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学習会開催「ジョブ型人事とどうたたかうか

11月14日夜、JMITUはオンライン学習会「ジョブ型人事とどうたたかうか」を開催しました政。府が内閣府に設置した「新しい資本主義実現会議」は「構造的賃上げ」などをかかげる一方で、ジョブ型人事の導入を含む「三位一体の労働市場改革の指針」を発表し、働き方の改悪を進めています。学習会では、JMITUの三木委員長が、ジョブ型人事制度の問題点を解説しました。その内容を学習会で使用した資料から抜粋し紹介します。

成果主義は「賃金と生活を切り離す」賃金制度

(1)「ジョブ型人事」とは、本来、「ジョブ(職務)」に応じて賃金や処遇を決定するという意味ですが、実態は賃金・雇用破壊の成果主義的な賃金・人事制度そのものです。(2)「成果主義」賃金の本質は「賃金と生活を切り離す」ということです。具体的には、次のような問題点があります。

「賃金は成果・業績で決めるもの」と言って物価高騰でも賃上げしない

成果主義とは「会社の評価によって個々の労働者の賃金を決める」仕組みです。したがって、労働者全員を賃上げするという意味での定期昇給、物価上昇に応じて賃金を底上げするという意味でのベースアップという考え方は否定されます。日本IBMでは「異常な物価高騰だから労働者全員に一律のベースアップを」という組合の要求に対して会社は「IBMの賃金はあくまで一人ひとりの成果によって決める仕組みだから物価が上がったからといって一律には賃上げしない」と応えています。

会社の評価は恣意的で基準もあいまい

成果主義では上司が個々の労働者を評価し賃金を決めるわけですが、その評価の基準があいまいで不公正なところがほとんどです。会社の都合によって評価の基準が変わったり、上司から見えやすい成果には高い評価がついたりする一方、目に見えない努力や成果は無視されるなど、多くのところで評価をめぐる不満が吹き出しています。

年齢給や勤続給など年功によって賃金があがる仕組みや住宅手当・家族手当などがなくなる

成果主義賃金では年齢給や勤続給など年齢や経験に応じて賃金があがる仕組みがなくなります。「定期昇給」と言っても、年に一回賃金を見直すだけです(日本IBMでは賃金規定から「昇給」という言葉が「給与調整」に書き換えられました)。実際には会社から高い評価を受けない限り賃上げはなくなり、低評価の場合は賃下げもあります。また、家族手当や住宅手当など成果・業績と関係なく支払われる属人的な手当も廃止しているところが少なくありません。

成果主義は雇用問題でもある

(1)成果主義の問題点は賃金だけにとどまりません。成果主義が導入されているところでは、低評価を受けた労働者に対する退職強要も頻繁におきるなど雇用の問題ともなります。日本IBMでは、「会社の新陳代謝を促す」といって、「毎年、会社の評価で下位10%の労働者を退職させる」という「ボトム10」という人事政策を公然とうたっています。そうした退職強要を制度化した「PIP(業務改善プログラム)」も外資系などを中心にひろがっています。PIPとは、低評価の労働者に対して、「学び直し(リ・スキリング)」を強要し、それでも成果がでなかったといって退職に追い込む手法です。

成果主義では企業の将来展望は生まれない

(1)成果主義が導入されると、経営者は自らの経営責任を棚にあげて労働者に責任転嫁するようになります。業績が少し悪くなると労働者に責任を転嫁する安易な発想となり、みずからはどうやって会社をよくするか考えないようになります。「麻薬」に侵されたように、賃下げと業績悪化の悪循環が繰り返されるようになります。賃金制度も改悪が繰り返されるようになります。(2)成果主義が導入されたところでは、会社や上司が労働者の生殺与奪の力をもつようになり労働者支配が強まります。労働者は会社全体の利益よりも自分がどう評価されるかを優先するようになり、業務上の問題点やミスを隠すようになります。その結果、重大な不具合や不良が可視化されないとか、ハラスメントが横行するなど、ブラック企業化してしまいます。(3)成果主義が導入されたところでは、助け合って仕事をする気風が薄れます。労働者は分断され、力をあわせて仕事をするというチームプレーの精神が希薄になります。技術・技能は承継されなくなり、みんなで知恵と力をあわせて仕事を工夫するということがなくなるため、「集団知」「経験知」も集積されなくなります。その結果、技術力、開発力も弱まります。電機をはじめ日本企業の国際競争力が弱まったのも、成果主義をはじめ労働者を使い捨てにする人事政策の結果といえます。

JMITU冬ボーナス回答速報 組合員平均、昨年を3万3194円上回る

物価高騰がいまだに収まらない中、JMITUの23年末一時金闘争は、11月17日現在、99支部分会が回答を引き出しています。また、上積み回答を求めて奮闘する支部分会が広がり、上積み回答を引き出したところは、29支部分会にのぼります。左表のJMITU主要企業の支部・分会は90万円を超える回答を引き出しており、昨年冬に続き堅調です。全体としても昨年冬の水準を上回っています。JMITUの組合員平均(加重平均)は、昨年の同時期との比較でプラス3万3194円(0.12ヶ月)となっています。

東京東部では、大東工業支部が昨年妥結を28万円上回る90万円を引き出すもこれを不満とし、5万円の上積みで95万円としました。小坂研究所支部は3次回答67万円(2.24ヶ月)を引き出しました。東京西部では、超音波工業支部が6万円の上積みで100万円の大台にのせました。東京北部では、文化シヤッター支部が初回回答74万円(2.61ヶ月)を不満として、一言メッセージを集めニュースを発行するなどし、0.29ヶ月上積みの82万682円(2.90ヶ月)を引き出しました。東洋精機支部は2次回答93万5千円を引き出し、昨年妥結を19万千円上回りました愛。知地本では、川本製作所支部が3次回答121万8千円を引き出しました。京滋地本では、カシフジ支部が2次回答110万円を引き出しました。大阪地本では、宮本製作所支部が昨年妥結23万円を大きく上回る初回回答からさらに上積みを引き出し、3次回答60万円(1.64ヶ月)としています。兵庫地本では、神港精機支部が4次回答75万円(2.61ヶ月)まで引き出し、昨年妥結を16万4千円上回りました。

IBM・キンドリルの状況

下表の通り、日本IBMの組合推定平均支給額は、賃上げ日が5月1日のため、夏ボーナス時と同額の92万6千円(2.06ヶ月)で、昨年より5万7千円アップでした。また、キンドリルジャパンの組合推定平均支給額は、賃上げ日が7月1日のため、夏ボーナス時より1万6千円アップの91万6千円(2.05ヶ月)で、昨年より4万7千円アップでした。
昨年よりアップも不十分このように日本IBM、キンドリルジャパンを含め多くの支部分会で回答は昨年実績を上回っているものの要求に届かず、物価高騰を補うにはまだ不十分な水準です。まだ多くの支部分会が大幅上積みを求めて闘争を継続しています。

昨年上回る 23秋闘要求提出102支部36支部が回答引き出し

 

要求、回答ともに昨年を上回る

10月7日時点で23秋闘要求提出支部分会は102支部、36支部分会で回答を引き出しています。昨年同時期と比較し、要求が+7支部分会、回答で+11支部分会を上回るものとなっています。

通勤手当の見直し

昨今のガソリン代の高騰を踏まえ、埼玉・吉原鉄道支部、自動車精工支部では通勤手当の改善(金額算定基礎のガソリン代の見直し)の回答を引き出しています。

再雇用者・継続雇用者の待遇改善

埼玉・東京セキスイ支部、東京北部・東洋精機支部では再雇用者、継続雇用者の賃金引上げや住宅手当の支給を引き出しました。

休暇数の引上げ

東京西部・超音波工業支部では、2時間単位休暇を年3日限度から年4日(16回)へ、中途入社者の初年度有給休暇付与日数増、神奈川・三興製鋼支部では年間休日、長野・マグネエース支部では結婚休暇日数を引き上げさせています。

時間外労働の扱い

埼玉・日新興業支部では時間外労働支給を1時間単位から15分単位に、長野日酸TANAKA支部ではノー残業デーを1日増やすことができました。東京西部・リオンサービスセンター支部では、労基署要請も行い、残業代を1分単位で支払うことを勝ち取り、過去3年分に遡及して精算するという大きな前進を築いています。労災補償では長野・カネテック支部、マグネエース支部が上積みを勝ち取っています。

事前協議・同意協定の遵守

また、多くの支部分会で、事前協議・同意協定遵守を確約させています。東京北部・鈴木シャッター支部では、団交を積み重ね、統一要求に対する回答で「事前協議」に関連する文言を「相互理解と納得をめざし事前に誠実に団体交渉を行い十分に協議する」と6箇所を書き換えさせました。東京西部・リオンサービスセンター支部の団交では、統一要求の項目で「事前協議同意協定を結ぶことはしないが、会社として行うべき責務はきちんと行う」ことを表明させました。また、「一時金交渉においては根拠となる経営数字の開示は行わない」という回答を変えさせ、きちんと開示して説明することを約束させました。政府が進めるジョブ型人事・成果主義に備え、事前協議・同意協定の回答を引き出し、遵守を迫っています

労働条件・職場環境改善

東京西部・HOYA支部では、「賃金制度の原案提示。自然災害時のアナウンス実施。階段段差対策実施。人感センサー付照明・階段ホールの換気・水平移動は必要な対策を行う。傘立て増設検討。作業着改善検討。食堂の改善検討。」など、支部要求に概ね沿った前進回答・前向きな回答を引き出しています。超音波工業支部では、女性事務員の作業服をスカートのみから、スカート・ズボンの選択が可能へ、などの前進回答。それ以外にも、「忌引き休暇取得運用見直し(東京西部・アジアエレクトロニクス支部)」、「職場環境改善(東京西部・田原電機分会)」、「インターバル勤務制度は今後検討する(東京南部・NSW分会)」、「職場の人員と技術に見合った仕事量への調整及び人員補充実施など組合要求に沿った回答(東京南部・TSP分会)」、「少しでも労働条件改善につながるものがあれば、可能な限り実行していければと考えております(東京南部・大田地域支部・高昭産業)」などの回答がありました。

IBM/キンドリル従業員代表選挙組合推薦候補に投票を

日本IBMで11月1日に、キンドリルジャパンで11月6日に従業員代表選挙が公示されました。

今回の従業員代表選挙には、左表の組合推薦候補が左趣意書を提出して立候補しています。従業員代表は「時間外および休日労働に関する協定書」(36協定)などの労使協定の締結、ならびに就業規則の一部改定についての意見聴取の役割を担います。任期は今年12月1日から来年11月30日までの1年間です。両社で従業員代表選挙が行われるのは、労働基準法が、労使協定の労働者側の締結当事者を、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者と定めているためです。よって、両社は労使協定を従業員代表と締結しているのです。

会社のYESマンの従業員代表の恐ろしさ

組合推薦でない候補者は、会社のYESマンの可能性があり、立候補趣意書の推薦人欄にラインマネジャーの名前の記載がある、つまり会社側の人から推薦されているケースが散見されます。会社のYESマンの従業員代表は、労働条件の不利益変更が含まれていても、会社からの制度変更提案になんでも同意しかねない恐ろしさがあります。会社はこれまで、会社のYESマンの従業員代表の同意を得て、組合との事前協議も十分に行わずに諸制度の改悪を強行してきました。実際に行われた制度改悪の象徴が、賃下げを可能にする格付規程の改悪です。その結果が、会社がパワハラ4点セットを使って行ってきた人員削減と人件費削減なのです。

組合推薦候補に投票を

従業員の皆さんにとって利益になるのは組合推薦候補の当選です。組合推薦候補は、上趣意書のとおり、労使協定の締結や就業規則等の改定に際し、必ず従業員の利益、労働条件の向上になるよう会社に意見することをお約束します。ぜひ、組合推薦候補者への投票をお願いします。

JMITU日本IBM支部23秋闘二次要求書の紹介

重点要求以外の要求より

10月24日、組合は日本IBM、キンドリルジャパンに2023年のJMITU日本IBM支部秋闘二次要求書を提出しました。回答指定日は11月7日です。この支部秋闘二次要求書は、重点要求のみ掲載した支部秋闘一次要求書に、職場のさまざまな労働条件の改善を求める詳細要求を追加掲載した要求書です。以下に支部秋闘二次要求書から詳細要求を抜粋して紹介します。

(IBM向け)労働条件の改善に関する要求

1.有期雇用やPC型社員を廃止し、レギュラー社員に転換すること。2.恒常的な仕事をしている臨時雇用者や、1年以上の継続勤務をしている派遣労働者については、本人が希望する場合は正社員化を検討すること。3.食堂・カフェテリアについて(1)横浜北事業所に、社員食堂・カフェテリアを設けること。(2)リロクラブの割引対象として社員食堂・カフェテリアも含めること。(3)社員食堂が利用できない従業員には食費補助金を出すこと。(4)本社事業所(箱崎)の社員食堂・カフェテリアが利用できない間は、本社事業所の従業員に食費補助金を出すこと。4.傷病休職に関する要休求職期間中は、現行制度では最初の3ヶ月(短期休職期間)は賃金が支払われ、その後は傷病手当金(本給より低い金額)が支払われるが、この制度を2014年の就業規則改定前までの最長3年まで賃金を支払う制度に戻すこと。5.出産、育児、看護、介護に関する休暇、時短勤務、深夜勤務制限などの会社諸制度を利用したことにより個人業績評価を低評価にしないこと。6.物価高騰を受け、各種出張手当を一律1000円増額すること。7.2時間以上の時間外労働をした際に支給される食事手当を500円にすること。

福利厚生に関する要求

1.永年勤続表彰制度を下記の通りに見直すこと。・勤続25年特別休暇20日特別一時金5万0円・上記以外で勤続5年ごと特に別休暇5日特別一時金10万円2.労働災害の死亡特別弔慰金を有扶養者3000万円、無扶養者2500万円にすること。(現行=それぞれ2500万円、2000万円)3.未就学者までになっている育児早退の対象を、小学校卒業までに延長適用すること。4.借り上げ社宅制度の廃止を撤回すること。5.住宅費補助の廃止を撤回すること。

健康及び安全衛生に関する要求

1.健康診断項目に関する要求(1)2014年4月1日付で有料化した健康診断オプション項目を家族検診も含め無料に戻すこと。また、無料オプション検診については最初から検診メニューに組み込んだ形で提供すること。(2)眼圧・眼底検査を4歳0以上の社員の無料必須検診項目として追加すること。2.インフルエンザの無料予防接種を復活すること。

(キンドリル向け)労働条件の改善に関する要求

1.食堂・カフェテリア・ベンディングマシンについて(1)横浜北事業所に、社員食堂・カフェテリアを設けること。(2)リロクラブの割引対象として社員食堂・カフェテリアも含めること。(3)社員食堂が利用できない社員には食費補助金を出すこと。(4)本社事業所(箱崎)の社員食堂・カフェテリアが利用できない間は、本社事業所の従業員に食費補助金を出すこと。(5)新本社事業所(六本木)でも従業員がベンディングマシン、給茶機などを利用できるようにすること。2.物価高騰を受け、各種出張手当を一律1000円増額すること。3.2時間以上の時間外労働をした際に支給される食事手当を500円にすること。4.永年勤続表彰制度を下記の通りに見直すこと。・勤続25年特別休暇20日特別一時金50万円・上記以外で勤続5年ごと特に別休暇5日特別一時金10万円5.借り上げ社宅制度を創設すること。6.住宅費補助を創設すること。7.有料の健康診断オプション項目については家族検診も含めキンドリルジャパンが補助金を出すことにより無料検査項目を増やすこと。8.眼圧・眼底検査を40歳以上の社員の無料必須検診項目として追加すること。9.インフルエンザの無料予防接種を実施すること。

シニア制度改善が大きく前進

キンドリルジャパン、来年1月に制度改定へシニア契約社員、月給19万円から25万円に

シニア・プロフェッショナル制度でも契約時のバンド条件を拡大(バンド8以上から6以上に)

キンドリルジャパンは10月27日、2024年1月1日付でシニア制度を改定することを発表しました。今回の改定(左図参照)では、まず、シニア契約社員の月額給与(週5日勤務)が19万円から25万円に賃上げされます。年収は228万円から300万円になります。さらに、シニア・プロフェッショナル制度でも次の点が変わります。・契約時のバンド条件がバンド8以上から6以上に拡大・初回の契約期間が(一定の条件をもとに)最長で次年度末まで、から最長2年に変更このようにシニア契約社員の月給は、昨年までの東京都の最低賃金ぎりぎりの17万円から、ほぼ1年で世間の水準に近づくことになります。(下図参照)シニア・プロフェッショナルでも雇用機会が拡大します。組合が訴え続けてきたシニア制度改善が大きく前進します。

広がる日本IBMとの差

日本IBMではシニア契約社員の月額給与(週5日勤務)がようやく10月に18万5千円(下図参照)になりましたが、シニア・プロフェッショナル制度の契約時のバンド条件はバンド8以上で据え置きです。キンドリルジャパンと日本IBMとのシニア制度の差は広がっていきます。

組合に加入しよう

従業員の皆さん、ぜひ、あなたも組合に加入してシニア契約社員の賃上げ、シニア・プロフェッショナル契約の締結・更新を要求求しましょう。組合員数の拡大は、要求を実現する交渉力の拡大となります。組合加入申込書は、組合ホームページ「当支部の紹介」の「組合加入申込書」からPDFでダウンロードできます。

米国の最近の労働運動は爆発的に前進 組合支持率71%うち若年層は88%が支持

米国の最近の労働運動は爆発的に前進 組合支持率71%うち若年層は88%が支持

9月29日、全労連会館ホール(東京都文京区)で、全労連主催の公開学習会「米国労働運動の組織化戦略から学ぶ」がオンライン併用で開催されました。学習会では、まず、米国から招いたピーター・オルニー氏が「2023年米国労働者のパラドクス」というテーマで講演し、続いて参加者がオルニー氏の講演内容についてディスカッションを行いました。今回のオルニー氏の講演では米国労働運動の最新事情を聴くことができましたので、その内容を以下に紹介します。

労働条件の改善進む米国

まず、「米国で起こっている最近の労働運動について、活発で爆発的に前進している。具体的には、アマゾンやスターバックスなどで新たな組合が結成されている。
教員、医療、マスコミ、公共交通、製造業、俳優、脚本家、大学院生労働者のストライキを構えた要求実現の運動が展開されている」と述べ、米国の現在の労働運動は、既存のたたかう組合と新しい組合の両方が労働条件の改善を進めていることを紹介しました。

若年層は88%が組合支持

米国における組合組織率と組合支持率について、「米国の労働運動は活発で爆発的に前進している一方、組合の組織率は低いともいえる。組織率は民間6%、公務で35%のため、統合しても約10%程度にすぎない。一方で、米国の世論調査によれば、組合を支持している人の割合は71%にのぼり、1963年以降、一番高い数字となっている。特に3歳0以下の層は8%8の支持率である。これは驚くべき数字だ」と解説しました。さらに、米国で組合の組織率が低くても労働運動が前進していることについて、「たたかう組合の姿勢を示せば、成功するという実例がいま米国で起こっている」と述べ、参加者を鼓舞しました。

戦術的にストライキ実施

今年、全組合員による投票で執行部をたたかう執行部に刷新した、全米自動車労組の最近の労働運動について、「組合の民主化が進み、労働運動に積極的な姿勢を取る組合執行部に変わったことが大きい。その結果、フォード、GM、ステランティス(フィアットとクライスラーの合併)などの自動車メーカーでは、戦略的なストライキを今年9月から展開している。最初は特定の拠点で限定的な人数がストライキに参加し、経営側が要求を拒絶する場合には、より強力な対策を講じて経営側に圧力をかけたたかっている。このストライキが成功したら、今後、電気自動車の業界や組織化されていない分野に大きな影響を与えることになる」と解説しました。

アマゾンで組織化進む

アマゾンの最近の労働運動について、「米アマゾンでは、組合の組織化に成功しているが、倉庫配送センターやウェブサービスなど経営が多角化しているため、現在3つある組合を一つに組織化することを進めている」と解説しました。

日米で連帯を視野に

米国の労働運動の地殻変動の象徴として、現職の大統領が史上初めてストライキをしている労働者の前で直接会話をする決断をしたことをあげました。また、今後、全労連から米国に派遣される代表団との交流を深め、労働運動を進めていくことを確認しました。

23秋闘 支部一次要求に会社回答

23秋闘 支部一次要求に会社回答

物価高騰の中、賃上げ・ボーナスで前進回答なし会社は従業員の生活にいっそうの配慮をせよ

組合が9月20日に日本IBM、キンドリルジャパンに提出した2023年のJMITU日本IBM支部秋闘一次要求書への回答が、回答指定日の10月4日に両社からありました。今回の会社回答は、物価高騰の中、両社とも賃上げ・ボーナスにおいて、9月13日の6次ストライキの前に両社が提示した春闘6次回答からの前進回答はありませんでした。両社とも従業員の生活にいっそうの配慮をすべきです。以下に支部秋闘一次要求と会社回答を抜粋して紹介します。

*****■支部秋闘一次要求
2.賃上げ要求(IBM・キンドリル向け共通)(1)本来、就業規則通りに賃上げが実施されていれば、2020年から現在までの間に4回賃上げがされていなければなりませんが、2021年5月、2022年5月、2023年5月(キンドリルジャパンは2021年5月、2022年7月、2023年7月)の3回しかされておらず、賃上げが1回少ない状況です。
(下図参照)

その一方、一昨年からの物価高騰で従業員の生活は厳しさを増しています。これを受け、少ない1回分の賃上げとして2023年中にもう一回の賃上げを実施することを要求します。(2)上記(1)の賃上げは、全従業員(正社員、契約社員、プロフェッショナル・ブルー、シニア・プロフェショナル、シニア契約社員、臨時雇用者・派遣労働者を含む)の本給(本俸・月額賃金)を10%引き上げること。(3)上記(1)の賃上げは、上記(2)の本給(本俸・月額賃金)の引き上げを実施した上で、以下を実施すること。1)本給が年齢別本給下限額(かいな前号2面参照)を下回っている従業員について、本給を年齢別本給下限額以上に引き上げることを要求します。2)本給(本俸・月額賃金)の引き上げにともない、賞与基準額についても本給(本俸・月額賃金)と同率の引き上げを行うこと。

■IBM回答
2の(1)、(2)、(3)1)について
2023年の給与調整は5月1日付で実施いたしました。2023年中にもう一度実施する予定はありません。
2の(3)2)について
当社の給与調整は本給・本俸および賞与・定期俸を含むReferenceSalary全体に対して行うものですので、調整を行う際には本給・本俸と賞与・定期俸の両方に同率を適用することが原則となります。■キンドリル回答2の(1)乃至(3)について本年度の給与調整は2023年7月1日付で実施いたしました。これに加えて2023年中の賃上げは予定していない旨回答いたします。

*****
組合に加入しよう
従業員の皆さん、今からでも遅くありません、ぜひ、あなたも組合に加入して賃金を上げましょう。ストライキに参加し、賃上げを要求しましょう。組合員数の拡大は、賃上げ、労働条件改善を実現する交渉力の拡大となります。また、組合加入は、従業員一人一人にとって雇用をまもる力、労働条件の不利益変更の抑止力となります。組合加入申込書は、組合ホームページ「当支部の紹介」の「組合加入申込書」からPDFでダウンロード、必要事項を記入し組合メールアドレス宛に送付して下さい。

JMITU日本IBM支部2秋3闘一次要求書

日本IBM、キンドリルジャパンに2023年のJMITU日本IBM支部秋闘一次要求書を提出しました。以下に支部秋闘一次要求書から賃上げ要求を抜粋して紹介します

2.賃上げ要求

.賃上げ要求(IBM・キンドリル向け共通)
(1)本来、就業規則通りに賃上げが実施されていれば、2020年から現在までの間に4回賃上げがされていなければなりませんが、2021年5月、2022年5月、2023年5月(キンドリルジャパンは2021年5月、2022年7月、2023年7月)の3回しかされておらず、賃上げが1回少ない状況です。その一方、一昨年からの物価高騰で従業員の生活は厳しさを増しています。これを受け、少ない1回分の賃上げとして2023年中にもう一回の賃上げを実施すること要求します。
(2)上記(1)の賃上げは、全従業員(正社員、契約社員、プロフェッショナル・ブルー、シニア・プロフェショナル、シニア契約社員、臨時雇用者・派遣労働者を含む)の本給(本俸・月額賃金)を10%引き上げること。さらに、個別組合員の賃上げ回答として以下のデータを必ず開示すること。①ジョブファミリー名②PMR③将来性(CareerPotential)④給与レンジ⑤AI(CompensationAdvisorwithWatson)によるSuggested%⑥昇給前後の本給月額及び本給昇給率⑦昇給前後の賞与基準額及び賞与昇給率⑧昇給前後のReferenceSalary及び昇給率また、上記の個別組合員の賃上げ回答の根拠として、格付規程第5条に書かれている評定の基準となる以下要素の内容を個別組合員ごとに回答すること。1.職務内容2.執務態度3.業績4.スキル5.本給ただし、バンド8、9および10の専門職については本俸
(3)上記(1)の賃上げは、上記(2)の本給(本俸・月額賃金)の引き上げを実施した上で、以下を実施すること。1)本給が下表の年齢別本給下限額を下回っている従業員について、本給を下表の年齢別本給下限額以上に引き上げることを要求します。2)本給(本俸・月額賃金)の引き上げにともない、賞与基準額についても本給(本俸・月額賃金)と同率の引き上げを行うこと。(IBM向け)
(5)賞与に関する要求1)2023年支払いの賞与の計算に使用される、2022年度の会社業績達成度「69」の根拠として以下を説明すること。①US-GAAPに基づく決算資料を使用したかどうか、使用した場合はどの情報を定量的にどのように使用したかを説明すること。②上記以外にどのような情報を定量的にどのように使用したかを説明すること。(キンドリル向け)(5)賞与に関する要求1)2023年支払いの賞与・定期俸の計算に使われる2023年度会社業績達成度「80」の決定方法をより詳しく回答すること。具体的には下記の例)のような財務指標(売上高、売上高伸び率、税引前利益)および、その他の質的指標(お客様満足度、マーケット・シェア、Reputation、社員の学習時間、エンゲージメント)をどのように重み付けし、それらをどのように評価して「80」という会社業績達成度を決定したかを回答すること。例)2021年度会社業績達成度「64」を決定するために参照された指標・キンドリルの会社業績に関しては、キンドリルグローバルの会社業績は含めず、キンドリルジャパンの会社業績を基準に用いて達成度を算出(売上高、売上高伸び率及び税引前利益をもとに算出)・上記(税引前利益、売上高、売上高伸び率)に加え、その他の質的指標(お客様満足度、マーケット・シェア、Reputation、社員の学習時間、エンゲージメント)に基づいて最終的に会社業績達成度を決定

9月13日 6次スト決行

1回分少ない賃上げの実施回答なし

賃上げ・ボーナスの上積み回答なし

今23春闘では、組合は、6月29日に5次ストライキを決行した後も、日本IBM、キンドリルジャパン両社との賃金闘争を継続して
います。物価高騰がいまだに高い水準にあるなか、既報の通り、組合推定で両社の賃上げ率、ボーナス増加率は物価高騰を下回り、実質賃下げでした。さらに、下図の通り、本来、就業規則通りに賃上げが実施されていれば、両社とも(キンドリルジャパンはIBM時代からの通算で)2020年から現在までの賃上げは4回あるべきところ、実際には1回分少ない3回という状況です。つまり今年も、日本IBMは5月1日付賃上げを実施しただけで、就業規則が定める9月1日付賃上げを実施していませんし、キンドリルジャパンは7月1日付賃上げを実施しただけです。(キンドリルジャパンは4月1日付で就業規則が定め

る賃上げ日を7月1日と変更しました。)そこで組合は6次ストライキを構え、6次回答指定日を9月11日として、両社に以下を要求しました。①今年実施済の賃上げに加えて、今年中にもう一回の賃上げを実施すること。さらに、この賃上げの中で、今年実施済の賃上げについて、組合員個別の賃上げ回答額の上積みも実施すること。②組合員個別の6月賞与支給額を、昨年より10%増となるよう上積みすること。③集団的労使交渉に必要な情報として全従業員の賃上げデータ(平均賃上げ額、平均賃上げ率など)を提出して誠実に協議すること

両社とも前進回答なし、6次スト決行

しかし、両社とも9月11日の6次回答で前進回答は無く、組合は9月13日、9時から6次ストを決行。昼休みには両社の箱崎本社前でスト行動(写真上)を第293回金属反合共同行動として実施しました。今回も前回と同様、9時から17時36分のあいだに設定した

6つの時間の中から組合員が時間を選択して参加する形で本社前・在宅にてストを決行しました。組合は、今後も、すでに始まっている23秋闘のなかで日本IBM、キンドリルジャパン両社との賃金闘争を継続します。

組合に加入しよう

従業員の皆さん、今からでも遅くありません、ぜひ、あなたも組合に加入して賃金を上げましょう。ストライキに参加し、賃上げを要求しましょう。組合員数の拡大は、賃上げ、労働条件改善を実現する交渉力の拡大となります。また、組合加入は、従業員一人一人にとって雇用をまもる力、労働条件の不利益変更の抑止力となります。組合加入申込書は、組合ホームページ「当支部の紹介」の「組合加入申込書」からPDFでダウンロード、必要事項を記入し組合メールアドレス宛に送付して下さい

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