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相談窓口

TSS部門の闇

いつまで続くお客様や社員の軽視

 CSPの導入ワールドワイドで障害管理システムがRCMSからCSPに切り替わり、日本でのサービス・インは2021年4月11日に行われました。
 CSP(Cognitive Support Platform)とは、これまでMCC(MultiVendor Competency Center)や技術員が行っていたお客様とのアポイント調整や部品オーダー、及び技術的なエスカレーションをRTS(リモート・テクニカル・サポート)にシフトし、技術員はお客様対応に専念するコンセプトで作られたシステムです。(下図)
 しかし、実際にはRTSは全製品での24時間運用がされておらず、CSP導入に伴いMCCが廃止されたため、現場技術員への負担が増加し過重労働になっています。更に、運用変更でTATが悪化し、お客様からのクレームも発生しています。

キンドリルへの転籍

 5月11日の団交で、会社はTSS/TSOLともISに関わる社員は対象になり得ると明言しました。TSOLの発表レターでは転籍を「参加」と表現し、TSSはレターすら出ていません。在宅勤務中に個別面談で通知されたら独りで悩まず組合にご相談ください。

キンドリルジャパン 不安の声が続々

 日本IBMのGTS・IS事業が分割されてできるキンドリルジャパン。すでに関係する従業員に通知され、現在は協議や意見聴取、あるいは個別同意についてのプロセスが進められています。
 関係している人が検討するにしても、会社が提供している情報があまりにも少なく、判断に困る場合も多いのではないでしょうか。そこで、これまでに組合に寄せられている声をいくつかご紹介させていただきます。

やっていけるのか不安

 前号で紹介されていたた通り、売上が落ちているので、資金面が心配です。売上が落ちれば利益も落ちるので、運用専門会社としてのデータセンターをきちんと作れるのか心配です。
 また、運用専門になるということは開発部隊が無くなるということです。ということは新しい製品を発売しなくなることを意味します。会社が言うようにマルチベンダーになるということなら、幅広いノウハウの開発と販売要員のスキルアップが必要で、そのための技術開発部門が無くてはなりません。ところが、そうした情報が一切出てこない点も不安です。

精神論では不安

 会社の説明はどれも精神論ばかりで具体的なビジネスケースなどが出てこない点が不安です。社内で何かするときは必ず「ビジネスケースはどうなっている」ということをしつこいほど聞かれます。これほどの大きな分割に際してビジネスケースを作っていないはずはありません。従業員の生活がかかっているのですから、きちんと明らかにして説明すべきです。

対象者の定義が不明

 本来、インフラストラクチャー・サービスという名称だけで関係者は決められないはずです。法的には「主従事労働者」の厳密な定義があるべきですが、現場では「あなたは対象者になりました」と、なし崩し的に人選が進んでいます。自分がなぜ対象者なのか釈然としないという声が上がっています。

キャリア形成が不安

 日本ではGTS部門は会社の中での存在感が大きいですが、世界を見ると逆です。世界ではGTSのビジネスは小さくなる一方で、ほとんど存在感がありません。
 エンジニアのキャリア形成についても同様で、世界では開発系であるGBSの存在の方が大きくなっています。エンジニアの世界では技術力を養っていくプロフェッション・コミュニティがありますが、ここでもGBSの影響力が大きく、キンドリルとして離れてしまったらエンジニアとしてのキャリア形成が不安です。
 さらに、他のキャリアにも挑戦したい若い人からは、キンドリルへ行ったらずっとこのまま運用業務だけ、というのは避けたい。キャリアの幅が狭まるのは嫌だ、という声も聞かれます。

売却されないか不安

 社名に「IBM」という文字が無い点にも疑惑の声が上がっています。会社として発展させるなら名前のどこかに「IBM」と入れるはず。結局、4Qに独立させるタイミングでどこかに売却するのではないか、という疑いの声も上がっています。
 もし4Qに売却されるようなことになれば、もはや会社分割ではないため労働契約承継法はもう使われません。従って労働条件が維持されるという保証も無くなるということを意味します。

行先部門が不明で不安

 キンドリルジャパンにどのような部門ができるかの説明が無いため、現行の業務が継続して存続するのか、対応する部門はどこなのか、どこの部門で業務を続けることができるのか、不安の声が上がっています。

福利厚生が不安

 福利厚生も労働条件の一部です。代替措置も含めベルスによる家電の割引販売や、レノボPCのファミリー販売がどうなるのかについても不安の声が上がっています。

夏ボーナス

JMITU主要各社は好調

 日本IBMでは夏ボーナスが支給されましたが、日本の多くの企業では今がまさに交渉の山場です。JMITU主要各社も下表の回答速報の通り、コロナ禍をものともせず好調な滑り出しです。まだ全ての会社の回答が揃っていないため、日本IBMの回答は上位15社中15位に位置していますが、やがて圏外に出てしまうでしょう。

個人業績率平均72%

 組合推定による今年の個人業績率平均は72%です。昨年は69%でした。会社の説明では部門平均が100%になるように配分しているとのことですから、全社平均は100%になるはずです。しかし、今年の組合推定値は昨年よりわずかに高いとは言え、限りなく100%に近い数値になっていないので、はたして本当に言葉通りに運用されているのか、昨年同様、疑問が残ります。

会社業績達成度37

 業績査定額は個人業績率と会社業績達成度の積算で響いてきます。今年の会社業績達成度は37( 37%という意味)です。昨年は51でした。この昨年より低い数値に、低い個人業績率平均がさらにかかることが、今年の低いボーナス平均支給額の原因になっています。

組合員は交渉継続

 ボーナスは支給されましたが、組合員の場合は交渉継続中です。支給日以降に、会社提示案とは別の内容で会社・組合間で合意形成がなされた場合は、会社が差額を支給することになっています。

在宅勤務手当、未だ支給されず

コロナ禍に伴う経費削減状況の回答を要求

 今年の春闘重点要求である在宅勤務手当支給の組合要求に、会社は依然として応じていません。このことに従業員は強い不満を持っています。
 日本労働弁護団は、在宅勤務の費用は業務遂行に必要な費用であり、従前の労働契約で労働者に負担が予定・想定されていない費用であるため、使用者が負担すべき費用である、という見解を示しています。このように、会社が在宅勤務の費用を負担することの労使合意に、会社が応じない理由は本来ないはずです。
 しかし依然、会社は在宅勤務手当を支給していませんが、そもそも会社はコロナ禍に伴う経費削減による利益を得ています。下表の会社決算結果によれば、2020年は対前年比で売上高は346億円減ですが、本業の利益を示す営業利益は269億円増です。売上原価、販売費および一般管理費(販管費)の合計が616億円減となったためです。また経常利益、当期純利益も増でした。
 そこで組合は、全従業員分の在宅勤務手当を、コロナ禍に伴う経費削減で生まれた原資で賄えるかどうかを検証するため、会社に次の①~⑤の経費の削減状況を回答することと、その回答を元に団体交渉にて在宅勤務手当支給について誠実に協議することを要求しました。
①通勤費
②事業所の水道光熱費
③カフェテリア運営
④シャトルバスサービス
⑤複合機/FAXの維持費

キンドリルジャパン 大丈夫なのか

 日本IBMのインフラストラクチャー・サービスが分割されてできる日本の法人名が「キンドリルジャパン」、その百%子会社2社の名称がそれぞれ「キンドリルジャパン・テクノロジーサービス」と「キンドリルジャパン・スタッフオペレーションズ」であることが発表されました。そこで、この間に組合が会社と団体交渉をして得た情報などをもとに、この会社分割の懸念点を以下に解説します。

将来は大丈夫なのか

 上図は米国IBMのアニュアル・レポートをもとにして組合が作成した各部門別の2016年から2020年までの売上推移です。
 インフラストラクチャー・サービスとして分割される部門は上図で「GTS(IS)」と表示されている部門です。これを見ると、2016年には世界全体で3兆円近い売り上げがあったのが、年を追うとともに急降下して2020年には2兆円を下回っていることが分かります。
 その一方でIBM本体に残る予定のコグニティブ部門やGBS部門、システム部門などは売上増あるは売上微減に留まっています。
 これでは不採算部門を切り離して本体を救う分割なのではないか、という疑念が出てきます。日本IBMではこの部門の売上は世界と比較して堅調に推移していますが、それでもグローバルから見れば売上に占める割合は2割に満たない規模です。万が一キンドリルのグローバル本社が倒産するようなことになれば、キンドリルジャパンもひとたまりも無いでしょう。
 会社は営業体制を変えてマルチベンダー化することで売り上げを増加に転じさせるとしています。そうであれば、営業人員の増強やマーケティング体制の強化が必要になってきます。組合は3~5年の事業計画を提出し、営業部門、マーケティング部門、研究部門の増強計画を説明することを求めています。

子会社の扱いについて

 「キンドリルジャパン・テクノロジーサービス」と「キンドリルジャパン・スタッフオペレーションズ」に「会社分割」の形で労働条件を承継しながら移籍できるのはIJDSとISOCからだけであることが分かりました。
 残るCSOL、IGSCH、TSOL、ISEからは、いわゆる転籍、すなわち一旦会社を辞めてから先方の会社に入り直す形になります。正しく同意が取られるのか、労働条件に不公平が無い形で転籍が行われるのか、注視する必要があります。

夏ボーナス一次回答

バンド7以下 組合推定平均77万6千円
       昨年下回る1.77ヶ月

 6月10日は夏ボーナス支給日です。組合に一次回答が出ましたので、全社推計をお知らせします。

昨年より2万4千円ダウン

 日本IBM本体のバンド7以下一般職の全社推定平均支給額は77万6千円、昨年より2万4千円のダウンです。月数では昨年の1.8ヶ月を下回る1.77ヶ月でした。
 一方、第3次パワハラ賃下げ裁判の和解原告を含む組合の平均は、今回、昨年より3万円ほど高くなりました。これは、パワハラ賃下げの賃金への影響がいかに大きいか、賃金の戻り幅がいかに大きいかを示しています。

日本IBM決算から

 会社は会社業績達成度の基準(US-GAAPに基づく決算資料)を労使協議で示さないため、やむを得ず日本IBMの決算結果を昨年との対比表で示します。対前年比で売上高の346億円減に対し、本業の利益を示す営業利益の269億円増は、コロナ禍に伴うものを含む大幅な経費削減の結果です。昨年の51がそもそも低すぎ、さらに今年は増益で37に下落とは理解に苦しみます。

今年の賃上げも低水準

パワハラ賃下げはあったのか
JMITU主要各社は高水準

 会社は、5月1日付で賃上げを実施しました。
 今回の賃上げを発表した4月19日付レター「給与調整について」には、前回の賃上げを発表した2019年8月14日付レター「2019年度の給与調整について」とは異なる2点のあいまいさがあります。

パワハラ賃下げはあったのか

 1点目は、賃下げの記載が無いことです。前回のレターには3段階の賃下げ率と、賞与・定期俸基準額から賃下げを行うことの記載がありましたが、同様の記載は今回のレターにはありません。

賃上げは2回あるのか

 2点目は、何年度の給与調整かの表記が一切無いことです。つまり、延期した昨年度分の賃上げと、今年度分の賃上げを区別しないことで、組合の春闘重点要求である、今年に両方の賃上を実施することをあいまいにしています。

賃上げ推定平均0.5%

 組合推定による全社の5月1日付平均賃上げ率はたったの0.5%です。前回の0.5%から横ばいの低水準です。
 一昨年10月の消費税率2%引き上げ後、初となる今回の賃上げがこの低水準では、生活水準を下げざるを得ず、これでは実質的な賃下げと言っても過言ではありません。

他社は高水準な賃上

 5月28日に経団連が発表した今年の賃上全業種平均は1.82%、金額では6040円です。さらに、左表のJMITU主要各社の水準はそれを上回っており、昨年に引き続き高水準な成果を維持しています。
 日本IBMもJMITU主要企業並みの2%台後半の賃上げが必要です。

会社分割の協議開始 今すぐ組合に加入を

 日本IBMのインフラストラクチャー・サービスがキンドリル社の日本法人に分割される日が刻一刻と近づいています。これまで機関紙「かいな」で解説した様々な協議が左表に示す日程で開始されています。
 子会社も含め関係する従業員は5千人とも言われます。ここに5月11日に行われた団体交渉の内容をお知らせするとともに、ご自身を守るために一刻も早く労働組合への加入をお勧めします。

従業員代表への説明

 まずは、労働契約承継法第7条に基づく労働者の理解と協力を得るための説明の一環として、各事業所の従業員代表に対する説明が5月12日から始められます。ところが、箱崎本社の従業員代表はインフラストラクチャー・サービス部門の人ではありませんから、非常に不安です。そこで組合は会社に対して従業員代表への説明会の議事録を提出するよう求めました。

将来は大丈夫なのか

 商法等改正法附則第5条に基づく労働組合との協議も始まっています。
 最近の決算を見ると、グローバルIBMのクラウドとAIに関する事業は伸びている一方で、インフラストラクチャー・サービス系の売上は下がる一方です。そこで組合はキンドリル社が世界的に将来にわたり存続できると確信するに足る経営資料の提出と経営戦略の説明を求めました。
 しかし、5月11日の段階では数字を伴う3ヶ年計画などの資料は提出されていません。また、キンドリル社の社名発表の際にあったTeneo社が将来どのように関係してくるかも不明です。
 さらに、9月1日に設立されるキンドリルの日本法人について誰がどう出資し、どういう経営体制になるのか、という点もまだ不明ですし、4Qに独立する会社の経営体制も不明です。

子会社の扱いについて

 今回の分割に関係する日本IBMの百%子会社は6社ですが、キンドリル日本法人の子会社は2社です。会社は、子会社のうち関係する部署の人だけ合意の上で移籍することを明らかにしました。
 つまり、会社分割ではありませんから、労働契約承継法は適用されず、労働条件が保護される保証はなくなります。移籍の際の協議は個人で行うと不利ですから、すぐに組合に入ることをお勧めします。

対象者の判定について

 特に大事な主従事労働者の判定については、どういう考え方で判定するのか、その内容を早急に明らかにするよう組合は求めました。特に新入社員の場合、何をもって主従事労働者と判定するのか、納得のいく説明が求められます。
 さらに、子会社TSOLに対象者がいることが明らかになりましたので、これまで対象外とされてきた日本IBM本体のTSS部門社員の中にも対象になる人が出てくる可能性があります。
 また、キンドリル社に行かないような人の場合も心配です。例えば6:4で4の部分の仕事がキンドリルに行った後、その人の4の仕事はどう埋めるのか、その考え方を示すよう求めています。ここをあいまいにしたままだと「あなたの仕事は無くなる」と言ってリストラされる危険性が出てきます。

組合に加入して将来の資産形成もしよう

 多くの新入社員の皆さんを日本IBMグループに迎えたこの春、前号で全労連共済のご紹介をしました。続く今号では、ろうきんをご紹介したいと思います。高梨臨さんが、ろうきんイメージモデルをしているので、ファンの方ならずとも、どこかでろうきんのことが気になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

ろうきんとは?

 ろうきんとは一体何でしょう?公式サイトでは、「ろうきんは、労働組合や生協などの、はたらくなかまがお互いを助け合うために資金を出し合ってつくった、協同組織の金融機関です」と書かれています。全国に13のろうきんがありますが、かいなでは、関東周辺に145店舗(2021年現在)を展開する中央ろうきんについて紹介します。

サービスの種類

 労働者の暮らしを守り、応援する金融機関であるろうきんのサービスは、大きくは、ためる・ふやす、かりる、の3つのサービスに加え、個人向けのインターネットバンキング(ろうきんダイレクト・ろうきんアプリ)を含む各種サービスがあります。そのうえ、労働組合員には優遇金利が適用されるのでお得です。

使えるATM

 まず注目すべきはATMの利用サービスです。日本でも昨今、交通ICカードを始めとする電子マネーなどキャッシュレスの支払いが普及し、特にコロナ禍においては急速に注目されてきました。しかしいざという時に現金が必要になるシーンはまだまだあります。現金を引き出したいけど、土日や祝日だったらどうしよう、夜だったらどうしよう、近くにATMはあるのだろうか?
 そんな心配はご無用。何とろうきんにおいてはATM利用手数料が無料。ろうきんのキャッシュカードなら、基本的に時間外という概念がありません。そしてコンビニ系銀行やゆうちょ銀行などのATMで出金しても、手数料は掛かりません(キャッシュバックサービス)。利用回数も無制限です。

ためるサービス

 この4月に念願の入社を果たし、社会人として新生活の一歩を踏み出した皆さんの中には、次は家庭だ、住宅だ、と夢を描いている方もいらっしゃるでしょう。将来のために最初はお金を貯めたい。そんな方を応援するのは、各種預金サービス。貯蓄預金、エース預金、定期預金があります。
 筆者が面白いと思うのは、貯蓄預金です。貯金をしながら、必要に応じて引き出すことができるため、もしもの時も安心です。ろうきんなら残高に応じて、普通預金よりも有利な8段階の金利が設定されますので、楽しく貯金ができそうです。

ふやすサービス

 貯金もいいけど今どきは投資もいいかな?と資産運用を考えている方にも、ろうきんはサービスを用意しています。それは投資信託です。投資信託とは簡単に言えば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品」(投資信託協会公式サイトより)のことです。
 投資は何やら難しそうだし、始めるにしても証券会社に口座を開設しないといけないのかな、と考えがちですが、ろうきんに加入すれば、投資家としての第一歩も踏み出すことができます。NISA(少額投資非課税制度)にも対応しているのは嬉しいですね。今なら、資金形成キャンペーンを使って契約すれば、QUOカードがもらえます。

かりるサービス

 将来の住宅購入を考えている方への住宅ローン、お子様が成長した際の教育ローンも充実。また、学校を卒業したばかりで奨学金の負担を軽減したい方には、固定金利の年率が0.9%の借換教育ローンもあります。

ネットもOK!

 ATMも便利ですが、ろうきんはアプリもあるので、たとえATMや支店が近所になくても、スマホによるネット取引が可能です。残高・明細照会はもちろんのこと、振込、ためる・ふやす、かりるのサービスも手の平の上で実行可能です。

加入するには?

 ろうきんは個人でも加入できます。しかし日本IBMグループの労働組合を通じて加入いただけば、様々な優遇施策をご利用いただけるので、さらにお得です。
 また、ここに掲載の内容はかいな発行日現在の情報です。ろうきんでは相談会も開催していますから、詳細についてご興味のある方は労働組合にご加入のうえ、ろうきんに相談してみてはいかがでしょうか。

AIの不透明な賃金提案

求められる説明責任

 5月1日の賃上げを前にして、日本IBMは今年もコンペンセーション・アドバイザー・ウィズ・ワトソンを使うことを明らかにしました。
 しかし、組合が2020年4月3日に東京都労働委員会に申し立てたAI不当労働行為事件は解決しておらず、現在も調査が続けられています。
 以下に、都労委での調査の過程で明らかになったワトソンAIを使うことの問題点と、そもそも賃金交渉において会社が対応すべきことをご紹介します。

プライバシー侵害問題

 会社の説明によれば、ワトソンAIは対象となる従業員について、40種類ものデータを収集し、4つの要因(スキル、基本給の競争力、パフォーマンスとキャリアの可能性)ごとに評価したうえで、具体的な給与提案をパーセントで示すとのことです。しかし、この40もの情報は具体的に何であるかが明らかにされていません。収集する情報が個人情報であることもあり得ます。なかには要配慮個人情報(個人情報保護法2条3号)すなわち、特定の思想信条など人事考課において考慮すべきでない情報が含まれることもあり得ます。

公平性・差別の問題

 機械学習においては、学習の段階で用いられるデータに偏りがあったり、そのデータに社会的バイアスが含まれることもあり、その偏りやバイアスによって推論(予測)が行われる可能性があります。また、機械学習は、「一般的に、多数派がより尊重され、少数派が反映されにくい傾向」にあると指摘されています。

透明性の問題

 AIによる予測の場合、アルゴリズムが高度に複雑化するため、なぜAIがそのような予測をしたのかを誰も説明できないという事態が生じます。AIによる人事考課による場合、従業員はこれまで以上に自己の雇用管理情報(個人情報)がどのように扱われたのか、それがどのように評価されているのか分からない状況に置かれることになります。

自動化バイアスの問題

 人間は、コンピュータによる自動化された判断を過信するという認知的傾向があります。従って所属長はAIの判断を受け入れやすいという「自動化バイアス」があると指摘されています。

会社の説明責任

 会社は、組合からのコンペンセーション・アドバイザーに関する具体的な要求や疑念に対し、AIによる人事評価を利用しない従来の労働条件交渉時にも増して、充実した情報開示を行い、真摯に対応しなければ、労使間での実質的な労働条件交渉を行ったことになりません。
 上記のようなAIの問題を解決し、労働条件交渉を行うにあたっては、会社にはよりきめ細やかな対応が求められています。従って、労働委員会で問題となる誠実交渉義務のハードルはさらに上がっているのです。

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