労災認定
中央労基署
上司から繰り返し退職強要された社員が、2015年2月に「退職しなければ解雇だ」と言われたことが決定的な精神的ダメージとなってうつ病になり、それが労災として認定されました。
組合はこの事件の経緯について2015年3月5日付の組合ホームページ記事で報告しましたが、再度ここに紹介します。
会社はこれまで退職強要やロックアウト解雇を繰り返してきましたが、今回の労災認定、そして先日の賃金減額裁判の勝利は、社員を追い詰める人員削減手法が再考を迫られていることを示すものです。
事件の経緯
Aさんは2014年末にPBC評価が悪いとして年末までに退職をするよう所属長から数回退職勧奨され、さらに2015年に入ってからも退職勧奨が続いていました。そして2月18日午後4時、面談に呼び出されたとき、所属長は「別の道に行ったほうがいい」と退職するよう求め、Aさんの返答をさえぎって、「受けない場合は、解雇状態になる」と脅迫しました。
これを受け組合は2月27日に会社と団体交渉を行ない、Aさんに対して脅迫行為を働いたことに対する謝罪を求めました。ところが、会社は3月2日に「退職勧奨を受けない場合には解雇になる、というようなお話しはしていない」と返答したため、組合は3月3日、厚生労働省で記者会見を行い、早期退職に応じなければ解雇だと言われた面談の録音を公開しました。(組合ホームページには録音の書き起こしも記載されていますので、こちらも合わせてご覧下さい。)
面談では、Aさんが「ロックアウト解雇ですか」と問いただすと、所属長は「そういうふうにならないように次の会社を紹介してあげるのでどうですか」と言い、ロックアウト解雇を否定しませんでした。
会見で組合は「合法とされる退職勧奨のレベルを超えている」と指摘し、さらに担当弁護士は「これは違法であり、損害賠償の対象になる」と説明しました。
スピード認定の理由
Aさんはうつ病と診断され、4月から休職しました。同時に組合が紹介した水口弁護士の助けを得て6月に中央労基署に労災申請をしたところ、12月1日に労災が認定されました。精神的な圧迫による労災の認定がわずか半年で認定されるのは極めて異例のことです。水口弁護士は「日本IBMは解雇を連発しており、上司の言葉は単なる脅し以上の心理的負荷があった」と指摘しています。
スピード認定は会社が実施してきた社員を追い詰める人事労務施策が社会的にも問題視されていることを示しています。