退職勧奨、PIP、賃金減額、いじめやハラスメントなどで困っていませんか?そんなときは組合に相談しましょう。上の「ご意見ご感想」リンクをクリックしてメールで送るか、平日なら右のボタンで相談窓口へご連絡を。
相談窓口

産別統一闘争の前進で組織拡大と要求実現へ

JMITU第6回定期大会

 要求実現の力を持つ労働組合へ組織拡大・強化し産業別統一闘争を強化しようと7月14~15日、静岡県の伊東市でJMITU第6回定期大会が開催されました。要求と組織拡大・強化へ、この秋からの方針を意思統一しました。

2019運動方針

 2019年の運動方針の基調は「要求実現を目指して組織拡大の強化を徹底し産業別統一闘争の強化をすすめよう」です。
 三木JMITU委員長は、あいさつの中であらためて「要求を実現する力をもつ労働組合」を目指し日常活動と統一闘争を強化すること。その担い手としての「働き手」を思い切って作っていく取り組みの重要性を強調しました。
 また「働き方改悪」が強行されたもと、職場に悪法を持ち込ませないことなどを呼びかけました。

豊かな経験と教訓

 この大会では、あきらめず粘り強くたたかい、要求を実現することに取り組み、「労働組合に加入し雇用と権利を守ろう」と職場での宣伝と対話を広げ、組合加入をすすめた取り組みなど、各地の豊富な経験と教訓が語られました。
 同時に今後の課題も明らかになりました。職場での日常活動と産業別統一闘争が、次第に弱まっていることが指摘され、これらの問題を解決することの重要性が強調されました。

要求を実現する力をつけよう

 組織拡大に全力をあげ、今年度こそ長年の悲願である1万人のJMITUを復活する展望を切り開かなくてはなりません。そしてここで確立された運動方針にもとづき、産別としての援助を強め、ひとつひとつの支部分会の日常活動を強化し、「要求を実現する力」をつけることを目指します。

産業別統一闘争を前進させよう

 あらためて、「統一要求・統一交渉・統一行動」という産業別統一闘争の意義と重要性を全支部・全組合員のものとし、18秋闘、19春闘で産業別統一闘争を飛躍的に前進させます。全支部分会、全組合員が一丸となって、これらの目標を目指すことで、大幅賃上げをはじめとする切実な要求を実現させましょう。

労働法制改悪に反対安心して働ける職場に

 この通常国会では、過労死激増・残業代ゼロの「働き方改革一括法案」をはじめとする悪法が、労働者・国民の強い反対を押し切って強行成立させられました。国会審議の前提となる捏造、公文書の隠匿・偽造・廃棄など、まさに議会制民主主義の土台が切り崩され、政治の私物化と憲法・民主主義をないがしろにする政権への国民の怒りは極致に達しています。
 政権は、「解雇自由化」など更なる労働法制改悪、生活を破壊する消費税の増税と社会保障の大改悪企んでいます。この企みを断固阻止するとともに、安心して働き続けられる職場と、平和・民主主義を取り戻し、明るい未来を切り開くためにJMITUの総力をあげて奮闘する決意を表明し、宣言しました。

CE300人がTSOLに出向 -TSS部門の闇-

GTS事業本部のTSS(テクノロジー・サポート・サービス)事業部門において、大規模なお客様以外の一般のお客様を担当しているCE(カスタマー・エンジニア)約300人が100%子会社のTSOL(日本アイ・ビー・エムテクニカル・ソリューション株式会社)に8月1日付で大量出向しました。過半数に及ぶCEが一挙に子会社に移ったことになります。

団体交渉での協議内容
組合は今回の出向に際し、以下の要求を会社に出して7月26日に団体交渉を行いました。その内容をお伝えします。

組合要求:
1.出向が必要な理由について示すこと。
2.出向に際して労働条件の変更があるか示すこと。
3.出向期間を示すこと。
4.業績評価方法について変更があるか示すこと。

会社回答:
1.について
IBM-J TSS Hardware Serviceは、大規模顧客のBusiness 及び Out Sourcing Businessを中心とした事業に注力し、MVSビジネスを含めた事業拡大を目的としていきます。一方でTSOLはMVSビジネス拡大を目指し、全国のカバレッジを担当、MVSファーストのデリバリー組織としていきます。
2.について
会社は日本IBM出向規程第8条に基づくとしましたが、団体交渉の場で口頭にて、賃金系の処遇は変わらないこと、及び勤務管理はTSOLが行うが基本的には日本IBMと同じこと、従って労働条件は維持されることを説明しました。
3.について
出向期間は2年を予定しています。
4.について
現時点で評価者、評価方法の変更の予定はありません。

会社とのやりとり内容
組合:2年後はどうなるのか。TSOLに移籍して別会社化するのか。
会社:現時点でそのような想定はしていない。
組合:もしそのような動きが出た場合、組合員の場合は出向を解除して本体に戻す協議をする。
会社:もちろんだ。
組合:お客様との契約内容は日本IBM本体からTSOLに移すのか。
会社:移さない。TSOLが前面に出ることはない。
組合:過去に子会社への転籍強要が問題になったことがある。
会社:転籍を強要することは無い。

将来TSS部門は消滅か
会社は回答の中で「Hardware Serviceは大規模顧客のSOを中心とした事業に注力、TSOLは全国のカバレッジを担当」としています。つまり、将来的には大規模なお客様のメンテナンス・サービスはアウトソーシング・サービスの一部となり、その他のお客様へのメンテナンス・サービスはTSOLに一本化されると言っています。すなわち、日本IBM本体のTSS部門は消滅し、TSOLへ出向した人は片道切符になる可能性が極めて高いと言えます。

転籍強要があればすぐに組合に相談を
組合が会社との協議の中で懸念を表明している通り、近い将来に転籍強要が起こらないとも限りません、そのような動きがあればすぐに組合に相談してください。

ハラスメントは許さない

-セールス・インセンティブ部門の魔物-

 箱崎本社24階のT&Oセールス・インセンティブ部門に所属する社員が3年間にわたって「仕事外し」「退職強要」「嫌がらせのためのプレゼン強要」などのハラスメントをされていたことが判明しました。その実態をここにお知らせします。

3年間で12人が退職や休職

 この部門には魔物がいると言われています。3年間で12人が次々と退職や休職。中には産休から復職できずに退職した社員もいます。しかも、このうち4人はこの部門の業務を請け負っていた沖縄ISOCの社員です。2018年2月~6月に相次いで退職しました。

退職勧奨を断ったら仕事外し

 2015年10月、Aさんはこの部門のラインマネジャーであるM担当から退職勧奨されました。それを断ったところ、翌11月からそれまで担当していたクォータ作成やテリトリー管理の仕事を外されました。
 次にAさんを待っていたのは嫌がらせのプレゼンテーション(プレゼン)でした。M担当に「クォータ作成のための予測モデル」のための資料を作らされ、それをプレゼンさせられるのです。毎週のプレゼンのたびに「ダメ出し」をされ、同時に必ず退職勧奨をされ続けました。

「改善」名目のプレゼン

 2016年に入ると次にAさんを待っていたのは「改善」名目のプレゼンでした。M担当に「営業人員の展開戦略」についての提案や、「現在の部門の生産性向上プラン」についてのプレゼンをさせられました。しかも毎回ダメ出しをされます。3月にAさんはまた退職勧奨を受けましたが、それを断ると今度は部門業務の改善策を出すよう言われました。

PIPで降格

 その3月下旬から5月上旬にかけて、M担当はAさんにPIP(業績改善プログラム)を命じ、「自分がいかにダメな人間か」ということを証明させるプレゼンや、それまでと同じプレゼンをさせました。さらにCASECという英語テストをAさんの個人負担で2週間に1回受けさせました。結局、Aさんは8回面談させられましたが、そのたびにダメ出しと退職勧奨を受け、最後は目標未達とされました。そしてバンド7から6に降格されたのです。

業務用PCの更新せず
PIP未達で賃金減額

 2016年末から2017年1月にかけてAさんの業務用PCの更新連絡が2回来ましたが、M担当は更新を認めません。Aさんは今も老朽化したPCを使い続けています。
 その上、4月になるとまたPIPをAさんに命令。しかも改善内容はAさんに自分で考えろと言い、再度CASEC英語テストをAさん個人負担で受けさせました。PIP面談は合計14回にのぼり、改善内容はAさん個人の業績改善ではなく「部門業務の改善」でした。結局目標未達とされ、7%の賃金減額をされました。

転職支援会社のカウンセリングを強要

 2018年3月になるとM担当はAさんに転職支援会社のカウンセリングを受けに行くよう強要しました。
 しかしAさんが退職しないと見るや、M担当は「もう許さない」と言って「業務命令:Performance改善Action Plan作成」と題したメールをAさんに送付。Aさんが部門業務の改善案を送ると、M担当はAさんが退職することが部門の改善につながることを暗に示唆するメールを返信したのです。

ハラスメントを許すな

 組合は法的対応の検討を始めています。同様のハラスメントを受けていたら、我慢せず、すぐに組合に連絡してください。

会社業績達成度の根拠なし【団交報告】

協議に不可欠なデータ出さず

 かいな6月4日号、6月18日号でお知らせしたように日本IBMの組合推定一般職ボーナス平均額は大手企業平均より十数万円も下回っています。ボーナス原資となる昨年度の業績は空前の好決算だったにもかかわらずです。
 ボーナス平均が低い大きな要因が会社業績達成度の数値です。この数値が全社員のボーナス支給額の計算に掛け算でかかってくるからです。組合はこのことを重く見て、会社業績達成度の算定根拠について団体交渉で協議しました。以下にその内容をお知らせします。

組合要求

 会社はこれまで会社業績達成度については「50%を日本IBMの会社業績」「50%をIBMコーポレーションの会社業績」に基づいて算定するとし、日本IBMの業績については次のような「量的指標」と「質的指標」から決定するとしていました。
【量的指標】
 税引前利益、売上高伸び率、キャッシュフロー
【質的指標】
 お客様満足度、マーケットシェア伸び率、ワークフォース・デベロップメント
 なお、会社は量的指標の算定にあたってはUSーGAAPに基づく数値を基準にしていると回答しています。
 そこで組合は団体交渉にあたり、次のような要求を会社に出し、誠実に回答して協議するよう求めました。
1.日本IBMとIBMコーポレーションのUSーGAAPに基づく決算資料を示し、量的指標である税引前利益、売上高伸び率、キャッシュフローを用いて説明すること。
2.会社経歴書に公表されている日本IBMの決算資料のうち貸借対照表の「投資その他の資産」が2016年度に比べて三千億円以上増加している理由を説明すること。従業員もステークホルダーであり、会社が多額の投資を、なぜ・どこに行ったかを知る権利がある。
3.質的指標である、お客様満足度、マーケットシェア伸び率、ワークフォース・デベロップメントについて資料を示し具体的な説明をすること。

会社回答
1.について
 USーGAAPに基づく決算資料については開示する考えはありません。
2.について
 無回答
3.について
 無回答

団交でのやりとり

組合 USーGAAPに基づく決算資料を開示しないのはなぜか。そもそもUSーGAAPに基づくと言い出したのは会社だ。
会社 つい最近変化したわけではない。ずっとUSーGAAPに基づいてきた。開示要求を受けて社内で調整しているが、現時点では開示できない。
 何が問題なのか。
 もとより公開しているものではない。
 協議に必要なので、組合限りで開示することはできるはずだ。
 そういった点も踏まえて社内で調整しているが、今なお調整に至っていない。
 それでは賃金交渉にならない。特に会社業績達成度は社員全員にかかる。
 それが無くていいとは考えていないが、他のデータで協議できればと考えている。
 一般に、労働委員会でも賃金交渉においては根拠を示すことが求められる。開示しないことはあり得ない。
 これまでも、まったく出していないとは考えていない。
 USーGAAPが出てきたのは去年だ。疑問な点を追及したら会社が言いだしたものだ。
 何か月もかけて検討しそこには至っていない。
 検討すると言っていれば良いというものではない。交渉なのだから、賞与が支払われるまでに少なくとも明らかにすべきだ。
 今ある情報で協議させていただきたい。個人業績はその1つだ。
 情報が足りない。全体にかかわる部分がどう算出されているかが見えない。
 これまでにも示してきたと思っている。最終的には会社の総合判断だ。
 それでは労働組合を否定している。計算式も含めきちんと説明していただき、こちらが判断できるようにしてほしい。
 過去から示したことは無い。
 過去から情報開示が不足している。
 あ、そうだったんですか。
 過去からずっと抗議してきた。会社は納得できるように説明する義務がある。定性的な説明だけでなく定量的な説明も必要だ。
 主旨は分かった。引き続き検討する。

ワトソン・ヘルスで世界的リストラ

 ジェームズ・カヴァノーIBM最高財務責任者は、今年の第1四半期に人員再調整費用を6億ドル使ったと決算発表で述べています。これはリストラ費用のことで、大規模な人員削減が行われたことを意味します。
 第2四半期になってもリストラが止まりません。特に重要戦略部門であるワトソン・ヘルス部門で行われています。

「今朝、解雇された」
「RAされた」

 日本では取り上げられていませんが、海外では多くの情報がニュースやソーシャル・メディアで取り上げられており、ワトソン・ヘルス部門のレイオフについて発信しています。IBMは公式発表をしていませんが、メディアの問い合わせに対し、レイオフの事実を認めています。
 ネットには、「今朝、解雇された」「RAされた」など社員の悲痛な声があふれています。大規模なリストラが世界規模で行われています。

事業展開の失敗か?

 IBMは「ワトソン」を医療分野へ積極的に展開してきました。2015年にワトソン・ヘルス事業を立ち上げ、表にあるようにExplorys、Phytel、Merge、Truvenの医療データ会社を買収しました。わかっているだけで2年でトータル4500億円にものぼる投資です(左上表参照)。
 今回のリストラにより、ワトソン・ヘルス・クラウド部門がIBMクラウド部門に統合され、メンテナンス以外の開発はグローバルで大きく削減されるとの観測が出ています。

日本のワトソン・ヘルス開発部門もクローズ

 日本の開発拠点であるワトソン・ヘルス・クラウド部門も、90日以内にクローズすると発表されました。この部門は、およそ50人が在籍し、新入社員も毎年数名が配属されている戦略部門です。
 ワトソン・ヘルス・クラウド部門に所属している皆さん、会社から「自分で次の仕事を探せ」と言われたり、退職勧奨されたら、少しでも早く組合に相談してください。

PIPが広がっています すぐに組合に相談を

 1面でご紹介したワトソン・ヘルス部門のリストラに呼応するように、全社的にPIP(業績改善プログラム)が始まっていることがわかりました。
 最近はチェックポイント・トラッカーによるワークフローが使われるため、分かりにくくなっていますが、「パフォーマンス・インプルーブメント・プラン」というワークフローが来たらこれです。CS改善の改善計画とは違いますので、気をつけてください。

PIPは「業績改善」に名を借りたリストラ

 多くの場合「君は業績が悪いからPIPを行う」と所属長に言われます。さらに、目標を達成できないときには降格や賃金減額もあると明記された用紙を渡されます。まさに社員に恐怖を与えながら目標達成を迫るものなのです。
 PIPは会社によるリストラ攻撃の最大の武器です。「業績改善」に名を借りているため、社員が断れば「業績改善を拒否した」と言われますし、うっかり入りこめば、底無し沼のようにはまっていきます。
 でもちょっと待ってください。本当に「業績が悪い」のですか?改善目標は客観的に見て妥当なものですか?実際、「本人の責に帰すものでない理由で業績が悪い」とされたり、あるいは「最初から到底達成不可能な目標を強いられた」とか、「あいまいな目標を設定され、終わってみたら、目標未達とされた」という報告もしばしばです。
 そうやって「目標未達」という「結果」を作り出し、降格や賃金減額の理由付けをすることこそが、PIP実施の真の目的なのです。
 さらに、多くの場合早期退職プログラムと同時にPIPが平行して実施され、改善状況のチェックと称して退職勧奨面談の隠れ蓑になっている実態も報告されています。

少しでも早く組合に相談を

 誇り高いIBM社員は「まだ一人で大丈夫」とか「頑張って上司に認められれば大丈夫」とぎりぎりまで一人で頑張ろうとしがちです。あるいは「他の人に知られると恥ずかしい」という意識も働くかもしれません。
 しかし、一人で頑張ってもひとたびPIPが始められてしまうと、抵抗の方法はほとんど残されていません。また、恐怖の中で頑張りすぎてしまうと、メンタル疾患になるリスクも大きくなります。健康を害してからでは遅すぎます。
 少しでも早いうちに組合に加入し、団体交渉で
・そもそもなぜ自分にPIPが必要なのか。
・なぜこのような改善内容なのか。
・なぜこのような目標なのか。
といった事項について納得するまで協議しましょう。

メンタル疾患の人へのPIPは安全配慮義務違反

 メンタル疾患を治療中で、勤務措置が取られているような人にPIPを実施するのは明らかに症状を悪化させますので、安全配慮義務違反です。このようなケースでPIPを強要されている人はすぐに組合に相談してください。

9月賃上げで社員に報いよ

 左表は今春闘のJMITU主要各社の賃上げ結果です。賃上げ平均はなんと1万1千円です。近年日本IBMでこのような賃上げがあったためしはありません。
 私たち社員の給料はこの12年間で激減していることはかいな2月5日号でご紹介した通りです。会社はPIPをやって社員から反感を買うようなことをするのではなく、賃上げをして社員の士気を高めるべきです。
 昨年度の好決算を受け、会社は利益を闇に葬るのではなく、きちんと公明正大に社員に報いるべきです。

 

お知らせとお詫び

 6月18日より発行した「機関紙かいな」2327号1面記事中の表の数字が印刷機の不具合により正しく欄内に印刷されていないことをお知らせします。正確な情報をお伝えすることができない点、読者の皆さんにお詫びいたします。
 当組合ホームページ記事中の表や、ダウンロード用PDFの表は正しく表示されております。大変ご不便をおかけしますが、こちらをご参照の程お願いいたします。
 

JMITU日本アイビーエム支部

夏季ボーナス速報

 

JMITU主要各社好調

一般職平均95万6千円

 日本IBMではすでに夏季賞与が支給されましたが、日本の多くの企業では今がまさに交渉の山場です。下右表はJMITU主要各社の一般職に対する回答状況ですが、平均が95万6千円。各種シンクタンクが今年夏のボーナスは3年連続で増加の見込みと発表している通り、好調な出だしとなっています。
 下左表は日本経済新聞発表の製造業系のランキングです。この表からも一般各社の好調さがうかがえます。

3千億円の投資は何だ

 下右表における日本IBMの支給平均(組合推計)は下から3番目。そんなに日本IBMの業績は悪かったのでしょうか。そんなことはありません。
 詳しくは二面の分析に譲りますが、最新の会社経歴書に掲載された決算資料では、昨年度の日本IBM決算は近年まれにみる好決算でした。会社業績達成度の指標となる税引前利益も最高の水準です。
 その利益は社員に還元されずどこへ行ったのでしょうか。貸借対照表の「投資その他の資産」を見ると3千億円も増加しています。社員もステークホルダーです。会社は何に投資したのか、社員にきちんと説明すべきです。

組合はボーナス支給後であっても交渉が可能

 日本IBMのボーナスは支給されてしまいましたが、組合員の場合はまだ交渉が可能です。会社回答には次のように記されています。
 「6月11日(月)以降に、会社提示案とは別の内容で会社と貴組合との間で合意形成がなされ、且つ、妥結通知が会社に到着した場合(中略)差額を支給します。」
 会社支給内容に不満のある皆さん、ぜひ組合に加入し、ボーナス回答の引き上げ交渉にご一緒に取り組みましょう。人数が多くなるほど有利です。

社員還元はできる

 
会社決算分析

 1面で他社との賞与支給額比較を行いましたが、日本IBMには社員還元を拡大できる余地はないのでしょうか。この記事では、前号1面での簡単な解説に引き続き、詳細な分析を行い、その点を明確化します。

開示内容を絞る会社

 前号でも貸借対照表の「資産の部」の隠蔽体質を批判しました。改めて貸借対照表の推移表を下に掲載しますが、詳細科目の金額が軒並み「非公開」になっています。
 会社の収益構造から、流動資産のもうひとつの主な項目である「売掛金・リース投資資産」が大きく減るとは考えにくく、「預け金」の計上を見直した結果、流動資産の金額が大幅に減少した、と見るのが自然です。しかし会社は、それらを「非公開」にすることにより、意図的に見えないようにしているのではないか、と推測されます。また、それとは逆に大幅に増加した「投資その他の資産」についても、その内容を社員に説明すべきです。
 さらに「負債の部」の詳細科目についても、賞与引当金と退職給与引当金を除き非公開としていますが、借入金の金額増減など、経営状態を判断するための数値が見えなくなっています。特に固定負債の増え方が顕著であり、長期借入金が増えているものと推測されます。今後組合はこれらの点を厳しく追及していきます。

またも「資本の部」減少

 続いて、前号にて既報の「経常利益の額がここ6年で最高額」の件ですが、通常の企業なら、これだけの利益が出たら、配当に回すだけでなく社員にも大いに還元し、その上で残りの金額を内部留保する、というのが普通です。しかし、日本IBMはどうでしょう。
 貸借対照表の「資本の部」に戻って金額の推移を見ると、2016年度の資本金と利益剰余金の大幅な減少に続き、2017年度も資本剰余金や利益剰余金が減少していることがわかります。これらの科目は、利益をあげている会社であれば、減少させる必要のない科目です。二年連続で多額の利益を上げていながら株主資本を減少させている会社の姿勢は、強く糾弾されるべきものです。多くの株主を持ち、大きな会場で株主総会が行われるような会社であれば、経営陣の不正が疑われたり、配当(送金)を多くしすぎるなどで会社の安全性を損ねていないか、といった非難を浴びるに違いない決算内容です。

社員還元を重視せよ

 前記株主資本の減少は、米国IBMによる利益額を超えた吸い上げが原因と思われますが、その一方で従業員への利益還元についてはきわめて消極的です。前号や本号1面で分析しているとおり、大企業はおろか、中小企業の多いJMITUの各企業と比較しても見劣りするような社員還元では、人員確保に支障をきたすのは明白です。会社は、多額の利益があるのですから、従業員への還元に振り向けることをもっと重視すべきです。

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