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相談窓口

サービス残業強要したらマネジャーは懲戒

 日本IBMでは、いわゆるサービス残業、サービスILC、あるいはサービス稼働の強要が重要な問題となっています。
 2020年5月15日の秋闘要求に関する団体交渉において、「安全・衛星に関する統一要求書」に関連する協議にて、会社は「サービス残業を強要したらマネジャーは懲戒」との厳しい姿勢を示しました。これについて、以下に詳細な協議内容をお知らせします。

団体交渉でのやりとり

組合 過重労働の問題だが、人事のほうでは一生懸命取り組んでいるが、(自己申告の)ペーパーでは時間管理がおろそかになっていて、長時間労働が直されたりしているという。実態からは乖離しているかもしれない。ただ、絶対に80時間以下にするのだという会社の回答は、JMITUの中でも高いレベルだ。ぜひそれを実践して、人事の目を光らせ、現場で本当に無いようにしていただきたい。
会社 今、コロナだから、在宅が長いので、大変な事件がおきたらどうしようかと思っている。家で働きすぎて倒れたらどうしようかと思っている。客観的な(時間管理の)ところで、他社の事例も調べているが、どこも悩んでいる。箱もの(事業所)に来るときは、カードでわかるが、そうでないとき、例えば運輸会社でPOSを切った後に働いている分が問題になった。切られてしまうとシステム的に追いかけられない。
 それは、背景には、「切れ」と上司が言っているからだ。
 システム回りで全部補えるかといえば、すごく難しい。たった1人にそういうことがあったら、全部が疑われてしまう。
 そういう事例が起こったときに、事後対処まで発表されれば、しっかりやられているということになる。おきないということはあり得ない。
 原因は、その上司が勘違いをしていて、見た目の残業を少なくしなければいけないと思って、残業をつけるなと言ってしまったことにある。残業をつけるなという上司は多い。日本では。サービス残業のほとんどは、残業をつけるなということから始まる。そういう指示はするなと。実労働は実労働としてつけろと。
 実働時間を少なくするための工夫をするのが上司の役割だから、どういうふうな整理をして実労働を短縮するのか、そういう指示をしろと。そういうことをやっているということなら、大した企業だなということになる。
 そういう意味では、2年前から、携帯で業務スタート、業務中断の入力ができる。それはまだ自己申告の域を脱していないが、要は、法令の主旨は、職場ぐるみとか、管理者が「つけるな」とか、一番典型的なのは部下が「今月これだけ残業しました」と言ったら「ふざけるな、やり直し」といったらそれが一番やばい。そんなことIBMでやったら懲戒だ。
 言い方としては、他のメンバーだったら8時間でできるのに、なんでおまえ12時間かかるのか、12時間もかかるということはそれだけ生産性が悪いということだから、成績に響くと言われたら、自ら8時間しかつけなくなる。
 そういう問題が日本企業にはあるのか。
 ここでもある。ここでもあるから問題になっている。
 私は言われたことない。そんなこと。
 それは、あなたが、はっきりものを言う人だから。
 私が上司に対して、はっきりものを言う人だからか。
 それで問題になったら、言っているほうは犯罪者だから。
 そうです。

組合要求実現 在宅勤務環境が整備可能

ただし運用はさらなる改善が必要

 2020年8月31日、COVID-19サマリーガイドページにて「在宅勤務のためのオフィス用品と一部のPC周辺機器の購入が可能となりました」との発表がありました。リンク先の購買ポータルには8月10日付で発表され、さらに9月11付で改定された「在宅勤務のためのオフィス用品/PC周辺機器の購入について」と題したページがあります。
 組合は、在宅勤務のための「自宅の環境整備費一時金の支給」を要求していましたが、これで、組合要求が一部実現したことになります。
 ただし、7月27日に、CHQファイナンスが同内容を発表していたにもかかわらず、日本の発表が遅れたことは問題ですし、運用には課題が多く、さらなる改善が必要です。

発表内容

 次の条件を満たす場合に購入が可能です。
①COVID-19に伴って在宅勤務を行っている社員。
②PC周辺機器についてはCIO128で購入が許可されている機器に限定されます。CIO128ではPCおよびモバイル・デバイスは対象としません。
③既に保持しているPC周辺機器については破損した場合のみ購入可能。最新機器や高機能機器等への変更のための購入は不可となります。
 詳しいガイドでは、オフィス用品と一部のパソコン周辺機器の購入が可能です。四半期ごとに一人当たり150ドル(15、750円消費税抜)まで購入できます。
 現時点で購入できる品目については、業務上必要なオフィス用品とPC周辺機器のみとなっています。モニター、キーボード、マウス、マイクヘッドセット、プリンターインクカートリッジ、メモリー、各種ケーブル等が購入可能です。
 オフィス用品は、REQ/CATのOA用品カタログから、PC周辺機器はHWカタログから。カタログにない場合は、RFQ Webからの見積依頼申請して購入します。
 ソフトバンクC&Sとレノボ・ジャパン、システナからのPC周辺機器購入については、自宅への配送が可能です。
 オフィス用品の納入先は、現時点では事業所のみの受け取りになりますが、自宅配送できるように準備が進んでいます。購入品目の拡大が必要です。
 また、在宅勤務でなくなった時、担当業務が変わり貸与備品を必要としなくなった時、退職、出向からの帰任、業務上不要になった場合には、消耗品を除き、返却する必要があります。

購入費用は部門負担

 本当に使える制度かどうかは、購入の際に使用する賦課部門コードが焦点となりますが、部門経費の場合は、「部門コード」、プロジェクト経費の場合は、「プロジェクト・コード」とされています。
 これでは、部門やプロジェクト負担になり、在宅勤務に必要なものが予算不足を理由に承認されず購入できなくなるという問題が起きます。全社で使える在宅勤務者用の統一賦課部門コードを用意するなどの配慮が必要です。

さらなる改善が必要

 厚生労働省は、テレワークの基礎知識や導入プロセス、労務管理の方法などについて解説した「テレワーク導入のための労務管理等Q&A」を作成しています。
 テレワークに関わる費用負担区分については、通信費・水道光熱費など負担について明確なルールをつくり、従業員に対して、丁寧に説明することが必要と説明されています。
 実際にかかる費用の実例として、ブロードバンド回線の基本料金や通信回線使用料については、個人の使用と業務使用との切り分けが困難なため、一定額を会社負担としている例が多く見られること。水道光熱費も実際には負担が生じますが、業務使用分との切り分けが困難なため、テレワーク勤務手当に含めて支払っている企業も見受けられること。やむを得ずテレワーカーが文具消耗品の購入料金を一時立て替えることも考えられますので、この際の精算方法等もルール化しておくことが必要であることが考えられるとしています。
 更にQ&Aにおいて、労働基準法第89条第1項第5号では、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない」と規定されているとし、必要に応じて就業規則の変更を求めています。
 今回の発表では、購入品目に限りがありますし、費用負担部門の問題で事実上購入が難しくなっています。厚労省のガイドに従って改善が必要です。

秋闘1次要求提出

コロナ禍でがんばる従業員に報いよ

 JMITUは春闘に続き秋闘も実施します。秋闘は2次にわたる要求提出を行い、様々な労働条件の向上とともに年末一時金の交渉も行います。
 まずは9月15日に1次要求を提出しました。当支部の重点となる要求に加え、JMITUの3つの統一要求である「合意協力型労使関係をめざす要求書」、「安全・衛生に関する統一要求書」、「安心して働きやすい職場を求める統一要求書」を提出しました。回答指定日は10月1日です。以下に主要なものをご紹介します。

争議を解決せよ

 労働争議となっている以下4つの争議解決を要求しました。
1.パワハラ賃下げ争議を解決すること。
2.パワハラ降格争議を解決すること。
3.定年後再雇用賃金差別争議を解決すること。
4.AI不当労働行為争議を解決すること。

コロナ禍対応の要求

 組合が5月22日に出したコロナ禍で安心して働ける環境等の整備のための要求については、未だ会社回答がありません。改めて誠実に回答するよう要求しました。
1.出勤せざるを得ない従業員への1日5千円の危険手当の支給。
2.月額5千円の在宅勤務手当の支給。
3.在宅勤務環境を整備するための一時金として一律5万円の支給。

賃上げの再要求

 組合はこれまで春闘要求で賃上げ要求を提出し、会社回答を待っていました。いきなりの賃上げ停止発表に対し抗議したところ、会社は改めて要求を出して欲しい旨を表明したため、春闘要求の賃上げ再要求をしました。
 なお、都労委で交わした賃金交渉に関する協定「会社は、労働条件・賃金交渉に当たっては、自らの主張の根拠となる資料を開示して説明するなどして、組合の質問に誠実に回答する」に従い、誠実に回答するよう求めました。
1.これまでの10年以上にわたる人件費総額削減の是正をするため、平均5万円の本給(本俸)の賃上げをすること。
2.交渉のベースとなる社員数、平均年齢、平均給与、職種、年齢、バンドごとの平均給与、業界水準との比較データ等を提出して誠実に協議すること。
3.賞与計算に使われる会社業績達成度についてもIBM社内標準であるUSーGAAPに基づく決算資料を示し、会社業績達成度の決定方法及び決定過程について説明すること。
4.昇給停止発表については理由となる会社業績について曖昧な説明に終始せず、具体的な数値をもって説明すること。米国本社の業績が理由なら米国本社の数値をもって説明すること。もし説明できないのなら、米国本社から説明できる人間を連れてきて説明すること。
5.なぜ日本IBMの賃金決定に際して日本IBMの業績を考慮しないのか、その理由を具体的に説明すること。

デリバリー部門改善要求

 GTS部門やGBS部門では、無理な要員計画で案件を受注し、要員計画が本来必要な要員とあっていない状態のプロジェクトがほとんどです。よって以下を要求しました。
1.無理な要員計画の原因となっている異常に高額な要員単価を是正すること。
2.無理な要員計画での案件受注がないよう、会社が責任をもって受注前のレビュー体制を確立すること。
3.プロジェクトが始まった後、要員の増強が必要になった時、会社が責任をもって要員を増強すること。

会社の不誠実交渉が次々と明らかに

AI不当労働行為事件の調査進む

 

 AI不当労働行為事件の第2回調査期日が7月13日に都労委で開催されました。会社側、組合側双方から準備書面が提出されるとともに会社の不誠実な交渉内容が次々と明らかになっています。

和解協定を無視する会社

 今回の事件で会社は、組合に人事評価制度及び報酬制度の詳細を説明済みであり、それ以上の説明要求・資料開示要求に応じないのは組合から具体的必要性が示されないからであると主張しています。
 これに対し組合は、具体的必要性を示して資料開示を求めており、それでも会社は開示することができないとし、その合理的な理由の説明は一切ありません。
 2018年9月に都労委平成25年不第86号事件における和解協定において、「会社は労働条件・賃金交渉にあたっては、自らの主張となる資料を開示して説明するなどして、組合の質問に誠実に答える」旨の条項が盛り込まれ、会社は誠実団交義務を履行することが求められています。

不誠実な賃金交渉

 会社の主張によれば、就業規則(正社員給与規定・格付規定)を根拠として、①職務内容②執務態度③業績④スキル⑤本給・本俸の5要素として所属長が評価を行い、会社が給与調整を決定するものとされています。また、会社は繰り返し「給与調整は、職務内容とスキル、個人の業績、給与の競争力等を総合的に勘案」して行うと説明をしています。
 会社は組合員の賃金交渉について各考慮要素がどのようなものであるか、各人への支給額については説明したのであるから、誠実団交義務を尽くしたとの主張に終始しています。
 これに対し組合は、各要素をどのように考慮し、賃金が決定され、それらが全社員の中でいかなる位置にあるのかわからず、組合員の処遇の妥当性を検証することが全くできないため、これでは、組合員の賃金に関する労働条件交渉が行えないと反論しています。具体的な内容や評価の方法について、和解協定書に従って会社は誠実に説明する義務を負っています。

会社業績達成度の根拠

 会社は具体的根拠を示した上で十分に説明を行っており、会社業績を説明するのに必要のないUSーGAAP基準の計算書を開示する必要はないと主張しています。
 しかし、日本IBMの会社業績達成度は、社外発表している会社法に基づく日本IBMの単独決算ではなく、USーGAAPに基づく数値を基準にしていると会社が2017年に説明しています。これに基づいて従業員の賞与支給額を決定していると主張しているのですから、和解協定書に従って、自らの主張の根拠となる、「USーGAAPに基づく数値」を開示し協議することは当然なことです。

AIの利用について

 AIを給与調整に利用することについて会社は、マネージャーへの選択枠を示すもので最終判断はマネージャーが行うものである。イントラネット上で全社員に十分な説明をしており、団体交渉でも組合に説明をしている。組合のAIに関する開示要求は抽象的かつ網羅的なものであり、会社は応じる必要はないなどと主張しています。
 組合は、抽象的でも網羅的でもなく、具体的に必要性を説明しています。会社のいう「所属長のより良い給与調整の判断をサポートするツール」と主張するAIについて、その根拠となる「AIの情報リソースとなるデータやアルゴリズム」やAIが所属長に対して表示したデータを、会社は組合に開示する必要があります。
 労政策審議会労働政策基本部会はAIの利用について「処理過程や判断理由等が倫理的に妥当であり説明可能かどうかを検証する」ことを求めています。
 しかし会社は、一貫してAIの情報開示を拒否しています。AIが、いかなる考慮要素があるのか、いかなる給与調整に関する提案を行うのか、具体的に明らかにするべきです。

証拠のリンクを削除

 AIを給与調整に利用することについて、会社から従業員に十分に詳細説明をしたことの証拠として、社内イントラの説明ページと説明動画の一部のプリントアウトを会社は証拠提出しました。
 ところが、その証拠ページを組合が検証しようとしたところ、リンクが切れていました。組合が団体交渉でリンク切れであることを追及したところ、会社はそれを認めました。さらに都労委で復元措置を講ずるよう求めたところ、会社は慌ててページを復元させました。

日本IBMの昇給停止は就業規則違反

 2020年5月21日に経団連が発表した今年の春闘賃上げ結果は、全業種平均で2.17%と高水準。金額では一般職平均で7297円でした。下表はJMITU主要各社の水準ですが、今年は経団連の水準を上回っており、高水準な賃上げ結果です。日本IBMの9月の賃上げは春闘賃上げの一環ですから、これら他社との比較になります。
 ところが、2020年8月7日付でグローバルIBMが今年の昇給停止を発表すると、同日に日本IBMからも「2020年度の給与調整について」と題した文書が出され、今年の昇給停止と来年上半期への延期が発表されました。しかし日本IBMでのこの発表は労働法的に問題があります。

労働基準法違反

 まず、労働基準法は労使対等原則をうたっています。その第2条1項では「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」としています。今回の日本IBMの発表は労働組合と一切の協議なく発表されました。労働条件の改悪を一方的に発表した点は非常に問題があります。

就業規則違反

 就業規則の格付規定では、毎年決められた日付に昇給(給与調整)を実施することを定めています。9月1日付で昇給を行わない場合はこれに違反することになります。組合は直ちに会社に団体交渉を申し入れました。

会社との協議内容

組合 事前に組合と協議して発表するという態度でない限り、誠実な協議にはならない。
会社 発表はしたが、実際に支払う内容については組合と協議したい。
 組合との協議によっては昇給をする可能性もあるということか。
 もちろん今まで通り協議させていただく。
 要求内容についてはすでに春闘で提出している。
 状況も変わったので、書面で改めて要求を出してほしい。
 改めて要求を書面で提出する。なお、交渉が継続できるのは組合員だけか?
 そうだ。組就業規則違反についてはどう考えるか。
 就業規則違反とは考えていない。年一回の賃上げはあくまで原則としての話だ。
 格付規程第6条1項には「原則として」などとは書かれていない。
 給与規程第16条2項には「原則として」とある。
 それは日付の話であって、就業規則違反にならないためには年1回の昇給が必要だ。
 会社はそう考えていない。
 仮に来年の昇給でも、就業規則違反にならないよう今年9月に遡及して支払うよう要求する。
 遡及はしない。

 

日本IBM支部全国大会開催

新型コロナに負けず雇用と労働条件を守ろう

 JMITU日本アイビーエム支部の第67回全国大会が、7月18日に開催されました。新型コロナウイルス感染症対策のため、初めてリモート会議システムを活用し(写真左)、来賓の方々にもオンラインにてご参加いただきました。
 全国大会は、これまで1年間の活動を振り返る総括と来年度に向けた方針を議論し決定する組合の最高の意思決定の場です。今年の大会スローガンである、「新型コロナに負けず雇用と労働条件を守ろう」の通り、様々な問題に適切に対応し、働く者の生活をしっかり守る運動方針を決定しました。
 コロナ禍でさらに悪化が予想され、従来からも従業員が不安・不満に思っている「企業の将来」「賃金」「雇用・リストラ」などの問題を解消し、また、「パワハラ低評価」「パワハラ賃下げ」「パワハラPIP」のパワハラ3点セットとこれに「パワハラ降格」を加えた4点セットを撲滅し、安心して働き易い職場づくりを進めていきます。
 大会の最後に、「パワハラ賃下げ裁判」「パワハラ降格裁判」「定年後再雇用賃金差別裁判」「AI不当労働行為」の4つの争議に勝利することを決意し大会は幕を閉じました。

新役員の抱負
 全国大会から組合は2021年度に入り、新しい役員体制で取り組んで参ります。ここに各人の今年度の活動に向けた抱負をご紹介します。

委員長 大岡義久
 公正で透明性のある賃金制度を実現し、私たちが安心して人間らしく働き、やり甲斐のある職場を作りましょう。

副委員長 藤井克己
 賃金減額など会社の不当な攻撃に対して、断固たたかっていきます。

書記長 杉野憲作
 会社の表向きの宣伝文句とは裏腹に、実際には従業員を軽んじる姿勢がコロナ禍で浮き彫りになってきました。
 皆を守り労働条件を向上させる労働組合としての力を最大限発揮できるよう書記長としてがんばります。

中央執行委員 吉岡真紀子
 差別をなくすことに全力を尽くします。

中央執行委員 安田和
 職場も社会も大きく変容する時代ですが、少しでも働きやすい職場にするため自分にできることを着実にしていきます。

中央執行委員 神谷昌平
 成せばなる。少しずつでも、社会に誇れる正しい姿のIBMを取り戻そう!

中央執行委員 森谷俊之
 在宅勤務の中、ご近所さんから良い会社だねと言われる会社にしたいと思います。

中央執行委員 中川賢
 この会社では大人しくしていては駄目です。正面から堂々と抗議しなければ、会社は気付きません。パワハラや賃下げをを無くすために活動して参ります。

中央執行委員 板倉浩
 「個人の尊重」「社会とともに」。品性と良識がある会社にしていきましょう。

中央執行委員 佐久間康晴
 内製化やローカル事業所の統廃合で過重労働になっています。コロナ禍でのリストラが行われないよう注視します。

中央執行委員 笹目芳太郎
 従業員の逆境を跳ね返すためにたたかいます。雇用・賃下げ・評価などの問題対処、予防のため、一人で悩まず組合に相談して下さい。

中央執行委員 三浦裕之
 労働法及び社会保険の分野で、活動を積極的・重点的に推進します。

労働契約法に見るパワハラの違法性

労働契約法からパワハラ3点セットを考える

 労働法という言葉を聞いたことがあると思います。一つの法律ではなく有名な労働基準法をはじめ数多くの法律の総称です。いずれも労働者の生存権を守るという理念に基づいた法体系です。今回はその一つである労働契約法の視点からパワハラを考えてみます。

労働契約法第6条

 まず条文を紹介します。『労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。』

日本IBMの問題

 労働契約は労働者と使用者が対等な立場で約束することで成り立つものとしています。私たち労働者が使用者の求めに応じて働くのは、労働者が使用者に無制限に従属するということではなく、労働契約に基づいて働くという範囲内で約束した事柄について指示に従うだけのことです。
 日本IBMでは、ライン専門職が使用者に位置付けられますが、ライン専門職に無制限に従属するということではなく、対等に話し合い、約束した事柄について働くのがあるべき姿です。
 パワハラ3点セットは、これを全面的に否定し、ライン専門職に無制限に従属させるものです。
①低評価:合意した業務目標と関係ない事柄による評価が行われます。
②PIP:合意はなく強制され、ライン専門職の意志で労働条件の悪化が決定されます。
③賃下げ:理由付けの説明も充分にされないまま、合意の余地なく賃下げが行われます。

労働契約法第3条
1)労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2)労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3)労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4)労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5)労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

日本IBMの問題

 1、2で使用者と労働者が対等な立場で労働条件を決めるべきと言っています。
 3で「仕事と生活の調和にも配慮」して労働条件を決めるべきと言っています。
 4で労働契約を遵守すること、権利と義務を誠実に履行しなければならないと言っています。
 5で権利の濫用を禁止しています。
 パワハラ3点セットは、極めて一方的なもので、特に労働契約法第3条第5項に反し、ライン専門職による権限濫用に該当します。
 第3項「仕事と生活の調和にも配慮」も守られておらず生活時間を無制限に奪う前提で業務目標やスキル獲得目標が強要されています。これも使用者権限の濫用です。

労働契約法第4条

1)使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2)労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする。

日本IBMの問題

 業務目標を曖昧に伝えて目標を未達と査定して理由を後付けしたり、合意した業務目標とは関係ない事柄(例えばバンド相応の期待を満たしていない、ラインが総合的に判断した等)による評価が行われています。それを根拠に低評価・PIP・賃下げに誘導して労働条件を悪化させることは、この労働契約法第4条に反するものです。

コロナ禍の今こそ9・1賃上げで団結を

 9月1日は日本IBMの賃上げ日です。しかし従業員がおとなしくしている原状では賃上げに期待できません。前号でお伝えした通り、この14年間で従業員の平均賃金は50代平均で200万円も下降し、このまま行けば10年後にはさらに100万円も下降してしまうことが分かっています。
 今夏のボーナス結果についても下表の通り日本IBMの一般職平均80万円はもはやJMITU主要企業の中に入らない水準となってしまいました。
 コロナ禍で在宅勤務が広がり、従業員一人ひとりが孤立しがちです。しかし、今だからこそ、労働組合に団結し、集団的労使交渉のパワーで大幅賃上げとボーナス増加を勝ち取るときです。

パワハラ賃下げに対抗

 もうひとつ従業員の賃金アップの重しとなっているのが「パワハラ賃下げ」です。「業績が期待に達しなかった」という理由で賃下げされる、道理も何も無い賃下げです。賃下げされるまでに「パワハラ低評価」、「パワハラPIP」、「パワハラ賃下げ」という順で狙った人を囲い込みます。
 会社は特定の個人に対する賃下げの根拠を、2010年3月付で改定された就業規則の格付規定第6条3項「業績が職務内容に対して著しく低いと判断された場合は、本給、賞与基準額、本俸および定期俸基準額を減額することがある」という条項においています。
 しかし、この内容は会社がフリーハンドで一方的に不利益変更を従業員に強いることができるもので、賃金減額基準や減額幅の規程も無く、まったく不合理な変更です。しかも労働組合との協議も十分にしないまま強行改定されました。これは労働契約法10条違反になります。
 パワハラ賃下げについては裁判で賃金を取り戻す道が開かれています。労働組合が主導して現在は第3次裁判が行われています。これまでに第1次裁判から通算してのべ48人が参加しています。

今年の賃上げ要求

 会社にこれまでの10年以上にわたる総人件費削減の是正をさせるため、今年の春闘要求では一般職平均5万円の本給(本俸)の賃上げを要求しています。本給の賃上げがされると同時に賞与基準額も上がりますが、賞与基準額も平均で40万円の引き上げを要求しています。

コロナ関連手当

 これまでにご紹介している通り、組合は会社に在宅勤務手当、在宅勤務整備手当、危険手当を要求しています。6月26日の団体交渉では会社は「検討中」としか回答していません。
 その一方で、通勤費のほうは7月から平均して週3日以上かつ2ヶ月を超えて通勤する予定の無い人は通勤停止の処理をするよう会社が発表しました。
 通勤停止処理をすれば、残りの通勤定期代分の返納を求められる可能性があります。しかし、今回のコロナ禍による通勤停止は本人の責任ではありません。通勤停止処理に伴う通勤費の返金分まで求めるのは、やりすぎと言えます。そもそも通勤費は一旦賃金として支払われたものです。本人の責でない返金は求めるべきではありません。

4100人の人員枠はあるのか

IJDS発足説明会で残る疑問
 

 7月1日に発足した日本アイ・ビー・エムデジタルサービス(IJDS)は、資本金1億円、組合推定で4100人の従業員を擁し、箱崎本社をはじめ全国で16事業所、すなわち北海道5・大阪2・沖縄2・幕張・横浜北・仙台・名古屋・京都・福岡がある巨大子会社です。
 合併前のISCーJは、主に製造系システムの管轄、ISOLは、金融系システムの管轄、IBITは、金融系データセンターの運用・保守を強みにしてきました。
 今後、会社が言う「コンソリデーション」により人員削減があるのか、要注意です。

IJDS発足説明会

 新会社発足と同日に説明会が開催されました。オープニングスピーチでは、旧会社のなりわいや強み、デジタル変革(DX)についての説明があり、次にIJDS井上裕美社長のスピーチ、続けてゲストとして日本IBM山口明夫社長のスピーチが行われました。

抽象的な会社説明に終始

 井上社長から、3社統合の背景説明があり、昨今、デジタルテクノロジーの進化や動き(業界変革、企業変革、IT変革)は早い。3社一丸となり、強みを活かしたシナジー効果を推し進めるとの話の後、目指す姿・ミッションとして、最高のナレッジを持ったクライアントのパートナーとして顧客の持続的なデジタル変革の実践・実現・支援を行うためとしました。
 また、事業内容ごとに、「金融事業部」「社会・産業事業部」「イノベーション開発センター事業部」「基盤・サービス事業部」「デジタル事業部」「ISV事業部」の6つの事業部に分割されるとの説明がありました。

従業員の不安な声

 説明会での内容は、IJDSのホームページに公開されている一般的な内容と同じです。そのため、説明会に参加した社員からは、「実質的な変化点が見えない」「3社の強みを活かしたシナジー効果やデジタル変革などのフレーズばかりが飛び交い、新会社が行うことが不明」「もっと具体的に、過去こうだったが、これからはこうなる、等の前向きなビフォー・アフターについての説明がほしかった」などの声が寄せられています。

人員枠があるのか

 日本IBMでは、従来から、新しい縦割り組織を作り、その度にリストラが繰り返し行われてきました。事業部をまたぐ異動は難しいため、例えば、その事業部の仕事が少なくなれば「あなたにやってもらう仕事はありません」などと退職強要が行われきたのです。6事業部制が発表されましたが、これらをベースにして策定した計画に、4100人の社員を吸収できるだけの人員枠が果たしてあるのか、今後注目する必要があります。

TSS部門のCE 120人が出向から帰任

 2018年8月1日に、GTS事業本部のTSS(テクノロジー・サポート・サービス)事業部門でCEの半数にあたる約300人が100%子会社TSOL(日本アイ・ビー・エムテクニカル・ソリューション)に出向しました。
 会社は、「出向期間は2年を予定しています」としていましたが、予定より少し早く、今年6月1日と7月1日付で、約120人もの人数が日本IBMに帰任しました。
 今回以前にも、出向して間がない時期に帰任命令を受けるCEもおり、本当に必要な出向だったのか、その目的を疑う声が上がっていました。

本当の出向の目的は何か

 会社はTSОLへの出向の目的として日本IBM本体は「大規模顧客のビジネス及びアウトソーシング・ビジネスを中心とした事業に注力し」と述べていました。その一方で子会社のTSOLは「MVSビジネス拡大を目指し、全国のカバレッジを担当、MVSファーストのデリバリー組織としていきます」としていましたが、本当の目的は他にあったのではないかと疑問の声が上がっています。

新たな問題が発生

 出向が始まった2018年から多くのローカル事業所の閉鎖が行われ、それが深い傷跡を残しています。これらを拠点にしていたCEは、そこが生活の拠点でもあったため、移動距離が遠くなる事業所への統合を強いられ、仕方なくホームオフィス勤務形態に変更せざるを得なくなったり、広範囲のエリアを担当するようになっています。
 同時に、サービス・パートナー削減も行われており、内製化に伴ってマルチベンダー保守などで過重労働になっているのが実態です。
 まだ帰任見込みのない方、働き方に問題のある方、ご相談ください。

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