退職勧奨、PIP、賃金減額、いじめやハラスメントなどで困っていませんか?そんなときは組合に相談しましょう。上の「ご意見ご感想」リンクをクリックしてメールで送るか、平日なら右のボタンで相談窓口へご連絡を。
相談窓口

PIP(業績改善プログラム)が始まっています

現在、PIP(業績改善プログラム)についての相談が相次いで組合に寄せられています。チェックポイント面談を受けると「あなたは業績改善が必要だ」と言われ、その後Checkpoint Trackerを使ったPerformance Improvement Program同意メールが送られてきます。あるいは人によっては「業績改善プログラムプログラム(PIP)について」というPDFが送られてきます。そこには、改善目標が未達成であった場合には下記のいずれか、もしくは複数を実施することがあると記されています。
 1.職務の変更
 2.所属変更
 3.降格とそれに伴う減給
 4.減額給与調整
さらにその下には、「再三にわたり改善の機会が与えられたにも関わらず、なお改善がみられない場合等、会社が就業規則に基づく対応を行う可能性を排除するものではありません」と、解雇を示唆する文言が書かれています。

なぜ改善が必要なのか、何についての改善が必要なのか、などの具体的な説明が無く、さらに、具体的な改善目標や実施内容について話し合ってもおらず、合意もしていないのにこのようなものを送られるのはパワハラPIPです。

すぐに労働組合に相談を
PIPは大変危険です。今年の9月1日付の給与調整日に賃金減額をする理由とされ、あるいは現在の新型コロナウィルスによる景気悪化に伴うリストラのターゲットとされる危険が非常に大きいためです。何故PIPを提示されたのかまったく納得できない人の相談が後を絶ちません。労働組合に加入すれば「団体交渉」で徹底的に会社と協議することができます。PIPを提示されたら、合意処理をする前に「なんでも相談窓口」に連絡してください。

以上

定年後再雇用賃金差別裁判提訴 あなたも裁判に参加しよう

 パートタイム・有期雇用労働法(パート有期雇用労働法)の施行日である2020年4月1日に組合員2名が日本IBMを相手取り定年後再雇用賃金差別裁判を提訴しました(写真は厚生労働省での記者会見の模様)。
 パート有期雇用労働法は同一企業内における正社員と非正社員との間の不合理な待遇差をなくすための法律です。日本IBMで定年後再雇用されるとシニア契約社員になりますが、この労働条件があまりにも低すぎるため、この法律違反だとして提訴したものです。

シニア契約社員とは

 厚生年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられたため、60歳定年後の雇用を義務付けた改正高年齢者雇用安定法に基づいて作られた日本IBMグループの制度が「シニア契約社員」制度です。希望すれば、誰でもシニア契約社員として再雇用されます。
 ところがシニア契約社員制度には大きな問題があります。給与が低すぎるのです。月額17万円しかありません。賞与もありません。年収にすると約200万円にしかなりません。厚生年金が出ない中でこれではとても生活できません。

パート有期雇用労働法

 この4月1日から、同じ大企業で働く正社員と非正社員との間で、基本給や賞与、手当など、あらゆる待遇について不合理な差別をすることが禁止されます。シニア契約社員にも適用されます。
 現在シニア契約社員には賞与が支給されていませんが、これは支給されなければなりません。
 さらに、本給17万円もその根拠が無いため直ちに修正する必要がありますし、福利厚生についても現在無給となっている契約社員の慶弔休暇は正社員と同一の利用・付与を与える観点から有給としなければなりません。

裁判に参加を

 現在シニア契約社員になっている皆さん、裁判の結果が出るまで何年もかかります。その間不利益を被り続けることはありません。この裁判に参加し原告団に加わることで不利益分を後から取り戻すことが可能になります。集団提訴ですから働き続けながら裁判に参加できます。

全世代で賃上げを

 現役社員の皆さん、先日発表した賃金調査結果の通り、この14年間に日本IBMの賃金は全世代で大きく落ち込んでいます。それは今まで会社と交渉で渡り合ってこなかったからです。日本IBMという会社では、黙ってまじめに働いていれば給料を上げてくれるなどということはありません。現在の景気悪化に際しての雇用確保も同様です。団結して会社と交渉で渡り合えば自ずと未来は開けます。

日本IBM・AI不当労働行為申立 賃金決定の透明性を求む

 2020年4月3月、AI(ワトソン)を利用した人事評価・賃金決定について、会社が団体交渉に誠実に応じないのは、不当労働行為に当たるとして、組合は東京都労働委員会に救済申立てを行いました(写真は厚生労働省での記者会見の模様)。
 現時点でも賃上げ交渉において、会社は従業員数や平均給与額、平均賃上額の開示を拒否し、さらに賞与でも会社業績達成度の算定根拠を示していません。この上、AIを盾にし隠せばまったく分からなくなります。
 今回の事件は人事評価や賃上げにまでAIを導入することの問題性を問う、おそらく世界で初の事案になります。

ブラックボックス化されるAIの情報開示を要求

 昨年8月、会社は突然日本IBMグループ社員に向けて人事評価・賃金決定にAIを導入することを発表しました。
 組合は団交を通じて、AIの学習データの内容説明や、AIが所属長に向けて表示するアウトプットの内容を明らかにすることや、その際、格付規定(5条)に定めている5要素「職務内容」「執務態度」「業績」「スキル」「本給」をAIがどう判断しているのか関連性の具体的説明を求めてきました。
 しかし会社は、「当該ツール(AI)に示された一つ一つの情報をそのまま社員に開示することを前提としていない」と主張して、頑なに情報開示を拒否しています。
 これでは、AIのどの情報がどのように反映され、私たちの賃金がどのように決められるのかがブラックボックス化されてしまい、労使対等の立場での労働条件の決定ができません。2018年9月に都労委において結ばれた次の協定にも違反しています。「会社は労働条件・賃金交渉にあたっては、自らの主張の根拠となる資料を開示するなどして、組合の質問に誠実に回答する」

AIによる差別事例

 例えば人物評価について、アマゾン社が2018年、採用時に補助的にAIを利用しましたが、女性に対して不利な評価をしていることに気づき、その利用を停止しました。
 また、AIベンチャーを経営する東大特任准教授が2019年「弊社では中国人は採用しません」とツイートした際に「AIの『過学習』によるもの」と釈明するなど、AIによる不公平・不公正が指摘されています。
 日本IBMにおいてもAIをブラックボックスとして人事評価・賃金決定に用いれば、差別を助長することが懸念されます。

労働政策審議会の提言と組合の主張は同じ

 AIを従業員の人事評価に用いることについては、既に日本でも国レベルでの議論がなされています。
 労働政策審議会労働政策基本部会は、2019年9月の報告書の中で、「AIの情報リソースとなるデータやアルゴリズムにはバイアスが含まれている可能性がある」「リソースとなるデータの偏りによって、労働者等が不当に不利益を受ける可能性が指摘されている」といった問題認識を示しました。その上で、「AIの活用について、企業が倫理面で適切に対応できるような環境整備を行うことが求められる。特に働く人との関連では、人事労務分野等においてどのように活用すべきかを労使を始め関係者間で協議すること(中略)によって行われた業務の処理過程や判断理由等が倫理的に妥当であり、説明可能かどうか等を検証すること等が必要である」と提言しています。
 組合が会社に対し求めている説明内容は、まさに労政審の報告書の提言と同じです。

日本IBMグループに頼れる労働組合あり

 4月1日付で入社された皆さん、この会社がブラック企業であることを承知の上で入ってきた人も多いでしょう。この会社で無事にやっていけるのか、ひどい目に会わないか、きっと不安で一杯ではないでしょうか。
 安心してください。日本IBMグループには、頼れる労働組合があります。以下にこの会社の労務政策の特徴と、それに対する労働組合の対応をご紹介します。

労務政策の特徴

 日本IBMの労務政策の特徴は「ラインによる人事管理」です。つまり昇給額や人事異動など、普通は人事部門が決めることを全て現場の管理職が決定します。ラインに強大な権力を持たせ、所属している個々の従業員を支配するのがこの会社の労務政策の根幹をなしています。

パワハラ3点セット

 ラインによる人事管理は、従業員から見れば会社の圧倒的な力を背景にした所属長によって個々人が「会社対個人」の関係で支配されることを意味します。この圧倒的な力関係の差がパワハラの温床になります。事実、パワハラ3点セットが社内で蔓延しています。①人事考課に「パワハラ低評価」、②改善指導に「パワハラPIP」、③給与に「パワハラ賃下げ」が猛威をふるっています。

日本の労働法の考え方

 外資系の会社であっても、日本という国で事業をさせてもらっている以上、日本の法律は守らなければなりません。
 日本ではまず日本国憲法第28条で労働三権、すなわち労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権を保障しています。その下に労働組合法、労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法が整備されています。
 最上位の憲法で労働者の団結権が認められていることからも、日本の労働法の考え方は「会社対労働組合」という考え方になっていることがお分かりいただけるでしょう。日本では一般に「労使関係」という言い方がされますが、この「労」は労働組合、「使」は使用者、つまり会社を意味しています。

労働組合のメリット

 日本IBMグループの労働組合は「オープンショップ」の形態を取っています。つまり、「入りたい」と思う人が入る仕組みです。この点が全員自動加入の一般の大企業とは異なり、団結力が格段に強いことが特徴です。
 この団結力と労働三権の力で、ラインによる人事管理の壁を乗り越え、「会社対個人」の関係から「会社対労働組合」の関係に持ってゆくことができます。パワハラの恐怖から解放されるのです。
 日本IBMでは「個」の管理をするため、従業員一人一人が孤立する傾向があります。これに対し、労働組合には皆でオープンに話し合うことができるコミュニティがあり、なんでも相談できます。
 また、労働組合に入るとお得な保険である「全労連共済」に加入することができます。若い時から入ればさらにお得です。
 その上、労働組合員であれば「ろうきん」から有利な金利で住宅ローン等の借り入れをすることもできます。
 いかがでしょうか。この会社で労働組合に入らないでいることは、西部劇で丸腰でいるようなものではないでしょうか。

今後のアドバイス

 心身ともに健康を保つことを心がけてください。もし心折れそうだと感じたときは、左表の窓口に連絡してください。

GBSで脳出血死亡者 PIPが原因か

 GBS事業部所属のAさんが先月3月3日に脳出血で倒れ、翌4日に亡くなりました。組合の調査によると、Aさんは2019年末にPIP(業績改善プログラム)を提示されていました。大きな精神的圧力の下、無理な働き方を続けていたことがうかがわれます。年を超えた2020年3月に悲劇となりました。そればかりか、Aさんはここに至るまでに会社から数々の不利益扱いを受けていたことも分かってきました。以下に詳しくご紹介します。

50代前半の若さで

 Aさんは50歳代前半の若さでした。上図はバイオウェザーサービスのサイトにある年齢別脳出血患者数のグラフですが、ピークは60~69歳。50代前半の脳出血は早すぎると言えます。何がこうさせたのか。以下に年を追って振り返ってみます。

2012年に始まった

 Aさんはあるソリューションの専門家として高く評価され、キーパーソンとして活躍していました。ところが、稼働率を理由に2012年に始まったパワハラ賃下げの標的にされました。PIPに合格したにもかかわらず5%の賃下げ。所属長が賃下げの必要性が無いと会社に具申しましたが、強引に賃下げされました。

2014年にまた

 2013年のPBC評価の結果によってまたもAさんは賃下げされました。PIPは合格だったにもかかわらず、PBC評価をもって一律に10%賃下げの対象となりました。

2018年に降格

 2017年はAさんが専門とするソリューション関係のプロジェクトが減少。そのため稼働率が下がったところ、PIPの標的になりました。チェックポイント制度での曖昧な基準のもと、9月に降格、同時に10%の賃下げをされました。AさんはこのPIPはでっち上げだと感じていました。

2019年のPIPへ

 2018年も当該ソリューション関係のプロジェクトが少ないままで推移。稼働率が上がらないことがAさんの悩みでした。第4四半期になって、所属長から、3ヶ月間は現給与を維持するが4ヶ月目から降格及び賃下げ10%をほのめかされ、さらに退職まで勧められていました。
 Aさんは稼働率を上げるため必死でした。2019年はあらゆる手段で稼働率を稼ごうとしていました。ところが、第4四半期になってまたPIPが提示され、その目標が「稼働率を上げること」でした。それがAさんの無理につながり、脳出血に至りました。

稼働率至上主義の弊害

 Aさんは当該ソリューションの専門家として業界でも高く評価されていました。ところが当該ソリューションの国内プロジェクト数には波があり、稼働率が高いときもあれば低いときもあります。
 稼働率のみをもって評価し、PIPで追い詰めればこのような悲劇が起こってしまいます。人材を失ってしまうことは、日本国内の当該ソリューション業界として見ても大きな損失になります。
 会社は稼働率至上主義を見直し、PIPで社員を追い詰めるのを直ちに止めるべきです。

パワハラがなくならない構造的問題

会社の方針によるパワハラ業務

 かいな2361号「パワハラはなぜいけないのか」の記事で「パワハラは、被害者に様々な影響をもたらし、被害者の人生を変えてしまいます」と警告していました。第一面で報告しましたように、非常に悲しい形で現実になりました。
 2361号の記事では、パワハラが発生する土壌について代表例を挙げて本質的な解決方法を考えました。解決方法一つ一つは難しいことではないのに、なぜできないのでしょうか。

パワハラ対象選定の手段として4つの土壌を悪用

 パワハラがなくならない構造的問題を上図に表わしてみました。一番上に番号を付けた事柄はパワハラが発生する4つの土壌です。これらはパワハラ加害者側(主にライン)に無意識に存在する弱さ・力不足です。
①ラインのコミュニケーション不足等により部下の報告に不満があるとします。上司が主体的に聞き取りする等で改善できますがそれをせずにイライラが蓄積します。
②ラインは非常に強大な権限とそれに伴う重い責任を持ちますが、それがどのような影響を及ぼすかの認識不足と責任感の欠如が正されず放置されることがあります。
③ラインが、誰かに足を引っ張られている、迷惑を掛けられている、というような被害者意識を持っていて、自らの管理力や改善力を高めることで解決を図らずイライラが蓄積します。
④ラインが嫌いな相手にレッテルを貼り、その相手が些細なマイナスなことや自分の気に障ることをする度に偏見を正しい認識と勘違いし正当化することがあります。
 これらが組み合わさり、偏見を正当化・増幅して、弱者である部下を敵視して、自ら負うべき罪の意識を転嫁します。ここでパワハラが発生しますが普通なら途中で間違いに気が付くはずです。
 ところが、日本IBMの場合、自らを正すという方向ではなく、むしろ逆に、低評価・PIP・賃下げのための口実として利用しようと画策する心理が働いてしまいます。パワハラ対象選定の手段としてパワハラが発生する4つの土壌を悪用するのです。

背後にある会社の方針

 そのようなことが起きる背景には、低評価・PIP・賃下げで労働条件を下げ人員削減を進める会社の人事労務方針があるからです。低評価・PIP・賃下げという業務指導と偽ったパワハラ行為が止まらなくなります。
 あろうことか、低評価・PIP・賃下げはラインマネジャーの「業績」として評価されます。この段階でモラルは崩壊。それでも、ラインは「業績」として評価され経済的利益が得られると、本業よりパワハラ行為で楽に利益を得ることを指向するようになります。
・会社は、真の向上の機会を逃してしまいます。
・人材が育たず疲弊し会社を去っていきます。
・優秀な人材が集まらなくなります。
・正常なラインが育たなくなります。

正せない負の連鎖

 翌年以降もライン業務の「業績」として評価され経済的利益を得るため、業務としてパワハラ対象を探すようになります。現在の日本IBMには正す仕組みはありません。
 こうして人命まで奪う反社会的なブラック企業に成り下がりました。
 今年も退職勧奨が始まっています。ラインとうまくいっていない場合は、退職勧奨の対象となり得ると会社は言っています。ラインが必ず正しいわけではないのですが。

退職勧奨が始まっています

日本IBM社員のみなさん、組合が入手した情報によれば、6月末での退職を狙った退職勧奨が始まっています。2020年3月現時点の情報では、退職勧奨されている人はGTS部門から多く出ていますが、全社にわたっています。コロナウィルスの影響によるものかどうは現時点では判断できません。なお、4月からはPIP(業績改善プログラム)と組み合わせたパワハラに発展することも考えられますので、十分ご注意ください。
 

退職勧奨やPIP提示があったら、1人で悩まず組合に相談を

なんでも相談窓口リンク><ご意見ご相談リンク

今後、新たな情報が入り次第お知らせしていきます。
 

年末年始手当が支払われていない社員がいます

Workday導入の混乱が収まっていないことはご存知の通りですが、2019年末から2020年始にかけて年末年始出勤した人のうち、一部の人に正しく年末年始手当が支払われていないことが判明しました。今すぐチェックし、支払われていない場合はHR@IBMに問い合わせてください。

【春闘回答】3・5抗議スト実施

健康と生活守る社会的責任果たせ

 3月4日に春闘重点要求に対する会社回答が出ましたが、従業員の生活実態や感情を受けとめた回答とは言い難く、さらに、会社の将来が不安視されている中で会社の将来展望をつくる姿勢に欠けた回答に対し、組合は3月5日早朝に1時間のストライキを実施しました。新型コロナ肺炎の社会的影響を受けマスクをしての行動となりました。

賃上げ回答について

 特に従業員の切実な要求である賃上げ回答では、会社は相変わらず組合要求の意味を理解せず、回答において「一律の賃上げはIBMのポリシーと相容れないもの」とトンチンカンな回答を繰り返しています。少なくとも平均5万円の組合要求に対しては、「会社の賃上げ原資として従業員平均で〇〇円の賃上げを予定している」程度のことは回答できるはずです。
 さらに、誠実な賃金交渉のベースとなる社員数、平均年齢、平均給与、職種、年齢、バンドごとの平均給与、業界水準との比較データ等を提出する要求に対しては「要求に応じる考えはありません」と誠実に協議する姿勢すら見せませんでした。

デリバリー部門の回答

 GTSやGBS部門での無理な受注が原因のサービス残業多発の問題に対しては、会社は根本原因を解決することを避け、末端の社員に責任を押し付ける「社員ひとり一人は正確、完全かつ正直な情報を記録し報告しなければなりません」と回答。さらに「情報の正確性や完全性に疑義がある場合には、適切な機関にて調査を実施し、都度必要な措置を検討、実施していく考えです」と、まるで脅迫でもするかのような回答でした。

全社員のボーナス減

会社業績達成度51 GDPゼロ

 2019年度の会社業績達成度の発表が春闘回答日の翌日にありました。

会社業績達成度「51」

 2019年度の日本IBMの会社業績達成度が「51」と発表されました。前年度の会社業績達成度「70」と比べてなんと19ポイントも下がったことになります。これが今年のボーナス計算に適用されることになります。
 それだけに留まりません。すでに発表されている通り、今年はGDPが支払われず、しかも日本はスペシャル・エクイティ・プログラムでさえ対象外になっています。
 これらのインパクトは甚大です。会社業績達成度は個人業績率とともにボーナス計算に掛け算でかかり、しかも今年はGDPも無いため、昨年比で全員のボーナス支給額が大幅に下がることになります。

会社業績達成度の根拠

 会社はこれまで会社業績達成度について50%を日本IBMの会社業績、50%をIBMコーポレーションの会社業績に基づいて算定するとし、日本IBMの業績については次のような量的指標と質的指標から決定するとしていました。
 量的指標とは、税引前利益、売上高伸び率、キャッシュフロー。質的指標とは、お客様満足度、マーケットシェア伸び率、ワークフォース・デベロップメント。なお、会社は量的指標の算定にあたってはUSーGAAPに基づく数値を基準にしていると回答しています。
 日本IBMの業績はまだ発表されていませんが、通年では3年連続の増収を達成したようです。しかし、肝心のUSーGAAPを公表していないため、会社業績達成度の根拠がわからず、何故51なのかが分かりません。

USーGAAPの公表を頑なに拒否する会社

 賃金交渉に必要なUSーGAAPに基づく決算資料を開示し、賞与額算定の基礎となる会社業績達成度の決定方法及び実際の決定過程等について具体的に説明することを要求していましたが、会社はUSーGAAPの公表を頑なに拒否しました。
 これは、2018年に東京都労働委員会で交わした誠実な交渉に関する協定に違反しています。

60歳以降の生活守れ

 60歳以降の生活を守る要求に対する会社回答をご紹介します。

シニア契約社員の処遇改善について

 パート有期雇用労働法が今年4月1日から施行されるのに伴い、シニア契約社員の労働条件と正社員の労働条件に不合理な待遇差が無いようにすることを要求しました。具体的には以下のような要求です。
①50才代の平均年収約850万円に対し、現行のシニア契約社員制度は年収約200万円。約75%減の給与はあまりに急激な減少のため、シニア契約社員に仕事相当の適正な賃金を支払うこと。
②シニア契約社員に60才未満の従業員と同等程度の支給率にて賞与を支払うこと。
③60才未満の従業員の最大有給休暇付与日数は29日だが、シニア契約社員になると、最大で20日になる。最大付与日数を29日に合わせること。
 以上の要求は不合理な待遇差を解消する要求ですが、いずれも会社は「要求にお応えする考えはありません」と回答しました。

定年延長について

 改正高年齢者雇用安定法の趣旨に基づき、65歳定年制を目指すとともに、現在の年金支給開始年齢までただちに定年を延長することを求めていましたが、会社は「定年の引き上げを行う考えはありません」と回答しました。
   ・・・
 春闘回答についてはまだまだあります。団体交渉内容をはじめ、パワハラPIPやTSS部門の体質改善についての回答など、他の回答状況を次号以降で順次紹介します。

パワハラ賃下げ・パワハラ降格裁判状況

 パワハラ賃下げ裁判とパワハラ降格裁判は東京地裁で同じ民事19部に係属しており、口頭弁論期日も同一日程・同一法廷で時間をずらして開廷されています。
 パワハラ賃下げ裁判のほうは証人尋問へと進む段階ですが、会社が請求金額の計算が合わないと主張。金額をすり合わせ中ですが、意図的と思われるほど遅々として進んでいません。

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