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従業員代表選挙 会社のYESマンの従業員代表に要注意!

 今年の従業員代表選挙では、組合推薦候補は、左表の通り得票率で善戦し、日本IBM本社第4ブロックで当選させて頂くことができました。従業員の皆様の組合推薦候補へのご支持に御礼申し上げます。
 一方で、今回の選挙でも、日本IBM、キンドリルジャパン(以下、KJ)において、ラインマネジャーが推薦人である候補者が従業員代表に選ばれています。

会社のYESマンが従業員代表になることの恐ろしさ

 会社がこれまで会社都合を反映し実施してきた諸制度の変更で明らかなように、会社のYESマンの従業員代表は、労働条件の不利益変更が含まれていても会社が提示する制度変更提案に同意してしまいますので、その不利益は当該事業所の全従業員に及びます。
 実際に行われた労働条件の不利益変更の象徴が、賃下げを可能にする格付規程の改悪です。この時も会社は、会社のYESマンの従業員代表の同意を得て、組合との協議も十分に行わずに格付規程の改悪を強行しました。この結果が、会社がパワハラ4点セットを使って行ってきた人員削減と人件費削減なのです。

推薦人の問題点

 そもそも、ラインマネジャーは使用者であるため、推薦人にふさわしくありませんが、今回の選挙でも、1年前にかいな2377号で報じた推薦人の問題点が依然として残り、ラインマネジャーが推薦人である候補者が多数当選しています。

不正行為の情報提供を

 今回の日本IBMグループ、KJグループの従業員代表選挙で、ラインマネジャーからの立候補依頼、特定候補者への投票依頼などにあわれた従業員の方は、是非、組合トップページ(JMITUIBMで検索) の上部にある「従業員代表選挙不正行為通報」ボタンを押して、情報をご提供下さい。

組合推薦候補へのご支持を

 組合推薦候補は、労使対等原則(労働基準法第二条第一項)の立場に立ち、従業員代表に選ばれれば、労働条件の維持はもちろん向上を図ります。会社提示の制度変更提案には改善を求めます。
今後とも従業員代表選挙では、組合推薦候補を是非ご支持下さい。

全労連共済学校分校の巻

 「かいな」に掲載される全労連共済の記事も今号で第3回を迎えます。かいなをご愛読なさっている皆様には、全労連共済という名前もお馴染みになりましたでしょうか。
 12月といえば師走。筆者は一昔前、事業部長と所属長に「なぜ師走というのか知っているか?」などとニコニコしながら聞かれ、やりとりをしたことが懐かしく思い出されます。その師走。共済では、12月01日から22日までを共済拡大週間に設定しており、組合員を中心とした多くの皆さんに、共済とは何かを知っていただく期間としています。

学び舎・共済学校

 12月は年末とあって慌ただしい日々を過ごすことも多いと思いますが、筆者は週末に「共済学校」と呼ばれる、全労連共済主催の講義が開催されましたので、参加してきました。ここではテキストと共済パンフレットが配布され、共済とは何かを学びました。そこで学んだことを振り返りながら「かいな」の紙面をお借りして、皆様へもお裾分けしたいと思います。

共済の素敵なモットー

 全労連共済とは「小さな掛金」で「大きな保障」をモットーとする非営利の団体で、日本全国に45もの共済会が存在します。各産業別の労働組合が運営している共済と助けあう機能を持っている、つまり、助け合いで成り立っている組織です。日本アイビーエム支部も全労連共済に加入しているので、当支部を通して従業員の皆さん(キンドリルジャパンやグループ会社等含む)も加入いただけます。

便利!セット共済

 全労連共済には、大きく3つの種類がありますが、今回は個人で加入する、個人加入共済の中からセット共済をご紹介します。
 セット共済とは、数ある共済の中からおススメの組み合わせをパッケージ化したものです。
 例えば20代30代では結婚や住宅の購入を考え、お子様のいらっしゃる40代ご家庭では進学に関わる教育費について考え、50~60代では、病気などのリスクに備えたり、老後の資金についてお考えになることもあるでしょう。
 そんな時あれこれと路頭に迷わないよう、生命・医療・交通災害共済をセットとしてまとめ、さらにご家族の年齢や構成に合わせて検討いただける、A~Eまで5つのコースが用意されています。手ごろな掛け金で加入できる個人共済があらかじめセットになっているのが特徴です。

セット共済の内容

Aコース
 特に24歳までの新入組合員におすすめの内容で、生命10口、医療6口、交通2口の組み合わせです。24歳までなら月々900円の掛け金で、病気入院で日額3000円の支給、不慮の事故による入院では同4000円、安静休業では同1500円が支給されます。

Bコース
 64歳までの単身者におススメです。医療10口、交通2口の組み合わせです。月々1100円の掛け金で、病気による入院で日額5000円の支給。そのほかも充実の補償内容となっています。

Cコース
 25~39歳まで働き盛りの幅広い世代の方におススメの内容で、生命20口、医療10口、交通2口の組み合わせになっています。

Dコース
 4歳以上のお子様がいらっしゃるご家庭向けで、生命50口、医療10口、交通1口のセットです。

Eコース
 生命100口、医療20口、交通2口で、成長したお子様のいらっしゃるご家庭向けの内容となっています。

この冬に火災共済

 今冬も空気が乾燥し始め、ニュースでも火事の話題を耳にすることが多くなってきました。そこでおススメなのが、火災共済です。ご自宅の構造にあわせ、木造か鉄筋の選択が可能です。自己所有か賃貸の選択もできるほか、賃貸については貸している側も借りている側も対象になるのが嬉しいですね。
 建物の保障だけでなく、家財も保障の対象となっており、なんと家財だけの加入も可能であるため、すでに火災保険を契約されている方も、別途、ご契約いただけます。

広い火災保障範囲

 火災共済の保障範囲としては、火災はもちろんのこと、もし消防作業で自宅が冠水してしまった場合や、落雷、破裂・爆発、他人の住居からの水漏れ被害など多岐に渡ります。
 豪雨、台風や突風、大雪、家屋の風水害被害もカバーしますので昨今は年中不安定である天候にも備えることができます。
 一部損壊、床上浸水、半壊、大規模半壊、全壊や流失も保障されます。

お問い合わせは

 ここでは説明しきれなかった部分を知りたい方やご興味をお持ちになった方は、是非とも組合までお問い合わせください。

副主任手当を制限

日本IBMが不利益変更提案

 日本IBMでは従業員代表に対して来年1月1日から適用される就業規則改定案が提案されています。この中から以下に重要な改定案について詳しく解説します。
 私たち従業員の将来がかかっています。従業員代表がどのような対応をするか、注目しましょう。キンドリルジャパンでは現時点でこれらの提案はされていませんが、今後は要注意です。

副主任手当を制限

 日本IBMの職位は「バンド」と呼ばれます。大卒新入社員が6ヶ月の新入社員研修を終えて試用期間を卒業するとバンド6になります。その後スキルが上がるにつれて、バンド7、8、9と職位が上がっていきます。
 ところで、バンド6にあたる職位の人は過去に「副主任」と呼ばれていました。それで、バンド6になると「副主任手当」として月額4万1千円が付与されます。これは大きな手当です。一気に年収が五十万円近く上がるわけですから、がんばって6ヶ月間の厳しい新入社員研修を卒業する甲斐があるというものです。
 ところが、今般会社が提案しているのは「会社が定めるスキル及び基準を満たすまでのバンド6の学校新卒業者については副主任手当を支給しない」というものです。
 これでは、そもそも何のために厳しい新入社員研修を耐え抜いたのか、分からなくなります。これをクリアしても次のステージの試練が待ち構えているというのでしょうか。これこそ、労働基準法で禁じている労働条件の不利益変更と言えるのではないでしょうか。

会社の説明

 労働組合として団体交渉で協議したところ、会社の説明は次のようなものでした。
1.副主任手当はもともと残業代の先払いの要素があった。残業すれば同じことになる。
2.この条件が適用されるのは限られた職種の人だけである。
 現在、副主任手当が出ている人が残業した場合、その額を上回る分の残業をしないと残業代は出ません。しかし、言い換えれば、残業しなくても副主任手当はもらえるわけですから大きな不利益変更と言わざるを得ません。

将来の拡大不安

 そもそも、この変更提案にはこれが適用される職種が限定されることが明記されていません。このままでは会社がフリーハンドでこの条件を適用する職種を決めることができてしまい、職種・新入社員に限らず拡大適用される恐れがあります。
 さらに問題なのは「会社が定めるスキル及び基準」が明確になっていない点です。これでは、会社がフリーハンドで基準をどんどん厳しくすることができます。この点についても文書による基準の明確化が必要です。

JMITU冬ボーナス回答

日本IBMはついに圏外

 日本IBM、キンドリルジャパンでは、ボーナスの年間支給額がご存知の計算式で決定されるため、賃上げ日が5月1日だった今年の冬ボーナスの全社推定平均支給額(会社本体バンド7以下一般職平均)は、夏ボーナス時と同額の77万6千円、昨年より2万4千円ダウンになります。
 一方、この1年のコロナ禍による景気後退の影響で一般に今年の冬ボーナスの水準が不安視される中、製造業、情報通信産業を主体とするJMITUでは、今年冬は69支部・分会で昨年冬を上回る回答を引き出しています。これは、かいな2376号で1年前に報じた17支部・分会を大幅に上回っており、大健闘です。
 左表はJMITU主要各社(上位15社)の冬ボーナス回答速報です。これら上位15社の支部の中には、交渉の過程でストを実施した支部や3次回答まで引き出した支部もありますが、日本IBM、キンドリルジャパンの一般職平均の77万6千円は夏と同じで、すでに上位15社の圏外に去り、同業のNTTデータにも水を空けられています。
 さらに、パートタイム・有期雇用労働法の施行で社会的に注目されている定年後再雇用者へのボーナス支給もJMITU各社で進み、今年冬にも次々と回答を引き出しています。例えば、ボッシュ・レックスロス支部では2.5ヶ月、東洋精機支部では2.19ヶ月、アイエスビー支部では1.85ヶ月という正社員と同じ月数の回答を勝ち取っています。他にも、田辺鉄工所支部では40万円、河合連合支部では1.5ヶ月、日本アスコ支部では1ヶ月という回答を引き出しています。

組合要求が実現

シニア契約社員の労働条件が一部改善

 シニア契約社員に対しては以前から正社員との待遇差別が存在していますが、日本IBM、キンドリルジャパン双方から、シニア契約社員の労働条件を一部改善する以下の会社発表がありました。

①年次有給休暇を正社員と同様に最大29日付与(改善前は最大20日)
②正社員と同一の種類の特別休暇を有給で゛付与(改善前は無給)
③私傷病休職制度の利用(但し休職期間は無給。改善前は制度無し)

 これで①、②は組合が繰り返し要求してきた、シニア契約社員の労働条件見直しの一部が実現したことになります。
 一方で、③は組合要求の私傷病休職期間中に賃金を支払う制度ではなく、さらに、まだ月給17万円、賞与無し、リロクラブ等福利厚生の差別解消という課題が残っています。
 今回の会社発表の概要を以下にご紹介します。(会社発表の全文は社内向けイントラネット掲載のレターをご参照下さい)

有期雇用社員の休暇の取り扱いについて

2020年4月に施行された同一労働同一賃金の実現に向けた法改正に伴い、全ての有期雇用社員(臨時雇用者を除く)の年次有給休暇および特別有給休暇の取り扱いについて以下を決定しました。
◆年次有給休暇◆
・勤続年数に応じた日数(最大29日)を年初に付与する。
・勤続年数は初めてIBMグループ、または、キンドリルジャパングループに雇用されることになった日から起算し通算する。
◆特別休暇◆
同一の種類の特別休暇を有給で付与する。

正社員以外の私傷病休職

2021年1月1日より正社員以外の社員の方も私傷病休職制度を利用できるようになりました。
◆制度の概要◆
・シニア契約社員の病気欠勤期間は1ヶ月、病気休職期間は2ヶ月
・病気欠勤が出勤等により中断された後、再度病気欠勤(休職)した場合は、中断前後の欠勤(休職)期間を通算する。
・病気休職期間は無給

今回の会社発表の問題点

 今回の発表レターは、メールで対象者にのみ周知されましたが、会社の制度改定は全社員に知らされるべきものです。
 さらに、2020年4月1日のパートタイム・有期雇用労働法の施行から2年近く経過した時点での対応ではあまりにも遅すぎます。

日本IBM従業員代表選挙

就業規則改定案に驚きの内容

 日本IBMで2021年11月1日に公示された従業員代表選挙では、就業規則改定案が提示されています。この改定案に以下2つの驚きの内容が含まれていることが判明しました。組合代表であれば、これら2つの事案に対して注意深く対処することができます。

1.変形時間労働制が適用される40時間制事業所が設置されます
内容:
 週休3日制ですが、1日10時間の勤務を就業時間とする事業所が、豊洲、大宮、川崎、箕面事業所として設立され、7つのシフト勤務が組まれます。一番早いシフトは朝7:00からの勤務、一番遅いシフトは夜9:00からの勤務です。
 かなり過酷な労働になると思われますが、11月18日に組合が会社と行った団体交渉では、会社は来年1月1日に併合する別の会社の事業所に特化した専用の就業形態だと説明しました。
懸念点:
 就業規則案には4つの事業所名が記載してあるだけです。会社は他の事業所へ広げるつもりは無いと言っていますが、歯止めとなる文言が必要です。

2.バンド6の副主任手当の支給基準が変更されます
内容:
 会社が定めるスキル及び基準を満たすまでのバンド6の学校新卒業者については副主任手当を支給しないという制度改定案です。11月18日の団体交渉で、会社は特定の職種の人にだけ適用される基準だと説明しました。
懸念点:
 制度改定案には職種限定のことが書かれていません。この支給基準が適用される職種を限定する歯止めとなる文言が必要です。

 従業員の皆さん、組合代表であればこうして皆さんとコミュニケーションを取りながら会社と協議を進めることができます。是非とも組合推薦候補への投票をお願い致します。

以上

中部デリバリー部門の闇

パワハラのデパート中部支店

 かいな2392号2面「TSS部門の深い闇」では、組織への忠誠を示す証しとして「残業をつけないのは当たり前」という考え方を強要するなど、令和の時代を迎えても未だに旧態依然とした働き方を強要し、パワハラや労務管理上の問題が堂々とまかり通っている、TSSという組織の実態をご紹介しました。しかし、このような組織はTSSだけではありません。
 例えば、今年9月にキンドリルジャパンに移籍した中部西日本製造サービスデリバリーに属する「中部デリバリー部門」(複数組織の総称)でも、若手からベテランまで幅広い世代の社員に対するパワハラが横行しています。TSS部門が「パワハラのデパート本店」ならば、中部デリバリー部門は「パワハラのデパート中部支店」と言ったところです。
 今回は中部デリバリー部門のT担当とI担当のパワハラの事例を「中部デリバリー部門の闇」としてご紹介します。

T担当のAさんへのパワハラ

 Aさんは名古屋事業所の若手社員で、Aさんの所属長は中部第一サービスデリバリーのT担当です 。
 ◆事例1◆Aさんは、2019年9月9日に、あるお客様の拠点NW機器更改作業を実施しましたが、作業後に当該NW機器で障害が発生し、お客様業務が停止しました。この障害の原因は、当該NW機器の設定が、正しくは他の拠点と異なる設定であるところ、誤って他の拠点と同じ設定になっていたためでした。
 ところが、驚くべきことに、この誤った設定を定義し、障害の原因を作ったのはT担当だったのです。さらに、そもそも会社の作業管理体制には次のような不備がありました。①本部でのリモート確認および現地作業員との連絡を全てAさん1名(ワンオペ)でカバーさせたために、トラブル発生時に1名で全てをカバーすることは困難であったこと、②NW機器の設定の事前検証体制が未整備だったこと、です。
 このように当該NW機器にT担当が定義した誤った設定が潜在していて、さらに当該作業の管理責任がT担当にあるにもかかわらず、T担当はAさんに始末書を書かせ、作業管理体制の不備の責任を全てAさんに転嫁しました。また、始末書のお客様への提出を急がせられ、Aさんは始末書の作成を翌9月10日未明まで、修正を9月11日早朝まで強いられました。
 以上のようなT担当の一方的で行き過ぎた対応はパワハラです。
 ◆事例2◆T担当は、20年5月にAさんと面談を行い、文書も示さず口頭だけでPIPの実施理由を声高に威圧する態度で述べ立て、PIPをするからサインしろと迫リました。結局、この面談でT担当が行ったことは、口頭だけでAさんの欠点を挙げ連ね、減給・降格を含む労働条件の不利益変更を示唆する、脅迫とも取れるPIPについての説明書を提示しただけであり、PIPを実施しなければならない具体的な理由についてAさんが納得できる形での文書による丁寧な説明は行いませんでした。
 PIPを提示された当時、Aさんは31歳の若手社員です。若手人材の育成には、減給や降格もあるぞ、と脅しながら欠点を挙げ連ねて矯正することではなく、所属長との信頼関係を作った上で長所を伸ばすことが必要ではないでしょうか。
 ところがT担当は欠点ばかりを挙げて信頼関係を作らず「若い人材を潰す」指導を行なっていると見受けられます。また、そもそもT担当のように所属長が部下に声高に威圧する態度で臨む面談はパワハラです。
 ・ ・ ・ ・
 Aさんは、PIP提示後まもなく組合に加入し、以上のようなパワハラを行なってきたT担当の下での、低い個人業績率(20年、21年)、低水準の賃上げ(21年)について、団体交渉を通じ納得のいく理由の説明と協議を会社に求めています。現在、引き続き協議中です。

I担当のBさんへのパワハラ

 Bさんは2020年に定年退職した、名古屋事業所のベテラン社員で、Bさんの所属長はI担当でした。
 ◆事例3◆Bさんが19年3月にI担当の組織に異動すると、I担当は、18年度のBさんのチェックポイント評価において、嘘をついたり、上司の主観による不合理な評価基準を後付けするなどして低評価理由を作り上げ、悪意を持ってBさんを低評価に陥れました。その上で、その低評価を理由に業務改善と称してPIPを提示しました。
 このような状況下で、Bさんは適応障害のメンタル疾患を発症し、その診断書を提出して不適切な異動の取り消しを要求しました。それで異動に関してはようやく対応が行われ、異動前の組織に戻ることができました。
 I担当のBさんに対する低評価は、人事考課権限の濫用でありパワハラです。労働契約法第三条第五項にも違反します。このようにI担当は人事考課権限を正しく行使できず、部下の健康管理に対する責任意識と配慮が欠けた人物でした。

従業員代表選挙

組合推薦候補に投票を

 11月1日、従業員代表の選出が公示されました。労働基準法に従って36協定等の諸協定を従業員と締結するのが目的です。
 でも、ちょっとおかしいと思いませんか。普通の会社であれば、こうした諸協定の締結は労働組合と結ぶのが普通です。では、なぜ、わざわざ従業員代表の選出をするのでしょうか。
 日本IBM及びキンドリルジャパングループには、私たち日本アイビーエム支部という立派な労働組合があります。しかし、残念ながら労働基準法の要件を満たすための組合員数が足りていないのです。法の要件に合わせるためにわざわざ従業員代表の選出をしてその従業員代表と諸協定を締結するという手続きが必要になっているのです。

おかしな候補者

 今まではあまり従業員代表選挙について気にしていなかった人も多いと思います。ですが、ちょっと考えてみてください。立候補者の推薦人についてです。ラインマネジャーの名前が推薦人欄に列記されている候補者がいるのではないでしょうか。
 これはおかしいと思いませんか。従業員の代表になる人が、ラインマネジャーすなわち会社側の人から推薦されているのですから。従業員に不利な協定であってもラインマネジャーの言いなりになって締結してしまうのは目に見えているのではないでしょうか。

普通の労使関係に

 本来であれば、法的要件を満たす人数の皆さんが労働組合に加入し、労働組合として会社と協定を結ぶのが普通の姿です。
 現状では労働組合から立候補せざるを得ません。ぜひ、組合推薦候補者に投票をお願いします。そして、あなたも労働組合に加入し、普通の労使関係にしていきましょう。

秋闘2次要求提出

実質賃下げをやめよ

 かいな2391号でお知らせした秋闘1次要求に続き、10月20日に秋闘2次要求を日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出しました。
 秋闘2次要求は1次要求から継続する重点要求に加え、人事制度の改善やパワハラを無くす要求など、職場のあらゆる労働条件の改善を求める全15章32ページからなる要求文書です。回答指定日は11月4日です。以下に関心の高い要求のいくつかをご紹介します。

実質賃下げをやめよ

 まずは、コロナ禍でがんばっている従業員に報いる要求です。10月の感染状況は改善しましたが、世界の状況を見ていると第6波が懸念されます。
 コロナ禍での在宅勤務手当は従業員の当然の要求であり、在宅勤務手当が支払われていない現状では、自宅での業務にかかる水道光熱費分がそのまま実質的な賃下げとなっています。
 厚生労働省はこの点について「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を発表しており、その「4ー(2) テレワークに要する費用負担の取扱い」において、「テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない」とガイドし、さらに、労使で十分に話し合うようにガイドしています。
 ところが、現在の日本IBMとキンドリルジャパンの現状はどうでしょうか。会社が一方的に負担を社員に押し付けているだけで、十分な話し合いもできていないのではないでしょうか。そこで組合は厚生労働省のガイドラインに対する会社の見解を回答することを要求しました。
 在宅勤務手当の実現に向けては、この要求に加え、全従業員の強い思いが必要です。4面のハンマー記事にあるような力強い交渉のため、今この記事を読んでいるあなたも参加しましょう。

業務実態を把握せよ

 感染爆発の最中にも出勤もしくは外出せざるを得ない従業員が依然として存在し、リスクにさらされていることを組合は1次要求で指摘し、それに対する補償をすることを要求しました。
 ところが、会社は社員が危険にさらされることはないと断言し「適宜適切に衛生管理など社員の働く環境を継続的に整備」しており要求に応じる考えは無いと回答しました。
 実際のみなさんのプロジェクト・ルーム環境はどうでしょうか。また、契約処理のため本社に出てこなくてはならないことはないでしょうか。
 組合は一例としてTSS部門の修理業務でのお客様個人宅訪問の現状を指摘し、感染爆発の最中に、あろうことか、ホテルに隔離中の人の機械修理を防護服も無くさせられていた事実があったことを指摘しました。
 組合は改めて感染の危険がある業務を点検し実態を把握することを要求するとともに、従業員が出勤もしくは外出によって新型コロナウィルスに感染した場合は、当該従業員が感染前の健康状態に戻るまでに、本人とその家族が自己負担した隔離、自宅待機、入院、検査、治療などの一切の費用(公費負担分を除く)を会社が補償することを要求しました。

賃上げと賞与の要求

 賃上げ見送りの発表に対し、組合は就業規則違反だとして賃上げ日の再設定を求めています。秋闘2次要求では、さらに具体的な要求として12月までの期日を設定することを要求しました。
 また、年末ボーナスについては、このままでは夏ボーナスと同じ会社業績達成度37が適用されてしまい、IT企業として大変恥ずかしい支給水準となってしまいます。改めて会社業績達成度の具体的説明を要求しました。

 

秋闘2次要求の紹介 その2

 

 1面に続き秋闘2次要求から主要な要求を以下にご紹介します。

デリバリー部門の働き方改善の要求

 以前よりGBS部門やGTS部門(うちIS部門は現キンドリルジャパン)では、異常に高額な要員単価が原因の無理な要員計画(要員不足)のため、従業員は長時間労働と、コスト予算遵守のプレッシャーという、二律背反の非人間的な働き方を強いられてきました。
 そのため組合は、デリバリー部門の働き方改善を、過去に繰り返し要求してきました。
 これに対して会社は、要員単価が異常に高額であるという見解は持ってていない、要員単価が異常に高額である、それによって要員計画に無理が生じていることを前提とした貴組合の独自の見解、断定に基づく要求に応じる考えは無い、という回答を繰り返してきました。
 しかし、この要求は、長時間労働による従業員の健康被害、従業員側に原因の無い低評価、Time@IBM過少申告によるコストの過少計上、長時間労働の隠ぺい、を防止するために依然として重要ですので、今回の秋闘でも以下を要求しています。
1.無理な要員計画の原因となっている異常に高額な要員単価を是正することを要求します。
2.無理な要員計画での案件受注がないよう、会社が責任をもって受注前のレビュー体制を確立することを要求します。
3.プロジェクトが始まった後、要員の増強が必要になった時、会社が責任をもって要員を増強することを要求します。

従業員代表選挙についての要求

 賃下げを可能にする格付規程の改悪をはじめとする、会社がこれまで会社都合を反映し実施してきた諸制度の変更は、従業員代表の同意を得て実施されてきました。
 そして、この従業員代表を選出する従業員代表選挙では、推薦人の問題点として、組合非推薦候補の推薦人に、立候補者の直系ラインマネジャー(立候補者の所属長または上長)、または、立候補者の所属部門内の傍系ラインマネジャーがなっているケース(下図参照)が、昨年を含め過去に多数ありました。
 そもそも、立候補者の推薦人になるということは、当該立候補者の当選を要望しているという意思表示ですので、ラインマネジャーが推薦人となっている場合は会社による組織ぐるみの立候補者と考えられます。これは「厚生労働省労働基準局長2018年基発0907第1号」の「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」に違反する可能性があります。
 かいな2377号2面では、昨年の従業員代表選挙における推薦人、選挙結果開示、候補者公示順序の問題点を指摘しましたが、これらを含め従業員代表選挙についての問題点を解決するため、今回の秋闘では以下を要求しています。
1.就業規則を変更する場合は、2011年までのようにその都度従業員代表選挙を行うこと。
2.立候補者の推薦人になることができる人の要件をルールとして定め、明示することを要求します。但し、ラインマネジャーは使用者であるため、推薦人にふさわしくないことを指摘しておきます。
3.前年のブロック代表を選挙コーディネーターとするのではなく、利害関係の無い公正な選挙運営のため、コーディネーターの選出ルールを定め、明示することを要求します。
4.現在の不透明なブロック代表間互選を改め、互選の方法、互選結果のブロック代表全員への開示を含め、ブロック代表間互選のルールを定め、明示することを要求します。
5.立候補者公示文書、立候補者公示の電子媒体、および、電子投票画面において、立候補者を立候補受付順に上から掲載し、立候補受付日時を表記するルールを定め、明示することを要求します。
6.衛生委員の選出ルールを定め、明示することを要求します。

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