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相談窓口

被害者3000人以上か

パワハラ賃下げ裁判会社書面より

 第3次パワハラ賃下げ裁判において、会社の提出書面から賃下げの実態が浮き出てきました。今回、日本IBMの従業員のうち、賃金減額の対象となったのが、
2013年=7.6%
2014年=4.8%
と比率が示されました。2012年は減額対象率の記載はありませんが、仮に2012年と2013年が同じ比率であったと仮定して組合推定従業員数を入れてみると、2012年~2014年の3年間での賃下げ被害者および2018年までの被害者を加えると3千人以上に上ることが上表より推定できます。今後、組合はさらに詳細な実態を裁判で明らかにしていきます。

元の賃金に回復した人1割に満たず

 次に会社は、「2012年から2014年に減額調整を受け、その後のパフォーマンスが改善した564人の社員を対象として、2016年の給与調整をみると、その内、41%の社員は、減額措置を受けた金額の金額又はそれ以上の金額昇給を受けている」と述べています。564人の41%=231人です。これは減額調整を受けた従業員の1割にも満たない数字です。5%の賃金減額者を含めてすら、元の賃金には戻っていません。

減額賞与は年2回のためインパクトが少ない?

 さらに「本給は毎月1回支払われるため一度減額された場合のインパクトは大きいが、賞与は年2回しか払われないために減額のインパクトは相対的に少ないと言える」としています。あきれた弁明です。賞与のほうがインパクトが大です。

Expects Moreの数でPIPを実施と説明

 PIP(業績改善プログラム)については、「チェックポイントの評価を踏まえて所属長がパフォーマンスの改善が必要と判断した従業員に対し、PIPが実施され」、「実際にPIPが実施されるのは、チェックポイントの年間の評価において、上記の5つの目標設定のうち、5つ全部又は4つの目標において「Expects More」と評価された従業員に限られ」と説明しています。
 実態は、この数に関係なく実施され、不透明な運用がされています。

 

あまりに低いGDP支給額
 組合は上積み回答を要求

 2018年度(2019年支払い)のGDPは、全額を3月に支給するとし、支給額の発表がありました。
 これについて組合は会社と団体交渉を持ちましたので、その内容を以下にご紹介します。

業績は改善なのに低いGDP支給額

 2007年にそれまでのパフォーマンス・ボーナスに変えてGDPが発表された時には「リファレンスサラリーの6%を基準としたGDPを支給する」と発表されていました。しかし、皆さんがご存知のように最近は6%など支給されたことは無く、今年の支給金額に至っては、遥かに低い金額になっています。なんと、低いと言われた昨年よりも下がっているのです。
 実際にはグローバルの売上高は昨年の791億ドルから796億ドルに、純利益も57億ドルから87億ドルに成長しているのにもかかわらず、このような低額の支給では納得できない水準です。

上積み回答を要求

 組合は団体交渉において、改めて次のように要求しました。
1.対前年比でIBMコーポレーション全体の業績も改善し、日本IBM自体の業績も良かったのは周知の事実ですが、昨年よりGDPの支給額が下がっているその根拠となるデータを示し、さらに支給額の計算方法を示して協議を求めました。
2.個々の組合員について、GDPの回答額の理由を説明する文書を提出し、誠実に協議を求めました。
3.労働組合と協議した上でGDPの上積み回答を求めました。

不当回答に抗議スト突入

生活守る社会的責任はたせ


 新人事制度が導入された2006年からの12年間で私たち社員の平均年収は200万円も減らされました。日本IBMの従業員は低賃金で殺伐とした職場の中、リストラや会社の将来に不安を持ちながら働いています。
 これらを踏まえて、組合は昨年に続きリファレンスサラリーで平均百万円の賃上げを要求しました。様々な賃上げ幅はあっても、月額給与平均で5万円程度になるよう賃上げを求めたのです。
 しかし会社は組合要求の意味を理解せず、第1次回答にて「給与調整額はペイ・フォー・パフォーマンスに基づいて決定」「一律の賃上げはIBMのポリシーと相容れないもの」とトンチンカンな回答をしました。
 さらに、昇給日を4月1日付に戻す点や、物価上昇率分及び消費税上昇分を考慮した昇給についても、何の理由も示さず「要求に応じる考えはありません」と述べるのみで、まともに回答する姿勢すら見せませんでした。
 私たちはこのような会社の姿勢に抗議して3月7日早朝に1時間のストライキを実施しました。

まじめに賃上回答せよ

 以下、賃上げに関する団交でのやりとりをご紹介します。
組合 私たちの要求は一律に百万円上げる要求ではない。会社回答は組合の要求と異なる内容の回答だ。今年の給与調整についてはどう考えるか。
会社 現時点ではまだ決まっておらず、ここで申し上げることはできない。
 会社として今年度の事業計画を練る上で、基本的な平均給与をどれくらいにもっていくのか、方針はすでに決まっていなければおかしい。今年の賃上げパーセンテージ平均がこれくらいだ、というのは言えるはずだ。
 全社平均と言う考えがない。ビジネスユニットごとで変わる。
 ではビジネスユニットごとの平均賃上げ目標を示してほしい。
 持ち帰って開示できるか検討する。昇給できるかの検討は随時している。

【春闘回答】要求実現!勤務間インターバル・ガイド

しかし今年もパワハラ賃下げを実施

 組合の重点要求の回答状況をご紹介します。
 勤務間のインターバル時間をガイドするという前進回答があった一方で、シニア契約社員の処遇改善や、CEの緊急呼び出し当番手当についてはゼロ回答。それどころか、今年もパワハラ賃下げを行うとしました。

10時間の勤務間インターバルをガイド

 健康に配慮した働き方の要求が実現しました。既にラインマネジャー向けガイドに勤務間インターバルを10時間もうけるように指示が出ています。
 例えば深夜2時まで業務を行った場合、次の勤務開始時間は昼の12時以降が社内ルールになります。

Wоrkdayはいつになったら直るのか

 Wоrkday@IBMの品質改善や、正確な給与計算、そしてHR@IBMの対応改善をするように要求した件では、会社は次のように文書回答しました。
 会社回答全文(一部カタカナ表記に直しています)「IBMでは、グローバリー・インテグレーテッド・エンタープライズとしてグローバルレベルで効率的な効果的なオペレーションを構築し運用しています。オペレーション上、何らかの不具合が生じた場合は、会社は関連部門と連携し、必要に応じて適切に対応してまいります」
 会社は「給与人事データの移行中にミスが出ているが、タスクチームにおいて優先順位をつけ対応している。現在は収束してきている」と説明しましたが、問題収束へのロードマップは示されていません。これでもITの会社でしょうか。

世の中では通用しないパワハラ賃下げ

 会社は今年もパワハラ賃下げを実施すると答えました。以下に団交でのやりとりをご紹介します。
組合 今年の賃金減額は行うのか?
会社 給与調整の下がる方も行う。
 もし賃下げをすれば新たな争議が起こる。会社は(裁判で)認諾している。請求を認める和解もしている。もうやめてはどうか。
 ペイ・ディファレンシエイトが会社の方針だ。
 世の中でそれは通用しない。

賞与基準額の引き上げは考えていない

 賞与基準額の平均が2005年当時の6割程度になっているため、1・6倍の補正を要求していました。この問題について、会社は、「こういった事実はとらえていない」とし、「1・6倍の修正は考えてない」、その理由として「パフォーマンスと関係のないところでの調整は考えていない」としました。
 他社に比べて現在の賞与水準が見劣りするのは事実です。会社は賞与水準を引き上げるべきです。
 また、ボーナスの重要な指標である「USーGAAPに基づく日本IBMの財務諸表は開示しない」「個人業績率の根拠を示さない」「バンドごとの平均支給額を示さない」などデータ開示を正当な理由なく拒否しました。これでは、賃金に関する労働協議を拒否することになるため、労働委員会への申し立てにつながります。

今年もGDPを支給

 会社は「IBMコーポレーション全体の収益と純利益が前年度対比で成長しなかったが、重点分野での成長が見えている」として、今年もGDPを支給すると回答。組合の要求は、導入時の約束である6%の支給です。

シニア契約社員にボーナス支給なし

 会社は、「シニア契約社員にボーナスを支給する考えはない」続けて、「不合理なことにならないように、法律を遵守することが基本」その上で「支給する方向では検討していない」としました。
 支給日まで3ヵ月と迫り、このままでは、厚労省の同一労働・同一賃金のガイドラインを破ると言っているのと同じです。司法の場で均等待遇は、時代の流れになっているのにもかかわらずです。

CE緊急呼び出し当番手当は支給しない

 緊急呼び出し当番手当の1回あたり1万円支給について、会社は要求に応じないと回答。当番のせいで家族旅行もできないCEの働き方についてもっと真剣に考え、会社として手当を支払う判断をするべきです。CEのみなさん、要求実現のために団結しましょう。

リファレンスサラリーで100万円の賃上げ要求

【春闘要求】

回答日3月6日

不調なら3月7日早朝スト

 

 昨年の春闘での賃金実態調査で12年間に社員の年収平均が200万円も下がったことが明らかになりました。それでも会社はパワハラ賃下げを止めようとしません。
 それを受けるように今年の春闘アンケートでは職場の不安・不満として「会社の将来」、「雇用・リストラ」、「賃金」が3大不安として浮かび上がり、日本IBMの従業員は低賃金で殺伐とした職場の中で、リストラや会社の将来に不安を持ちながら働いていることが鮮明になりました。
 これらを踏まえ、組合は2月20日に春闘要求を提出しました。以下に紹介させていただきます。

足りない賃上げ

 昨年の春闘でも組合がリファレンスサラリー百万円賃上げを掲げてたたかった結果、従来にないほど昇給者の多い年になりました。しかし、まだまだゼロ昇給の人が多く、全従業員で見ればリファレンスサラリー平均数万円程度の上げ幅しか無かったと組合は見ています。
 今年は秋に消費増税が予定されているのに加え、最近は生活関連商品が次々と値上げされています。会社は一所懸命に働いている社員の生活を守る社会的責任があります。
 組合はまず昇給日を4月1日に戻すことを要求。その上で再度リファレンスサラリー百万円の賃上げを要求しました。これは月額本給で5万円、賞与基準額で40万円の賃上げ要求と同じ意味になります。
 回答指定日は3月6日。会社回答が不調なら組合は3月7日早朝に1時間ストライキを実施する構えです。ぜひとも応援をお願いします。

パワハラ3点セットに対抗

 パワハラ低評価に対抗するため、チェックポイント評価内容について組合から疑義が出され、団体交渉の申し入れがあった場合、速やかにその内容について誠実に協議することを要求しました。さらに、パワハラPIP(業績改善プログラム)にも対抗すべく、当該PIPについて疑義が組合から出され団体交渉の申し入れがあった場合、PIPを一旦中断し、速やかにその内容について誠実に協議することを要求しました。
 パワハラ賃下げについても、速やかに第3次パワハラ賃下げ裁判を解決することを要求しました。
 過去2回の裁判でこの賃下げが違法であることは会社も認めているにもかかわらず、裁判で争った人に対してしか、まともに対応しません。
 今回の第3次裁判ではパワハラ賃下げされて我慢していた社員が続々と加わっています。

【春闘要求】Workday@IBMの改善を要求

会社は速やかに対応を

 

 1面から引き続き組合の重点要求を紹介します。まず、今年の関心の的であるWorkday@IBMや給与計算部門への要求をしました。

Workday@IBM改善要求

「Workday@IBMは人事関連業務を変えます!社員の皆さんはよりスマートに働くことができるようになります」として12月から導入されましたが、その品質レベルを満たしていません。以下の要求をしました。
・口コミで使い方を広げるのでなく、人が見てわかるガイドを整備すること。
・スマートフォンでの使い方を、口コミでなく、きちんとガイドすること。
・手当の申請を別の行にしなくてもよいようにすること。
・実態に合った半休を申請できるようにし、エラーが表示されないようにすること。
・勤務実態に合った申請ができるようにすること。
・障がい者手帳を2つ以上登録できるようにすること。
・論理的な意味での組織表及び組織名が表示されるようにすること。これがブルーページにも反映されるようにすること。
・ビジネス・ネームを使えるようにすること。
・プロファイルの職務を正しく反映すること。
・勤務時間の終了理由デフォルトを「食事」ではなく「休憩」にすること。
・月間のフレックス合計時間と時間外勤務合計時間がサブミット前にわかるようにすること。
・時間の表示を六十進法(通常の時間表記方法)で表示すること。
・低品質なまま社内使用に踏み切らないこと。
・パフォーマンスを改善すること。

正しく給与計算を行え

 シニア契約社員の給与支給額が入力ミスで少なくなる問題が発生しています。
 また年末調整において、保険料控除申告書のデータを正しく反映できず、源泉徴収税額が正しく計算されないという問題も発生し、個人で検算が必要なレベルです。
 以下の要求をしました。
・シニア契約社員の契約内容と給与の整合性の確認を必ずとり、間違えないこと。
・社員の住所を間違えないこと。
・年末調整内容を給与の控除費目や支払費目に正しく反映させ、間違えないこと。
・日本IBMのスタッフは大連の管理・監督を行い業務が正しく行われていることを担保すること。
 更に、このような問題が発生した時の問い合わせ先HR@IBMへ以下の要求をしました。
・Q&Aを正しく日本語で処理できるようにすること。
・返答が遅れている理由を、英語で質問しなかった、という理由にしないこと。

賞与に関する要求基準額を1.6倍に

 組合の実態調査によれば、新人事施策が導入された2006年以降、賞与基準額が十分に引き上げられておらず、現在は2005年当時の賞与基準の6割程度になっています。以下の要求をしました。
・現在の賞与基準額を1.6倍に補正すること。補正した上で、その半分を夏季賞与分として支給すること。
・会社業績達成度は賞与算定の重要なファクターである日本IBMのUS-GAAP基準の財務諸表を開示・説明し、交渉に応じること。
・個人業績率について、その根拠を示し、交渉に応じること。
・バンドごとの平均支給額を示すこと。
・2005年にGDPが発表された時の約束を守り、リファレンスサラリーの6%以上のGDPを支給すること。なお、GDP支払額の計算根拠を明示すること。

シニア契約社員に賞与を

・シニア契約社員にも賞与を支給すること。
2018年末に厚労省は同一労働・同一賃金ガイドラインを発表しましたが、シニア契約社員も通常の契約社員と同等に扱い、正社員と差別してはならなくなりました。バンド3だけに賞与を支払わないのは差別にあたります。バンド3のシニア契約社員に対しても、他のバンドの正社員と同様に賞与を支払うことを要求しました。

CEの緊急呼び出し当番手当1回1万円

・24時間365日の保守契約への対応として、CEに負担を強いる当番制度ではなく、3交代制にすること。
・要求が実施されるまで当面、所定労働時間外にかかる緊急呼び出し当番勤務に対して1回あたり1万円以上の手当を支払うこと。

パワハラ3点セットを撲滅しよう

パワハラ低評価・パワハラPIP・パワハラ賃下げ

 

 日本IBM本体やISCーJなどの子会社でパワハラが蔓延しています。「個人成績評価」「改善指示」「賃下げ」を巧みに使って人員削減や人件費の圧縮に利用されています。
 前号でご紹介したパワハラの定義を振り返りながら以下に解説します。

パワハラ低評価

 チェックポイント評価制度になって一層、何をもって評価されているかがわかりにくくなりました。まさに会社のパワハラ管理体質のベースになっています。そもそも評価というのは「業務命令と勤務評価」が対応している必要があります。つまり、目標・結果・評価が本人の納得する形で明示・説明されてこそまともな評価だと言えます。
 例えば、合意していない目標や、勝手に目標をすり変えて低評価にされたらパワハラです。
 また、合意した目標を全て達成しても「バンド要件に達していない」だとか「君にはもっと期待している」などと言って低評価にされるのもパワハラです。そもそも目標を合意していたのに後から「バンド要件」を持ち出すのはおかしな話です。「君に期待」も同様です。Expects Moreというのは結果に対してのものであって、将来に対するものではありません。
 稼働率が不足していることのみをもって低評価とするのもパワハラです。本来、業務のアサイン責任は会社にあるからです。
 客観的に見て誰からも納得のいく形で評価されているのでない限り、所属長という優越的な地位を背景にした労務管理型パワハラです。

パワハラPIP

 これは「業績改善プログラム」という名のリストラ・プログラムであることはもはや有名です。
 そもそも開始前に目標に達しなかった場合の処置として「職務の変更」や「所属変更」「降格とそれに伴う減給」「減額給与調整」を最初に示す時点でこのプログラムが組織的パワハラだと宣言しているようなものです。このような形で進められる「改善」は所属長と本人の人間的な信頼関係を損ねるばかりか、信頼関係の無い下での「指導」は本人の成長には一切役立ちません。
 会社の制度という形を取り、所属長という優越的な地位を背景にして強引に押し進めるこのプログラムは業務型と労務管理型を組み合わせたパワハラです。

パワハラ賃下げ

 「業績が期待に達しなかった」という理由で賃下げされる、道理も何も無い賃下げです。賃下げされるまでに「パワハラ低評価」↓「パワハラPIP」↓「パワハラ賃下げ」という順で狙った人を囲い込みます。これまでの2度の裁判で、このパワハラ賃下げが違法であることは会社も認めています。
 賃下げの恐怖から社員は毎年「賃下げされなくて良かった」という心理になり、賃上げに関心が向かなくなりました。これにより会社は12年間で200万円も社員の年収水準を引き下げ、利益をかさ上げしたのです。
 パワハラに対抗するには公の場に引きずり出すのが有効です。団体交渉や、場合によっては裁判がその手段となります。

裁判を通じ掴んだ幸せ

 裁判の結果、差額賃金を取り返し、さらに給料も元の額に戻った人は幸せな会社生活を送っています。給料が元に戻るということは現在のみならず、厚生年金の積み立て額にも影響しますので、老後の安心にもつながっています。さらに50才代で昇給した人もいますし、すでに定年を迎えてシニア契約社員として再雇用されている人もいます。

賃上げ要求過去最高

不安のトップは「企業の将来」

 春闘アンケートのコメントに不透明な評価や過重労働への不安、会社の将来の不安ついて多くの意見が寄せられたことを前号で紹介しました。
 今号では、アンケートの項目ごとの集計結果を報告します。
 今年も、20代、30代の若手から多くの回答が寄せられ、全体の3割となりました。また職種では、SE系、営業系、コンサルなど多くの方からアンケートに回答をいただきました。

厳しい生活実感「苦しい」50代56%

 まず、生活実感について聞きました。50代で56%の人が「かなり苦しい」「やや苦しい」と回答しています。
 年齢が上がるにつれ、30代=36.7%、40代=47.5%、50代=55.7%と上昇していきます。これは、近年同じ傾向です。住宅や子供の教育費にお金がかかる年代の生活が苦しくなっている実態がわかります。

賃上要求額が過去最高

 すべての年代で昨年の賃上げ要求額を大きく上回りました。特に20代と30代では、5万円以上の要求になっています。20代から50代の平均で4万3千641円になります。
 その理由として、まず賃上げが抑制されていることがあります。加えて、物価上昇による支出の増加。さらに今年は、消費税10%への再増税が予定されていることもあるでしょう。また厚生年金保険料率をみても、2004年に13.934%だった負担(会社と本人が半分ずつ)が、昨年は18.300%まで上昇するなど、私たちの支出は毎年増え続けています。生計費原則に基づいた大幅賃上げが必要です。この声を会社は受け止めるべきです。

職場の不安・不満トップが「企業の将来」

 職場の不安・不満に感じることは何かを聞きました。4割の方が「企業の将来」と回答があり、初めてこれがトップになりました。2017年=28%、2018年=33.8%、そして今年=40.6%に上昇し、会社の将来への不安が浮き彫りになりました。
 続いて「雇用・リストラ」37.3 %、「賃金」27.6 %とトップ3は変わりません。次に「査定・評価」25.8%が続き、評価に対する不安は引き続き高止まりしています。
 労働環境については「労働時間」17.5%、「過労・健康」16.1%、「ただ働き」5.1%と実態が数字に表れています。
 「パワハラ」については、「雇用・リストラ」、「賃金」、「査定・評価」を合わせると、なんと95.8%となり、ほぼ全員がいずれかの不安を感じています。
 みなさんから寄せられたアンケートをもとに、2月20日に春闘要求を会社に提出します。

不透明な評価・過重労働に不安

-春闘アンケートの声-

 春闘アンケートにご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。不透明な評価や過重労働の実態、困りごとなど多くの声をいただきました。以下に紹介いたします。

職場環境について

・プロジェクトの関係上、徹夜が数週間続いている(コンサル30代女)
・働きすぎ。9時から0時(営業系20代男)
・「SOは請負」のため、お客さまからの仕事を断ることができず、長時間労働が常態化しています(SE系30代女)
・スキルをつける時間がなく、将来新しいことについていけなくなるのではないか(SE系30代女)
・仕事量は調整しやすい。休みもまあまあ取りやすい(本社系40代女)
・業績低迷になった時に何をやりだすかわからない。なりふり構わず経費や賃金削減に走る会社の姿勢が恐い(50代男)
・GBSは社員が孤立した派遣業です。何の希望もありません( 50代男)
・個人のスキルだけに頼ってチームワークがないと思う(営業系50代男)
・みな殺伐としていて働きにくい(営業系30代男)
・安心してパフォーマンスを発揮できるような会社であることは、価値が高い施策だと思います。そういった方向性への取り組みを期待( 40代男)
・現場の「人」を大切にしてほしい(営業系50代男)

職場で困っていること

・グローバルのテレコンが夜中にある(本社系40 代女)
・ワークライフバランス(育児と労働の両立)、残業が多い(本社系30代女)
・必要なリソースが足りていないため、ワークロードがかかっている(営業系50代)
・よく案件がなくなること(コンペで負けるなど)(SE系30代女)
・Travel@IBMは交通費精算の実情とマッチしていない。Workday@IBMは混乱(50代男)
・CheckPointは何が評価軸になっているのか不明で、得体のしれぬ恐怖感がある( 50代男)
・自分の業績評価が曖昧でわからない。自分の評価がぼやかされている気がする(SE系50代男)
・年間を通して、職場の同僚と会うことがない。上司も会うことはほとんどない。それで、あれが悪かったとか業務評価を適当につけられる( 30代男)

労働条件・福利厚生

・若手の給料が安すぎる(営業系50代男)
・他の会社にお勤めの友人に給与も言えないくらい年齢に見合わない給与レベル(事務系50代男)
・隙あらば減額する施策なので、もうマイホームの購入は実質不可能。今後増えていく教育費をどうするか深刻な悩みになってきている( 50代男)
・シニア契約を改善してほしい。普通の日本企業と同じレベルにしてほしい(SE系50代男)
・家賃補助がほしい(コンサル20代女)
・福利厚生は、もっと充実させてほしい(コンサル30代女)
・特に健康増進面のサポートが必要だ(コンサル50代男)

会社の将来について

・若い人に話を聞く機会があったが、IBMのイメージは「悪の帝国」だそうだ。社会悪を垂れ流す会社に存在価値は無い(シニア60代)
・エグゼクティブ層は何やらビジョンを語っているようではあるが、近視眼的な数字の帳尻合わせの施策ばかり( 50代男)
・つまらない点取り虫ばかりが上層部を占めていると感じます( 50代男)
・お客様第一を考えないと既存カストマーが離れていく(営業系40代男)
・社会的地位や業界プレゼンスが下がってきている。これ以上下がると、人材が集まらなくなる。(コンサル50代男)
・優秀な人材流出が止まらない(SE系40代男)
・若い子がどんどんやめていく(営業系20代男)
・将来に対して適切な投資を行っており期待できる(コンサル40代男)。
・Redhatの買収が気になる( 40代男)

日本IBMでパワハラが蔓延

-デリバリー部門は影の獄-

 社会的にパワハラが問題視されている中、日本IBMの社内から次々と告発の声があがっています。
 特にGBS事業やGTS事業のデリバリー部門(お客様に実際にサービスを提供している部門)ではパワハラを目的としたPIP(業績改善プログラム)や、親会社である日本IBM社員による子会社ISCーJ社員への過重労働の押し付け、さらにはパワハラを目的とするチェックポイント低評価が蔓延しています。
 この状態はまるで影の獄(半ば正気を失った、理性と人間性が半分暗闇に紛れている状態で生きている者たちが権力を握っているなかに居続けることで引き起される過度の緊張状態)のようです。

パワハラとは

 パワハラを改めて定義すれば「優越的な地位を背景に適正な範囲を超えて精神的あるいは物理的な苦痛や損害を与えること」になるでしょう。その形態を大きく分けると、
①業務型(長時間労働・過重労働、指導・教育、仕事の価値の否認、新人へのもの、不必要業務・違法労働・懲罰労働、アカデミック・ハラスメント等)
②労務管理型(人事管理、退職強要、不適切な制度、自由の抑圧等)
③個人攻撃型(暴力行為、犯罪行為、プライバシー侵犯、アルコールハラスメント、スモークハラスメント等)
④差別型(性差別、年齢差別、障がい者差別、国籍・人種差別等)
⑤顧客型(カスタマーハラスメント等)に分けられます(滋賀大学名誉教授の大和田敢太氏より)。
 以下に社内で告発のあったパワハラをご紹介します。

パワハラPIP

 GBSのある従業員は、稼働率が不足しているという理由でPIPを提示されましたが、その改善目標は、すでに認定を受けている職種とは別の職種でのバッチ取得を目標とするものでした。短期間で別の職種の認定を取得するのは困難であることを、所属長は承知の上で目標にしたのです。
 しかも、あろうことかプロジェクトを離任した直後に設定したのです。取得が困難なことは言うまでもありません。その所属長はPIP未達を理由としてバンドの降格を言ってきたのです。
 これは所属長という優越的な地位を背景にした業務型と労務管理型を組み合わせたハラスメントで、大変悪質なパワハラです。

パワハラPM

 GBSのあるプロジェクトでは、親会社である日本IBMのPMやPLが、プロジェクト予算によって決められた作業予定時間を超えて、子会社ISCーJなどのプロジェクト・メンバーに平然と過重労働をさせています。予定時間を超えた分はILCクレームをさせず、泣き寝入りをさせて知らんふりをしています。
 少しでもこれに不平を言うプロジェクト・メンバーはすぐにプロジェクトから外し、別の人間に入れ替えるということを繰り返しています。着任後一週間でメンバーを入れ替えることもあります。
 これは労働基準法違反であることを知りながら、親会社という優越的な地位を背景にした適正な範囲を超えた業務型パワハラです。

パワハラ低評価

 GTS中部デリバリーでは、名古屋の自動車関連会社様の品質プロジェクトにおいて、プロジェクトの問題点を指摘し改善の相談をしたプロジェクト・メンバーに対し、ラインは改善を避け、責任回避のためチェックポイント評価で当該社員に低評価をつけました。
 このプロジェクトは工数(ILC有償時間数)が充分でないのに、いきあたりばったりで手戻りや無駄が多く、決められた工数内で全て担当者個人に責任を負わせることを当然とするプロジェクトでした。
 プロジェクトの改善をするのでなく、それを指摘したプロジェクト・メンバーに責任を押し付け、低評価としたのです。
 これはラインの優越的な地位を背景にした労務管理型パワハラです。

声を上げよう

 そもそも、使用者(つまり所属長)と労働者(つまり従業員)は法的にまったく対等な関係です(労基法2条1項)。使用者と労働者は対等の立場における合意にもとづいて労働契約を締結し(労働契約法3条1項)、労働者はその契約にもとづいて労働するだけです。使用者は、労働者に対して労働契約にもとづいて労務の指揮命令ができるにすぎません。
 PMやPLについても同様です。あくまでも仕事上の役割を果たしているにすぎず、それを大幅に超える行為は許されません。
 パワハラのない職場を作るには、まずは何がパワハラかを知ること、風通しの良い状況を作ること、声を上げることではないでしょうか。

第3次パワハラ賃下げ裁判

続々と追加提訴者加入

 2018年12月17日、第3次パワハラ賃下げ裁判の第一回口頭弁論が東京地裁527号法廷で行われました。原告側からは、組合の弁護団を代表して岡田弁護士より提訴の趣旨説明がありました。さらに原告団長が意見陳述を行いました。(写真は東京地方裁判所前での宣伝の模様)

岡田弁護士の説明

 岡田弁護士から第2次裁判からの違いと争点の説明がされました。
 今回の減額が賞与部分から実施されている、減額率が10%から7%になっている点などの相違はあるが、争点は「会社側が一方的に給与規定を改訂し、それを根拠に給与減給を実施することは法律違反である」という一点であるということをあらためて説明しました。

原告団長の意見陳述

 原告団長からは、賃下げについて「(当時の)PBC3以下の人が今回賃下げの対象となっていること。その人数割合は、従業員の15%にも及び、会社はPBC評価という相対評価で、15%もの従業員をまとめて賃下げしていること。賃下げ対象者は会社全体にして約2100人程度に及び賃下げ金額総額は全体で約十億円に及ぶと推測されること。その一方、会社の業績は好調で、赤字でもない会社が社員の生活給である給与を苛酷に減額してまで利益をさらに拡大していること」を意見陳述し、賃下げが社員の新陳代謝を促進させるための手段である実態を告発しました。

会社の答弁概要

 会社側の答弁内容は、①就規変更の合理性、運用面での合理性(人事評価)。②制度の運用面での変化。③次回までに個々人の運用レベルではない主張を出す、とし新人事システムの導入で忙しいため答弁書の提出に約3ヶ月を要するとしました。

続々と追加提訴

 2018年末までに4名の追加提訴の申し出があり、時効中断の手続きを経て、随時原告に追加する予定です。賃金請求権の時効は2年であり、すでに2016年の12月の賞与は時効となっています。減らされた給与を取り戻したい方は、迷わず行動を起こすことをお勧めします。

今後の展開

 私たちは会社側が一方的に給与規定を改訂し、それを根拠に賃下げをすることは法律違反であり、許されないと主張しています。会社側は過去に「認諾」と「和解」をしています。これは自ら誤りを認めたということです。
 今回の会社側の答弁内容には、具体性もなければ論理的な内容もありません。このような経緯の中で会社側がどのような主張をするのか注目されます。

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