パワハラ賃下げ裁判会社書面より
第3次パワハラ賃下げ裁判において、会社の提出書面から賃下げの実態が浮き出てきました。今回、日本IBMの従業員のうち、賃金減額の対象となったのが、
2013年=7.6%
2014年=4.8%
と比率が示されました。2012年は減額対象率の記載はありませんが、仮に2012年と2013年が同じ比率であったと仮定して組合推定従業員数を入れてみると、2012年~2014年の3年間での賃下げ被害者および2018年までの被害者を加えると3千人以上に上ることが上表より推定できます。今後、組合はさらに詳細な実態を裁判で明らかにしていきます。
元の賃金に回復した人1割に満たず
次に会社は、「2012年から2014年に減額調整を受け、その後のパフォーマンスが改善した564人の社員を対象として、2016年の給与調整をみると、その内、41%の社員は、減額措置を受けた金額の金額又はそれ以上の金額昇給を受けている」と述べています。564人の41%=231人です。これは減額調整を受けた従業員の1割にも満たない数字です。5%の賃金減額者を含めてすら、元の賃金には戻っていません。
減額賞与は年2回のためインパクトが少ない?
さらに「本給は毎月1回支払われるため一度減額された場合のインパクトは大きいが、賞与は年2回しか払われないために減額のインパクトは相対的に少ないと言える」としています。あきれた弁明です。賞与のほうがインパクトが大です。
Expects Moreの数でPIPを実施と説明
PIP(業績改善プログラム)については、「チェックポイントの評価を踏まえて所属長がパフォーマンスの改善が必要と判断した従業員に対し、PIPが実施され」、「実際にPIPが実施されるのは、チェックポイントの年間の評価において、上記の5つの目標設定のうち、5つ全部又は4つの目標において「Expects More」と評価された従業員に限られ」と説明しています。
実態は、この数に関係なく実施され、不透明な運用がされています。
あまりに低いGDP支給額
組合は上積み回答を要求
2018年度(2019年支払い)のGDPは、全額を3月に支給するとし、支給額の発表がありました。
これについて組合は会社と団体交渉を持ちましたので、その内容を以下にご紹介します。
業績は改善なのに低いGDP支給額
2007年にそれまでのパフォーマンス・ボーナスに変えてGDPが発表された時には「リファレンスサラリーの6%を基準としたGDPを支給する」と発表されていました。しかし、皆さんがご存知のように最近は6%など支給されたことは無く、今年の支給金額に至っては、遥かに低い金額になっています。なんと、低いと言われた昨年よりも下がっているのです。
実際にはグローバルの売上高は昨年の791億ドルから796億ドルに、純利益も57億ドルから87億ドルに成長しているのにもかかわらず、このような低額の支給では納得できない水準です。
上積み回答を要求
組合は団体交渉において、改めて次のように要求しました。
1.対前年比でIBMコーポレーション全体の業績も改善し、日本IBM自体の業績も良かったのは周知の事実ですが、昨年よりGDPの支給額が下がっているその根拠となるデータを示し、さらに支給額の計算方法を示して協議を求めました。
2.個々の組合員について、GDPの回答額の理由を説明する文書を提出し、誠実に協議を求めました。
3.労働組合と協議した上でGDPの上積み回答を求めました。