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相談窓口

従業員代表選挙に人事部門が介入

本社で組合推薦候補が健闘、1400票獲得

 11月25日、時間外および休日労働に関する協定(いわゆる36協定)および裁量勤務制度等の協定締結のための従業員代表を選出する本投票が行われました。選挙結果は、表のとおりです。組合推薦候補は代表にはなれませんでしたが、本社で合計1400票を獲得する大健闘でした。改めて組合推薦候補への多数の投票に感謝いたします。ありがとうございました。
 今回選ばれた従業員代表の任期は12月1日から1年間です。私たちはこの間行われる協定締結や、場合によっては就業規則の変更その他の改定について、何の疑義も示さず会社案を追認しないよう従業員代表を監視していく必要があります。

集計前の得票率を人事部門が把握

 今回行われた従業員代表選挙では、電子投票が従来のメールからWeb投票に切り替えられましたが、電子投票の締め切り日(11月22日)前の11月15日に人事からライン専門職に「現在従業員代表選挙が実施されておりますが、箱崎事業所において各ブロックとも投票率が過半数に至っていない状況です」とメールが発信されました。
 さらに同じメール内に「以下は、事業所総務より来週以降、社員宛てに発信されるリマインダーメールです」とあり、そこには、「取得率が50%を超えるまで1回/毎日配信」と書き添えられています。これは集計前の各立候補者の得票数(率)を人事部門が把握し、コントロールしていたことを示しています。
 人事部門の介入は民主的な従業員代表選挙の実施を妨げるものです。今後、従業員代表選挙にこのような介入が行われないよう、私たち従業員は徹底して監視していく必要があります。

従業員自治で選挙運営を

 公正な従業員代表選挙を行うためには、徹底した従業員の自治管理で行う必要があります。今回の選挙の公示を振り返ると、11月5日に「本社事業所を5ブロックに分け、そのブロックごとに代表選出のコーディネータを任命し、本社事業所従業員代表の選出を行います」と掲示されています。その上で別紙に、「従業員代表選出事務サポート要員の指名」と題して総務のメンバーが指名されています。このメンバーと選挙立会人以外は選挙運営にかかわるべきではありません。

電子投票の集計作業を事務サポート要員が非公開

 電子投票の集計と紙投票の開票作業は、不正が起こらないように、従来から、コーディネータと選挙立会人のもとで行うことになっています。今回もこの作業は、コーディネータと立会人のもとで行うことが事前に通知されていました。
 しかし、電子投票の集計作業を事務サポートの担当者一人が勝手に非公開で行った上、集計後の結果を示す内容を立会人に提示するだけでした。これでは、あらゆる不正操作ができてしまうことを意味し、公正な選挙が行われたことが担保されません。

会社が都合よく選挙方法を変更してきた歴史

 会社は、従業員代表選挙の方法を都合よく変更してきました。2009年までは、就業規則の改定や会社分割等のたびに従業員代表の選出を行い、従業員にその信を問うてきました。しかしその方法では反対票が増えてしまうため、会社にとって不都合でした。
 そこで、2010年以降は36協定締結のために選出した従業員代表に一年の任期を与え、その間に就業規則変更等を進めてきました。
 例をあげると、2010年には、「年1回昇給を行う」という格付規定を「給与調整」という表現に変更しました。
 また2013年には、住宅費補助の廃止や借り上げ社宅制度の廃止を実施しました。
    ・・・
 以上のように、会社は思いのままになる従業員代表を選んだ上で、好きなように労働条件の改悪を行ってきました。組合推薦候補はこのような労働条件の改悪は許しません。今後も組合推薦候補の応援をお願いします。

冬ボーナス大手回答96万5千円 日本IBM予想平均83万4千円

 11月14日に経団連より発表された今年の冬ボーナスにおける大手企業妥結状況は、82社の平均で96万5千円。昨年の冬ボーナスの平均93万5千円から3万円も増加しています。
 その一方で日本IBMのバンド7以下での組合予想平均支給額は83万4千円(1.90ヶ月)と、大手平均よりもなんと13万円も低い水準で、しかも昨年の日本IBM平均の84万6千円からも1万2千円の減少です。
 左表はJMITU主要企業における回答状況ですが、12年前までは常にトップだった日本IBMはもはや見る影もありません。同業のNTTデータにも水をあけられています。
 組合は引き続き組合員の賃上げ額、個人業績率、会社業績達成度について協議を重ね、上積み回答を目指します。

シニア契約社員へのボーナス不支給は違法

 10月7日号で既報の通り「パートタイム・有期雇用労働法」が2020年4月1日から施行されます。同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当など、あらゆる待遇について不合理な差別をすることが禁止されます。
 それに合わせて厚生労働省からガイドラインが発表されています。右下コラムにガイドラインの抜粋を紹介していますが、わざわざコメントを設けて定年後継続雇用者、すなわち日本IBMのシニア契約社員も同法が適用されることを強調しています。
 現在シニア契約社員には賞与が支給されていませんが、ガイドラインによればこのままでは違法となります。シニア契約社員と正社員との間の働き方には目標設定の差こそあれ事実上の違いは無いからです。来年4月の法律の施行に間に合わせるためには、この12月の契約更新の段階で契約内容に賞与の支給も加える必要があります。
 さらに、本給17万円もその根拠が無いため直ちに修正する必要がありますし、福利厚生についても現在無給となっている契約社員の慶弔休暇は正社員と同一の利用・付与を与える観点から有給としなければなりません。

パワハラ防止法の骨抜き指針

 弁護士、労働組合が是正を強く要求

 パワハラについて事業主に防止対策を義務付けた労働施策総合推進法の改正を受けて、現在、厚生労働省の労政審で、いわゆるパワハラ防止法の指針の策定・改定が議論されています。
 しかし、11月20日に了承された指針は、パワハラ防止策となっていないばかりか、むしろパワハラの範囲を限定・矮小化し、会社にパワハラに当たらないという言い訳を許すことによって、かえってパワハラを助長しかねない内容となっています。

パワハラを初めて法律で定義

 労働施策総合推進法・第30条の2において、パワハラが法律で初めて定義されました。
「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と定めました。
 この法律自体には、国や企業、労働者の責務について具体的な説明がありません。そこで、事業主の雇用管理上講ずべき措置義務の内容について定める指針の策定が労政審で議論されています。今回了承された指針は「パワハラにお墨付きを与えかねない」内容となっており、内外から批判が起こっています。

パワハラに該当する範囲を縮小

 今回の指針では、パワハラについて、法の趣旨を軽視し、法律の文言を狭く解釈しています。
 例えば、「優越的な関係を背景とした言動」の「優越的」の意味を、「抵抗又は拒絶することができない蓋然性(がいぜんせい)が高い関係」とことさら狭く説明しています。これでは、パワハラ被害者に対し、抵抗とか拒絶できなかったのかと加害者の擁護に使われてしまいます。本来、職務上の地位や人間関係、専門知識など何らかの事由で優位性が認められれば十分なはずであり、それを背景としたハラスメントは防止される必要があります。

職場の意義を狭く説明

「職場」の意義について、「業務を遂行する場所」と狭く説明しています。例えば、懇親会の場などにおいてもハラスメントが行われているのは周知のことであり、これらのハラスメントも防止される必要があります。

パワハラに該当しない例は会社の弁解カタログ

 指針では、6つの行為類型ごとにパワハラに「該当する例」と、企業側の強い意向で「該当しない例」も加えられています。しかし、パワハラに該当しない例を示す必要性は全くありません。これらは「使用者の弁解カタログ」と批判されています。企業側に恣意的解釈の余地を残すことになるからです。
 例えば、「怪我をしかねない物を投げつけること」はパワハラに該当するとしていますが、それではまるで怪我をしない物であれば投げてもよいかのようです。
 他にも、「自身の意に沿わない労働者を別室に隔離する」のはパワハラだが、「処分を受けた労働者に通常の業務に復帰させる前に別室で必要な研修を受けさせる」ことはパワハラに該当しないとしました。処分とは何を意味するのか、また研修期間も不明です。

参院の附帯決議を尊重

 一方、参院で「労働者の主観」への配慮が附帯決議された件を受け、「経営上の理由により、一時的に能力に見合わない簡易な業務に就かせる」ことは当初パワハラに当たらないとしていましたが、今回の指針では削除されました。
 しかし、取引先や顧客等の第三者から受けるハラスメント、及び、取引先や就職活動中の学生、フリーランス等の社外の者に対するハラスメントへの配慮、性的指向・性自認に関するハラスメント及びアウティングへの配慮については、まだ不十分な対策しか示されていません。

ご意見を募集します

 厚労省は指針へのパブリックコメント(公募意見)を募集した上で、年内に正式決定するとしています。全労連やJMITUは抜本的見直しを求める意見を集め、さらなる修正を迫ろうと呼びかけています。是非組合ホームページから投稿をお願いします。皆様のご意見をお待ちしています。

パワハラ降格裁判提訴

会社ぐるみのやり方に一石

 2019年11月6日、組合員2名が日本IBMを相手取りパワハラ降格裁判を提訴しました(写真は厚生労働省での記者会見の模様)。
 今年成立したパワハラ防止法を受け、厚労省から法律の指針素案が出されましたが、対象が狭く、ハラスメントを個人的に行われるものに限定して矮小化しています。そのため、経営方針そのものが利潤追求ばかり追い求め、根本的に労務政策がゆがんでいる数多くの会社ぐるみのやり方が視野に入っていません。
 今回の裁判提訴は会社ぐるみのパワハラに一石を投じるものです。

裁判に至る経緯

 日本IBMでは、「パワハラ3点セット」と呼ばれる組織的パワーハラスメントが横行しています。パワハラ3点セットとは「パワハラ低評価」「パワハラPIP」「パワハラ賃下げ」を総称したものです。この延長線として「降格」によりさらに賃下げを行い、ハラスメント効果を上げようとしたのが今回の事件です。
 一人目の原告森谷さんは2016年に退職強要の一環でバンド7からバンド6に降格されました。退職勧奨を拒んだところ、仕事を外され、それが故に低評価をつけられ、低評価を理由にPIPを強要され、そして賃下げもされました。PIPの中では繰り返し退職勧奨を実施され、それを拒み続けたところ、報復としてバンド7からバンド6に降格されたのです。
 二人目の原告は2018年にPIPを実施されました。PIP面談の中で、「提携先の転職斡旋会社で転職先を見つけてこい」、「退職するか降格するかを自分で選択しろ」などと異常な退職強要を受けました。あげくに「スキルに合わない人員募集でも応じないというのなら、グーでパンチするぞ」といった脅迫文言までありました。それを断ったところ、バンド7からバンド6に降格されました。しかも、降格されたことすら告げられませんでした。

パワハラ3点セットとは

1.パワハラ低評価
 合理的な理由無しに低評価とするもの。人員削減のターゲットとなった人がパワハラ低評価の標的となります。
2.パワハラPIP
 PIPとは業績改善プログラムのこと。低評価を理由に強要されますが、改善とは名ばかりで、PIP面談の中では退職勧奨や個人攻撃が繰り返されます。
3.パワハラ賃下げ
 個人を狙った賃下げ。個人の業績が期待に達しなかった、として最大で年収の15%が賃下げされます。賃下げすることによって会社から追い出すことを狙っています。この賃下げは労働契約法違反だとして、パワハラ賃下げ裁判で係争中です。

従業員代表選挙

組合推薦候補に投票を

 11月5日、36協定及び裁量労働勤務制度に関する協定などの締結のため従業員代表選挙が公示されました。
 これまで会社は、労働条件の切り下げをやりたい放題にしてきました。例えば、「年一回の昇給を給与調整」に変更。社員から絶大な支持のあった「借り上げ社宅制度の廃止」などを強行してきました。このとき選出された従業員代表は、これらの重要な変更について、何ら疑問も持たず、会社から言われるままに賛成・署名し、労働条件の切り下げに加担してきたのです 。
 このような事例を問題視した厚生労働省の労働基準局長は、平成30年9月7日発行の基発0907第1号において、「労働基準法の規定に基づき労働者の過半数を代表する者を選出するに当たっては、使用者側が指名するなど不適切な取扱いがみられるところである。このため、過半数代表者の要件として、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」を施行規則において明記しました。すなわち、会社が従業員代表選出にあたり介入すると、労働基準法違反になります。
 公約は以下になります。まず、36協定の中に、「すべての法定休日を労働させる可能性がある」とあります。これでは過重労働になるため、「法定休日に労働した場合は、振替休日を取得させるものとする」とします。
 さらに、日本IBMの裁量勤務手当は他の大企業と比較して低い水準です。手当を増額しなければ協定を締結しません。
 また、問題となっている勤怠管理システムWоrkdayの品質を改善させます。
 組合推薦候補はみなさんを裏切りません。

人事考課権限の濫用はパワーハラスメント

 成果主義とかペイ・フォー・パフォーマンスといって評価とそれに伴う不利益で脅迫して社員を支配する会社運営が続いています。日頃何のフィードバックもなく評価だけ下げてくる手口も出始めています。何をもって低評価をされて不利益を被るかと疑心暗鬼で毎日を過ごすようでは仕事に誇りを持てなくなり心身ともに疲弊してしまいます。この問題について考えてみます。

人事考課権限の濫用

 恣意的、意図的に、低い評価をするなどの場合は人事考課の結果がパワハラと言えます。パワハラは職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為です。場合によっては安全配慮義務違反にもなります。
 それだけでなく、人事考課権限の濫用は、労働契約法第三条第五項で禁じている労働契約に基づく権利行使に当たっての濫用にも該当します。
 具体的にどのような不当な評価が該当するのか考えてみましょう。

評価そのものの問題

 客観的な評価基準などが無く、上司の裁量で主観が相当入り込んでいる場合や、評価基準はあってもその内容が曖昧であったり、あるいは評価する上司がそうした基準(客観的な評価基準)を厳密に捉えず恣意的・感情的に評価がなされる場合は、人事考課権限の濫用に該当します。
 コミュニケーションに問題がある、期待に満たないと称して低い評価をする場合はこちらに該当します。

根拠の事実の問題

 そもそもその根拠となる事実が、会社または上司によって恣意的に作り出されたものである場合には、人事考課権限の濫用に該当します。
 事実と異なる作り話(嘘・虚構)や認識間違いによって事実が曲げられ、それによって低評価根拠としている場合はこちらに該当します。

人事考課権限濫用の類型

 人事考課権限濫用には以下のようなタイプがあります。
①強行法規違反
 人事考課が強行法規(労基法3条、雇用機会均等法6条、労組法7条など)に違反している場合がこれに該当します。
②成果主義人事の趣旨に反する査定
 成果主義人事において、職務遂行能力以外のステレオタイプな属性(婚姻の有無など)を理由に低い査定を行うことは、人事考課の本旨に反し、これに該当します。
③人事考課制度の趣旨・手続きに反した不適切な運用
 人事考課が制度に違反・逸脱して行われている場合がこれに該当します。
・客観的基準を無視した恣意的・感情的考課
・考課項目・考課基準適用の誤り、事実誤認による不当低評価
・考課手続が遵守されず形骸化(一次考課者の判断のみで決められている、フィードバック制度が遵守されていない)など。
④目標管理の不適切運用、能力開発制度の不備等
 目標設定が高すぎたり、十分な能力開発を行わないまま低い考課を行っている場合がこれに該当します。
 労働者に成果・業績を問う以上、仕事は本人が選択し、その適性やキャリアに適合しなければなりません。それを考慮しないまま配置・配転を行った場合は、公正な考課とは認め難く、人事考課権限の濫用が成立し得ます。

人事考課権限濫用による不利益

 人事考課権限の濫用により労働者に損害が生じた時は、使用者は損害賠償責任を負います。

【秋闘要求】Workdayの改善を要求

裁量労働手当・各種手当の増額も

 秋闘1次要求に続き、10月23日に秋闘2次要求を提出しました。2次要求では、日本IBM特有の様々な要求が含まれています。これには、Workdayや給与計算についての改善要求やハラスメントにかかわる問題まで多岐に渡ります。

Workday改善要求

 Workdayは、「社員の皆さんはよりスマートに働くことができるようになります」として昨年12月から導入され一年近くが経過しました。しかし、使いづらい状況は改善されていません。
 そこで、次の各要求事項に対し、改善策を社内に広く公表し、改善状況を逐次発表することを要求しました。
①月初から当日までのフレックス清算時間、深夜・休日勤務、代休勤務時間、代休取得時間、変則勤務、振替勤務のそれぞれの時間数がわかるようにすること。
②代休勤務、代休取得、各種手当の申請を就業規則に則す形でシンプルに分かりやすくすること。
③障がい者手帳を2つ以上登録できるようにすること。
④論理的な意味での組織表及び組織名が表示されるようにし、ブルーページにも反映されるようにすること。
⑤ビジネス・ネームを使えるようにすること。
⑥プロファイルの職務を正しく反映すること。
⑦勤務時間の終了理由デフォルトを「食事」ではなく「休憩」にすること。
⑧時間の表示を十進法ではなく六十進法(通常の時間表記方法)で表示すること。
⑨パフォーマンスを改善すること。
⑩年次有給休暇のカット対象日数を表示すること。

給与計算部門への要求正しく給与計算をせよ

 信じられないような給与関係の計算ミスが繰り返されています。皆さんも今一度給与明細のチェックをお勧めします。今回、次の要求をしました。
①シニア契約社員の契約内容と給与の整合性の確認を必ずとり、間違えないこと。
②社員の住所を間違えないこと。
③社会保険料標準報酬月額を間違えないこと。
④年末調整内容を給与の控除費目や支払費目に正しく反映させ、間違えないこと。

裁量勤務手当の増額要求

 他社と比べても高くなく、長年据え置かれている裁量労働勤務手当の増額を要求しました。Band7の社員は118,000円に増額(現行:70,000円)、Band6の社員は82,000円に増額(現行:50,000円)

出張手当等の増額を要求

 消費税増税に伴い社員の負担が重くなり、各種手当の改善要求が高まっています。また、これらの手当は長年据え置かれたままです。そこで、次の要求をしました。
①各種出張手当を一律500円増額すること。
②2時間以上の時間外労働をした際に支給される食事手当を500円に増額すること。

パワハラの中止要求

 ハラスメント防止法の成立を受け、現在注目されているハラスメント関連の要求も提出しました。
 2015年12月1日に、中央労働基準監督署から「退職しないと解雇だ」と言われてうつ病になった従業員が労災認定を受けた事実を重く見て、今後、このようなパワハラによる労災が発生しないよう再発防止策を策定し、発表することを要求しました。
 さらに「あなたにやってもらう仕事はないから自分で異動先を探すか退職せよ」というパワハラが横行している点を指摘し、会社はこのようなパワハラを直ちに止めることを要求しました。

違法行為者の処分要求

 労災認定・パワーハラスメント・セクシャルハラスメント・マタニティーハラスメント・パタニティーハラスメント・障がい者虐待・不当労働行為などが第三者機関で認定された場合、あるいは解雇無効判決や退職強要判決が出た場合、これらの違法行為に関わったラインマネジャー・経営層・人事担当を処分することを要求しました。

人員再配置の要求

 業務の海外移管により、職場を失い、また永年培ってきたスキルを活かせない社員もいます。当該社員については本人の意向を十分尊重した上、新職場の提示・確保と必要十分な研修を実施することを要求しました。
    ・・・
 2次要求の回答日は、11月6日です。組合は1次要求で掲げた賃上げ回答の積み上げ交渉とともにこれらの協議をします。

パワハラ賃下げ裁判 原告十八人に倍増

 2018年当初は9人で出発したパワハラ賃下げ原告団ですが、この間に被害者が次々と組合に入り追加提訴。この10月に開かれた第7回口頭弁論においてもさらに追加提訴が併合され、ついに当初から倍増となる18人の大原告団になりました。

賃下げの違法性を反映

 原告団の特徴は、まさに会社のパワハラ賃下げの違法性の実態を反映している点です。当初は2016年の7%賃下げ被害者からなる9人で準備を進めましたが、提訴の準備中も日本IBM本体及び100%子会社からも被害者の加入が相次ぎました。
 まず提訴直前に2人が加入。さらに2012年に業績理由で賃下げされた人達や、2013年、2014年にPBC評価で一律賃下げされた人達が原告に加わりました。
 原告らの賃下げ率も5%、7%、10%、15%と多岐にわたり、しかも複数回賃下げされた人もいます。賃下げ理由も一貫性が無く、会社の恣意的なやり方を反映しています。このことそのものが、会社が労働契約法に違反して好きなように賃下げしてきた実態を表しています。

パワハラ低評価で

 Aさんは中途入社でしたが、あるプロジェクト要員として見込まれて採用されました。ところが入社してみると、そのプロジェクトが受注できなかったことを知りました。当然Aさんが予定していた作業はできず稼働率は下がります。Aさんはそれを理由に低評価にされました。プロジェクトが受注できなかったのはAさんの責任ではありません。しかし、入社1年目のAさんは低評価を理由に賃下げされてしまいました。これは業務型と労務管理型を組み合わせたパワハラ低評価です。

パワハラPIPで

 Bさんは体調を崩して休職しました。ところが復職したところ「健康になること」というPIP(業績改善プログラム)を強要されました。Bさんはそれが原因で体調が悪化し不合格に。そして賃下げされました。これは差別型のパワハラであるばかりでなく、労働安全衛生法違反です。

パワハラ賃下げで

 Cさんは部門に人員削減目標があると言われ退職勧奨されました。それを断ったところ仕事をオーバーアサインされ、無理だと断ったら賃下げされました。これは業務型と労務管理型を組み合わせたパワハラです。
 Dさんはみんな一緒だと言われ賃下げされました。これは労務管理型パワハラであるばかりでなく、労働契約法違反です。

過去の賃下げも救済

 賃金に関する時効は2年ですが、それ以前に賃下げされた場合であっても、直近2年分については取り戻すことができます。また、複数回賃下げされた場合であっても直近2年分についての賃下げ合計分を取り戻すことができます。

個人業績率最大200%

秋闘の回答団交で判明

 前号でお伝えした秋闘1次要求に対する会社回答についての団体交渉が10月2日に行なわれました。その内容をご紹介します。

賞与の個人業績率
  0%~200%
  平均100%

 もうすぐ年末賞与を控えているため、個人業績率の見直しについて組合が協議したところ、会社は賞与の個人業績率については、PBC時代の最高160%とは違い、最高は200%、最低は0%、平均は100%であると明かしました。
 組合は、過去のPBC時代とは異なり、チェックポイント制度になってさらに柔軟な個人業績率の配分が可能になったので、個人業績率を0%とするようなことは極力避け、懲罰的な運用をしないよう要求しました。
組合 (個人業績率が)0%から200%まで幅があり、そこで0%とは、自分は何もしなかったのかと感じてしまう。評価分布の全体像を開示すべきではないか。
会社 正規分布でやってくれというガイドはしていない。ただしフィードバックはマネジャーからきちんとないといけない。
 上は200%まであるということだが、あまり見たことが無い。うまく配分されているのか。
 全員100%なら予算に合う。200%の人を作れば0%の人も作らなければいけなくなる。
 平均100%になるように原資は配分されているのか。
 そうだ。同一部署の中で平均100%となる。

会社業績達成度 不誠実な説明に終始

 賞与に影響する指標としては、もう1つは会社業績達成度です。組合は、なぜ今年の会社業績達成度が昨年の76を下回って70になったのか、という説明を資料を開示し説明することを要求していました。
 会社回答は「賞与・定期棒の変動部分として、50%をIBMコーポレーションの会社業績、残りを日本IBMの会社業績に基づいて原資を決定します。日本IBMの会社業績指数は、税引き前利益、売上高伸び率、キャッシュフローおよびその他の質的指標(お客様満足度、マーケットシェア伸び率、ワークフォース・ディベロプメント)に基づいてマネージメントが決定します」と従来の回答のコピー&ペーストです。
 会社が誠実に説明するのなら、まずはこれまで根拠として主張してきたUSーGAAPに基づく財務資料の開示が必要です。それを用いて説明しないと賞与についての交渉が成り立たちません。このような状態が継続することは不誠実団交に該当します。

日本の従業員にも配慮を

 ビジネス・ラウンドテーブルが宣言した株主第一主義から従業員配慮への姿勢転換について、どのように考えるかを問うたところ、ダイレクションは下りてきていないと説明がありました。
 組合は、現地子会社からの収奪ばかり進めるのではなく、現地従業員への配慮が必要であることを強調しました。

消費税増税分の賃上げの上積みを要求

 組合員については、まだ賃上げ額について妥結せず、交渉を続けています 。
 組合は賃上げについて上積み回答を求めています。それは、生活関連商品の値上げラッシュに続き、2%消費税増税が実施されたからです。それを上回る平均賃上げ率とならなければ、実質的な賃下げと同じだからです。組合は平均賃上げ率が2%以上となるよう上積み要求をしていました。
 会社は「職務内容とスキル、個人の業績、給与の競争力等を総合的に勘案して決定されます」とし、続けて「消費税増税を考慮にした賃上げという要求に応じる考えはありません」と文書回答しました。

 就業規則の第3条では会社は従業員の福祉を図り健康で文化的な生活の向上に寄与するよう努力するとうたっている。この点についてどう考えるのか。
 抽象的な書き方がされているが、個々の給与調整については、その時々の会社業績等々を踏まえながら原資が決まっていく。
 増税された今年は従業員の生活に配慮して原資を決めてほしい。
 そういう考え方はない。人材の取り合い合戦をやっている他の企業の動向を見ながら決めている。

昇給の根拠となるデータの開示を要求

 組合は以下の点について開示を再要求します。上積み妥結した場合は遡って差額支払いを受けます。
①スキル(必要スキルと、その高い・低い)
② PMR
③ パフォーマンス(チェックポイントの結果)
④ 将来性(そのバンドに何年、在籍年数)
⑤ 職務内容と給与レンジ
・回答に基本給と賞与基準額も入れること。
・会社が主張する会社業績達成度の根拠を、資料を示し説明すること。

組合要求が実現

給与位置がわかった

 

 組合が長年取り組んできた要求内容がこの春闘のたたかいの中で次々と実を結んでいます。以下にご紹介します。

喜びの声続々と

 まずひとつはハラスメントとのたたかいです。この間、多くの方から相談を受け、団体交渉で協議してきました。これによりパワハラが止まったと、たくさんの喜びの声をいただきました。
 さらに、パワハラ賃下げについても組合は早い段階から反対を表明し、過去2回にわたる裁判で得た会社との協定をもとに団体交渉を進めた結果、今年も賃下げされた組合員は一人もいませんでした。

給与位置がわかった

 ついに会社が給与レンジとPMRを開示しました。給与レンジとは自分が属している職種・バンドの給与(リファレンスサラリー)の上限・下限のことです。PMRとは自分の給与レンジの中央値からのずれのパーセンテージを示しています。自分の給与(リファレンスサラリー)が中央値と同じなら1.0になります。
 これらの値は交渉の際に重要な指標となるため、組合は長年にわたって会社に要求し続けてきましたが、ついに要求が実現しました。組合は9月1日付賃上げ交渉についてはまだ妥結していません。これらの指標をもとに組合員ひとり一人について交渉を継続しています。

有期労働者の差別禁止

 2018年7月に働き方改革関連法が成立しましたが、このとき「同一労働同一賃金」を求める大きな社会運動の盛り上がりを受けて、パートタイム労働法が「パートタイム・有期労働法」となり、有期労働者の不合理な待遇が禁止される法律が成立しました。
 このことは組合要求と大きく関連しています。有期労働者の中には定年後再雇用者も含まれているからです。組合はシニア契約社員の処遇改善の一環としてこの社会運動に当初から参加してきました。この法律の施行は2020年の4月です。シニア契約社員の契約更新は年度単位ですから、会社はこの12月の更新での契約内容が違法とならないようにしなければなりません。

AIツールは何のため

 今年の賃上げに際しては、情報開示が増えた一方で新たな問題も出てきました。その一つがAIツールであるIBMコンペンセーション・アドバイザー・ウィズ・ワトソンの使い方の問題です。会社がリンクで紹介したサイトにはマネジャー向けと一般社員向けの紹介ビデオがあります。
 一般社員向けの紹介ビデオには、マネジャーが見ている画面に個々の社員の給与に関する11項目の情報が一目でわかるように網羅されています。
 紹介ビデオは、一般社員の役を演じている人がマネジャー役の人からこれらの情報を使って十分な説明を受け、自分の給与に関する疑問がすっかり解消されたような満足な顔をして終わります。
 ところが組合が団体交渉で会社に確認したところ、意外な答えが返ってきました。以下にご紹介します。
会社 当該ツールに示された一つ一つの情報をそのまま社員に開示することを前提としていない。
組合 あのビデオはそのようには見えないが。
会社 給与調整は職務内容、スキル、業績、給与の競争力などを総合的に勘案して決定する。今までもそうだし、これからもそうだ。
・・・
 社員の皆さん、ビデオを見た上で、右記の会社の答をどうお感じになるでしょうか。是非組合サイトからご意見を投稿してください。

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