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相談窓口

ストップかけよう 日本IBMの賃金下降

 日本IBMが従業員数や平均年齢、平均賃金を発表しないため、当労働組合が独自に従業員にアンケート調査を行い、賃金実態を発表してきました。2005年が日本IBMの賃金のピークで、その年以降上図のようにどんどん賃金が下降しています。このままでは、十年後には50代の平均年収が2005年当時よりも300万円も少なくなることが予想されます。多くの従業員が労働組合に結集し、集団的労使交渉でこの下降にストップをかける必要があります。

30代40代で平行移動

 まず、2018年2月5日号で日本IBMの賃金が12年間で激減していることをお伝えしました。さらに2019年12月16日号でバンド8まで含めた平均でも2005年の平均賃金に届かないことをお伝えしました。
 この間の調査で分かってきたことは、一番の稼ぎ頭である30代、40代の賃金が上がらず、そのまま平行移動して次の年代になってしまうことです。この傾向をそのまま10年後の2029年に当てはめたのが上図のグラフです。このままでは現在の40代の平均750万円がそのまま10年後の50代の平均になります。

新型コロナの影響は

 今年の9月1日付賃上げに際して、会社は新型コロナの影響がどうのと言ってくる可能性があります。しかし日本IBMの業態は飲食業などではないため、新型コロナによる影響を受けにくい業態ですし、そもそも賃金は私たち従業員の労働の対価であり生計を支えるためにに必要なものです。むしろ新型コロナ禍の今だからこそ、まともな賃金を要求しましょう。

集団的労使交渉こそ

 日本の一般的な大企業では職務等級に応じた「賃金テーブル」が決まっており、毎年そのテーブルに基づき4月1日に昇給が実施されます。これを一般に「定期昇給」と呼んでいます。つまり、黙っていても誰でも昇給する仕組みがあります。
 しかし、日本IBMには賃金テーブルはありません。「リファレンスサラリー」という年収目安が個人ごとに決められ、その額をどう調整するかが毎年の賃上げということになります。まるで野球選手の年俸のようです。その例えから言えば、メジャーリーグの選手会は労働組合です。労働組合が強いからこそメジャーリーグの賃金水準が高いとも言えます。
 メジャーリーグに倣って多くの従業員が労働組合に加入し、会社と集団的労使交渉をすれば賃金下降をストップできます。

IJDS統合に伴い組合加入して雇用と労働条件を守ろう

 7月1日に、日本IBM傘下の100%子会社3社を統合し、IJDSが発足しました。
 合併前の社員数推定は、ISCーJが2200人ISOLが1600人IBITが300人新会社IJDSは合わせて約4100人となります。会社は「今までと何も変わらない」「人員削減はない」「安心してください」と最初だけ言っていますが、事業の効率化や組織再編無しに合併する理由はありません。リストラは必ずあります。今のうちに組合に加入し雇用を守りましょう

義務的団交事項とは

 使用者が団体交渉に必ず応じなければならない事項を義務的団交事項といいます。従業員の雇用や労働条件に影響が起こりそうな場合が該当します。たとえば、賃金、労働時間、休暇、安全衛生、教育訓練、懲戒、採用・解雇、人事考課などです。そのため、合併後の従業員の労働条件や来年1月から適用される就業規則、さらには今後の人員計画について、資料等を提示し組合に丁寧に説明・協議することは会社の義務になります。
 この間、労働組合として以下の要求を書面で提出しました。

組合要求
要求① 人事制度、評価制度及び就業規則の統合方針を事前に労働組合に示すとともに、その内容について労使合意に達するよう協議すること。
要求② 3社それぞれに特有なルール(いわゆるローカル・ルール)がある場合、それを労働組合に事前に示すとともに、その統合方法について労使合意に達するよう協議すること。
要求③ もし人員削減を予定している場合、人員削減が必要な経営上の必要性等を労働組合と事前協議すること。
要求④ 勤務地の異動が生じる組合員については、事前に労働組合に示すとともに、その内容について労使合意に達するよう協議すること。

会社回答
要求①②について 会社発表文記載のFAQの通りとなります。人事制度、評価制度及び就業規則の統合方針を事前に貴労働組合に示し、事前協議・合意を行うという考えはありませんが、今後も会社は必要に応じた通知、その後仮に労使問題があった場合については協議を実施してまいります。
要求③について 三社の円滑な統合実現に向けて会社は最適な人員配置を行うべく力を尽くしているところであり、関連する経営情報を事前に示し、事前協議、合意を行うという考えはありません。今後も会社は必要に応じた通知、その後仮に労働問題があった場合は、これまで通り協議を実施していきます。
要求④について 貴組合と会社の間でこれまでに培った労使慣行を尊重し今後も会社は必要に応じて通知を行い、その後仮に労使問題があった場合はこれまで通り協議を実施する考えです。

不誠実な会社回答

 会社は団体交渉を通じ誠実に対応し合意形成の道を探る努力をする義務があります。しかし、この会社回答には合意形成の意思がありません。このような交渉態度は誠実交渉義務に反し不当労働行為にあたります。更に「経営情報」であっても、会社の経営上の決定が従業員の労働条件にかかわってくる場合は、事前協議が必要になります。

何か隠す会社

 6月26日の団体交渉の協議内容をご紹介します。
組合 「三社の円滑な統合実現に向けて会社は最適な人員配置を行うべく力を尽くしているところであり」と書かれている。これまでの体制が変わるのか。
会社 組織変更はある。
 三社それぞれ合理化されるところはないのか。
 コンソリデーションはある。職が失われるとか、リストラするとか、労働条件を下げるとは一言も言っていない。
 言ってないことを確認したい。
 言ってないことはやらない。
  ・  ・  ・
 「コンソリデーションはある」の意味は何なのか、これから分かってくるでしょう。

夏ボーナス

JMITU主要各社は例年並

     賃上結果も高水準

 日本IBMでは夏ボーナスが支給されましたが、日本の多くの企業では今がまさに交渉の山場です。JMITU主要各社も右下表の回答速報の通り、新型コロナ禍をものともせず例年並みの出だしです。まだ全ての会社の回答が揃っていないため、日本IBMの回答がまだ中ほどに位置していますが、やがて圏外に出てしまうことが予想されます。

個人業績率平均69%

 組合推定による今年の個人業績率平均は69%です。会社の説明では部門平均が100%になるように配分しているとのことですが、実際にランダムに抽出した社員の平均を取り推定して見るとこの数値となり、はたして本当に言葉通りに運用されているのか疑問が残ります。

会社業績達成度51

 業績査定額は個人業績率と会社業績達成度の積算で響いてきます。今年の会社業績達成度が51( 51%という意味)と低いため、これに低い個人業績率平均がかかるため、これが今年の低いボーナス平均支給額の原因になっています。

高水準な賃上げを維持

 5月21日に経団連が発表した今年の賃上全業種平均は2.17%。金額では7297円です。これに対し、左下表のJMITU主要各社の水準はそれを上回っており、昨年に引き続き高水準な成果を維持しています。
 日本IBMの9月賃上もJMITU他社にひけを取らないような水準にしてほしいものです。

組合員は交渉継続

 賞与は支給されましたが、組合員の場合はまだ交渉を継続中です。支給日以降に、会社提示案とは別の内容で会社と組合との間で合意形成がなされた場合は、会社が差額を支給することになっています。

会社の危険手当、支給差別か

新型コロナ対応の要求実現も課題多し

 日本IBMのお客様先プロジェクト・ルームに出勤して作業せざる得ない従業員や事業所に出社せざるを得ない従業員、客先に訪問せざるを得ない従業員への「危険手当」の支給を労働組合が会社に要求していることを前号でお伝えしました。
 これを受け、会社が危険手当相当のアワード(報奨金)を配布していることがわかりました。しかし、きちんと発表せずに個人に配布するアワードの形をとっているため、配布基準も不透明で、危険な作業をしている従業員全員に行き渡っていない問題があります。

アワードの内容

 会社は5月末に「Congratulations:You heve been appreciated with a cash award!」というサブジェクト名のノーツメールを従業員に送り始めました。発信人は所属長あるいは部門リーダーで、そこには、750ドル(約8万円)のキャッシュアワード(報奨金)が支払われることが書かれています。
 併せてこのメールには、「Congratulations, you have received appreciation!」と書かれたeカード(上図)が添付されており、そこには、このようなコロナ状況下での業務遂行に感謝しているとメッセージが添えられています。
 実際にはこのメールが、オンサイト勤務者全員に届いているわけではなく、このアワードの存在すら知らない従業員がいます。新型コロナに感染する危険のある環境下で業務をしている従業員に感謝を示す報奨金が不透明で「支給差別」になっているのが現状です

マスクや消毒液の配布も

 GBSでは組合の要求が実現し、オンサイト勤務のプロジェクトや、出社を伴う業務に従事される方、業務上必要とされる方にマスク(1箱50枚)の配布が始まりました。申し込みさえすれば自宅へ郵送してもらえます。アルコール消毒液は、配布が始まりましたが、自宅送付はまだです。
 このように部分的にではありますが、マスクやアルコール消毒液などの配布が始まっているものの、まだまだ不十分であり、改善が必要です。

IJDS発足に伴い労働条件はどうなるか

 日本IBMが、傘下の3つの100%子会社、ISCーJ、ISOL、IBITを統合し、7月にIJDSを発足することを前号でお伝えしました。ところで、私たち従業員の労働条件はどうなるのでしょうか。
 3社統合の方式は「合併」と発表されています。そのため、労働契約は統合後の会社に包括的に承継されることになりますので、目先、労働条件は変わりません。
 しかし発表では「新会社としての組織やプロセスについては6月中旬を目途に発表します」と付け加えられています。従って、その中身について労使協議が必要です。
 また来年1月に3社の人事制度と就業規則が統一される際には、「こっそり」労働条件を引き下げる可能性もあります。さらにこのタイミングで人員削減や遠隔地への異動が行われることも当然考えられます。
 そこで組合は、次のような内容の要求書を会社に提出しました。今後の推移にご注目下さい。
(1)人事制度、評価制度及び就業規則の統合方針を事前に労働組合に示すとともに、その内容について労使合意に達するよう協議すること。
(2)3社それぞれに特有なルール(いわゆるローカル・ルール)がある場合、それを労働組合に事前に示すとともに、その統合方法について労使合意に達するよう協議すること。
(3)もし人員削減を予定している場合、人員削減が必要な経営上の必要性等を労働組合と事前協議すること。
(4)勤務地の異動が生じる組合員については、事前に労働組合に示すとともに、その内容について労使合意に達するよう協議すること。

子会社3社統合

労働組合に結集し雇用確保を

 日本IBMの百%子会社であるISCーJ、ISOL、IBITの3社が、2020年7月1日付で統合され、社名もIJDSになることが2020年5月18日に発表されました。IJDS社は従業員数が数千人規模の大きな会社になると予想されます。しかし過去の事例から日本IBMのこのような組織統合は同時に人員削減も予定されている場合が多いため、今後の動きを注意する必要があります。

人員削減の可能性

 3社が統合されるということは、同じ機能の間接部門は人が余ることを意味します。さらに、現在プロジェクト・アサインが無い人も余剰人員と見なされる危険があります。
 どさくさに紛れて人員整理されたのでは私たち従業員はたまりません。このようなケースの場合、人員整理の必要性、人員削減の回避努力内容、人員整理対象者選定の合理的基準、合理的な対象人数などをきちんと説明することが会社に求められます。不安を感じたら労働組合にご相談ください。

夏ボーナス一次回答

バンド7以下 組合推定平均80万円

昨年下回る1.8ヶ月

 6月10日は夏ボーナス支給日です。組合に一次回答が出ましたので、ここに全社推計をお知らせします。

昨年より3万円ダウン

 日本IBM本体のバンド7以下一般職推定平均支給額は80万円。昨年よりも3万円のダウンです。月数では1.8ヶ月と、昨年を大幅に下回ります。
 日本IBMのボーナスは下図のような計算式で計算されます。ここで賞与基準額は個人ごとに決められます。
 今年は日本IBMがGDPやスペシャル・エクイティ・プログラムの対象外となっているため総額では大幅に落ち込むことになります。

 

 

日本IBM決算から

 会社は会社業績達成度はUSーGAAPに基づく数値を基準にしているとしていますが、肝心のUSーGAAPに基づく決算資料を労使協議で示さないため、やむを得ず日本IBMの決算結果を昨年のものと対比して表に示します。昨年の70はそもそも低すぎる数値ですが、今年の51という数値。皆さんはどうお感じになるでしょうか。

新型コロナ対応に伴う要求を提出

在宅勤務手当や危険手当も

 組合はこれまで「プロジェクト作業における新型コロナ感染対策についての要求」や、「プロジェクトアサインに関する要求」を出してきました。
 5月21日、会社がReturn to Workplace基本方針を発表。これにより現在の在宅勤務を中心とする対応が6月、7月も継続することが明らかになりました。
 新型コロナウィルス感染防止対応が長期にわたることが明らかになったことを受け、従業員の健康、安心して働ける環境等の整備のため、組合は5月22日、会社に対して以下に紹介する要求を提出しました。
 これらの要求に賛同いただける皆さんはぜひ組合要求が実現するよう、応援をお願いします。

出勤せざるを得ない従業員への危険手当の支給

 全社的に在宅勤務の対応がされているとはいえ、どうしてもお客様先プロジェクト・ルームに出勤して作業せざるを得ない従業員や、事業所に出社せざるを得ない従業員、そしてコンピュータ機器等の修理や整備のため客先に訪問せざるを得ない従業員については、新型コロナウィルス感染の危険を冒して仕事をしているのが現状です。
 こうした従業員については、例えばシフト社は危険手当として日額3千円~4千円を支給。さくらインターネット社は日額5千円の支給をしていることが報道されています。日本IBMと同業のNCR社はカスタマーエンジニアに対して4月分の危険手当として給与の一週間分を支払ったことも報道されています。
 こうした他社の危険手当支給動向も踏まえ、出勤1日あたり5千円の危険手当を支給することを要求しました。

マスク、体温計、携帯用消毒アルコール等を自宅へ送付すること

 会社の基本方針にもマスクの支給について触れられていますが、原状ではこれらの備品を事業所で受け取る以外ありません。しかし、これでは最悪のケースとして事業所に向かう途中で感染してしまうリスクがあります。せめて自宅に送付してもらわないと、事実上意味がありません。また、体温計の電池については現在も入手困難な状態が続いています。
 従って危険手当支給対象社員については、以下のように要求しました。
(1)マスク百枚入りボックスを1ヶ月に1個当該従業員の自宅に送付すること。
(2)体温計も同様に自宅に送付すること。
(3)携帯用除菌アルコールハンディスプレー30mL入りを1ヶ月に10本自宅に送付すること。

在宅勤務手当と在宅勤務整備手当の支給

 新型コロナ感染対策の在宅勤務は従来の在宅勤務とは異なり、非常事態に伴うもので、かつ長期間にわたるものです。事前準備もできずにやむを得ず在宅勤務に入らざるを得なかった従業員も多数存在することを考慮する必要があります。
 従って、現行の在宅勤務規程にかかわらず以下の支給を要求しました。
(1)光熱費等の補助を目的とする在宅勤務手当の支給
 在宅で仕事をするということは、仕事に伴う水道光熱費、さらにはエアコン稼働に伴う電気料金の増加分も仕事に伴う経費とみなされ、これは会社が負担すべきものです。個人差があり、必要経費分の算定も困難なことから、一律の支給を要求しました。
 例えばさくらインターネット社では月額3千円、LINE社では月額5千円、アジャイルウェア社では月額2万円が支給されていることが報道されています。
こうした他社の支給動向を踏まえ、一律月額5千円の支給を要求しました。
(2)在宅勤務のための自宅の環境整備費一時金の支給急
 遽在宅勤務を始めるにあたり、多くの従業員がモニター、机、椅子、エアコン増設、ネット環境等の増強をしています。これも必要経費分の算定の困難さや個人差があることから、一律の支給を要求しました。
 例えば整備費としてカオナビ社では5万円、さくらインターネット社では1万円、メルカリでは6万円が支給されていることが報道されています。
 こうした他社の支給動向を踏まえ、一律5万円の一時金の支給を要求しました。
(3)すでに在宅勤務が長期になっており、これからも長期にわたることから、上記(1)と(2)について、まず3月~6月分を一括で6月給与に含め支給するとともに、その後も(1)を継続して支給することを要求しました。

財源は事業所の光熱費

 現在、事業所が閉鎖され、莫大な水道光熱費がセーブされているはずです。これを上記手当の財源に回すべきです。

コロナ禍で再評価 労働組合の重要性

 新型コロナウィルスのパンデミックによって世界は大恐慌以来の経済危機に直面しています。ILO(国際労働機関)は4月29日、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、世界のフルタイム労働者3億500万人分の労働時間の減少がこの第2四半期に予想されると発表しました。
 こうした中、労働者の権利と雇用、そして社会を守る労働組合の重要性が再評価されています。

ロイヤル社で雇用確保

 緊急事態宣言が出された4月7日、ロイヤルリムジングループは突然「事業停止」を発表。「全員解雇」と報道されましたが、実態は「退職合意書」にサインさせ賃金30日分の解雇予告手当すら払わず、自主退職に追い込む脱法的な退職強要でした。
 これに対し、同社の労働組合は雇用調整助成金やタクシー休車を支援する「期間限定特例休車」を活用して雇用を守れと要求。上部団体の支援も得て団体交渉を実施した結果、会社は退職強要を撤回すると約束。さらに「退職合意書」の撤回にも応じる確認書を組合と締結しました。

パワハラPIPを阻止

 この新型コロナ禍の中、あろうことか日本IBMグループではPIP(業績改善プログラム)が実施されています。何故PIPをやるのか納得できないと組合に相談する人が相次いでいます。パワハラPIPはリストラのツールです。今年の9月1日付の給与調整日に賃金減額をするターゲットとなり、会社が嫌になるように仕向けられたところで、退職勧奨、あるいは退職を強要される可能性が大きいです。
 組合は公の場である団体交渉で徹底的に会社と協議し、これまで数々のパワハラPIPの実態を明らかにしてきた実績があります。

コロナ感染対策を要求

 成果主義と自己責任で社員を追い詰めるIBMでは、安全よりも業務の遂行を優先するプロジェクトの存在が懸念されたため、特にプロジェクト作業について4月7日に組合は次の4項目を会社に要求しました。
(1)少しでも感染が疑われる社員はお客様先での作業を控えることを徹底すること。
(2)会社は安全配慮義務があるので、全てのお客様先プロジェクトルームの安全点検の指示を行うとともに、社員から指摘があった場合は、作業を中断し直ちに安全確保措置を取ること。
(3)コロナ理由でプロジェクトが遅延した場合は、社員個人に責任を帰さないこと。
(4)上記の内容を社長レターとして発信すること。
 この後、様々な感染対策の社長レターが発信されました。

アサイン確保を要求

 プロジェクトが次々と遅延あるいは停止しており、アサインが無く稼働率低下に不安を持つ人が増えています。これは個々の社員の責任に帰すべきではなく、そもそも現在の危機的状況では自己責任でアサイン先を探している場合ではありません。社員を格付けしたり競争させたりしている時ではないのです。組合は4月21日に次の4項目を会社に要求しました。
(1)各社員に設定されている稼働率目標を見直すこと。
(2)アサインが無い人を「ベンチ」と呼び圧力を加えるのをやめること。
(3)所属長が責任を持って部下のアサイン先を探すこと。
(4)非常事態宣言解除後も所属長が責任を持って部下のスキル・能力を見ながら適正なプロジェクト配属先を探し、部下の了解を得てアサインする体制を維持すること。

降格・賃下げ・不透明は違法

工学院大法人に改善命令

 工学院大学法人の教職員に対して、日本IBMで行われているような不透明な賃金交渉や降格、賃下げが行われていた事件に関し、画期的な命令が東京都労働委員会から出ました。以下にその内容をお知らせします。

東京都労働委員会が命令

 東京都労働委員会は2020年4月15日、工学院大学学園教職員組合連合(工学院大学教職員と付属中学・高校教職員の連合体)が申し立てた事件について、工学院大学法人が新教員人事制度導入による不利益の程度や降格制度導入の必要性、成績評価の基準や中高の初年度格付の基準などの説明において、具体的な根拠を示して十分な説明を行ったとはいえないとして、不誠実団交であると判断しました。
 都労委は今後法人に対して誠実に団体交渉に応じることや不当労働行為を繰り返さないよう留意すると言明する文書を、新宿、八王子、付属中高の校舎内に掲示することを命令しました。

新人事評価制度を強行

 2015年7月、法人は組合に対し、大学と付属校教員を対象にした人事評価制度を提案してきました。この制度の基本的な骨格は、
①教員を3つの等級に格付けし、最上位の等級以外は早い段階で賃金を頭打ちにする。
②3または4段階で各教員の人事評価を行い、最低の評価Cの場合は、定期昇給停止、一時金の減額(10%以上)。
③3年連続C評価を受けた場合は降格候補とする。
 このように大幅な不利益変更をともなうものです。具体的な評価項目や基準は説明されず、評価の公平性・公正性はまったく担保されていません。
 制度導入の必要性について法人は、「大学の生き残りのために必要」との説明に終始し、2016年8月に制度導入を強行しました。

資料非開示の理由なし

 団交がいかに不誠実だったか、都労委の命令書には次のように書かれています。「組合が提示要求を行った資料には、新教員人事制度の必要性、合理性等に関する重要な資料が含まれていると考えられる」とし、「それにもかかわらず、法人は、組合の要求に対して、経営上の機密に関するものが含まれるから提出しないと回答した後、理由を示すことなく、経営上の機密に関するものを除いても一切示さない旨回答しており、このような法人の対応は、合理的な理由なく、経営戦略会議の資料を一切提示しないとの姿勢を示すものである」と法人の資料非提示の姿勢を批判しています。

不利益の根拠の説明なし

 都労委は、「成績評価の結果がC評価であった場合、定期昇給は停止し、また、賞与は大学教授が標準額のマイナス20パーセントとなるなど、大きな不利益が生じる可能性がある」とし、更に「組合から新教員人事制度導入による不利益の程度を決定した理由について説明を求められた場合、法人は、その具体的根拠を説明する必要がある」としました。
 組合は団交において、「20パーセントでなくてはいけない理由って何ですか」と説明を求めましたが、法人は、「20パーセントが一番合理的だと経営が判断した」や「20パーセントでも良いじゃないですか」などと回答するだけで、減額率を決定した具体的根拠を示していないことは問題であるとしました。

導入理由の説明不十分

 組合が降格制度を導入する理由について、法人に説明を求めたところ、「非常に早く昇格してしまって暴走されては困る、非常に早く昇格する分だけ、その逆も有り得るというような制度設計にしている」旨説明しているが、内容は不確実で抽象的な危険性を示すのみであり、降格制度導入の必要性について十分な説明を行ったとはいえないと都労委は判断しました。

具体的説明が必要

 都労委は「成績評価は、最も重要な労働条件である賃金に直結するものであり、成績評価の賃金への反映による不利益の程度は大きいから、組合から成績評価の基準について説明を求められた場合、法人は、いかなる評価基準に基づき、成績評価を行うかを具体的に説明する必要がある」と指摘しています。

中高で進行する教育破壊

 中高では最上位の等級以外は基本給が早期に頭打ちとなり、人によっては生涯賃金で約3000万円の減収になります。しかも、制度導入時の教員に対する格付け基準も不明瞭なまま校長が一方的に決定。校長による恣意的な評価が横行し、評価権を濫用した校長のパワハラ的行為がエスカレートしたことで、中高では民主的で自由闊達な教育活動が破壊され、物言えぬ職場になりつつあるとしています。
 また、同教職員連合は2019年10月15日に不当な評価によって賃金の減額を受けた原告らが東京地裁に集団提訴したことを発表しています。

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