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ロックアウト解雇を断罪

ロックアウト解雇を断罪
-都労委に続き中労委も会社に改善命令-
150710 中労委記者会見①

中労委命令を受け会見する組合と弁護士=10日、厚労省内

 2015年7月10日に中央労働委員会(中労委)から会社に対して改善命令が出されましたので、以下にお知らせします。この結果は現在係争中の全ての裁判に影響を及ぼすことは必至です。
 この事件は、2012年9月に発生したロックアウト解雇事件において会社が団体交渉を拒否したことが不当労働行為にあたるとして組合が申し立てていた事件です。都労委では不当労働行為と認定され、会社に謝罪文の掲示を命じていました。これを不服として、会社が中労委に再審査申し立てをしていたものです。

謝罪文の掲示を命令

 会社の再審査申し立てを棄却したうえで、謝罪文の内容を以下のように変更しました。
①都労委になかった被解雇予告通告者の氏名を記載。被解雇通告者の1人は会社が認めようとしなかったバンド8組合員でしたが、中労委は組合員と認定し、それを明確にしました。
②都労委の謝罪文の最後の文章「このような行為を繰り返さないよう留意します」を、「このような行為を繰り返さないようにします」という強い表現に変更しました。

会社主張を全て退けた

①会社が主張していた団交に応じる義務がなかったという理由を一蹴し、「義務的団交事項」に当たるとしました。さらに「会社のいう解雇理由は具体性に欠ける一般的・抽象的な定型的文言ともいうべきもの」で、団交は組合員にとって必要不可欠だったという判断を示しました。
②団交の時間的余裕がなかったという会社主張に対しては「そもそも解雇したのは会社で、解雇理由の詳細はもちろん把握していた」はずで、会社には団交に応じられない合理的理由はないとしました。さらに、時間を延長して解雇問題を協議することは十分可能だったという判断を示しました。
③当日、実質的な内容に入っていたという会社主張については「具体的な説明を行わないまま結論のみを述べるものであったり、抽象的かつ同一の内容を繰り返すものであった」とし、解雇理由や自主退職の場合の条件などについて具体的に明らかにしなかったという判断を示しました。
④事後の団交で協議したという会社主張に対しては、「不当労働行為の成否が左右されるものではない」としつつ、「念のため検討したが、やはり、解雇理由について具体的な説明を行っていない」という判断を示しました。
⑤会社はその後も誠実に団交に応じているという主張についても、会社は実質的な協議を行っておらず、「同種の再発を抑制する必要性がある」という画期的な判断を示しました。

シフト勤務者の裁量勤務を撤回

シフト勤務者の裁量勤務を撤回
-組合が会社の違法行為を正す-

 スペシャリスト認定を受けた途端、本人への説明無しにいきなり裁量勤務に変更され、しかもプロジェクトではシフト勤務についていたAさんの事例をご紹介します(なお、組合員の場合は重大な労働条件の変更の場合、本人への説明の前に組合との合意が必要となります)。
 Aさんの場合はシフト勤務についているのに裁量勤務を適用するのはおかしいとして組合が団体交渉にて会社と協議した結果、会社はAさんの裁量勤務を撤回し、さらに後日変則勤務手当も認めました。

いきなり裁量勤務に
 Aさんが5月分のeーAttendanceを入力しようとしたところ、いつもと違う画面になっていることに気がつきました。確認したところ、いつの間にか裁量勤務が適用されていたことがわかりました。
 組合が1回目の団体交渉でこの理由について質問したところ、会社の回答は「Aさんは、5月1日付でスペシャリスト認定され、それを所属長から通知してある。」とのことでした。しかし、裁量勤務への変更は重要な労働条件の変更です。組合が労働条件の変更が事前に説明されていないことを問題視し、さらにAさんの勤務状況を確認したところ、Aさんは早番・遅番のあるシフト勤務についており、勤務開始・終了時間が決まっていることがわかりました。
 シフト勤務ではそもそも働き方に裁量がありませんから裁量勤務を適用することはできません。組合はAさんの所属長がどういう経緯で裁量勤務を適用したのか、さらに調査するよう要求して1回目の団体交渉を終えました。

ラインをきちんと指導せよ
 2回目の団体交渉で、会社はAさんに対して5月に遡及して裁量勤務適用から除外することを回答しました。組合がAさんはプロジェクトで働いているため、同じプロジェクトで他にもシフト勤務につきながらも裁量勤務で働いている人がいるかを質問したところ、会社はまだ調査していないと回答し、この問題について回避する姿勢をとりました。
 さらに所属長にどのように指導したかを会社に質問したところ、口頭で「オイオイ、それは無いだろう」と言ったと回答しました。
 組合は他の社員も含めて重ねてこの問題を調査するよう会社に要求し、さらにラインに対してもきちんとした指導をするよう要求して2回目の団体交渉を終えました。

裁量勤務制度とは
 裁量労働は、「業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用できる」とされています。
 適用できる職種に「情報処理システムの分析又は設計の業務」が含まれるため、IBMではITスペシャリストに裁量労働としての裁量勤務制度が適用されることが多いのですが、勤務形態が正しく本人の裁量でできるようになっているかどうかはきちんと点検する必要があります。
 裁量勤務制度の適用が残業代や変則勤務手当の削減を狙っていることは明らかですが、そもそも残業代を正しく申請できる雰囲気が社内にあるでしょうか。組合に入れば安心して残業代を申請することができます。ぜひともおかしいことは「おかしい」と言えるよう組合に加入することをお勧めします。

勤務時間管理は大切
 裁量勤務制度が適用されていると、つい自分の勤務時間を記録することがおろそかになりがちです。しかし、これは大変に危険です。もし長時間労働の影響でメンタル疾患を患っても、それを証明することができず、労災申請が難しくなってしまいます。この機会にご自分の勤務状況を点検し、勤務時間の記録も始められてはいかがでしょうか。

田中さんを職場に戻せ

田中さんを職場に戻せ

ロックアウト解雇で6件目提訴

厚生労働省での記者会見

 6月3日、2012年から数えて6件目のロックアウト解雇提訴が行われ、厚生労働省記者クラブにて記者会見が行われましたので、この模様について報告します。
 今回提訴した組合員の田中純さんは、3月17日午前9時ころ、所属長からメールで午後5時に会議室に来るよう指示され、通常業務について質問を受け応答していました。入室から1分ほどすると、ドアがノックされ、4th ラインに当たる所長とエリア人事担当者が入室してきました。挨拶を済ませると所長はいきなり「この場は、あなたを2015年4月3日付けで解雇することが決定されたので、それを通知する場です」と述べて、解雇予告通知書を読み上げました。
 田中さんが「解雇理由は何ですか?」と尋ねても、所長は、同通知書に記載された「業績が低い状態が続いており・・・」という部分を繰り返し、「解雇理由を説明する場ではなく、通知する場でございます」と述べるばかりで、解雇理由について具体的な説明はありませんでした。いままで繰り返されてきた従業員を馬鹿にした解雇ストーリーそのものです。
 厚生労働省記者会で会見した田中さんは、「真摯に業務をしてきたのにこのような不条理なことは許せないため訴訟を決断した」と語りました。
 組合は、解雇された全員が職場復帰するまでたたかい続けます。

田中さんの決意表明
 4月3日に私は解雇されました。勤続18年余り、無遅刻、無欠勤で働いてきました。
 3月17日夕刻、突然、A4用紙一枚の「解雇予告通知書」を渡され、直ちに私物をまとめて出ていくよう告げられました。同僚に挨拶することもできず、帰宅しました。それ以降、会社内に入ることはできなくなりました。
 2013年、2014年と連続で本給を減額され、304、600円まで下がりました。やむを得ず、減額撤回を求め、別件でも提訴しています。しかしその地裁判決も出ないうちに、解雇されました。
 我が家にはまだ、3歳の子どもがいますが、このまま泣き寝入りするわけにはいかない、と悔しく、激しく憤りを覚えています。こんなロックアウト解雇がまかり通ってしまってはとんでもないと解雇撤回を求めて提訴しました。
 勝訴し職場復帰する日までどうか応援をよろしくお願いします。

 

ラインによる障害者虐待防止法違反の疑い

ラインによる障害者虐待防止法違反の疑い
      担当、フレックスタイム認めず -第21回団交報告-

 6月18日に団体交渉を行いました。その中から障害者虐待防止法、裁量勤務制度、フィットネス・ジム、賞与発表の注意事項文言、RAについての協議内容を以下に報告します。

ラインによる障害者虐待防止法違反の疑い

 GTS・リスクマネジメント部門のT担当は、視覚障害者の部下がラッシュアワーとなる危険な時間帯の通勤を避けるためフレックスタイムを利用して10時出社を希望しているにもかかわらず、それを認めようとしないため、団体交渉でこのことを協議しました。
 この部下が証拠の残る形で10時出社が希望であることをメールでT担当に伝えたところ、T担当はなぜかこの部下を面談に呼び出して口頭で何か特殊な条件をつけた上で10時出社を認めた。さらに、その内容ついて議事録を書くように指示し、あろうことか、「当職の認識と大きく乖離している場合は取り消すこともある」などとこの部下を脅迫したことがわかった。就業規則で認められているフレックス出社に何か特殊な条件をつけることは差別的な扱いを意味し、労働基準法に照らして問題だ。さらに、脅迫するなどということはあるまじきことで、障害者虐待防止法の適用も視野に入れている。これ以上T担当が不適切な言動を行わないよう対策することを要求する。
 回答は準備中だ。
 なぜ面談なんかするのか。もっとシンプルにメールへの返信で「了解しました」と返せばいいだけだ。
 10時出社は認めている。この件について調査する。

シフト勤務なのに裁量勤務制度を適用

 社員の労働条件に変更がある場合は事前に社員に説明するべきだ。なんの事前説明もなしにいきなり裁量勤務になった社員がいる。しかもこの社員は現在プロジェクトでシフト勤務についている。シフト勤務であれば勤務時間の裁量がないため、裁量勤務制度を適用するのはおかしい。きちんと説明してほしい。
 確認調査する。
 速やかに対応しないと労働基準法違反になる。さらに、この社員だけの問題でなく、同じ職場の人全体の問題だ。対象者が何人なのかも調査してほしい。
 特殊なケースなので調査する。
 もしもラインの暴走だったら厳重注意してほしい。
 より深く事実を調査する。

賞与・定期俸制度の発表にある注意事項は労基法違反

 5月1日付賞与・定期俸プログラムについての発表の一番下にある「注意事項」の文言に、「IBMが本件プログラムによる支払いを行う、維持する、または継続する義務や約束をするものではありません」との文言があるが、これは労働基準法に照らして問題だ。そもそも賃金や労働条件については労使対等の立場で協議し、合意のもとで実施されるべきものだ。
 この注意事項は今回から入ったものではなく、昨年の3月11日付発表から入っている。
 この注意事項は昨年冬の賞与時には無くなっていた。そしてこの春にまた復活した。
 一方的に賞与を廃止することはない。
 それならこんな注意書きは不要だ。労働条件は労使対等原則で決まるものだ。英文をそのまま訳すのはやめて欲しい。
 持ち帰って検討する。

フィットネス・ジムの件

 箱崎事業所にフィットネス・ジムを作る件はその後どうなったのか。
 場所についてはほぼきまったようだが、まだ内容についてはお話しできる段階にない。
 場所はだいたい箱崎のどのへんということは決まったということか。
 まだアナウンスできる状態ではない。箱崎の中もまだ改装が続いている状態だ。運用についてもこれからだ。

RAは休職者を狙い撃ちか

 RAの部門予算などについては回答しないという回答だが、それでは協議できない。回答を要求する。RA対象となった理由も不十分である。
 部門予算について回答する考えはない。今後のキャリアを考えて欲しい人に声をかけている。
 声をかけるのは休職者も対象か。
 休職理由によるが上司の判断で声をかけることはある。
 退職を提案するなら、理由をきちんと説明するべきだ。予算なども全体像を示して欲しい。もう少し情報を開示して欲しい。
 要求はわかった。

不条理なことをするな

不条理なことをするな
全労連・東京地評総行動報告

5月28日に全労連・東京地評争議支援総行動をおこないました。
IBM前の行動は、昼に最大規模でおこないました。
2267号-1面 本社前に集まった多くの支援者

本社前に集まった多くの支援者

◆IBM本社前行動
 5月28日の昼、本社前には、500人がつめかけました。
 まず挨拶に立った森田東京地方労働組合評議会(東京地評)議長は、ポール与那嶺社長に対し「ロックアウト解雇など不条理なことを日本人にするな」と訴えました。生熊全日本金属情報機器労働組合(JMIU)中央執行委員長は「日本IBMでは50人を超えるロックアウト解雇がおこなわれていますが、裁判を通じて『アメリカからの指示で人を減らさなくてはならない』と所属長から言われ、ロックアウト解雇された労働者がいることがわかりました。つまり、能力がないという解雇理由は口実に過ぎないという実態が明らかになりました。」と抗議しました。

◆日本ロール社前行動
 葛西にある日本ロール製造株式会社本社前には朝8時30分から50人以上の支援者がかけつけました。朝5時に家を出てきた人もいて驚きました。IBM支部から共に頑張ろうと訴えました。

◆いすゞ本社前行動
 70名以上の参加者がいすゞ自動車株式会社本社前に集まり、派遣切り・期間社員雇止め撤回を求める社前行動と会社への要請行動を行いました。IBM支部から連帯の挨拶を行い、ともにたたかいましょうと訴えました

◆オリエンタルモーター社前行動
 オリエンタルモーター株式会社は、裁判所の判決や労働委員会の命令が実に36回も出されている札付きの会社ですが、39年間も労使紛争が継続しています。IBM支部も連帯の挨拶を行い、速やかに解決をするように会社に要請をしました。

私傷病休職を有給に戻せ

私傷病休職を有給に戻せ
LTD保険は個人負担への押し付け

 5月に入り、全社員向けに「LTD(LongTerm Disability)保険」の募集が開始され、大規模事業所で説明会が開催されました。送付された説明資料の中では「2 0 1 4 年12月1日から、傷病での欠勤および休職期間中のルールが変更になった」ことが、今頃になって保険代理店によって宣伝されています(下図を参照ください)。しかし説明会に出てその中身について初めて知った方もいるのではないでしょうか。就業規則の変更前は、私傷病欠勤・私傷病休職期間中、100%給与が支払われる制度だったのです。

LTD保険の問題点
○ 本給・本俸の一部しか補償されない
○ 休職期間中も保険料支払必要
○ 精神障害の場合保険金支払期間24ヶ月まで
○ 健康状態の告知事項によっては加入できない場合あり

個人負担への押し付け

 会社は、従来加入していた休業補償保険を、満期になったことを理由に従業員に通告しないで2014年1月に解約しました。
 すなわち、このLTD保険の意味は、それまでの会社の掛金負担を折半として社員本人に押し付けてきたことに他なりません。しかも会社の制度であれば社員全員が対象でしたが、LTD保険には加入時に告知事項があり、申し込んだからといって全員が加入できるものではありません。また、「最長で満60才まで補償」が最大のセールスポイントのこの保険ですが、精神障害の場合は24ヶ月が支払い限度になっており、注意が必要です。

私傷病休職を有給に戻せ

 組合の追及に対して会社は「事業所内にジムを作るなどの健康サポート、復職支援への投資にまわす」などと回答してきましたが、そのジムはまだ影も形も見えず、実現の可能性は不透明です。そもそも事業所内のジムなど、誰が要求したのでしょうか。
 組合では、社員全員が安心して病気やケガの治療に専念できるよう、最大35ヶ月間の私傷病休職期間について、元の100%給与支給に戻すことをこれからも要求していきます。

2267号-2面 最大53か月の生活保障(従来)

夏のボーナス 会社業績達成度70

夏のボーナス 会社業績達成度70
組合要求が実現

 今年の夏季一時金(賞与・定期俸プログラム)において、会社はGDPを支給し、かつ2014年度の会社業績達成度を70とすると回答しました。
 これらの回答に対する要求は、今年2月19日に 春闘要求として会社に提出したもので、3月2日発行の「かいな」第2261号でお知らせしました。組合は会社業績達成度を70以上とすることを要求していました。
 ちなみに直近の会社業績達成度は次の通りです。
 2012年度:19
 2013年度:60
 昨年はGDPが支給されず、会社業績達成度も60でしたが、昨年と同じPBC評価(2以上)であれば社員の皆さんのボーナスは増額となる見込みです。
 春闘アンケートにご協力いただいた皆様、「がんばれ」と言ってカンパにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。これからも応援をよろしくお願いします。

ロックアウト解雇は無効

ロックアウト解雇は無効
-ロックアウト解雇の本質は整理解雇-

 5月12日、第四次ロックアウト解雇裁判の口頭弁論が東京地裁で開かれ、原告訴訟代理人の意見陳述が行われました。以下に、訴訟代理人の意見陳述書を掲載します。

意見陳述書
 2015年5月12 日 原告訴訟代理人 弁護士山内一浩

 本件解雇が、米国IBMの指示によるSO業務部人員削減のための整理解雇であることは、本件解雇直前の面談時の吉井豊氏の発言から明らかです。本件ロックアウト解雇の前の2014年2月21日午前10時から10時15分まで、吉井氏は原告と面談しました。そのなかで吉井氏は、
米国IBMの指示・命令として、SO業務部の「本土」チーム(幕張チームのメンバーの他にA氏の勤務する大阪、B氏の勤務する福岡のメンバーを含む)の人員と沖縄・大連チームの人員の比率を、「昨年の20%対80%」から、15%対85%と本土の比率を下げる方針が出されている。これにより、「本土」チームのさらなる人員削減が必要になる。
この人員削減の方針は、同年2月18日に米国IBMの担当副社長から被告に伝えられ、その後私に伝えられた。米国IBMとしては、同年半ばにはこの人員削減を達成せよ、とのことであった。
SO業務部としては、この方針を達成するにはさらに業務を沖縄や大連チームにシフト(移管)する必要があるが、部分的にシフトするのは却って問題があるので、SO業務部のほぼすべての現業を沖縄チームにシフトさせることに決定した。
そのような「背景」の中で、同年3月末日(同年第1クォーター末)を退職日とする早期退職プログラムが実施されることになっている。原告がこのプログラムを利用するかどうか検討してほしい。
 つまり、吉井氏は、米国IBMからの「本土」チーム人員削減の方針が示されたことから、原告に対して早期退職プログラム(RAプログラム)を「利用」した退職を「勧奨」してきたのです(なお、米国IBMは、2014年第1クォーター(四半期)において、全世界での「人員再調整費用」として8億7000万ドルを支出していた)
 原告は、3月5日、この退職「勧奨」を拒否する旨を吉井氏に伝えました。被告は、それからわずか5日後の3月10日、原告に対して同年3月28日付で解雇する旨の解雇予告の意思表示を行いました。
 また、同年3月末(同年第1クォーター末)には、やはりSO業務部幕張チームのC氏、D氏も、吉井氏のいう米国IBMからの「本土」チーム人員削減の方針により、退職勧奨を受けて早期退職しています。
 この吉井氏の面談時の発言、そして2012年も2013年も、SO業務部において原告の他に早期退職した社員が何人もおり、現在では旧SO業務部の業務を担当している社員はわずか2名に減らされていることなどから、本件解雇は、米国IBMの指示・命令によるSO業務部(本土)の人員削減方針を実現するための整理解雇であることは、もはや明確です。

 こうした大量の人員削減は、全世界のIBMにおいて行われていることであり、例えば昨年度第1四半期の間においても、IBMはインドやブラジル、欧州各国など世界中で約1万5000人を解雇する計画を立てており、米国内やインドにおいて既に大規模な人員削減に着手している。また米IBMは、2013年からの2年間にフランスで最大1400人を削減する計画をフランスの労働組合に通告しており、実際IBMフランスにおいては、大規模な人員削減が実施されています。
 そして、日本においても、被告は米国IBMの指示・命令に従って人員削減を繰り返し行ってきており、SO業務部(本土の幕張チーム)では、2013年6月末にE氏、F氏、G氏の3名が退職勧奨を受けて早期退職し、上記のとおり2014年3月末にはC氏、D氏も退職勧奨を受けて早期退職し、かつ退職勧奨を断った原告は解雇されました。現在SO業務部は他の部署に統合され、その結果、現在旧SO業務部の元幕張チームとして残っているのは、H氏とI氏の2人だけです。よって、原告の能力不足、業績不良なる「解雇事由」は、人員削減のための整理解雇の本質を隠蔽するための口実に過ぎないと思料します。

 関連訴訟における被告証人の証言も、一連の解雇が能力不足解雇ではなく整理解雇であることを裏付けています。関連別訴である1次訴訟の原告の上長であった川喜多克郎氏は、「2012年9月(同年第3クォーター末)20日に原告への解雇予告通知がなされたが、原告が解雇されることを川喜多氏が知ったのは、その解雇予告の数日前であり、被解雇者が原告であることは、人事部門の方から通知してきた」と証言しています。
 真実、原告が、もはや職場に残しておけないほど業績が著しく不良で解雇もやむなしと言うのであれば、原告を解雇すべきことは、原告の勤務状況や業績等をよく知る現場の上長である川喜多氏の方から人事に上申していたはずです。
 ところが、事実は、現場の川喜多氏の方から原告を解雇するよう上申したのではなく、人事部門が決定し川喜多氏に連絡してきたのです。このことからすれば、被告は、RAプログラムを含む人員削減計画を立て、それを実行する中で、RAプログラムに応じた社員についてはその適用を認めて合意退職扱いとしたが、RAプログラムに応じない原告らについては解雇を強行したという構図は明白です(なお、米国IBMは、2012年第3クォーターにおいて、全世界での「人員再調整費用」として4億8000万ドルを支出した)。
 よって、本件解雇を含むこの間の一連の解雇が、真実は能力不足や業績不良を理由とする解雇ではなく、人員削減のための整理解雇であることが明らかです。

 しかし、本件解雇は、多言を要するまでもなく整理解雇4要件をいずれも充たしていません。経営上の高度の必要性の有無1つをとっても、被告の2013年度の業績は売上高8804億6500万円、経常利益は973億1700万円であり、経営上の高度の必要性などまったく認められません。よって、本件解雇は無効です。
 裁判所におかれましては、本件解雇の真相を理解され公正な判決を下されるようお願い致します。

会社2Qもリストラを継続

会社2Qもリストラを継続
-1Q決算でCFOが言及-

 2015年4月20日に1Qの決算が発表されました。その席でMartinSchroeter CFOが1Qと同等規模のリストラを2Qも継続すると言及しました。こんなことを続けていたら、会社がおかしくなってしまいます。会社は直ちにRAプログラムを中止すべきです。

1Q決算発表でのCFO所見

 CFO所見によれば、1Qは2・8億ドルのワークフォース・リバランス(リストラ)を行ったとのこと。日本では10%程度の目標が下りてきますので、約2800万ドル、すなわち約30億円程度のリストラ費用が使われたと推定されます。これは約350人規模の人員削減となります。
 今回の発表で、2Qも同等レベルのリストラを継続するとのことですので、350人程度の人員削減がまたも行われかねません。

We’re continuing to rebalance our workforce, and this quarter we took a charge of $280 million, but that’s down $580 million year to year.
I’d expect a similar level of workforce rebalancing next quarter,

Martin Schroeter, IBM Senior VP and CFO

財政へのインパクトを抑えながらリストラを継続するという愚

 2014年のリストラを振り返ると、1Qで8・7億ドル。4Qで6億ドル。合計14・7億ドルのリストラ費用が使われました。CFOは今年のリストラ費用は昨年よりも少ないと言っています。2・8億ドルを4倍すると、11・2億ドル。これは昨年の合計14・7億ドルよりも少ない額ですが。ひょっとすると、四半期ごとに2・8億ドルを使うリストラを継続することを言っているのではないかと組合は懸念しています。
 年二回以上のリストラをする経営者は株主から失格の烙印を押されると言われます。このようなことをすれば、社員の士気は落ち、会社の業績は奈落の底に落ちていく心配があります。

2Qのリストラ・ツールはPIP

 すでに組合に多くのPIPに関する相談が寄せられています。PIPとは、いわゆる「改善計画」と言われるもので、一般的には「目標管理シート」と題されたフォームを提示される場合が多く、その目標は、ほとんどの場合、一見簡単そうに見えるものがほとんどです。しかし、リストラのツールとして使われるPIPの目的は業務改善と見せかけた面談を毎週持つことです。その中で退職勧奨や退職強要が行われます。
 PIPを提案されたら、それはあなたが「リストラの対象になった」ということに他なりません。すぐに組合に相談してください。

会社は直ちにRAプログラムを中止すべき

 こんなことを続けていたら、会社も組織も従業員もおかしくなってしまいます。会社は従業員を大切にして本業に邁進すべきです。経営者と従業員との信頼関係無しには業績の回復はあり得ません。直ちにRAプログラムを止めるべきです。

減額の根拠に裁判官も疑問

減額の根拠に裁判官も疑問
-賃金減額裁判で証人尋問-

 4月16日、東京地方裁判所で賃金減額裁判の証人尋問が行われました。証人尋問では、原告の組合側証人2名、被告の会社側証人2名、そして原告本人2名が順に証言を行いました。

違法な就業規則改訂

 この裁判で争われている賃金減額は、2010年の改訂で就業規則・格付規定に追加された「業績が職務内容に対して著しく低いと判断された場合は、本給、賞与基準額、本俸および定期俸基準額を減額することがある」という条項を根拠としています。
 2005年10月3日「人事改革」が発表された当時の門池二次雄委員長は、発表直後の就業規則改定では「定期昇給」を「給与調整」に変更しただけで、減額は実行できなかったことを、証拠をもとに証言しました。
 2010年の就業規則改訂当時の渡辺裕組合書記長は、この改訂の中核である給与の仕組みを変更するという重大発表を、会社は労使慣行を無視して団交を開かず、前年末に一方的に通知してきたこと、またこの就業規則改訂のための従業員代表選挙では、会社側は改訂内容に賃金減額が含まれることを社員に周知せず、論点を隠したまま選挙を実施したこと、そのような形で行われた従業員代表選挙の有効性に疑問があることを証言しました。
 一人目の会社側証人として証言した当時の小玉道雄労務担当は、これらの就業規則改訂はPay for Performanceの実現のために必要な措置であるという主張を繰り返すのみであり、なんら有効な証言を行うことができませんでした。

裁判官の質問に回答できず

 二人目の会社側証人として証言に立った川合哲也給与担当に対しては、裁判官自身が立て続けに質問を投げかけました。
「一定の大きさのパイ、つまり給与原資を配分するという前提で、一方で給与の減額を行うならば昇給についても基準があるはずではないのか」
「減額幅はPBC評価4の場合15%といった明確な基準があるのに、昇給に対してはそういった基準はないのか」
「減額の15%という数字はどのようにして決められたのか。またその際他の労働法規との横並びの検討は行わなかったのか」
「15%の賃金減額が仮に3回行われたら、その人はどうなるか」
「PBCが相対評価であるということは、目標を達成していても相対的に低評価となり、賃金減額されることはありうるのか」
これらの質問に対して、川合担当はどれ一つとしてまともに答えることができませんでした。
 労働基準法には、懲戒として減給を行う場合は給与の10%を超えてはいけないという規定があります。IBMの賃金減額はその規定すら超えるものであり、裁判官はその点を指摘したのです。

底なしの減額とRA

 原告も証言を行いました。一人目の原告はバンド8の社員であり、バンド7以下での賃金減額が行われる以前の2009年から全部で4回の賃金減額を実施されています。その結果、リファレンスサラリーが500万円以上も減ってしまったという減額の苛酷さを訴えました。
 二人目の原告は、2012年のPBC評価4のため、本給を5万円以上減額されました。翌2013年のPBC評価は2+であったのにもかかわらず、TCRによる昇給は9600円、つまり減額幅の五分の一以下にすぎなかったことを証言しました。
 ひとたび減額されると影響は退職まで続き、その後、高い評価を得ても挽回することは事実上不可能です。会社のいうPay for Performanceというのはまやかしに過ぎません。
 また、賃金減額が発表された2013年5月には同時に大規模なR A(リソース・アクション)が行われ、多くの社員が会社を去ったこと、賃金減額が、実際には社員を追い出すための手段として使われたことも証言しました。

裁判の今後は

 今回の証人尋問によって、組合の主張の正しさがより明らかになりました。裁判は次回の口頭弁論で結審し、秋には判決が出る見通しです。

賃金減額裁判とは
 この裁判は、日本IBMがPBC評価3あるいは4の社員に対して、リファレンスサラリーの10%~15%にも及ぶ減給(賃金減額)を行ったことに対し、その違法性を訴え、賃金減額を無効として減額分の支払いを求めるもので、9人の組合員が原告として会社を提訴してたたかっています。
 2013年9月の提訴以来10回の法廷が開かれ、会社の就業規則変更には合理性がないこと、さらに不当労働行為であることを原告は主張してきました。

 

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