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あらゆるパワハラに対抗し安心して働ける会社にしよう

【春闘要求】回答日3月4日 不調なら3月5日早朝スト

 この間のアンケートや賃金実態調査で、日本IBMの従業員は低賃金の中、リストラに怯えながら殺伐とした職場で会社の将来に大きな不安を抱きながら働いていることが分かってきました。
 これらを踏まえ、組合は2月19日に春闘要求を提出しました。春闘要求書はなんと全部で28ページに及びます。15章からなり、章ごとに賃金に関する要求、一時金に関する要求、人事制度および昇給格差是正に関する要求、リストラ・人減らし「合理化」・パワーハラスメントに反対する要求、労働時間管理に関する要求、福利厚生に関する要求などが続きます。
 それらの中で、特に今年の重点となる要求が10 項目からなる重点要求です。組合は重点要求に対する会社回答を十分に吟味し、誠意ある回答をしていないと判断した場合は3月5日に早朝ストライキに突入します。
 以下に重点要求の中からいくつかピックアップしご紹介します。

争議解決の要求

 裁判係争中のパワハラ賃下げ、パワハラ降格争議の解決を要求しました。このことで、社内からこれらパワハラを無くすことを狙っています。

シニア契約社員の要求

 4月1日からのパート有期労働法の施行に伴い、シニア契約社員の労働条件と正社員の労働条件に不合理な待遇差が無いようにする要求をしました。現在の制度では「60才以降はこの会社に残るな」と言っているのと同じで、50才代の人に対する転職強要とも言えます。

賃上げ要求

 まずは9月賃上げを改め4月賃上げにすることを要求しました。4月賃上げをずらすことを「春闘はずし」と言います。会社は正々堂々と組合と渡り合うべきです。
 さらに、この14年間に大幅に下げられた従業員の給与水準を元に戻すため、本給で平均5万円の賃上げを要求しました。
 さらに賞与支給額に大きな影響を及ぼす会社業績達成度についても説明に足る資料を提示して具体的に説明することを要求しました。

デリバリー部門の要求

 GTS部門やGBS部門では、無理な金額で案件を受注し人員計画が現状とあっていない状態のプロジェクトがほとんどです。その結果、想定している工数と実際の作業工数がつりあわず、サービス残業が多発しています。
 本当に作業した時間をILCクレームできるようにするためのいくつかの施策を要求しました。
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 また、TSS(テクノロジー・サポート・サービス)部門で労働問題が多発していることを受け、TSS部門の改善に関する重点要求を出しました。詳しくは2面で。

【春闘要求】TSS部門の体質改善を

安全で働きやすい職場へ

 TSS(テクノロジー・サポート・サービス)部門では働き方や就業環境、残業代不払いに関する事件が頻発しています。
 これを受け、重点要求としてTSS部門の体質改善について、以下のように要求しました。

1.大宮西事業所においては、サービスパートナーを含む当該事業所勤務のメンバーによる埼玉北部と加須データセンターのサポートが2020年1月度だけで47回に昇っており、過重労働になっています。直ちにカバー体制を見直し、人員を補充するなどして過重労働を解消すること。さらに、同様の事例が無いか全国のTSS部門事業所を点検し、問題のある事業のカバー体制を見直すこと。

 昨年まで埼玉県のカバー体制は上図左のようになっていました。北西部は熊谷事業所が担当し、それ以外は大宮西事業所が担当するという体制でした。
 ところが、上図右のように、会社が今年1月に急に埼玉全域を大宮西事業所のカバーエリアとしたのです。
 熊谷事業所は依然として存続し、フリーの技術員がいるにもかかわらず、大宮西事業所から熊谷事業所を通り越し、埼玉北西部の保守に向かうといったオペレーションが強いられています。
 このようなオペレーションは合理性が無く、すでにマルチベンダー保守で手一杯の大宮西事業所では、いつ事故が起こってもおかしくないほどの過重労働になっています。

2.TSS部門のラインマネジャーに対し、どのようなハラスメント防止教育をしているのか説明すること。

 上司からのパワハラ面談や同僚がいる場での長時間の叱責、パワハラPIPなど、TSS部門の従業員からの相談が全国から相次いでいます。

3.従業員に時間外勤務の申請を実際よりも過少にさせることがないよう、ラインマネジャーを教育すること。

 TSS部門では、2時間以内は残業を付けさせないという習慣が残っています。正確な時間でWorkdayを申請すると「残業を事前申請していなかった」などと難癖をつけ、承認されないまま放置するなど不払い残業の問題が起こっています。
 時間外勤務は、事前・事後申請に関係なく働いた時間の賃金全額を支払わないと労働基準法違反になります。

4.緊急呼び出し当番手当を新設し、当番1回あたり1万円の手当を支払うこと。

 24時間365日の保守契約を締結しているお客様への「緊急コール」そのものには手当が設定されている一方、待ち時間については当番制が強いられています。会社は当番での待ち時間を「自由時間」だとして当番手当をこれまで支払ってきませんでした。しかし現場では、
・当番中は会社支給の携帯電話の電源を切らず、常に手の届く範囲に置く
・当番中は遠出しない
・当番中は家にいてもアルコールは飲まない、
などの厳しい運用実態があり、事実上拘束されています。当番手当は支払われるべきです。

5.社用車(CEのリースカー)の運転時間を業務時間とするよう徹底すること。

 CEが社用車を運転して部品や工具等を運搬し、お客様先でサービスを終えた後、帰路でのリースカー運転時間は「勤務時間ではない」と慣例的にガイドされていました。組合と会社は勤務時間として扱うことで合意しました。組合は会社に対し早くガイドを出し徹底させることを要求しました。

6.小規模事業所の閉鎖に伴うホームオフィス導入に際しては、労働関係法の遵守を徹底すること。また、社用車を自家用車に転換させないこと。

 小規模事業所の閉鎖が進められています。事業所閉鎖や退去に伴い、ホームオフィスにして日々の業務を実施することを余儀なくされています。具体的には、小型のコピー複合機を自宅に設置。さらに光熱費や通信環境は自己負担を強いられています。その上、リースカーの車検証の使用者欄を会社名から社員名義に変更させられています。これらを強制しないように求めています。

不安のトップは「企業の将来」

増えない賃金・増える支出・苦しい生活

 今回は春闘アンケートの項目ごとの集計結果を発表します。今年も20代と30代の若手から全体の約4割に上る回答が寄せられました。また職種では、SE系、営業系、コンサルなど、バンド別でも幅広くアンケートにご協力いただきました。

苦しい生活実感

 まず生活実感については、40代と50代は半数以上の人が「かなり苦しい」「やや苦しい」と回答しています。住宅や子供の教育費にお金がかかる年代の生活が苦しくなっている実態がわかります。
 60代では、全員が苦しいと回答。シニア契約社員の年収204万円の改善が急務と言えます。
 賃上げ要求額は、60代で約8万円、40代と50代で約4万円にもなります。この間の賃上げ抑制に苦しんでいる社員の実情がうかがえます。さらに加えて今年は消費税10%への再増税ならびにそれに伴う物価上昇による支出の増加などがあり、家計は苦しさが増しています。大幅賃上げが必要です。

職場の不安・不満トップが「企業の将来」

 職場の不安・不満に感じることは、43.4%の人が「企業の将来」と回答。2年連続でトップになりました。続いて「賃金」「雇用・リストラ」とトップ3は変わりませんが、「賃金」は、36%に上昇し、増えない賃金への不満が高まっています。「労働時間」と回答した人は25.1%に上昇し、現場での長時間労働が蔓延している実態が浮き彫りになりました。

GTSデリバリー部門のM担当がまたパワハラ

 箱崎本社18階のGTSデリバリー、WFM(ワークフォースマネジメント)のM担当がまたパワーハラスメントを行っていることが判明しました。

M担当のパワハラ内容

 M担当は部下のAさんに以下のような言いがかりを作り、「業務改善をする」「毎週ミーティングをする」などと脅していました。
1.少数のメンバーだけが参照している業務用ノーツメールボックスにおいて、メンバー用の定型文として文章パターンを用意していましたが、その文章パターンタイトルが良くない。
2.部門のメイン業務が忙しいと言って、別の担当業務でリードしている仕事の依頼を受けない。
3.業務中にインターネットを見ていると聞いた。
 これら3つの言いがかりは、いずれも業務に差し障りが無く、些細なことです。ましてや2番についてはAさんにも何のことだか分かりませんでした。労働組合は直ちに山口社長宛にこのパワハラを中止するよう文書で申し入れを行いました。

M担当は常習者

 このM担当はコスト管理部門にいた2018年にもパワハラを行っています。時期も同じ1Qでした。その時は部下Bさんに対して過重労働になるように仕事を指示し、Bさんが文句を言うと退職プログラムを提示して「署名してこい」と強要したのです。
 M担当はその前のF&P担当時代にもパワハラ・ラインとして有名でした。M担当はパワハラを使って部下を退職に追い込むのが常套手段です。今回も前回も同じ時期ですから、まさに今、GTSデリバリー部門で人員削減プログラムが走っていると見るのが妥当でしよう。58才以上の人が人員削減対象になっているという情報もあります。M担当のように人員削減目標達成のためにパワハラに走るラインもいます。十分に気を付けてください。

定年後再雇用は権利 賃金75%減は違法

 厚生年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げらたのはご存知の方も多いでしょう。現在、現役で働いているほとんどの人は65歳まで厚生年金が出ません。しかし、日本IBMグループの定年は60歳に止まったままです。そうなると、定年後、厚生年金が出る65歳までどうやって生活すればいいかという問題が出てきます。退職金を取り崩せば、老後の必要資金と言われる2千万円を残せません。
 これでは生活できないという国民の大きな声を受けた政府は、それまであった高年齢者向けの法律を改正し、企業に対して「希望する人は誰でも定年後に再雇用しなければならない」と義務付ける法律を作りました。これがいわゆる改正高年齢者雇用安定法(改正高年法)です。

シニア契約社員制度

 この改正高年法に基づいて作られた日本IBMグループの制度が「シニア契約社員」制度です。定年を迎える一定期間前にきちんと希望を会社に伝えれば、誰でもシニア契約社員として再雇用されます。会社は再雇用を希望した社員に対して適切な仕事をアサインする義務があります。「仕事が無い」という言い訳は許されません。

賃金75%減は違法

 ところがシニア契約社員制度には大きな問題があります。給与が低すぎるのです。月額17万円しかありません。賞与もありません。年収にすると約200万円にしかなりません。これではとても生活できません。
 先日、組合が発表した賃金実態調査結果からすると、50才代の平均年収は約850万円ですから、シニア契約社員になると現役時代に比較してたったの24%に落ち込んでしまうことになります。
 この状況は九州総菜という会社で再雇用の賃金が現役時代の25%にしかならないことを不服として訴え、最高裁まで行って争われていた事件と同じです。この事件、最高裁の結果がすでに2018年3月1日に出ており、原告側が勝った2017年9月7日の福岡高裁判決が確定しています。判決趣旨は「定年後に収入が75%も減る極端な労働条件悪化は、65歳までの継続雇用を義務付けた高年齢者雇用安定法の主旨に反する」というものです。まさに、賃金75%減のシニア契約社員制度は違法だという判決です。
 さらに、今年4月1日からは正社員との不合理な待遇差を禁止するパート有期雇用労働法も施行されます。会社は直ちにシニア契約社員制度の給与を見直すべきです。

会社の将来を不安視

春闘アンケートの声

 春闘アンケートにご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。過重労働、困りごとなど多くの声をいただきました。特に今年、最も多くの声が寄せられたのが会社の将来を不安視する声でした。以下にご紹介します。

会社の将来について

・強引なコスト削減でビジネスを減らすと思う(SE系40代男)
・若い人がどんどん辞めていくことに、将来への不安を感じます(営業系50代男)
・ある年齢層が抜けているためうまく継承できないのではないか(SE系50代女)
・あまりにも給料が安い。この2年ほどで、愛社精神のあった同期たちが、続々と辞めていったが聞くと転職先では3割から5割増しの給料だということで、それならば転職もやむなしかと思います。会社の評判が落ちている中、新入社員も昔ほど優秀な人材が集まらないのに、給料の出し渋りのせいでせっかく優秀な中間世代がどんどん抜けていく現状を会社はどうとらえているのでしょうか(SE系40代女)
・マネージャーが短期的な目標ばかりをみているので不安。会社の将来が見えない(SE系40代男)
・日本人社長復活で、空気が変わったと思います(本社系30代男)
・外人社長時代に行なった福利厚生の大幅削減がされたまま、改善がされていません。相変わらす減給も行なっているようですし、安定した会社生活を送ることができません。昔の古き良き会社に戻らない限り会社の将来は厳しいと思います(SE系50代男)
・パワハラ、賃金減額、リストラ・・・ネガティブな話題しかなく、ポジティブな話がないところに将来の不安を感じる(事務系40代男)

職場環境について

・無理な金額で案件を受注し、人員計画が現状とあっていない状態のプロジェクトがほとんどである(SE系50代男)
・もらっている工数と業務内容がつりあわず、サービス残業が多発してしまう(SE系20代男)
・労働時間のガバナンスがない。深夜に仕事をしている人が多い(コンサル30代男)
・デリバリーに人が足りないことはすぐに解決すべき(営業系20代男)
・人員不足解消のため、施策を早急に打ち出してほしい(SE系50代男)
・同部門でシニア社員の賃金が安く、人材流出の恐れがあるという声が上がっているようであり、今後どこまで上がっていくか心配(SE系20代男)
・優秀な人材の流出が目立つため、悲観的になる(SE系50代男)
・残業をつけづらい。仕事量は減らないのに残業を減らせと言われる。時短パワハラである(サポート系50代男)
・社員をリソースと呼び、事務用品のように使い捨てにするのはおかしい(本社系50代男)

職場で困っていること

・毎年、減給されるのではという恐怖がある。こんなマインドでいい仕事が出来るわけがないということに、もはや経営陣は気がつかないのか、見て見ぬ振りをしているのか?一度本音を聞いてみたい(SE系50代男)
・成果主義は重要ですが、その関係で職場の雰囲気が重いです(SE系30代男)
・技術の向上時間の確保をしてほしい(SE系20代女)

労働条件・福利厚生

・裁量手当を上げてほしいです。(SE系20代男)
・若手の給与がお客様にチャージされている金額に対して低く抑えられている気がするので、改善してほしい(コンサル20代男)
・賃金をあげてほしい。10年以上、1円も上がっていない(事務系50代男)LABORの値上げと給与が連動していない。(コンサル40代女)
・「昔の良い会社になる」と社長が言うなら、福利厚生や賃上げを昔に戻してほしい(営業系50代男)

集団的労使交渉で働きやすい会社にしよう

 前ページで、私たち従業員一人ひとりの様々な不安や不満、そして切実な要求を紹介させていただきました。でも、黙っていてはこれら不満の改善や要求の実現はできません。会社と交渉する必要があります。しかし、一人では交渉力に限界があります。

対等の立場とは

 一人では小さい交渉力でも、集団化することで大きくできます。会社は従業員をできるだけ安い給料で長時間働かせ儲けを出そうとします。さらに成果主義賃金で従業員が団結しないよう、できるだけ格差をつけてお互いに競争させようとします。私たち従業員が集団化することは容易ではありませんが、このアメリカ型企業経営むき出しの会社にあってより良い労働条件にするには、上図のように労働組合で集団化し対等の立場で交渉する必要があります。(学習の友20春闘別冊より)

労働組合の力

 私たち従業員は、労働組合に集まり団体交渉やストライキなどで、より良い労働条件を契約させることができます。
 憲法でも、私たち労働者が弱いことを前提に、労働組合で集団化することを保障し、推奨しています。ストライキで仕事をボイコットして、経営に損害を与えても罰せられることが無いのは、憲法で労働三権を保障しているからです。

グーグルやアマゾンも

 アメリカでもグーグルやアマゾンの従業員がストライキに立ち上がっています。中でも2018年のグーグルのストライキはアメリカに限らず全世界で2万人の従業員がセクハラや不正行為を正すことを要求してストライキを決行しました。その結果、セクハラをした役員は会社を去りました。
 アマゾンでも処遇改善を求めて従業員がストライキを起こし、見事に昇給を勝ち取っています。

賃金は生計費原則で

 2357号でご紹介したように私たちの賃金は成果主義賃金制度によってこの14年間で大きく下げられています。では、どういう基準で賃金を要求すれば良いでしょうか。
 その答は、私たちの生活の中にあります。私たちは一日の時間のほとんどを会社のために使い、それで得た賃金で生活しています。つまり、私たちは人間らしく暮らし、子供に十分な学校教育を受けさせ、親の介護もできるような賃金をもらう必要があります。これを生計費原則と言います。
 その生活レベルの要求としては、日本IBMグループ社員として「社会的平均的」な生活レベルがひとつの目安になります。そのためにも皆が集まって平均要求レベルを議論する必要があります。その土台となるのが労働組合なのです。

こんな評価はパワーハラスメント

 日本IBMの1月は人事考課であるチェックポイント評価の時期です。ところが、合理的な理由無しに低評価にされる人が後を絶ちません。
 パワハラとは職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為です。この定義を振り返ってみると、日本IBMでは評価制度がパワハラの手段になってしまっていると言わざるを得ません。
 私たち社員は評価でパワハラやそれに続く不利益を受けないよう、徹底的にこだわる必要があります。そこで、2354号1面の人事考課権限の濫用記事を分かりやすくチェックポイント評価に当てはめ、解説します。

目標管理は適切か

 成果主義を社員に求める以上、その目標設定については年初にしっかりコミュニケーションを取り、社員が納得する形で設定されていなければなりません。以下のような例はパワハラになります。
●年間を通じて所属長とのコミュニケーションが十分でなく、目標が不明のまま低評価にされた。
●部門目標が最初に決まっており、社員個人のスキル、生活の事情、仕事の負荷などを考慮せず、目標に達していないことを理由に低評価にされた。
●目標設定の際、所属長が聞く耳を持たず、一方的に高い目標を課せられ、低評価にされた。

客観性のある評価か

 目標の設定は客観的な評価ができるようになっていなければなりません。以下のような例はパワハラになります。
●目標として業務の項目名が列記されているだけで具体的な目標が無く、それらが未達だとして低評価にされた。
●「適切に実施すること」という目標の結果が不明なまま低評価にされた。
●コミュニケーションに問題があるとして低評価にされた。
●実際に働いた時間を申請できない、と文句を言ったら低評価にされた。

評価根拠は適正か

 評価はしっかりとした事実に基づくものでなければなりません。以下のような例はパワハラになります。
●評価する段階になって、後から目標を付け足し、今まで聞いたことのないような理由で低評価にされた。
●関係者による事実と異なる作り話を、所属長が検証せずそのまま低評価にされた。
●違う事業所で勤務しており、一度も現場に来たことが無い所属長に、聞いたことも無い理由で低評価にされた。

評価手続きは適正か

 評価はそれのみが目的ではなく、日々のフィードバックが適正になされ、また、第三者によって検証されなければなりません。以下のような例はパワハラになります。
●所属長の評価を上長がレビューしないまま低評価にされた。
●どう見ても所属長と上長が結託して低評価にされた。

何のための評価か

 そもそも評価は社員の成長を助け、ひいては会社の成長をサポートするものでなければなりません。以下のような例はパワハラになります。
●あなたの仕事は無いと言われ、仕事を取り上げられて、低評価にされた。
●明らかに別の目的があり、職務遂行能力以外のところで低評価にされた。
●メンタル疾患等で通院し、残業禁止等の勤務措置が取られているのに、考慮しない目標を課され、低評価にされた。
●障害等の関係で不向きな部門に配属されても異動されず、無理な目標を課された結果、低評価にされた。

毅然とした態度が身を守る

労災で損害賠償、自殺で上司を書類送検

 新入社員が上司のパワハラで自殺し、労災認定されたり、上司が書類送検される例が相次いでいます。これら新入社員の例に限らず、日本IBM社内でも同様の圧力があり、いつ同じような事件が起こってもおかしくない状況です。
 特にTSS部門の体質には問題があることが以前から指摘されています。各社員が労働法をきちんと理解し、毅然とした態度を取ることが身を守ることにつながります。

パワハラ自殺労災認定

 2017年にトヨタ自動車の入社2年目の男性社員が自殺しました。トヨタ自動車は当初、遺族に対し「死亡は上司の言動によるものとまでは認められず、会社として責任を負うものではない」と説明していました。
 しかし昨年9月、上司のパワーハラスメントが自殺の原因だったとして、労働基準監督署は労災認定しました。遺族側は、今後、トヨタ自動車に損害賠償を求める方針と報道されています。
 男性は15年入社。翌年3月に本社に配属され、翌月から日常的に上司から「バカ、アホ」と言われ、「こんな説明できないなら死んだ方がいい」と暴言、叱責を浴びるようになりました。また、個室に呼び出されて「俺の発言を録音していないだろうな。携帯電話を出せ」などと詰め寄られたとされています。3カ月間休職後、職場復帰し、別グループの所属となりましたが、同じフロアの元上司から再三にわたって嫌がらせを受け続け、「死んで楽になりたい」などと周囲に漏らすようになり、17年10月、社員寮の自室で自殺しました。

上司を地検に書類送検

 三菱電機の20代の男性新入社員が2019年8月に職場で教育主任である上司から「自殺しろ」「殺すからな」などと脅されたとの書き置きを残し自殺しました。30代の上司が自殺教唆の疑いで兵庫県警によって神戸地検に書類送検されました。自殺直前にも上司から、「おまえが飛び降りるのにちょうどいい窓あるで、死んどいた方がいいんちゃう」など、発言を受けたことが克明にメモされていました。
 また、17年にも新入社員の男性が職場の上司や先輩からいじめや嫌がらせを受けて自殺したとして、両親が三菱電機に対し約1億1800万円の損害賠償求める訴訟をを東京地裁に起こしています。
 他にも14年~17年に男性社員5人が長時間労働が原因で労災認定。そのうち2人が過労自死であったことが報道されています。

問題の多いTSS部門

 TSS部門のカストマーエンジニア(CE)は、会社のリースカー、すなわち社用車を運転して部品や工具等を運搬し、お客様現場のサービスにあたっています。ところが、お客様先からの帰路でのリースカー運転時間は「勤務時間ではない」と慣例的にガイドされていたため、ほとんどの社員が勤務時間として申請していませんでした。
 これはおかしなことです。リースカーを運転する時間は、「使用者の指揮命令下に置かれている」状況です。労働基準法はこの時間は勤務時間としなければならないと定めています。
 組合はこれまでリースカーの運転時間については、お客様先からの帰路であっても勤務時間としてガイドさせるように会社と交渉を行ってきました。昨年12月11日に開催された団体交渉において、会社は「明確に業務として行われているのであれば、きちんとつけて下さいということを徹底するのが会社の指導である」ということに合意しました。
 更に、TSS部門では、2時間以内は残業を付けさせないというが習慣が残っているため、「自主的に」「みんなつけてないから」「少しの時間だから」などの理由で、勤務時間として計上しない社員が多くいます。そもそも、残業時間は1分からでもつけるものです。少しであっても会社がサービス残業をさせることは労働基準法違反です。世間では、サービス残業が存在する会社はブラック企業と呼ばれます。
 2019年4月に働き方改革一括法が施行されて以降、把握できていない労働時間や隠れた(隠された)労働時間があってはならないのです。労働時間管理は、会社が労働時間を適正に把握するだけにとどまらず、自身を労災から守るため、適正な人員配置を会社に促すため、非常に大切なものです。本当に働いた時間が把握できなければ、会社は正確な業務実態を把握できないのです。
 まず、皆さん自身が自覚して毅然とした態度を取ることこそ、健全な職場環境を作る第一歩になるのです。

日本IBMの賃金上がらず

組合による賃金実態調査結果発表

 今年も多くの方に賃金実態調査のご協力をいただき、ありがとうございました。ここに調査結果を発表させていただきます。母数の関係で一番数の多い日本IBM本体の賃金実態を、新人事制度導入直前の2005年当時のバンド7(係長級)以下の平均賃金と、今年のバンド8(課長級)以下の全職種平均賃金にて比較しました。
 さらに、人数の多い代表的な職種であるコンサル系、営業系、SE系職種のリファレンスサラリー(年収相当額)の上下幅についての調査結果も発表させていただきます。なお、2005年のデータは当時の「年収基準額」のデータにリファレンスサラリー相当の住宅費補助を加えて補正しました。

バンド8含む平均も2005年に届かず

 上図の折れ線は20才代から50才代の全職種のリファレンスサラリーの平均値を表したものです。2005年はバンド7以下の平均値であるのに対し、2019年はバンド8の人を含む平均値です。バンド8の人の比率は年代が上がるほど増えていますが、2005年の賃金カーブには届きません。
 近年、会社は賃金を上げるにはバンドを上げることだ、というメッセージを出していますが、それは嘘であることが分かります。年代が上がるほど平均賃金が抑制されていることが一目瞭然です。

振れ幅の大きい営業系

 それぞれの年代ごとに表示されている縦棒は、左からそれぞれコンサル系、営業系、SE系のリファレンスサラリーの上下幅です。例えば20代のコンサルの最高は900万円で最低は400万円です。なお、バンド8以下の50代のコンサル回答が無いため、50代はコンサルの縦棒がありません。50代のバンド8以下は生き残れないということなのでしょうか。
 営業系は30代以降の上下の振れ幅が大きいことが特徴です。なお、今回はコミッション額も聞きましたが、どの年代も平均的に年間300万円~400万円のコミッションを得ていることがわかりました。
 30代は、どの職種も振れ幅が小さくなっていますが、SE系が極端に振れ幅が小さいのはサンプル数が少なかったためです。40代との対比で下は500万円程度になることが推測できます。

時給最低1500円

 社内で時給で働く人は最低でも1500円以上であることが判明しました。時給換算で千百円程度のシニア契約社員給与の早急な格差是正が求められます。

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