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約3千人の仕事が影響【団交報告】

GTSデリバリー・トランスフォーメーション

 組合は2月10日にGTSデリバリーのトランスフォーメーション内容や賃金減額事件に伴う不利益の解消などについて団体交渉を行いましたので、以下にお伝えします。

ベンダーのみが対象?

 2016年1月27日に開催されたGTS&IS全体会議において、高山利成担当より以下の5点がGTSデリバリーのトランスフォーメーション策として発表されました。
1.イベント/サービスリクエストの拡大とブループリズムの展開でオートメーションを拡大
2.センター・ベースのデリバリーモデル
3.インドでの日本向けオペレーションの確立
4.地方に大規模TC拠点を開設し、東京・大阪からシフト
5.箱崎TCの3Q閉鎖(計画)し、インド・地方拠点・幕張へシフト。
 高山担当によれば、上記1番で約445人分の仕事の削減、3番で1000人分の仕事の削減、4番・5番で1500人分の仕事を異動とのことです。合計すると約3千人分の仕事が影響を受けることになります。
 組合はこれほどの大規模なトランスフォーメーションで人権侵害が発生しないかと危惧し、今回の団体交渉にて、
・影響を受ける組合員名
・具体的なトランスフォーメーション計画
を文書回答し、協議することを求めました。以下が協議の内容です。

組合 文書回答は?
会社 文書は今準備中だが、今日の団交では口頭で答えたい。ここで対象になっている仕事・リソース・人・業務等については、いわゆるベンダー化されていたところがほぼ全て対象ということになる。従って、直接的には社員の方への影響が現れるものではない。一方、GTSとしては仕事のやり方を変革していくので、それに付随した形で社員の配属先の変更や業務の変更が起こる可能性はある。
 「ベンダー」の中に、ISC―JやIBIT等は入るのか?
 「ベンダー」の意味としては、IBMグループ以外、つまり社外に出している仕事になる。
 グループとはどこまでか?
 100%出資会社までが社内という意味だ。ただし、変革に伴って、ベンダーとの接点の仕事についている人については、今回の変革によって職種変更や所属変更は起こり得ることは事実だ。
 4番、5番としては、どうか。社員もかかわる。会人員削減ではなく、ビジネスのやり方を変えて業務ベースで移動するということだ。
 具体的に通勤可能か、などの考慮はあるか。
 まだ具体的な計画は無い。
 相当に大きな変革になることが予想されるので、関係する組合員については早急に氏名を教えてほしい。
 ケアをしていきたい。
 まとめると、職種の変更や配置転換はあり得るが、人員削減や労働条件の不利益変更の計画は無いという理解でよいか。
 その通りだ。
     ~ ~ ~
 組合は今後も無理な変革や人権侵害が起こらないよう監視します。ベンダーに頼っていた仕事を急に変えても大丈夫か、社員の不当な扱いがないか、会社の説明と実際とが違っていないか、おかしいと感じたらすぐに組合に相談してください。

賃金減額事件は次のステージへ

 賃金減額裁判で会社が2015年11月に「認諾」したことを受け、これまで4回の団体交渉を行い、原告以外のすべての組合員の不利益回復や、2013年以外の賃金減額分についても不利益回復を求めてきました。
 そもそも裁判は賃金制度そのものの違法性を訴えたものであり、それを会社が認諾したということは、今回の賃金制度によって減額された不利益分を2013年分にかかわらず、すべて回復するのが筋というものです。
 さらに会社は賃金制度を元に戻すことについても一切応じないばかりか、あろうことか、2次裁判を起こすことについて「甘受します」と回答してきました。
 たたかいは第2次裁判に移ることになります。

解雇に相当する理由なし

-高山さん関連証人尋問-

 2016年2月3日に東京地裁527号法廷で、2013年6月にロックアウト解雇された第三次裁判原告の高山さん関連の証人尋問が行われ、解雇に相当する理由がないことがうきぼりになりました。
 2012年まで所属長だった服部充典担当と解雇当時の所属長の筱(しの)大介担当、高山さん本人が証言台に立ちました。

同僚は高評価

 服部担当は「稼働率目標94.1%を高山さんが達成していなかった」「高山さんのスキルやコミュニケーションに問題がある」と証言しました。そして「高山さんを低く評価しているのは、自分だけではなく、リーダー格のAさん、Bさんも同様だ」と証言しました。「Cさんは(高山さんを)高く評価したが『希望を込めている』と受止めている」と証言して失笑を買いました。他の原告も同様ですが、原告の高評価は全て「希望や期待を込めて」なされるという、奇妙な主張を繰返しました。また「当日連絡の休暇や遅刻が多かった」ことを証言しました。

会社の安全配慮義務違反が浮き彫りに

 反対尋問で組合側弁護士による突然の休暇取得や遅刻が多いことについて「メンタル疾患を疑わなかったか」という質問に対して、服部担当は「高山さんが以前、メンタル疾患で休職したことは知っているが、本人からの申告がなかったから知らなかった」と答え、部下の健康に配慮してなかったことを証言しました。
 次に筱担当が2013年当時も、高山さんの状況は「稼働率目標を達成していない」「スキルが低い」「突然の休暇や遅刻が多い」ことを証言しましたが、服部担当同様、反対尋問では明確な反論が出来ませんでした。メンタル疾患による勤務状況について、「特に必要な時は、会社は従業員に健康診断を命令できるのに検討したか」と問われると、「高山さんは新入社員ではない。自己責任だ!」と証言して、従業員に対する安全配慮義務を明確に否定しました。

涙に包まれた傍聴席

 さらに「高山さんが6月から新しい業務についた」が、「(解雇予告までに)問題が発生した記憶はない」と、解雇直前の高山さんの業務遂行状況に問題がなかったことを認めました。
 そして「いつ高山さんの解雇を知ったか」という質問に対して「2週間前だから、6月7日くらいに人事から知らされた。それ以前の経緯は知らない」と回答しました。高山さんが解雇に値する従業員なら、解雇は所属長の筱担当から言い出すはずですが、そうではなく、人事主導で高山さんの解雇が決まったことを認めました。
 最後に高山さん本人の尋問が行われ、「残業が増えたことで、メンタル疾患が悪化したこと」「PIPでは、『当日連絡の休暇を無くす』ことを目標に入れられたこと」「障害発生時に朝6時まで修復作業を行いながら、10時に出社し『責任を全うした』こと」を証言しました。「裁判所に言いたいことはありますか」との問いに、涙ながらに年金暮らしの年老いた母親の扶養家族になっている無念を訴えると、傍聴席は涙につつまれました。
 3月28日には、第一次二次ロックアウト解雇裁判の判決言渡しがあります。組合は全てのロックアウト解雇裁判に勝利し、原告全員の職場復帰を目指して、最後までたたかっていきます。

第3次ロックアウト解雇撤回裁判証人尋問スケジュール

第3次ロックアウト解雇撤回裁判証人尋問スケジュール

 

原告組合員の給与回復を回答

賃金減額事件

原告組合員の給与回復を回答

-団交報告-

 12月21日号でお伝えしたとおり、会社の「認諾」を受け、組合は7つの要求を掲げて2015年12月7日・24日、さらに2016年1月14日に協議を重ねてきました。
 この一連の団体交渉で会社は再三回答を引き延ばしてきましたが、ついに1月14日の回答で原告組合員の給与を原状復帰させるとの前向きな回答がありましたので、以下にお知らせします。
 組合は引き続きすべての要求が実現するように協議を続けていきます。
 給与は退職金や年金に影響します。社員の皆さんも一刻も早く組合に加入し、給与差額を取り返し、給与を元に戻すことをお勧めします。

要求内容とその回答

 以下に組合が出した7つの要求を再掲し、その回答内容を紹介します。
要求1.原告の賃金減額を撤回しもとの額に戻すこと。
会社回答1.原告となった組合員のリファレンスサラリーの減額相当額を増額することを回答しました。
要求2.認諾で含まれなかった減額分も支払うこと。
会社回答2.2013年分の減額で、まだ支払われていない期間分についてのみ支払うことを回答しました。
要求3.残業代や社会保険等、賃金減額に伴うすべての不利益を回復すること。
会社回答3.今回支払った部分およびこれから支払う部分について、残業代・変則勤務手当・確定拠出年金についても不利益分の差額を支払うことを回答しました。
要求4.原告以外の組合員についても同様の措置を行うこと。
要求5.組合に謝罪と謝罪金を支払うこと。
要求6.賃金制度を安易に減額できない制度に戻すこと。
要求7.今後、労働条件の変更については事前協議を行い、合意の上で実施すること。
会社回答4~7.要求4~7についてはゼロ回答でした。

あるべき会社回答とは

 会社が賃金を原状復帰させ、不利益分の差額を支払う回答をしたことは一定の評価ができます。
 その一方で、そもそも組合が賃金減額裁判で提訴した内容は、①現在の賃金制度がおかしいこと、②賃金制度を変更する過程で違法行為があったことでした。
 「認諾」とは提訴内容をすべて認めることです。とすれば、今回の提訴対象期間以外や、原告以外の組合員についても差額賃金を支払うのは当然ですし、制度をもとに戻すことも当然のことです。
 さらに、制度変更の際の違法行為についても認めたことになりますので、組合への謝罪や謝罪金についても当然のことですし、今後の歯止めとして、事前協議・合意の上で労働条件変更を確約することが会社としての真摯な対応になります。
 組合はこれらについても粘り強く交渉を続けます。

一刻も早く組合加入を

 この裁判の完全勝利については大きな反響を社員のみなさんからいただきました。
 2013年からの2年間で賃金減額された人は2000人はいるはずです。どうか我慢しないですぐに組合に相談してください。被害は毎月毎月続いているのですから。
 賃金は労働者の基本的な労働条件です。そのままにしておいては年金や退職金に影響してきます。組合に入るのは何も特別なことではありません。まずは加入して団体交渉に加わることから始めてはいかがでしょうか。多くの人が団体交渉に加わるだけで組合の交渉力は強まり、解決力が強くなります。

大幅賃上げと雇用の安定要求

 
生活を土台に一律の賃上を  16春闘 

 JMITUは三つのスローガンのもと2016年春闘を始めました。
 組合は「すべての仲間の大幅賃上げ」と「すべての仲間の雇用の安定」を中心に2月25日に要求書を提出します。回答指定日は3月9日です。

 JMIU2016年春闘スローガン
立ち上がろう!
  くらしと雇用、職場を守る
16春闘ひろげよう!
  憲法・平和・民主主義のまもれの声
前進しよう!
  強く大きく、要求実現の力を持つ労働組合に

すべての仲間の賃上を

 「すべての仲間の賃上げ」とは、以下の四点です。
①すべての企業で賃上げを実施する。
②「賃金は生活費」の原則に立って、すべての仲間に賃上げを実施する。
③正社員だけでなく、臨時や派遣労働者の賃上げを実施する。
④最低賃金の引き上げを行う。
 春闘では、「すべての仲間の大幅賃上げ」で消費税増税と物価上昇による生活悪化に歯止めをかけ、実質賃金のプラスへの転換を目指します。

雇用の安定を

 いま、利益至上主義の経営の施策が行き詰まり、方針の転換が求められています。「利益のためなら何をしてもいい」という経営思想が広がりつつあり、労働者の使い捨てや経営者のモラルの荒廃が深刻になり、それが経済の持続的成長の妨げとなっています。
 すべての仲間の大幅賃上げ、人間らしい労働と職場労働と実現をつうじて、日本経済の立て直しを目指します。

一律賃上げを

 成果主義の職場では、労働者の要求とはかかわりなく、会社の評価で賃金が個別・一方的に決められてしまいます。生活を土台に「賃下げや賃上げゼロを認めない」という立場から一律の賃上を要求します。
 「成果主義」とは労働条件の労使対等決定原則の否定です。更にこの言葉は、労働者が生み出した「価値」に生じて賃金を支払うという意味にも聞こえます。ところが、利益とは、労働者の生み出した価値と「労働力」商品の価値(労働者に支払う賃金)の差ですから、もし、労働者の生み出した価値に応じて賃金を支払えば、いまの賃金の何倍にもなり、利益はなくなります。経営者はそんなことは絶対にしません。
 では、なぜ、経営者は、「成果や業績に応じた賃金」などと主張するのでしょうか。それは、「健康で文化的な生活ができる賃金を支払え」という正当な主張に対して「賃金が低いのは、成果を出していないから」とごまかすことができるからです。そればかりか「がんばれば賃金があがる」と労働者をみずから労働強化に追い込むのです。

春闘アンケート
寄せられた声、声

 組合は職場アンケートを実施しています。そこで「職場が暗い」や「ひずみがある」と回答される方が増えています。成果主義が職場を崩壊させています。
設問7:職場や仕事上で苦労している点について教えてください。
◆人が減っている。残る人にしわ寄せがきて、結果としてあちこちでひずみが生じている。
◆リストラを気にしながら仕事をするのは精神的につらい。
◆社員の社畜化、言われるがままに行なうことが評価を得る為には必要なことだそうだ。自由闊達な意見交換っていつ無くなったんだろう。見ざる、言わざる、聞かざる、子供のサルの生きる知恵だそうだ。
◆稼働率の目標設定が有給休暇を取得すると達成出来ないので有給休暇分、残業をしている。
◆本来の仕事以外の数字を見ている。評価は最初から決まっておりその理由付けに重点がある気がします。
◆残業が多いことが当たり前である。
◆IBM社員の技術レベルの低下が激しい。
◆代わりがなく、日々こなさなければならないジョブアサインのため休みが取りにくい。休暇時にも結局会社のメールを見て必要な処理をしている状況になっている。
◆長年身近にいた人が直接リストラを受け、去っていった事実を目の当たりにし、職場では笑いや会話が減り、ギスギスした雰囲気が蔓延してきました。
◆低い年収、それを補うための過重労働が特には家計を担う家族の大きな負担になっています。

 

「退職しなければ解雇だ」でうつ病

労災認定

中央労基署

2278号-1面

会見で労災認定の報告をする(左から)大岡委員長、水口弁護士、杉野書記長=12月9日、厚労省内

 上司から繰り返し退職強要された社員が、2015年2月に「退職しなければ解雇だ」と言われたことが決定的な精神的ダメージとなってうつ病になり、それが労災として認定されました。
 組合はこの事件の経緯について2015年3月5日付の組合ホームページ記事で報告しましたが、再度ここに紹介します。
 会社はこれまで退職強要やロックアウト解雇を繰り返してきましたが、今回の労災認定、そして先日の賃金減額裁判の勝利は、社員を追い詰める人員削減手法が再考を迫られていることを示すものです。

事件の経緯

 Aさんは2014年末にPBC評価が悪いとして年末までに退職をするよう所属長から数回退職勧奨され、さらに2015年に入ってからも退職勧奨が続いていました。そして2月18日午後4時、面談に呼び出されたとき、所属長は「別の道に行ったほうがいい」と退職するよう求め、Aさんの返答をさえぎって、「受けない場合は、解雇状態になる」と脅迫しました。
 これを受け組合は2月27日に会社と団体交渉を行ない、Aさんに対して脅迫行為を働いたことに対する謝罪を求めました。ところが、会社は3月2日に「退職勧奨を受けない場合には解雇になる、というようなお話しはしていない」と返答したため、組合は3月3日、厚生労働省で記者会見を行い、早期退職に応じなければ解雇だと言われた面談の録音を公開しました。(組合ホームページには録音の書き起こしも記載されていますので、こちらも合わせてご覧下さい。)
 面談では、Aさんが「ロックアウト解雇ですか」と問いただすと、所属長は「そういうふうにならないように次の会社を紹介してあげるのでどうですか」と言い、ロックアウト解雇を否定しませんでした。
 会見で組合は「合法とされる退職勧奨のレベルを超えている」と指摘し、さらに担当弁護士は「これは違法であり、損害賠償の対象になる」と説明しました。

スピード認定の理由

 Aさんはうつ病と診断され、4月から休職しました。同時に組合が紹介した水口弁護士の助けを得て6月に中央労基署に労災申請をしたところ、12月1日に労災が認定されました。精神的な圧迫による労災の認定がわずか半年で認定されるのは極めて異例のことです。水口弁護士は「日本IBMは解雇を連発しており、上司の言葉は単なる脅し以上の心理的負荷があった」と指摘しています。
 スピード認定は会社が実施してきた社員を追い詰める人事労務施策が社会的にも問題視されていることを示しています。

労働組合に結集を!

すべての争議解決を

槍・穂高連峰から昇るご来光 (笠ヶ岳山頂にて撮影) 撮影:古川肇(組合OB)

JMIU日本IBM支部
中央執行委員長  
大岡義久

 2015年の私たちのたたかいは連戦連勝でした。東京都労働委員会に続き中央労働委員会からも「救済命令」が出され、会社が不当労働行為について謝罪文を掲示しました。

 さらに賃金減額裁判においても会社が請求を「認諾」しました。また中央労働基準監督署からは、退職面談を受けた社員の「労災認定」や都労委から会社に対し「勧告書」が出されるなど第三者機関においてことごとく会社に問題があることが確定しています。すなわち、労働者が組合に結集することで労働者の権利を守れることを証明した一年でもありました。
 しかし会社は成果主義と称して、相対評価、賃金減額、ロックアウト解雇で社員を管理し続けています。その結果、過重労働が横行し、労働者の賃金が抑制され、モチベーションが落ち、組織の風通しが悪くなり、チームワークを阻害するなど会社が成長するための根幹を揺るがしています。このような施策を速やかに改めるべきです。
 2016年は組合にとってより重要な年になります。まず、ロックアウト解雇裁判において、先行する5人に対し3月に判決が出るのをはじめ、次々に判決が出ます。組合は勝利を確信しており、会社はすべての争議解決を迫られることになるでしょう。
 最後に、新しい年が更に良い年になるよう祈念致しまして、新年の挨拶とさせていただきます。組合への結集をお待ちしています。

2015年に実現した組合要求一覧

1月 傷病手当金の累積使用が可能に
 組合要求により、傷病手当金が累計として18か月分まで受け取ることができるようになりました。

3月 東京都労働委員会から勧告書
 不当労働行為を繰り返す会社に対して、2回の「要望書」を経て、さらに強い「勧告書」が都労委から出されました。

4月 賃金減額がストップ
 組合が春闘要求として掲げていた4月の賃金減額をしないことが、実現しました。

5月 会社業績達成度70
 組合が春闘要求として掲げていた一時金の算定に使われる会社業績達成度70が実現しました。

7月 中労委で不当労働行為救済命令
 中央労働委員会から会社に対して謝罪文を掲示する命令が出されました。

7月 会社が謝罪文を掲示
 中労委の命令を受け会社が謝罪文を掲示しました。

11月 賃金減額裁判完全勝利
 会社が減額した賃金全てを支払うことを認める「認諾」をしました。

12月 賃金減額は当面「保留」
 賃金減額裁判の結果を受け会社は当面賃金減額を「保留」としました。

12月 労災認定
 「退職しなければ解雇だ」と言われ、うつ病になった人が労災認定されました。

 

会社は賃金を元に戻せ

 

会社は賃金を元に戻せ

―団交報告―

 賃金減額裁判において会社が11月25日に認諾したことを受け、組合は12月7日に団体交渉を持ち、左記の内容を要求しました。
 会社は団交の席上、「真摯に受け止め、検討を行っている。12月24日の次回団交までに文書回答し協議する」と約束しました。

組合要求の内容:

①原告の賃金減額を撤回し、もとの額に戻すこと

 賃金減額裁判では今までに支払われた本給および賞与の減額分を請求していました。請求分については12月1日に全額が支払われましたが、それだけでは十分ではありません。原告の賃金(リファレンス・サラリー)が減額される前の額に戻されてこそ真の解決と言えます。

②今回の認諾で含まれなかった賃金減額分を支払うこと

 裁判では未来に発生する損害の請求はしていないため、賃金が元の額に戻らない限り、毎月新たな損害が発生します。また、今回の裁判では2013年に行われた減額を争点としていたため、原告に対する2014年の賃金減額および2012年以前の賃金減額による損害についても認諾には含まれていません。これらの損害についてもすべて支払うことを要求しました。

③残業代・社会保険・401K等、賃金減額に伴うすべての不利益を回復すること

 認諾による支払い対象は本給および賞与の減額分のみですが、これらが元に戻ることによって残業代や厚生年金保険、確定拠出年金の拠出金の不足までもが顕在化することになります。これらを含む不利益分の回復も要求しました。

④原告以外の組合員について①~③同様の措置を行うこと

 裁判で取り戻せたのは原告の損害のみでしたが、裁判に加わらなかった組合員についても上記①~③の措置を行うことを要求しました。

⑤組合に謝罪と謝罪金の支払いをすること

 認諾は、会社が全面的に非を認めたことを意味します。したがって、組合に謝罪するとともに、裁判に伴う弁護士費用やもろもろの活動費用を弁済するのが当然です。このことを要求しました。

⑥賃金制度を安易に減額できない制度に戻すこと

 会社がフリーハンドで賃金減額をできるような現行の違法な就業規則や格付規程がそのままになっていては、今後も不当な賃金減額を会社が実施する可能性があります。安易に減額できない制度に戻すことが根本的な解決になります。このことを要求しました。

⑦今後、組合員の労働条件変更は組合と事前協議を行い、合意の上で実施すること。

 労働基準法の第2条では、給与等の労働条件は従業員と会社が対等の立場で協議し決めることが定められています。
 今回のようなことを繰り返さないためにも、このことを明文化しておくことが必要です。

減額された賃金は取り戻せます

 

まずは組合に相談を!

減額された賃金は取り戻せます

 組合ではこの間にPBC評価を理由として15%~10%もの大幅な賃金減額をされた社員が2000人以上に上ると推定しています。減額された皆さん、会社に請求して取り戻しましょう。会社はすでに白旗を掲げているのですから。

 すでに9名の原告には請求分が振り込まれました。今回の賃金減額裁判のFAQを右下に掲載します。黙っていても会社は賃金を返してはくれません。さあ次はあなたの番です。

 賃金減額は目先の毎月の給与減にとどまりません。そのままにしていると、確定拠出年金(退職金)や厚生年金、残業代などすべてに影響を及ぼします。退職するまでの長い年月を考えると、生涯賃金の差はとんでもなく大きくなります。退職後の生活にも影響します。

 あなたの賃金を取り戻すには;
 1.こちらのなんでも相談窓口に連絡する
 2.組合に加入する
 3.団体交渉に加わり賃金を戻す要求をする
 4.会社が要求を受け入れなければ、集団訴訟

 年末には決起集会が予定されています。
 連戦連勝の組合に入り、あなたも減額された賃金を取り戻しましょう。

Q.「認諾」の意味は?
A. 会社が裁判で訴えられたこと全てを認めたことを意味します。和解とは違います。従って後続の請求も認めざるを得なくなります。

Q.成果主義による賃金減額は仕方がないことなの?
A.いいえ。相対評価による業績評価のみで一方的に大幅減額することは労働契約法違反です。

Q.待っていれば会社は減額分を返してくれるの?
A. 例えば消費者金融の過払い金の請求の例でもわかるとおり、待っていても返してくれません。組合に入って皆と一緒に請求すれば取り戻せます。

Q.本給を減給前の額に戻せるの?
A.組合は団体交渉でもとの額に戻すことを協議しています。多くの人が組合に入ることで、交渉力が強まります。組合に入ってぜひ一緒に要求しましょう。

Q.賃金減額分の請求に時効はありますか?
A.あります。時効は2年です。

Q.2013年に減額されましたが、もう請求する意味が無いのですか?
A.そんなことはありません。賃金減額はずっとそのまま続いています。2年以内の減額分については請求することができます。

 

賃金減額裁判

組合 全面勝利

―会社がみずから請求を認める―

会見で裁判勝利の報告をする組合と弁護士= 27日、厚労省

会見で裁判勝利の報告をする組合と弁護士= 27日、厚労省

連戦連勝の組合

 2015年11月25日、賃金減額裁判において、会社は「原告らの請求を全て認める」として「請求の認諾」を行い、原告9名に対し裁判で請求されていた減額分の賃金および遅延損害金の全額約1200万を支払うことを言明しました。
 賃金減額裁判は12月25日に判決が予定されていました。しかし裁判の経過から、会社の敗訴が確実視される中、判決によって日本IBMの賃金減額制度の違法性や非人道性を厳しく指弾されることを恐れた会社が、判決前に自らの減額措置が誤りであったことを認め、白旗を掲げたものです。原告組合側の完全な勝利です。都労委、中労委の勝利命令に続き、組合は連戦連勝です。

認諾が意味するもの

 この「請求の認諾」によって回復される賃金はこの裁判を起こした原告9名の請求した金額に限られますが、会社は自らの減額措置の誤りを認めた以上、過去のすべての減額措置を撤回するとともに、今後二度と減額を実施しないことを約する当然の義務が発生します。
 組合は今後の団体交渉を通じて、過去に行ったすべての減額措置を撤回し、減額された組合員の損害を回復するように求めていきます。

組合に加入し、一緒にたたかいましょう

(原告Aさんのコメント)
 私は2013年5月、PBC低評価者に対する一律の減額が発表された翌日に組合に加入しました。真面目に働いてきた社員に対する会社の非道な仕打ちが許せず、また、10%を超える賃金減額が違法であることも確信していたためです。今回の「認諾」によって、過去の減額分約160万円を取り返すことができ、あきらめずにたたかってよかったと、心からほっとしています。
 ただし、賃金減額の問題はまだまだ残っています。今後すべての問題を解決するために、会社と団体交渉を行っていきます。賃金減額された皆さんもあきらめずに組合に加入し、一緒にたたかいましょう。
 ~ ~ ~ ~
 組合ホームページには、勝利声明が掲載されています。合わせてご覧ください。

請求の認諾とは

 被告が原告の請求が正しいことを認め、裁判所が作成する調書に記載されるもの。原告勝訴の判決が確定した場合と同様の効果が発生します。
 原告と被告の合意によって行われる和解とは異なるものです。

 

解雇は労働契約法違反で無効

ロックアウト解雇第1次・2次裁判結審

 ロックアウト解雇第1次・2次裁判は、11月16日に最終弁論を行い結審し3月28日に判決がでます。水口弁護士が最終意見陳述を行いました。以下にその抜粋を掲載します。

 本件解雇は、労働契約法16条に違反することにより無効である。

1 本件審理で明らかになった本件の特徴

 一つは、解雇予告通知書に記載された解雇理由が全てほぼ同一の定型文言にて記載されていたという点です。その文言は、抽象的な「貴殿は、業績が低い状態が続いており、その間、会社は様々な改善機会の提供やその支援を試みたにもかかわらず業績の改善がなされ」なかったというものです。原告らが具体的な解雇理由を問いただしても回答しませんでした。団体交渉での説明さえ拒んだため、中労委で不当労働行為と認定され、会社も命令を受け入れ裁判所への不服申立を断念しました。
 二つは、原告らは、日本IBMで10年、20年以上働いてきたにもかかわらず、突然、業績不良・改善の見込みなしと解雇された点です。その根拠として挙げられるのはPBCという人事評価ですが、これは相対評価です。解雇を相対評価で決めたというのです。
 三つは、IBMでは、2012年以降、毎年、全世界的に人員削減が実施され、そのため毎年、ワークフォース・リバランシング・チャージ、すなわち人員再調整費用が計上されています。時期及び金額は会社発表資料で明らかです。組合員で解雇された35名を見ると、Ⅰ期は、2012年第3四半期で4億800万ドルで11名解雇、Ⅱ期は2013年第2四半期で10億ドルで15名解雇、Ⅲ期は2014年第1四半期で2億ドルで4名解雇、Ⅳ期は2015年第1四半期で2億8000万ドルで5名解雇と時期が合致しています。会社が計画的に被解雇者を選定して、予算措置がある時期に一斉に解雇していることは明らかです。

2 本件解雇は人員削減のための解雇であること

 本件解雇は、原告ら労働者個人の業績が低い結果だとされていますが、実際には、先ず人員削減の目標ありきなのです。この点を赤裸々に語ったのが原告酒本の上司です。この上司は「毎年毎年、組織を維持できないほどの人員削減をやらされている。そうなると辞めさせても影響が少ない人物を人員削減対象とする」と語っています。
 要するに、日本IBMは、経営側の事情による解雇には整理解雇の法理が適用されるため、これを回避するため、あえて原告らの業績不良、改善の見込みがないと、理由を偽装して解雇しているのです。

3 メンタル疾患について

 原告ら5名のうちメンタル疾患に罹患していた者が3名います。日本IBM社内でメンタル疾患は人事上も対策が必要な問題でもありました。HRの資料にも患者の調査結果などが課題として掲載されています。
 ところで、原告らの中にはメンタル疾患を上司に申告できなかった者もいました。それは、メンタル疾患を抱えているということが上司にわかったならば退職勧奨の対象になるのではないか、と恐れたからです。これを申告しなかったことが解雇の理由になるでしょうか?
 最高裁判所は、東芝うつ病解雇事件(平成26年3月24日・集民第246号89頁)の判決の中で「労働者にとって,自己のプライバシーに属する情報であり,人事考課等に影響し得る事柄として通常は職場において知られることなく就労を継続しようとすることが想定される性質の情報であった」として、その情報を申告しなかったとしても、使用者はそれに配慮すべき義務を負うと判示しています。ですから、本件解雇についても、メンタル疾患を管理職に申告していなかったとしても、やむを得ない事情があり、かえって使用者が十分にそれに配慮していなかった場合には解雇が社会的な相当性を欠くことになると言うべきです。

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