【団交報告】 危険な人事施策変更について
― 注意点その2 ― 9月11日団交報告
前回9月22日の号外では、①私傷病欠勤と私傷病休職②傷病手当③病欠・休職・復職・退職の手続きにおける会社権限の強化④確定拠出年金制度の変更、の四点についてお知らせしましたが、危険な変更点がまだあることが判明しました。組合の質問に対する会社の回答も含め掲載します。
健保料も値上げ?
休職者の生活保障を健保の傷病手当へ移行させると健保の負担が増えるため、今後保険料の値上げが心配されます。会社は傷病手当金の負担はごくわずかだと説明しますが、これは傷病手当の申請が少なかったこれまでのデータを元にしているためです。傷病手当の支給が増加すれば健保財政を圧迫することはひ必至です。
短期休職期間の給与
会社説明では、短期休職期間中はリファレンス・サラリー一○○%支給との説明でしたが、新就業規則では、本給の一○○%となっています。これでは賞与分がどうなるかわかりません。この点を団体交渉で追及し、賞与の出勤率は減らさないとの会社回答を引き出しました。
短期私傷病休職、繰り返しで「解雇」も?
新しい短期私傷病休職制度についても団体交渉で取り上げたところ、会社は「短期私傷病休職は十二ヶ月ごとにリセットされる」と回答してきました(累計は三十五ヶ月まで)。
ただ、今回の就業規則の変更により会社の権限が強まったので、同じ病気で短期私傷病休職を繰り返すと解雇される危険がある、と組合では見ています。
病気でも「無断欠勤」と判断される?
新就業規則の二十五条第三項に「会社の承認が得られないときは、無断欠勤とする」との記載があります。従来、病気欠勤などは届け出でよかったのですが、新制度では所属長の承認が必要となってしまいます。悪用される恐れがあり、その旨をただしたところ、会社はプロセスを作ると約束しました。さらに、従来の病気欠勤が取得しにくくなる点も追及しました。会社は従来の病気欠勤については給与も出るし、賞与の出勤率にも影響はないはずだが、確認するとしています。
同第五項に「私傷病による欠勤が四週間以上にわたり多数回発生する場合など、会社が特に必要と判断した場合は、就業を禁じることがあり、さらに必要に応じ、解雇を留保して私傷病休職を適用することがある」との記載があります。この条項は悪用される恐れがあります。問題点としては、①「四週間以上にわたり多数回」の客観的基準がないこと、②「特に必要と判断」の客観的基準がないことです。これら二点は、会社の勝手な判断で、社員を休職に追い込める可能性があります。この点についても、会社がプロセスを作るとの回答を引き出しました。さらに③「必要に応じ、解雇を留保」は、解雇が第一選択となる可能性があること、については解雇が第一選択となることはないとの回答を引き出しました。
会社が休職を強行?
新就業規則の三十九条の第一項[一]-一に、「私傷病による欠勤が継続し、暦日2週間の不就労」で一律休職となることが記載されています。この点について、従来は「さらなる休養が必要であることについて、医師の診断書等から会社が確認できた場合」はじめて休職とし、その期間を決定されます。しかし新就業規則では「欠勤して休養する必要があると会社が認定する期間」に変更されています。すなわち、診断書の内容にかかわらず、会社が勝手に期間を決めて休職を命ずることができるようになります。主治医の診断書を超える権限を会社が持つことは許されません。
同第十項の「その他会社が特に認めた場合の休職」は、現行規定にある「四ヶ月以上の海外出張を命ぜられた社員あるいは他社社員に同行する配偶者の場合など」という部分が削除されています。この規定をつかって、夫の海外赴任に同行する女性社員などは、今後は上司の裁量によっては休職が認められない可能性があり、その結果退職に追い込まれるケースも出ると思われます。