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相談窓口

組合要求が実現

シニア契約社員の労働条件が一部改善

 シニア契約社員に対しては以前から正社員との待遇差別が存在していますが、日本IBM、キンドリルジャパン双方から、シニア契約社員の労働条件を一部改善する以下の会社発表がありました。

①年次有給休暇を正社員と同様に最大29日付与(改善前は最大20日)
②正社員と同一の種類の特別休暇を有給で゛付与(改善前は無給)
③私傷病休職制度の利用(但し休職期間は無給。改善前は制度無し)

 これで①、②は組合が繰り返し要求してきた、シニア契約社員の労働条件見直しの一部が実現したことになります。
 一方で、③は組合要求の私傷病休職期間中に賃金を支払う制度ではなく、さらに、まだ月給17万円、賞与無し、リロクラブ等福利厚生の差別解消という課題が残っています。
 今回の会社発表の概要を以下にご紹介します。(会社発表の全文は社内向けイントラネット掲載のレターをご参照下さい)

有期雇用社員の休暇の取り扱いについて

2020年4月に施行された同一労働同一賃金の実現に向けた法改正に伴い、全ての有期雇用社員(臨時雇用者を除く)の年次有給休暇および特別有給休暇の取り扱いについて以下を決定しました。
◆年次有給休暇◆
・勤続年数に応じた日数(最大29日)を年初に付与する。
・勤続年数は初めてIBMグループ、または、キンドリルジャパングループに雇用されることになった日から起算し通算する。
◆特別休暇◆
同一の種類の特別休暇を有給で付与する。

正社員以外の私傷病休職

2021年1月1日より正社員以外の社員の方も私傷病休職制度を利用できるようになりました。
◆制度の概要◆
・シニア契約社員の病気欠勤期間は1ヶ月、病気休職期間は2ヶ月
・病気欠勤が出勤等により中断された後、再度病気欠勤(休職)した場合は、中断前後の欠勤(休職)期間を通算する。
・病気休職期間は無給

今回の会社発表の問題点

 今回の発表レターは、メールで対象者にのみ周知されましたが、会社の制度改定は全社員に知らされるべきものです。
 さらに、2020年4月1日のパートタイム・有期雇用労働法の施行から2年近く経過した時点での対応ではあまりにも遅すぎます。

日本IBM従業員代表選挙

就業規則改定案に驚きの内容

 日本IBMで2021年11月1日に公示された従業員代表選挙では、就業規則改定案が提示されています。この改定案に以下2つの驚きの内容が含まれていることが判明しました。組合代表であれば、これら2つの事案に対して注意深く対処することができます。

1.変形時間労働制が適用される40時間制事業所が設置されます
内容:
 週休3日制ですが、1日10時間の勤務を就業時間とする事業所が、豊洲、大宮、川崎、箕面事業所として設立され、7つのシフト勤務が組まれます。一番早いシフトは朝7:00からの勤務、一番遅いシフトは夜9:00からの勤務です。
 かなり過酷な労働になると思われますが、11月18日に組合が会社と行った団体交渉では、会社は来年1月1日に併合する別の会社の事業所に特化した専用の就業形態だと説明しました。
懸念点:
 就業規則案には4つの事業所名が記載してあるだけです。会社は他の事業所へ広げるつもりは無いと言っていますが、歯止めとなる文言が必要です。

2.バンド6の副主任手当の支給基準が変更されます
内容:
 会社が定めるスキル及び基準を満たすまでのバンド6の学校新卒業者については副主任手当を支給しないという制度改定案です。11月18日の団体交渉で、会社は特定の職種の人にだけ適用される基準だと説明しました。
懸念点:
 制度改定案には職種限定のことが書かれていません。この支給基準が適用される職種を限定する歯止めとなる文言が必要です。

 従業員の皆さん、組合代表であればこうして皆さんとコミュニケーションを取りながら会社と協議を進めることができます。是非とも組合推薦候補への投票をお願い致します。

以上

中部デリバリー部門の闇

パワハラのデパート中部支店

 かいな2392号2面「TSS部門の深い闇」では、組織への忠誠を示す証しとして「残業をつけないのは当たり前」という考え方を強要するなど、令和の時代を迎えても未だに旧態依然とした働き方を強要し、パワハラや労務管理上の問題が堂々とまかり通っている、TSSという組織の実態をご紹介しました。しかし、このような組織はTSSだけではありません。
 例えば、今年9月にキンドリルジャパンに移籍した中部西日本製造サービスデリバリーに属する「中部デリバリー部門」(複数組織の総称)でも、若手からベテランまで幅広い世代の社員に対するパワハラが横行しています。TSS部門が「パワハラのデパート本店」ならば、中部デリバリー部門は「パワハラのデパート中部支店」と言ったところです。
 今回は中部デリバリー部門のT担当とI担当のパワハラの事例を「中部デリバリー部門の闇」としてご紹介します。

T担当のAさんへのパワハラ

 Aさんは名古屋事業所の若手社員で、Aさんの所属長は中部第一サービスデリバリーのT担当です 。
 ◆事例1◆Aさんは、2019年9月9日に、あるお客様の拠点NW機器更改作業を実施しましたが、作業後に当該NW機器で障害が発生し、お客様業務が停止しました。この障害の原因は、当該NW機器の設定が、正しくは他の拠点と異なる設定であるところ、誤って他の拠点と同じ設定になっていたためでした。
 ところが、驚くべきことに、この誤った設定を定義し、障害の原因を作ったのはT担当だったのです。さらに、そもそも会社の作業管理体制には次のような不備がありました。①本部でのリモート確認および現地作業員との連絡を全てAさん1名(ワンオペ)でカバーさせたために、トラブル発生時に1名で全てをカバーすることは困難であったこと、②NW機器の設定の事前検証体制が未整備だったこと、です。
 このように当該NW機器にT担当が定義した誤った設定が潜在していて、さらに当該作業の管理責任がT担当にあるにもかかわらず、T担当はAさんに始末書を書かせ、作業管理体制の不備の責任を全てAさんに転嫁しました。また、始末書のお客様への提出を急がせられ、Aさんは始末書の作成を翌9月10日未明まで、修正を9月11日早朝まで強いられました。
 以上のようなT担当の一方的で行き過ぎた対応はパワハラです。
 ◆事例2◆T担当は、20年5月にAさんと面談を行い、文書も示さず口頭だけでPIPの実施理由を声高に威圧する態度で述べ立て、PIPをするからサインしろと迫リました。結局、この面談でT担当が行ったことは、口頭だけでAさんの欠点を挙げ連ね、減給・降格を含む労働条件の不利益変更を示唆する、脅迫とも取れるPIPについての説明書を提示しただけであり、PIPを実施しなければならない具体的な理由についてAさんが納得できる形での文書による丁寧な説明は行いませんでした。
 PIPを提示された当時、Aさんは31歳の若手社員です。若手人材の育成には、減給や降格もあるぞ、と脅しながら欠点を挙げ連ねて矯正することではなく、所属長との信頼関係を作った上で長所を伸ばすことが必要ではないでしょうか。
 ところがT担当は欠点ばかりを挙げて信頼関係を作らず「若い人材を潰す」指導を行なっていると見受けられます。また、そもそもT担当のように所属長が部下に声高に威圧する態度で臨む面談はパワハラです。
 ・ ・ ・ ・
 Aさんは、PIP提示後まもなく組合に加入し、以上のようなパワハラを行なってきたT担当の下での、低い個人業績率(20年、21年)、低水準の賃上げ(21年)について、団体交渉を通じ納得のいく理由の説明と協議を会社に求めています。現在、引き続き協議中です。

I担当のBさんへのパワハラ

 Bさんは2020年に定年退職した、名古屋事業所のベテラン社員で、Bさんの所属長はI担当でした。
 ◆事例3◆Bさんが19年3月にI担当の組織に異動すると、I担当は、18年度のBさんのチェックポイント評価において、嘘をついたり、上司の主観による不合理な評価基準を後付けするなどして低評価理由を作り上げ、悪意を持ってBさんを低評価に陥れました。その上で、その低評価を理由に業務改善と称してPIPを提示しました。
 このような状況下で、Bさんは適応障害のメンタル疾患を発症し、その診断書を提出して不適切な異動の取り消しを要求しました。それで異動に関してはようやく対応が行われ、異動前の組織に戻ることができました。
 I担当のBさんに対する低評価は、人事考課権限の濫用でありパワハラです。労働契約法第三条第五項にも違反します。このようにI担当は人事考課権限を正しく行使できず、部下の健康管理に対する責任意識と配慮が欠けた人物でした。

従業員代表選挙

組合推薦候補に投票を

 11月1日、従業員代表の選出が公示されました。労働基準法に従って36協定等の諸協定を従業員と締結するのが目的です。
 でも、ちょっとおかしいと思いませんか。普通の会社であれば、こうした諸協定の締結は労働組合と結ぶのが普通です。では、なぜ、わざわざ従業員代表の選出をするのでしょうか。
 日本IBM及びキンドリルジャパングループには、私たち日本アイビーエム支部という立派な労働組合があります。しかし、残念ながら労働基準法の要件を満たすための組合員数が足りていないのです。法の要件に合わせるためにわざわざ従業員代表の選出をしてその従業員代表と諸協定を締結するという手続きが必要になっているのです。

おかしな候補者

 今まではあまり従業員代表選挙について気にしていなかった人も多いと思います。ですが、ちょっと考えてみてください。立候補者の推薦人についてです。ラインマネジャーの名前が推薦人欄に列記されている候補者がいるのではないでしょうか。
 これはおかしいと思いませんか。従業員の代表になる人が、ラインマネジャーすなわち会社側の人から推薦されているのですから。従業員に不利な協定であってもラインマネジャーの言いなりになって締結してしまうのは目に見えているのではないでしょうか。

普通の労使関係に

 本来であれば、法的要件を満たす人数の皆さんが労働組合に加入し、労働組合として会社と協定を結ぶのが普通の姿です。
 現状では労働組合から立候補せざるを得ません。ぜひ、組合推薦候補者に投票をお願いします。そして、あなたも労働組合に加入し、普通の労使関係にしていきましょう。

秋闘2次要求提出

実質賃下げをやめよ

 かいな2391号でお知らせした秋闘1次要求に続き、10月20日に秋闘2次要求を日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出しました。
 秋闘2次要求は1次要求から継続する重点要求に加え、人事制度の改善やパワハラを無くす要求など、職場のあらゆる労働条件の改善を求める全15章32ページからなる要求文書です。回答指定日は11月4日です。以下に関心の高い要求のいくつかをご紹介します。

実質賃下げをやめよ

 まずは、コロナ禍でがんばっている従業員に報いる要求です。10月の感染状況は改善しましたが、世界の状況を見ていると第6波が懸念されます。
 コロナ禍での在宅勤務手当は従業員の当然の要求であり、在宅勤務手当が支払われていない現状では、自宅での業務にかかる水道光熱費分がそのまま実質的な賃下げとなっています。
 厚生労働省はこの点について「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を発表しており、その「4ー(2) テレワークに要する費用負担の取扱い」において、「テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない」とガイドし、さらに、労使で十分に話し合うようにガイドしています。
 ところが、現在の日本IBMとキンドリルジャパンの現状はどうでしょうか。会社が一方的に負担を社員に押し付けているだけで、十分な話し合いもできていないのではないでしょうか。そこで組合は厚生労働省のガイドラインに対する会社の見解を回答することを要求しました。
 在宅勤務手当の実現に向けては、この要求に加え、全従業員の強い思いが必要です。4面のハンマー記事にあるような力強い交渉のため、今この記事を読んでいるあなたも参加しましょう。

業務実態を把握せよ

 感染爆発の最中にも出勤もしくは外出せざるを得ない従業員が依然として存在し、リスクにさらされていることを組合は1次要求で指摘し、それに対する補償をすることを要求しました。
 ところが、会社は社員が危険にさらされることはないと断言し「適宜適切に衛生管理など社員の働く環境を継続的に整備」しており要求に応じる考えは無いと回答しました。
 実際のみなさんのプロジェクト・ルーム環境はどうでしょうか。また、契約処理のため本社に出てこなくてはならないことはないでしょうか。
 組合は一例としてTSS部門の修理業務でのお客様個人宅訪問の現状を指摘し、感染爆発の最中に、あろうことか、ホテルに隔離中の人の機械修理を防護服も無くさせられていた事実があったことを指摘しました。
 組合は改めて感染の危険がある業務を点検し実態を把握することを要求するとともに、従業員が出勤もしくは外出によって新型コロナウィルスに感染した場合は、当該従業員が感染前の健康状態に戻るまでに、本人とその家族が自己負担した隔離、自宅待機、入院、検査、治療などの一切の費用(公費負担分を除く)を会社が補償することを要求しました。

賃上げと賞与の要求

 賃上げ見送りの発表に対し、組合は就業規則違反だとして賃上げ日の再設定を求めています。秋闘2次要求では、さらに具体的な要求として12月までの期日を設定することを要求しました。
 また、年末ボーナスについては、このままでは夏ボーナスと同じ会社業績達成度37が適用されてしまい、IT企業として大変恥ずかしい支給水準となってしまいます。改めて会社業績達成度の具体的説明を要求しました。

 

秋闘2次要求の紹介 その2

 

 1面に続き秋闘2次要求から主要な要求を以下にご紹介します。

デリバリー部門の働き方改善の要求

 以前よりGBS部門やGTS部門(うちIS部門は現キンドリルジャパン)では、異常に高額な要員単価が原因の無理な要員計画(要員不足)のため、従業員は長時間労働と、コスト予算遵守のプレッシャーという、二律背反の非人間的な働き方を強いられてきました。
 そのため組合は、デリバリー部門の働き方改善を、過去に繰り返し要求してきました。
 これに対して会社は、要員単価が異常に高額であるという見解は持ってていない、要員単価が異常に高額である、それによって要員計画に無理が生じていることを前提とした貴組合の独自の見解、断定に基づく要求に応じる考えは無い、という回答を繰り返してきました。
 しかし、この要求は、長時間労働による従業員の健康被害、従業員側に原因の無い低評価、Time@IBM過少申告によるコストの過少計上、長時間労働の隠ぺい、を防止するために依然として重要ですので、今回の秋闘でも以下を要求しています。
1.無理な要員計画の原因となっている異常に高額な要員単価を是正することを要求します。
2.無理な要員計画での案件受注がないよう、会社が責任をもって受注前のレビュー体制を確立することを要求します。
3.プロジェクトが始まった後、要員の増強が必要になった時、会社が責任をもって要員を増強することを要求します。

従業員代表選挙についての要求

 賃下げを可能にする格付規程の改悪をはじめとする、会社がこれまで会社都合を反映し実施してきた諸制度の変更は、従業員代表の同意を得て実施されてきました。
 そして、この従業員代表を選出する従業員代表選挙では、推薦人の問題点として、組合非推薦候補の推薦人に、立候補者の直系ラインマネジャー(立候補者の所属長または上長)、または、立候補者の所属部門内の傍系ラインマネジャーがなっているケース(下図参照)が、昨年を含め過去に多数ありました。
 そもそも、立候補者の推薦人になるということは、当該立候補者の当選を要望しているという意思表示ですので、ラインマネジャーが推薦人となっている場合は会社による組織ぐるみの立候補者と考えられます。これは「厚生労働省労働基準局長2018年基発0907第1号」の「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」に違反する可能性があります。
 かいな2377号2面では、昨年の従業員代表選挙における推薦人、選挙結果開示、候補者公示順序の問題点を指摘しましたが、これらを含め従業員代表選挙についての問題点を解決するため、今回の秋闘では以下を要求しています。
1.就業規則を変更する場合は、2011年までのようにその都度従業員代表選挙を行うこと。
2.立候補者の推薦人になることができる人の要件をルールとして定め、明示することを要求します。但し、ラインマネジャーは使用者であるため、推薦人にふさわしくないことを指摘しておきます。
3.前年のブロック代表を選挙コーディネーターとするのではなく、利害関係の無い公正な選挙運営のため、コーディネーターの選出ルールを定め、明示することを要求します。
4.現在の不透明なブロック代表間互選を改め、互選の方法、互選結果のブロック代表全員への開示を含め、ブロック代表間互選のルールを定め、明示することを要求します。
5.立候補者公示文書、立候補者公示の電子媒体、および、電子投票画面において、立候補者を立候補受付順に上から掲載し、立候補受付日時を表記するルールを定め、明示することを要求します。
6.衛生委員の選出ルールを定め、明示することを要求します。

9月1日付賃上げにつき代替案示し就業規則守れ

 日本IBMグループ、キンドリルジャパングループ、共に同じ就業規則が適用されるため、年次の賃上げは9月1日付です。ところが、前日の8月31日の土壇場になって「現在のIBMのビジネス環境等を考慮し、実施を見送る」と会社が発表した件について、組合は秋闘一次要求で当該発表の撤回を求め、その回答日である9月29日に団体交渉を行いました。以下にその内容をご紹介します。

誠実に説明せよ

組合 回答では「IBMグループのビジネス環境等を考慮した結果、実施を見送っております」とのことだが、もう少し具体的な説明が欲しい。
会社 昨年はこうでした、今年の1Hはやりました、9月1日付の就業規則は認識しているが、コロナ禍も続いていて不透明なビジネス環境であり、9月1日付で色々なことが起きている。しかしながら社員へはちゃんとコンペンセーションしていきますよ、ということだ。
 ビジネス環境のところを具体的に説明してほしい。
 ビジネスも、お客様の状況はコロナで苦しいだろうし、IBMとしても成長という意味ではアウトスタンディングというかそういう状況でもない。キンドリルもあるだろうし、そういう様々なものを包括してという意味だ。
 2020年度の業績は悪くなかった。昇給を実施する原資はあると思う。まったく出せない状況とは違い、金庫にはお金はあると思う。
 金庫が空だからやりませんなどとは言っていない。
 ルールを持っているのではないのか。
 昇給に関しては利益何%以上ならというルールは無い。
 日本IBMの給与の競争力が下がっている。他社では去年の春闘は消費税が2%上がったこともあり、空前の賃上げブームだった。それに対し、日本IBMはその年の9月にやらなかった。今年の5月に遅れてやったからやっと周回遅れで追いついた。この9月にやらなかったら、競争力はますます下がる。
 5月にかなりリワードできているので、9月は見直そうという判断だ。

就業規則を守れ

 就業規則違反にならないのか、考えなかったのか。
 就業規則違反ではないと社員には説明している。
 ビジネス環境が不透明なのでやりません、と言えばそれで済むと思っているのか。
 きわめて異例、特異な例だ。コロナがこんなに長引くとは思っていなかった。一種の特別な判断だ。簡単にそう決めたわけでもないし、本当に真剣に考えた結果で、極めて特異な例だ。
 特異な例として社員に説明を尽くすべきだ。
 誠意の受け止め方は人それぞれだ。これが会社の精いっぱいの説明だ。
 9月は見合わせたが、給与調整を遅らせて実施する可能性はあるのか。
 来年の9月までお預けか、ということについてはまだわからない。簡単に9月の昇給を経営判断でやめよう、ということではない。
 持ち帰って、いついつには賃上げを予定しますと、代替案を持ってきてもらわないといけない。それが最低の誠実さだと思う。
 例えば12月1日昇給とか約束はできないが、9月1日にできなかったことについて重く受け止めて、代替案のようなものを模索できるか持ち帰りたいと思う。
 就業規則というルールを、労働法の中でどう位置付けられているのか、法の中の観点で検討してほしい。
 検討を持ち帰りたいと思う。

在宅勤務手当未だ支給せず

 元々、報酬に含まれていた? それは無茶すぎる!

 会社は、組合のこれまでの度重なる要求に応じず、在宅勤務手当を未だに支給していません。
 組合は、在宅勤務手当について9月29日の団体交渉で協議し、会社が命じている在宅勤務の必要経費である在宅勤務手当は、ペイ・フォー・パフォーマンスの範囲外だと主張しました。これに対し会社は、報酬は社員のパフォーマンスに対して支払っているので一律の手当は支払わない、報酬は光熱費も含めた報酬だ、と主張し、平行線でした。
 従業員の皆さん、こういう会社では組合にぜひご加入ください。以下に協議内容をご紹介します。

在宅勤務手当についての協議

組合 在宅勤務手当についてコロナ禍の間ずっと要求している。「ご要求に応じる考えはない」とのことだが、もう少し詳細を説明してほしい。コロナ禍の影響は大きい。組合サイトへも要望が多い。一番何がネックになっているのか?
会社 会社はこのような状況下でみんな同じ環境下におりサポートが必要なことはわかっている。しかし一律光熱費いくらといった考えには至っていない。コロナの前から38万人中、約4割がオフィスに通勤していない。そういう人に出していない。欧米的には。グローバルな会社なので、一律支給するという考えはない。欧米では在宅で手当は出していない。日本だけ支給するのも難しい話だ。報酬は社員のパフォーマンスに対して支払いをしている。これが根底だ。
 IBMの払い方にそういう考え方があると。
 貢献度が高い人には昇給したり昇進していただき、賄っていただく発想はある。個人に委ねている。昔は寒冷地手当とか、そういった手当を支給していた。それらをなくしてきたような会社だ。「ペイ・フォー・パフォーマンス、ペイ・フォー・ジョブ、ペイ・ディファレンシェイション、以上」みたいな感じだ。光熱費を一律払うという発想にはなっていない。
 光熱費は社員の能力に関わらず発生している。業務に必要な経費を会社が負担するという考えはアメリカにはないのか?
 私もアメリカで働いたことはない。光熱費も含めた報酬だ。
 でも検証を細かくやる事務的コストを考えれば、例えば月いくら一日いくらというような、会社として妥当な金額を算定して支払う方法もある。
 そこまで考えが積みあがっていかないのだ。コロナは不可抗力の環境かもしれないが。
 それは社員側だって不可抗力だ。
 誰が在宅を強いているかだ。
 そういう場合に歩み寄りの余地が全くないところに違和感を覚える。
 そこは会社のキャラクターと思っていただくしかない。特性。とはいえ、経営陣、グローバルにも掛け合っている。検討中だ。
 グローバルに掛け合った時の反応とは、どういったものか。
 昨年頃はいつまで続くのかという反応だった。長くなってきたので、これは負担すべきかどうか考えは変わる可能性もあるが、基本的なポリシーは変わらない。
 日本という意味では厚労省からも一定の毎月の手当を支払うことが望ましいと言っている。世の中そういう流れだ。全社員一律支給すべきだ。在宅勤務のデメリットの部分、つまり会社に来ていれば無かったはずの支出を補填してもらわないと、毎月賃金を減額されているのといっしょなんですよ。
 ネットするとね。そうお感じになる方もいるだろう。
 今回は、多くの会社が制度を新設している。社員のモチベーションをあげている。
 それは各社のご判断だ。IBMはビフォー・コロナからパフォーマンス中心の考えだ。報酬の中で報いていこうと。例えば業績の良い人にだけ光熱費を払うなんてことはやっていなかった。
 そういう意味ではない。ペイ・フォー・パフォーマンスの範囲外だと言っている。会社にはペイ・フォー・パフォーマンスと同時にペイ・コンペティティブネスという考えもある。そうすると他社と比較してIBMでは在宅勤務手当が出ないからその部分では落ちるね、という判断がされかねないなと。
 もしキャリア採用の人に「なにこの会社、在宅手当ないの?じゃあ辞めた」という人がたくさん出てきたら、会社は危機感を感じると思いますよ。中途入社の方たちが何に魅力を感じて入社するか。ペイ、働き甲斐、キャリア、色々あると思うが、その中に光熱費があるとは考えていない。それがペイ・コンペティティブネス。ここで長く時間を使うべきではない。継続的に検討する。
 そこが本質なのか。在宅手当がなくて会社を辞める人が多ければ会社も考えるとは、組合が多数派の組合でそう考える人が多数だったら支給を検討するということか?
 すべての要素って、そうなんですよ、処遇は。

 

パワハラ低評価・パワハラPIP

研修で正当化する会社

 組合はかねてより、日本IBMグループの労務政策の特徴である「ラインによる人事管理」はパワハラの温床になることを指摘してきました。昇給額や人事異動など、普通の会社であれば人事部門が行うことを全てラインマネジャーが決定する仕組みは、所属長が部下の生殺与奪権を持ち絶対的な支配力を持つため、パワハラの温床になるのです。
 実際、パワハラ4点セットと言われる、①パワハラ低評価、②パワハラPIP(業績改善プログラム)、③パワハラ賃下げ、④パワハラ降格は、すべて所属長の一存で行われます。
 一方で、パワハラ防止法が昨年6月から大企業で施行されましたが、会社が行ったことは、ハラスメント研修である「セクシャル・ハラスメント、報復、いじめの認識と予防」を通じてラインマネジャーにパワハラの免罪符を与えることでした。その内容について以下にお知らせします。

パワハラ低評価の問題

 セクシャル・ハラスメントの卒業テスト問題のひとつに次のようなものがあります。
問題 次のうち、性的に敵対する職場環境の原因となりうる行動の例ではないものはどれですか?
正解 マネジャーが、従業員のパフォーマンスに対してネガティブなフィードバックをする。
解説として「従業員にネガティブなフィードバックを与えることは、性的に敵対的な職場環境を助長するような行為ではありません」とあります。
これは、ラインマネジャーがセクシュアルハラスメントのための道具としてパワハラ低評価を使うことに免罪符を与えるものとなっています。

パワハラPIPの問題

 ハラスメントの卒業テスト問題のひとつを右下に掲載します。
 正解とされる回答は、「いいえ。正当な場合にPIPの対象とすることを含め、マネジャーはその職務を果たしているから」となっています。
 これは、ラインマネジャーがパワハラPIPを行うことに免罪符を与えるものとなっています。

本当の正解

 以下がこれまでの裁判所の判断に基づく正解です。
 「はい。これはパワハラです。日本の労働法では簡単に解雇することは許されません。退職という結果(つまり解雇)を示し、脅迫することは明確なパワハラです。マネジャーはあなたにわだかまりを持っており、決して到達することのできないマイルストーンを設定し、不合格になるように仕向け、あなたを退職に追い込むからです」

 

TSS部門の深い闇

旧態依然の働き方強要

 令和の時代を迎えても、未だに旧態依然とした働き方を強要している部門がTSSです。
 組織への忠誠を示す証しとしての「残業をつけないのは当たり前」という考え方の強要は、まさに「パワハラのデパート」と呼ぶにふさわしいTSSの負の部分を象徴しているかのようです。
 今回はこうしたTSSの闇をいくつかご紹介したいと思います。

典型的パワハラ

 TSS部門マルチベンダーのT担当は、まだ転属したばかりで仕事を覚えている最中の2名の部下、AさんとBさんに対し、週ごとの進捗会議にて「仕事が遅い」「間違いが多い」等の詰問を繰り返していました。
 T担当のAさんに対する責め言葉の酷さに見かねたBさんが、「まだ仕事を完全に覚えきれていないので、処理に時間は掛かりますし、間違いも起ります。出来ないことを責めるのではなく、『もっとこうすれば効率よく出来るよ』とか、『もっとここを参照した方がいいよ』等のアドバイスを貰える建設的な会議にして欲しい」と言いました。
 そうしたところ、T担当は次の回からAさん、Bさんを別々に分けて進捗会議を行うようになりました。その後、Aさんは徐々に体調を崩していき、心配したBさんが「例の会議でT担当から酷いことを言われてませんか?」と尋ねたところ、「言われてます・・」との返答。現在、Aさんはさらに体調を悪くし、休職されています。

報復のパワハラも

 さらにこのT担当はBさんに対し、1通が2画面から3画面もスクロールしないと読めない長文のメールを毎日のように送り付け、必ず「何故このような処理をしたのか理由を説明してください」と、返信を要求してきます。このため、毎日業務が遅延し、所定時間内に業務が終了しない状況です。にもかかわらず、「所定時間内で勤務が終わらなかった理由を説明してください」「時間内に対応できる案件しかアサインしていないのに、毎日、時間外勤務されています」等、残業を躊躇させるようなメールを送り、「所定時間内に仕事が終わらないように仕向けながら、残業を付けさせない」という陰湿極まりないハラスメントを行っています。
 Bさんが「これはパワハラですよ」と言うと、「業務改善が目的なのでこれはパワハラにはあたりません」との返答で、自分がパワハラをしていながら、業務改善目的であると強弁しています。
 昨年6月にパワハラ防止法が施行された今、業務目的の名のもとに行われるパワハラは厳に慎まれるべきです。本当に改善を要するのは、このT担当の方ではないでしょうか。

虚偽申告の強要

 大宮西事業所では、ラインからWorkday入力時に、残業などの時間を6分単位で入力するよう強要するメールが毎月送られてきます。
 この指示のため、大宮西事業所では入力時間が6分単位になるよう、実際には忖度して6分未満を切り捨ててWorkdayに入力する従業員がいました。
 本来、労働時間は1分単位で入力するのが原則です。部下に労働時間を6分単位で入力強要することは、上司による時間外労働時間の「改ざん」指示であり、明らかな違法行為です。
 また、労働者の労働時間の適性な申請を阻害しないよう定めた厚生労働省のガイドにも違反しています。

Badge取得の強要

 TSSでは四半期に1つ以上のCredential取得が目標になっています。(年4つ以上)特にCEはTSS独自のTSS Badgeを2つ以上含めるようガイドされていますが、IBM製品のTSS Badgeは、コースによって136時間から280時間以上もの学習時間が必要です。
 CEは勤務時間内はお客様対応に追われているため、業務終了後や休日にコースを受講するしかありません。しかし、TSSでは、業務指示であっても、勤務時間外のコース受講にかかった時間は暗黙の了解で残業をつけられない風土になっています。
 その結果、12時間から39時間ほどで取得できるマルチベンダー製品のBadge取得コースに偏ってしまい、「スキルを習得する」という本来の目的を見失い、「短時間で認定されるBadgeを取得する」ことを目的とした受講実態になっています。
 このようなTSS部門の教育実態は、現場CEの著しいスキル低下を招いています。
  ・ ・ ・ ・
 以上のような労務管理上の問題やハラスメントが堂々とまかり通っているのがTSSという組織の実態です。パフォーマンスも重要ですが、「人の心まで蝕んで良い」という理由にはなりません。
 似たようなお話がありましたら、ぜひ組合までお寄せください。

 

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