希望する場合、選別は行わず、賃金・労働条件、労働環境、働く条件を維持し雇用すること。

ハラスメントをなくす要求

①ハラスメント防止法(2020年6月施行、中小企業は2022年4月より適用)を踏まえ、別紙「協定モデル」にもとづき、ハラスメント防止のための制裁処分や相談窓口の設置、被害者の救済措置および再発防止などについて労使協議し協定化すること。
②ハラスメントの温床となっている過重労働と人員不足の解消、過剰なノルマ(目標)の設定や成果・業績主義を改善すること。

* * * * *

 次に「安全・衛生に関する統一要求書」の内容を以下にご紹介します。

職場の総点検

①労働安全衛生法令にもとづき、作業環境や労働者の健康状態などについて労使で点検すること。また、JMITUと当該企業代表による安全パトロールを通常6ケ月ないし1ヶ年に1回実施すること。これらの結果にもとづき、違反事項や改善すべき事項をただちに改善すること。

安全衛生方針と安全衛生体制の確立

①労働安全衛生法令にもとづく安全衛生方針を作成し、職場に周知徹底すること。安全衛生方針は、派遣など非正規雇用者や関連子会社従業員など、職場ではたらくすべての労働者を対象とすること。安全衛生方針の作成や実施にあたっては、JMITUの意見・要求を反映させること。
②子会社、派遣労働者、請負労働者など様々な雇用形態や指揮系統のもとではたらく労働者が混在する場合は、一体となった安全衛生管理体制を確立すること。

 

日本IBM・キンドリルジャパン 2022年度分賃上げは実施済と回答

22春闘
1回少ない賃上げの正当化を許すな
両社は9・1賃上げを実施せよ

 かいな前号(2409号)でお伝えしましたように、日本IBM従業員、および、日本IBMから移籍したキンドリルジャパン従業員の賃上げ回数は、2019年から2021年までの間に本来は3回であるべきところ、実際には上図の通り、2020年、2021年の2年連続で9月1日賃上げが延期され、2回になっています。
 この問題について、組合は両社との団体交渉で、2022年は就業規則(給与規程)で決められている賃上げ日の9月1日に賃上げを実施するかどうかをただしました。
 以下に日本IBMとの団体交渉(7月27日、8月29日)、キンドリルジャパンとの団体交渉(8月23日)での両社の回答要旨を紹介します。

両社の回答要旨

 日本IBMは「4月28日に発表したが、アービンド・クリシュナのブロードキャストで発表された通り、2022年の給与調整は5月1日に行う、というのが会社の方針だ。2022年度分の給与調整は5月1日に実施した」と回答しました。
 キンドリルジャパンは「2022年度分の給与調整は2022年7月に実施した」と回答しました。

1回少ない賃上げは会社による就業規則違反

 2020年には、日本IBMは8月7日に「2020年の給与調整は9月には行わず、来年の上半期に行う予定となる」と発表しましたが、この発表によると2021年5月賃上げが2020年度分の賃上げであるにもかかわらず、両社はこれを2021年度分の賃上げと言っています。
 また、2021年には、日本IBMは前日の8月31日の土壇場になって「2021年9月1日付給与調整については実施を見送る」と発表しましたが、見送り後の実施予定時期は発表しませんでした。そのため、日本IBMは2022年5月賃上げを2022年度分の賃上げと、キンドリルジャパンは2022年7月賃上げを2022年度分の賃上げと言っています。
 しかし、就業規則には従業員だけではなく会社も縛られています。
 従って、2020年からの賃上げを1回少なくしたことは、会社による就業規則違反であり、その正当化は理由はどうあれ許してはなりません。両社は就業規則を遵守し、2022年の9月1日賃上げを実施すべきです。

日本IBM支部全国大会開催

組合に団結し大幅賃上げを勝ち取ろう

 JMITU日本IBM支部の第69回全国大会が、7月30日に開催されました。新型コロナウイルス感染症対策のため、一昨年から3回連続のリモート会議システムを活用した全国大会(写真左)となり、来賓の方々にもオンラインにてご参加いただきました。
 全国大会は、これまで1年間の活動総括を行い、今後1年間の運動方針を議論し決定する組合の最高の意思決定機関です。
 まず、2022年度の活動総括として、および裁判と東京都労働委員会申し立てという両輪での争議の状況を報告しました。引き続いて、22春闘では6次ストまで実施、組合推定で日本IBMは1.5%、キンドリルジャパンは1.6%の賃上げを達成しましたが、今般の諸物価高騰を補うには、極めて不十分な水準であることを報告しました。
 午後からは2023年度の運動方針を討議し、組織拡大のための行動やアピール方法、コロナ禍でのホームページやSNSの活用などの運動方針を採択しました。
 最後に、今年の大会スローガンである「組合に団結し大幅賃上げを勝ち取ろう」を満場一致で採択し、全国大会は閉幕しました。

新役員の抱負
 全国大会から組合は2023年度に入り、新しい役員体制で取り組んで参ります。ここに各人の今年度の活動に向けた抱負をご紹介します。

委員長 大岡義久
 従業員の労働条件の改善に努めます。安心して働きやすい職場環境、人材が離れない良い風土を作っていきたいと思います。

副委員長 藤井克己
 従業員の雇用と労働条件を守るため、会社との闘いを続けていきます。

副委員長 河本公彦
 年金支給に合わせた定年延長要求、定期的な大幅賃金UP要求等を勝ち取るために団結して頑張りましょう。

書記長 神谷昌平
 今年度から新書記長として、争議解決、賃上げ実現のために頑張ります。

書記次長 笹目芳太郎
 今般の諸物価高騰に見合った賃上げ、業務経費としての在宅勤務手当を勝ち取るため、従業員の生活に配慮しない給与施策とたたかいます。

中央執行委員 森谷俊之
 パワハラ降格原告として、パワハラのない安心して働ける会社にしたいと思います。

中央執行委員 石原隆行
 大幅賃上げと低賃金者・シニア契約社員の待遇向上、争議の勝利解決のために頑張ります。

中央執行委員 西尾光平
 あまリにも酷過ぎるシニアの労働条件の改善の為、がんばります。

中央執行委員 安田和
 新型コロナ対応で分断され働きにくい職場環境の改善、デリバリー部門の社員と女性社員の支援にも力を入れたいと思っています。

中央執行委員 三浦裕之
 私が入社した40年近く前は、日本IBMはもっとかっこいい会社であった。みんなで昔のようによい会社にしていきましょう。

中央執行委員 西郡正彦
 初めて中央執行委員となり先輩の方々から色々学びながら会社と積極的な交渉を行います。よろしくお願いします。

中央執行委員 佐久間康晴
 物価高騰でも賃金が上がらない、賃金抑制のため中途採用の給料を異常に低く設定して採用するなど新たな問題が発生しています。黙っていては何も変わらないので声をあげて共に闘いましょう。

中央執行委員 中川賢
 職場には切実な不満・不安が渦巻いています。表面化しない嫌がらせや過重労働など、すべてのハラスメントと闘います。

9月1日 スト決行

日本IBM・キンドリルジャパンは
就業規則通り9月1日賃上げを実施せよ

YouTube中継リンク:https://www.youtube.com/channel/UCuVkXviVKdgKkBIJYRZiEeQ
(中継時間:17:30~18:30)

日本IBM従業員、および、日本IBMから移籍したキンドリルジャパン従業員の賃上げ回数は、

2019年から2021年までの間に本来は3回であるべきところ、実際には右図の通り、2020年、2021年の2年連続で9月1日賃上げが延期され、2回になっています。
にもかかわらず、日本IBMは2022年5月の賃上げを、キンドリルジャパンは2022年7月の賃上げを2022年度分の賃上げと言い切り、1 回少ない賃上げを正当化しようとしています。
さらに、日本IBMおよびキンドリルジャパンの5月と7月の組合推定平均賃上げ率はそれぞれわずか1.5%と1.6%でしたが、これではこの間の諸物価高騰を吸収できず、事実上の賃下げです。このような低い賃上げ水準のなか、賃上げ回数を1回減らすということは、あまりにも従業員の生活への配慮が欠けています。会社は2022年の9月1日賃上げを実施すべきです。

日本IBM・キンドリルジャパン 9月1日賃上げあるのか

22春闘
賃上げ交渉を引き続き継続
両社は生活を守る賃上げをせよ

 日本IBM、キンドリルジャパン両社の給与規程では賃上げ日は9月1日と決められています。今年ももうすぐ9月1日になりますが、はたして規定通りに賃上げが実施されるのでしょうか。

9・1賃上げを実施せよ

 上図は日本IBM、キンドリルジャパン両社の直近3年間の賃上げ実施状況を示したものですが、給与規程通りに9月1日賃上げが実施されたのは3年前となる2019年のみで、その後は2020年、2021年の2年連続で9月1日賃上げが延期されてきました。
 キンドリルジャパンの従業員も、元は日本IBMの従業員です。そのため、両社従業員の賃上げ回数は、2019年から2021年までの間に本来は3回であるべきところ、実際には2020年分がスキップされ、2回になっています。
 その上、日本IBMの今年5月の組合推定平均賃上げ率はわずか1.5%であり、この間の消費増税、諸物価高騰を補うには極めて不十分な水準です。
 また、キンドリルジャパンについても今年7月の組合推定平均賃上げ率はわずか1.6%であり、同様に極めて不十分な水準です。
 両社ともこの5月、7月の賃上げに加えて給与規程通りに9月1日賃上げを実施し、従業員の生活水準を下げないように守るべきです。

従業員よ団結せよ

 今年のこれまでの日本IBMの5月1日賃上げと、キンドリルジャパンの7月1日賃上げは、すんなりと行なわれたわけではありません。当初、両社は「2021年9月1日賃上げは見送った」としか発表せず、2021年分の賃上げは極めて危機的な状況でした。
 組合はこのような両社の態度を許さず、この間の諸物価高騰やJMITUにおける同業他社の動向、そして経団連等の動向を会社に伝え交渉すると同時に、これまでに6回のストライキを実施し、強力に春闘を押し進めてきました。その結果、5月と7月の賃上げが実現しました。
 しかし、この5月と7月の賃上げは、あくまでも昨年9月分の賃上げです。今年分の賃上げはこの9月の賃上げです。
 賃上げはおとなしく黙っていては実現しません。一人でも多くの皆さんが組合に加入し会社に強く働きかけることで賃上げを実現させましょう。

 

キンドリルジャパン・グループ 職場を良くしよう

 キンドリルジャパン・グループが2021年9月1日に会社分割されてから、もうすぐ1年が経とうとしています。
 しかし、まだまだ会社はスタートアップの状態であり、依然として職場は様々な面で不足な点が多々あります。キンドリルジャパン・グループにとって最も重要な、事故の無い安定したシステム運用を提供するためには、職場が落ち着くことが何より重要です。
 そんなときに頼りになるのが労働組合です。従業員に本音で話し合えるオープンなコミュニティを提供し、多様な従業員に共通する課題を見つけ、皆で協力して会社も巻き込んで解決していくのは労働組合が一番適しています。団体交渉という会社との窓口も開かれていますので、問題解決にもすぐに取り掛かることができます。この機会に一人でも多くの方が労働組合に加入いただくことをお勧めします。
 以下にいくつかの職場の問題をご紹介しますが、他にも問題がありましたら、当労働組合にお知らせください。

設備の問題

 コロナ禍もいずれ終焉し、多くの従業員が事業所に出社するようになるのがだんだん見えてきましたが、各事業所の設備はどうでしょうか。
●本社LAN環境の問題
 意外に思われるかもしれませんが、箱崎本社に入館するとまず困るのがLAN環境です。キンドリル専用WiFiが無いのです。日本IBMが箱崎で提供しているオープンWiFiに接続し、トンネル接続経由でキンドリル・イントラネットに接続しても、オープンWiFiは不安定です。そこで有線LANに接続しようとすると、有線は無効になっています。
 現在は多くの従業員が会社支給スマホのテザリング機能を使ってイントラネットに接続しています。しかし、そもそも本社に自社ネットワークが無いのはリスクがあります。先日も携帯電話会社の大規模な回線トラブルがありましたが、このような場合に本社で作業している従業員のネットワークが止まってしまうのは大きなリスクと言わざるを得ません。
●オフィスプリンタ問題
 自由に高性能プリンタを使えるのは事業所に出勤するメリットのひとつですが、現在のオフィスプリンタに複数の人から印刷指示が同時に出されると、印刷出力に他の人の印刷物が挟まってしまいます。
 また、PDFに変換する機能では、毎回自分の送付先メールアドレスを手入力しなければなりません。
●給茶機の問題
 日本IBMから会社分割されてオフィスフロアが分かれた際、給茶機が日本IBM側に行ってしまい、キンドリル側に給茶機が無いフロアができてしまうことがあります。このようなフロアに給茶機がまだ整備されていません。
●施設管理の問題
 施設に不具合があった場合の連絡先が不明で、例えば蛍光灯が切れてもそのままになっています。また、掃除がされておらず、机の上がザラザラの状態になっているところがあります。
 事務用品についても、どこにあるか分からず、また、調達方法のガイドもありません。

システムの問題

●事業所入館申請の問題
 入館申請とハイセキュリティエリアの入室申請は頻度が高くこれまでシステム化されていましたが、メール申請になってしまいました。
 また、社員証も箱崎本社ではその場で作ることができず、写真撮影の機材さえ用意されていません。
●ワークフロー管理問題
 多くの業務やプロジェクトでワークフロー管理に使われていたノーツDBの使用が終了となりましたが、これに代わるソフトウェア環境の提示が会社からありません。これでは手作業に戻れと言っているようなもので、IT化を逆行しているのと同じです。

労務政策の問題

●減点主義の問題
 日本IBMから会社分割された段階では減点主義を引き継いだままになっていますが、事故の無い安定したシステム運用のためには加点主義への転換が必要です。減点主義では都合の悪いことを隠すようになるため、安定運用にとって大敵となるからです。加点主義に転換することで、従業員の間に運用を改善しようというモチベーションが働くようになるのではないでしょうか。
 そうした意味で、在宅勤務の事業経費を従業員に押し付けている現在の態度も転換が必要です。自宅で運用している従業員に一刻も早く水道光熱費等の事業経費の相当分を支払うべきです。

 

キンドリルジャパン賃上げ 1次回答は実質賃下げ

22春闘
 キンドリルは賃上げ額を上積みせよ
 諸物価高騰に配慮した2次回答をせよ

 キンドリルジャパンは、今春闘で確約していた7月1日付賃上げの組合員個別回答(1次回答)を行い、6月29日の団体交渉で協議しましたが、日本IBMと同様に大変低レベルな回答であり、しかも賃上げが6月賞与に間に合わなかったことの救済策の発表もありませんでした。

賃上げ推定平均1.6%の実質賃下げを許すな

 キンドリルジャパンの7月1日付平均賃上げ率は、春闘要求書で要求した全従業員平均賃上げ率の回答が現時点で無いため分かりませんが、組合による推定平均賃上げ率はわずか1.6%で、日本IBMの5月1日付賃上げの1.5%とほぼ同じ水準です。これでは今般の諸物価高騰の中、実質的な賃下げですので、団体交渉では1次回答への賃上げ額上積み(2次回答)を要求しました。

他社は高水準な賃上げ

 5月20日に経団連が発表した今年の大手企業賃上全業種平均は2.27%、金額では7430円です。さらに、下表のJMITU主要企業の水準はそれを上回り、賃上げ率が2%台後半から3%台後半という昨年を上回る高水準に達しています。
 そもそも、低水準の賃上げの長期化は、日本IBMが2006年に給与規程の「昇給」を「給与調整」に変更し、定期昇給を廃止したことが本源です。以来、会社がハイパフォーマンス・カルチャーの方針の下で実施してきた人件費総額削減、賃上げ抑制によって、15年以上、賃上げがほとんど無かったうえに、今般の諸物価高騰が従業員の生活を苦しめている中、キンドリルジャパンの1次回答の賃上げ率の低さは、我々従業員として到底受け入れられません。
 組合は、賃上げが今般の諸物価高騰を補うのに十分な水準であることを重視しており、2次回答についてキンドリルジャパンとして第1回の単独団交となる7月13日の団 体交渉で協議します。

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