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会社は何がしたいのか【団交報告】

 

会社は何がしたいのか【団交報告】

賃金減額、CEP、不透明な昇給・・・・

 

 会社の施策は従業員のやる気を削ぐものばかりで、いったい何をしたいのかわかりません。組合は賃金減額、CEP(Career Enhancement Program)、9月1日付の昇給について、9月6日に団体交渉を行いました。以下に報告します。

減額理由の再回答を要求

 組合は賃金減額の以下の点について文書回答し協議するよう要求していました。
(1)7%減額の根拠
(2)減額対象者数
(3)対象者選定の基準
(4)個人別の減額理由
(5)強行しないこと
 これについて会社が9月1日に文書回答した内容は驚くべきものでした。まず7%賃金減給の根拠は「Pay for Performanceは会社の基本的な方針」「(減額調整の率は)総合的に判断したもの」というものです。これではまともな労使協議はできません。
 日本の労働法制の大原則は労働条件の労使対等決定です。会社には賃金テーブルが無いため、賃金交渉にあたってはより一層の労使協議が求められます。
 特に賃金減額は労働条件の不利益変更にあたるため、会社は実施理由を誠実に説明し、合意に努力する義務があります。
 さらに(2)以降の質問について会社は回答を拒否しました。特に対象者選定については組合が具体的な基準を求めたにもかかわらず、会社は「業績が期待値に届かなかったと評価された社員」と発表と同じことを述べ、回答を事実上拒否しました。また、組合員の減額対象者については個別にその額をリストで回答したのみで、その具体的な理由については回答しませんでした。
 組合は団交の中で会社の対応は事実上の団交拒否、すなわち不当労働行為であることを述べ、再回答を求めました。

CEPの狙いは何か

 CEPは社内の部門異動のためとのことですが、なぜ社外で人材派遣会社担当者の面談を受けなければならないのか等、いくつかの質問を会社に文書で提出し、回答を文書で求めました。また、次のやりとりをご紹介します。

組合 社外への就職を斡旋することはあるか。
会社 本人が望むなら外のキャリアをアドバイスすることはある。

 CEPについては二面でさらに詳しく特集していますのでご参照ください。

会社の賃金比較対象会社が明らかに

 組合は以下の点について抗議し、再回答を求めました。
・賃下げを先に通告し、賃上げの回答をしないこと
・賃上げの回答すら無いのに、妥結期限を一方的に指定したこと
・妥結の有無にかかわらず、一方的に減給・昇給を行うとしたこと。
 さらに賃金交渉のためのデータ開示を求めたところ、以下の会社が賃金比較対象会社であることを示しました。
【賃金比較会社】
 外資系では、アップル、アクセンチュア、シスコ、デル、グーグル、ヒューレットパッカード、インテル、マイクロソフト、オラクル、SAP、ユニシス。日本企業では、富士通、日立、NEC、NTTーData。
 例えば総合職・大卒・技能職・年齢などの形で比較。福利厚生制度も見て参考にしている。

集団訴訟に参加しよう

集団訴訟に参加しよう

賃金減額裁判

-今すぐ組合に相談を-

 

 今年、減額を通知された人はすぐに行動を起こしましょう。「業績が期待値に届かなかったと評価された社員」などという具体性のない理由で賃金減額するなど、日本の労働法では許されません。
 今こそ社員一人ひとりの行動によって会社を変えるときです。泣き寝入りせず、自分に何ができるかを考えましょう。社員が団結すれば会社との力関係を変えることができます。

キャリア・エンハンスメント・プログラム

 

キャリア・エンハンスメント・プログラム

---会社説明と実態の矛盾に迫る---

 

 社内ではCEP(CareerEnhancement Program)が始まっています。会社はこのプログラムを拡大したい意向を示していますが、説明と実態の矛盾が明らかになっています。

対象者に通達メール

 8月下旬に突然「CEPの参加者としてノミネートされました」と、対象者50人弱に対しメール送信がされています。
 「このプログラムの参加者は、各組織のExecutiveによって選出された方」とし、「このプログラムを最大限活用することにより、参加者自身のスキルや能力の最適化を図り、IBMの中でベストなポジション、業務配置を実現して行くことが期待される効果であり目的となります」としています。

派遣会社が研修を担当

 しかし、これを担当するのが、なぜか外部のアデコ株式会社リー・ヘクト・ハリソン(RHH)事業部なのです。RHHのホームページには、「企業と個人のパフォーマンスを最大限に引き出し、成功に導くために、人財マネジメントソリューションを提供しています」としています。そして最初に、「再就職支援」があり、「リーダーシップ開発」「従業員のエンゲージメント」「チェンジマネジメント」のサービスを提供していきますと書かれています。
 専門性の高いスキルをつけるなら社内の教育システムがあります。なぜ外部の研修を受けさせる必要があるのか疑問です。そもそも現場では、社内での研修費用や稼働率が問題となり、さらにそれが個人評価に直結するため教育を受けられない環境があること自体が問題なのです。そこを会社として改善をすることが望まれているのです。外部の派遣会社に頼る必要性はどこにもありません。

再就職支援サービスの利用メールが届く

 団交において会社は、社内での異動を実現するための研修と強調しています。しかし研修は「職務経歴書」を作成させるなど社外を視野に入れているとしか思えない内容となっています。
 さらに、まだ研修も始まっていないのに、「Career Resource Network(CRN)へようこそ!」と題したメールが対象者に送られ、そこには、「CRNは、あなたの再就職活動をサポートする様々なツールや求人案件、研修プログラムなどを提供する、リー・ヘクト・ハリソンの再就職支援サービス利用者のための専用サイトです。このサイトは、あなたへの再就職支援サービスの一部で、無料でご利用いただけます」と書かれているのです。後日、会社は研修利用の促進が趣旨だと言い訳しましたが、再就職目的の疑いは晴れません。

過去にも派遣会社とタッグを組む

 2004年に会社は派遣会社とタッグを組んだことがあります。これは部門売却時に転籍に応じなかった社員に対し、突然身の回り品を段ボール数箱にまとめさせ、「3月から派遣会社で研修を受けよ」と出張命令を出し、そこには勤務事業所から400キロ離れた派遣会社の寮に入ることも含まれていました。6畳ほどの部屋に二段ベッドとロッカー、机と椅子が置いてあるだけで、テレビはなく、トイレと風呂は共用でした。そこで若手から50歳代までの社員に共同生活をさせたのです。
 さらに研修といっても、お辞儀の仕方や感じのよい笑顔のつくり方といったことや履歴書と業務経歴書を記入させるなど、およそ不要と思われる研修を受けさせ続けたのです。
 その結果、精神的ストレスで髪の毛が抜けてしまい療養に入った社員まで出ました。
 その後会社は「派遣同意書」「機密保持に関する誓約書」「業務経歴書利用承諾書」に署名・捺印し、提出せよ、と命令まで出し、4月から派遣会社に出向させました。派遣先は全国に渡り、派遣先企業が進出している中国や台湾、韓国も含まれていたのです。そこでは、IBM社員を名乗ることは禁止されていました。派遣先が見つからないと寮で待機させられ、一カ月六万円の寮費の自己負担すら強要しました。
 この時、対象社員と会社が全面衝突し、組合に加入した者だけが、この出張・出向命令が取り消され雇用を守りました。

 この問題は、法律で禁止されている二重派遣の疑いがあるとしてマスコにも大きく取り上げられました。

会社またも賃金減額を発表【団交報告】

 

会社またも賃金減額を発表

-組合は賃金減額に反対- 【団交報告】

 

 2016年8月18日、会社はまたも賃金減額を一方的に発表しました。組合はこれについて8月26日に団体交渉を行いました。

組合は春闘要求から一貫して協議を要求

 組合は春闘要求のなかで全従業員に対する一律賃上げと、賃金減額をしないことを重点要求として位置づけ、強くその実現を求めてきました。
 これに対し、会社は今年度から給与調整を9月1日付で行なうとしたうえで、「2016年度の貴組合員の給与調整については、既に貴組合から要求を受けたものとして、9月1日実施に向けて適切な時期に、別途回答します」と述べていました。
 組合は、労働組合との協議なしに一方的に給与調整時期を変更することに強く抗議し、9月1日実施の前に十分な期間をとって協議するよう求めてきました。この間に行われた7回もの団体交渉で文書回答するよう繰り返し求めていましたが、そのたびに会社は「検討中であり、もう少し待ってほしい」旨の回答を繰り返してきました。
 にもかかわらず、協議どころか、回答すらも行わないまま突然行った今回の賃金減額の発表は不当労働行為そのものです。

発表の撤回を要求

 会社の昨年度決算は約950億円の経常利益があり、賃金減額するほどの業績ではありません。しかも、会社は賃金減額の対象者を「業績が期待値に届かなかったと評価された社員」としていますが、客観的な基準が無く、どういう社員を指すのか不明で、恣意的な運用の危険があります。
 組合は今回の減額発表の撤回を要求し、正式な春闘回答と以下の点について文書回答し協議するよう要求しています。
(1)労働条件の不利益変更はその理由を労働者に説明する義務がある。減額を行なう理由を具体的に説明し、なぜ7%減額なのかも説明すること。
(2)減額対象者は全社で何名なのか示すこと。
(3)減額対象者の全社的判断基準を労働組合に示すこと。
(4)減額対象者とその理由を組合に示し、団体交渉で協議すること。
(5)合意が得られない間は、一方的に減額を強行しないこと。

今回の発表と賃金減額裁判との位置づけ

 組合は2013年9月に賃金減額について会社を提訴。会社は2015年11月に組合側の請求をすべて認める「認諾」を行い、減額差額分を原告に支払いました。しかし、法的には訴えた原告だけに請求分が支払われるだけで、減額された全社員に支払われたわけではありませんでした。
 会社は認諾をしたにもかかわらず、減額そのものを取り消さなかったため、組合は2016年2月に第2次賃金減額裁判を提訴しました。この中では期間経過分の請求と、減額の取り消しを請求しています。
 この状況の中で発表された今回の減額は日本の司法に対する冒とくです。さらなる労使紛争の拡大につながります。

組合に加入を

 今こそ社員一人一人の行動によって会社を変えるときです。他人事ではなく、自分に何ができるかを考えましょう。社員が団結し、労使関係の中で正すときです。今、あなたの行動が必要です。

Career Enhancement Program に注意!

 会社がCEP( Career Enhancement Program)と呼ばれる施策を8月31日にスタートさせたことがわかりました。ノミネーション制で、全社で約50人がノミネーションされた模様です。
 これはノミネーションされた人のみに教えられ、全社発表は無いようです。組合としても注視していきますので、ノミネーションされて不安な人はすぐに組合に連絡して下さい。

「組織拡大し争議の全面解決をめざそう」

 

「組織拡大し争議の全面解決をめざそう」

2017年度組合新体制スタート/新中央役員紹介

2017年度組合新体制スタート/新中央役員紹介

 7月30日、大崎労政会館にて、日本IBM支部の第63回全国大会が開催され、この一年の活動総括と今後の活動方針を討議し、決意を新たに新体制で取り組むことを確認しました。会社は相変わらず退職強要や賃金減額、パワハラなど、労働者をないがしろにする施策を打ち続けています。組合は引き続きロックアウト解雇・賃金減額の争議などで中心となって闘っていきますが、会社の暴挙を止める最良の方法は組合加入者が増えることです。引き続きご支援をお願いいたします。

【委員長大岡義久】大岡委員長の挨拶

大岡委員長の挨拶

 私たちの取り組みは、この一年、大きな前進を果たしてきました。中央労働委員会からは不当労働行為の救済命令。中央労働基準監督署は退職強要を労災認定し、賃金減額裁判では請求認諾。そして先行する5人の解雇無効判決など、第三者機関において組合の主張がすべて認められています。今後も同様の判決、命令が続くことは間違いないでしょう。
 私が入社した頃、社員は難題に挑戦し失敗しても、さらに挑戦できる環境がありました。しかし今は毎年繰り返されるリストラや減額などにより、従業員は目先の評価のみを気にして業務を強いられて心のゆとりを失っています。これでは活力のない会社になってしまいます。従業員が安心して働ける職場を作ることが企業の成長につながるというのが組合の思いです。
 今年一年よろしくお願いします。
【副委員長藤井克己】
 減額裁判の認諾と解雇1次2次裁判の全員勝訴をステップに、争議の全面解決を目指します。
【副委員長河本公彦】
 労働者(社員、パート、協力会社の方々)の生活向上を目指し頑張ります。
【書記長杉野憲作】
 従業員は使い捨ての益出しツールではありません。組合に入り、明るい職場を取り戻しましょう。
【執行委員橋本康助】
 労働者に対する様々な横暴に対し、労働者に共感し、寄り添う活動を継続します。
【執行委員石原隆行】
 賃金減額訴訟では、制度廃止を目指して全力で闘います。相談者から信頼されるよう努めます。
【執行委員板倉浩】
 安心して働ける環境を取り戻すために頑張ります。
【執行委員M.K.】
 裁判に勝利します。
【執行委員S.K.】
 みなさんの労働条件向上のためがんばります。
【執行委員小林雅樹】
 頑張ります。
【執行委員Web担当】
 引き続きWeb部会にて組合メッセージをタイムリーに広く発信したいと思います。
【執行委員酒本誠】
 関西での争議支援を広げます。
【執行委員田中純】
 解雇撤回、賃金減額撤回、そして労働法制改悪を阻止し、心身ともに健康に働くことのできる職場を目指します。
【執行委員安田和】
 紛争の全面解決に向け、自分にできることをひとつずつやっていきたいと思います。
【会計監査古土隆】
 組合会計について、適正に運営されているか監査いたします。
【会計監査吉良一也】
 財政の運営が適切に為されているかのチェックを行います。

日本IBMがまたも賃金減額を発表

日本IBMがまたも賃金減額を発表

― 労働組合はこの賃金減額に反対 ―

 

2016年8月18日、会社は9月1日付給与調整の際、賃金減額も行うと一方的に発表しました。賃金減額幅はReference Salary(年収相当額)の7%。これは一時的な減額ではなく恒久的なものです。一般社員の場合、減額分をボーナスから差し引くと発表しました。

労働組合はこの賃金減額に反対
JMITU日本アイビーエム支部(日本IBM及び関連会社で働く従業員の労働組合)はこの賃金減額に反対します。そもそも日本IBMの2015年度決算では約950億円の経常利益があり、従業員の賃金を減額しなければならないほどの業績ではありません。しかも、会社は賃金減額の対象者は「2015年の業績評価により、その業績が期待値に届かなかったと評価された社員」と発表していますが、これには客観的な基準が無く、どういう社員を指すのか不明で、恣意的な運用の危険性があります。

さらに、今回の賃金減額はボーナスから差し引くと発表されていますが、日本IBMの場合、業績評価が低いとされた社員のボーナスはすでに懲罰的な減額がされており、この上さらに恒久的な減額をすれば2重の懲罰となります。

組合は今回の賃金減額発表について8月26日に予定されている団体交渉で撤回を求め協議する予定です。

賃金減額裁判と今回の発表の位置づけ
今回の賃金減額発表は、組合が提訴した賃金減額裁判がたたかわれている中で行われました。今回の会社発表の位置づけについて以下に解説します。

会社は賃金減額1次裁判で請求認諾
組合は2013年9月に賃金減額が不当だとして会社を東京地裁にて提訴。会社は2015年11月に組合側の請求をすべて認める「認諾」を行い、減額差額分を原告にすべて支払いました。しかし、法的には訴えた原告にだけに請求分が支払われるだけで、賃金減額された全社員に支払われたわけではありませんでした。

現在の賃金減額裁判の状況
会社は第1次賃金減額裁判で請求認諾をしたにもかかわらず、減額制度そのものを撤回しなかったため、現在は組合が2016年2月に東京地裁に提訴した第2次賃金減額裁判がたたかわれています。この中ではさらに期間が経過した分の減額分と、給与を元に戻すことを請求しています。この中で発表された今回の会社の賃金減額発表は日本の司法に対する冒とくです。さらなる労使紛争の拡大につながります。

労働組合への加入を呼びかけます
今こそ社員一人一人の行動によって会社を変えるときです。他人事ではなく、自分が何ができるかを考えてください。労働組合に団結し、労使関係の中でたたかえば、全社員に恩恵が行き渡ります。数百人、数千人単位で組合に入れば労使関係を変えることができます。今、あなたの行動が必要です。すぐに「なんでも相談窓口」に連絡してください。

PIPは安全配慮義務違反【団交報告】

PIPは安全配慮義務違反【団交報告】

-メンタル疾患者への提示は違法-

 PIPが始まっていることは前号でお知らせしました。ところが、あろうことか、産業医の経過観察中であるにもかかわらず、所属長がメンタルヘルス疾患者に対してPIPを提示したという驚くべき事件が発生していたことが7月7日の団体交渉で明らかになりました。この事件の詳細を以下にお知らせします。

労働契約法の安全配慮義務とは

 労働契約法では、その第5条に「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」との規定を設け、使用者の労働契約上の安全配慮義務について明文化しています。
 最近はメンタルヘルス疾患者が急増していることから、安全配慮義務の中身としてメンタルヘルスを重視するようになってきています。
 今回の事件の場合、休職から復職し、産業医による経過観察が続いている社員で起こりました。

メンタルヘルス疾患者
PIP提示の問題点

 メンタルヘルス疾患者に対しては心理的負荷を極力かけないようにする配慮が求められます。
 PIPの問題は、改善目標が未達成であった場合のアクションとして「1.降格とそれに伴う減給」「2.職務の変更」「3.所属変更(他部門への異動)」が実施されることがあると記され、さらに「会社が就業規則に基づく対応を排除するものではありません」とし、就業規則第45条(解雇事由)に基づく対応、つまり最終的には解雇を想起させる記載があることです。健康な人が読んでもこれらの記述は脅迫そのものです。
 このようなものをメンタルヘルス疾患者に提示すれば、かなりの心理的負荷をかけることになります。

あわや生命に関わる大事件

 今回の事件では、PIPを提示された社員は血圧計が振り切れて測定不能となるほど血圧が上昇し、医者に駆け込みました。一歩間違えば命を落とすところです。
 次の日からはメンタルヘルス疾患が悪化し、その社員は抑うつ感、不安感、焦燥感、冷や汗、動悸、めまいに苛まれ、出社することができなくなりました。
 この社員が主治医の診断書を取得したところ、「うつ病」が悪化したことがわかりました。
 厚労省が平成23年に定めた精神障害の心理的負荷の認定基準によれば、この事件のような場合、PIPによってもたらされた心理的負荷は「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行」(負荷の程度Ⅲ)と評価されます。程度Ⅲとみなされれば、客観的に精神障害を発症させるおそれのある強い心理的負荷に該当するとされ、安全配慮義務違反となります。

違法PIPはすぐに組合に連絡を

 安全配慮義務違反が疑われるPIP提示をされたら、すぐに組合に相談してください。自らの生命を守る権利が、みなさんにはあるのです。

理不尽な行いを続ける会社に断罪を

理不尽な行いを続ける会社に断罪を

-第二次賃金減額裁判で意見陳述-

 6月28日、東京地裁で第二次賃金減額裁判の審理が行われ、原告が意見陳述しました。
 以下にその内容を掲載します。

意見陳述書

2016年6月28日

1 社歴と会社への貢献

 私は1986年に日本アイ・ビー・エムに入社し、社歴30年を越えたところです。所属部門は途中で変わっておりますが、入社時から一貫して社内外の情報システムに関連した仕事をしております。また、社内の経理関係システム担当の部署に所属した折、知識確認と自己啓発も兼ねて日商簿記一級を受験し合格しました。この時に得た知識は、その後の社内システム開発の上で大変役立ちました。特にアウトソーシングの財務評価システムの保守と刷新については、大変高い評価をいただきました。

2 賃金減額の結果もたらされたもの

 私の賃金の減額は、月収ベースで約4万円に及び、10年以上前の金額より少なくされてしまいました。私には大学生の娘と高校生の息子がおり、二人の教育費に住宅ローンが加わることによって、賃金減額されていない状況でも家計が苦しい中、生活設計をなんとか立てていた状況でした。賃金減額された結果その生活設計が崩され、妻は食費も削って節約料理の研究にいそしむ毎日ですし、衣服や靴は必要最小限の安いものしか買えません。私が自由に使えるお金などほとんどありません。
 私には、親として、子どもには好きな道へ進んでいってほしい、という思いがあります。妻の父親から多額の援助を得て、かろうじて教育費だけは最低限必要な資金が捻出できていますが、妻の父親は昨年逝去し、その援助も底をつきつつあります。息子は理系の大学への進学を希望しているのですが、私立大学に通わせる学費までは出ないので、学費が比較的少ない国公立大学にしか行かせられない、と息子には言っています。現状では最悪の場合、息子を大学に行かせられないかも知れません。この状況は、親としても非常につらいものです。

3 理不尽な行いを続ける会社に断罪を

 会社は「Pay for Performance」を唱え、従業員とその家族が満足に生活できる賃金の支給を保証しようとしていません。その上、たった一年間の相対評価の結果だけで賃金を一方的かつ永久的に大幅減額できる制度を作り、維持しようとしています。このような制度は労働契約法第10条に違反するばかりでなく、私企業(ミクロ)としての利潤の極大化を追求する一方、企業の社会的責任を果たさず、社会全体(マクロ)としての成長を阻害するものであると言わざるを得ません。
 私自身が賃金減額で被った被害が、このような会社の異常な制度のもとで行われたことを、私は決して許すことができません。そのような思いで、私はこの訴訟の原告団に加わりました。裁判官のみなさまにおかれましては、このような理不尽な行いを続ける会社を厳しく断罪するご判断をいだたけますよう、切にお願いするものです。

 

 

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