【怒】 2014年はGDP「ゼロ」
日本IBMは4%成長を達成しましたが、会社は「グローバル・レベルで売上・利益の対前年度比での成長がなされず原資が配賦されなかったため」GDPはゼロ、と回答してきました。従業員に「グローバルで成長しなかったら連帯責任を強いる」制度は廃止し、全従業員に100%支給すべきです。
【怒】 2014年はGDP「ゼロ」
大阪で支援の輪拡がる
大阪で支援の輪拡がる
ロックアウト解雇撤回裁判
「IBM争議大阪支援共闘会議」と「ロックアウト解雇とたたかう仲間を支える大阪の会」結成総会が1月24日18時30分から大阪国労会館大会議室にて開催されました。
支援者を含め会場をいっぱいにするおよそ90名が参加し、盛大な総会となりました。これも各方面からの多大な支援によるもので、大変力をもらいました。
総会は、「友よ闘ってこそ明日がある合唱団」の歌声による激励で始まりました。
参加者全員による合唱には、原告含め支部分会の皆も励まされました。
JMIU及び大阪労連の主賓及び来賓の挨拶では、共通項として、安倍政権(橋下大阪市長含む)による労働者への様々な攻撃に対して、私たち労働者が団結して闘い、権利を勝ち取っていく必要がある事を、切実と訴えられておりました。
弁護団からは大阪の裁判闘争の争点の一つとして、女性差別による問題が述べられ、大阪労連の女性部代表者からも、賛同の声が上がるとともに、IBMの卑劣さを世論に伝え、うわべだけでなく確実に女性が働きやすい職場にする必要性を、皆で再認識しました。
参加者の温かい支援を感じた素晴らしい集会となり、組合のモットーである、「一人は皆のために、皆は一人のために」が反映され、協力し、団結し、闘っていくんだという心意気が見られました。
大企業労働者交流集会に参加して
大企業労働者交流集会に参加して
IBMの実情と支援を訴える
2月1日に国労大阪会館で開催された大企業労働者交流集会に参加しました。参加者は、大阪府下の中小企業や公務員労働者も含む約70名で、IBMからは3人が参加しました。
午前中は労働総研顧問で日本大学名誉教授の牧野富夫さんの講演がありました。
講演の中で牧野氏は、政権ですら「賃上げ」を語る中での春闘ですが、財界は「人件費の極小化」の方針は変えていない。「資本にとって賃金はコストであり、その極小化=利潤の極大化は不変の目的である。そのため、「限定正社員」や労働時間も残業代を払わない「日本型新裁量労働(ホワイトカラーエグゼンプション)」を制度化しようとしている、と語っていました。
午後は各分科会に別れましたが、「民間・公務の賃金闘争」や「リストラ・雇用・合理化問題」の分科会に参加し、各労働組合と意見交換を行いました。
分科会では、IBMの実情を話すとともに、支援と協力をお願いしました。他社においても、退職強要や仕事干し、解雇など、IBMの施策に倣った施策が行われており、IBMの闘争はIBMだけの問題ではないことを再確認できました。
各参加者からの職場状況報告では、分限免職(公務員解雇)問題、パワハラ問題、メンタル問題など多岐にわたり、労働者の権利、人権侵害について考え、今後の対応についても話し合われました。職場報告の一例を紹介すると、無法な長時間運転が原因で事故が起こっても個人の問題にすり替られて、研修という名目で繰り返されるパワハラ、退職勧奨などがありました。また、契約社員の使い捨てにより、全体の勤務者の人数以上の方が1年間に入れ替わるという異常とも言える勤務実態状況の職場があり、バス会社からは、利用者の安全の為にも早急の勤務体制、給与算出体制の見直しが必須になっている。その改善のために組合が努力されているという報告がありました。 (酒)
決まらぬ会社側証人
都労委・中労委 報告
決まらぬ会社側証人
労務担当は昨年末で退職
この1月に東京都労働委員会と中央労働委員会の審判が開催され一定の進展がありました。
ひき続きご支援をお願いします。
準備書面提出―都労委
1月10日に東京都労働委員会(都労委)第2回審判がひらかれました。
組合は解雇と賃金減額の撤回および陳謝文の掲載を求める準備書面を提出しました。
会社は次回期日までに反論の準備書面を提出することを約束しました。
都労委審判後の集会で
準備書面への反論準備へ―中労委
会社は2012年7月に、従業員の能力不足を理由にした解雇を初めて強行しました。組合は解雇実行前に団体交渉を開催するよう要求しましたが、日程的には開催可能だったにもかかわらず会社は団体交渉を拒否しました。それに対して組合は都労委に団交拒否の救済を申立てました。
これに対して都労委は2013年8月に組合の主張を全面的に認める全部救済命令を出し、本社に陳謝文を掲示するよう命令しました。
しかし会社はこれに従わず中央労働委員会(中労委)に再審査申立を行い、命令が確定していないことを口実に陳謝文の本社掲示を拒否しました。
裁判の判決と異なり、労働委員会の救済命令は確定前でも有効です。組合からの厳重な抗議で会社はこのことを知っているにもかかわらず、命令を無視し続けています。
その中労委再審査申立第2回審判が1月17日に開かれました。
組合・会社双方からそれぞれの言い分を主張した準備書面が提出され、次回期日までにそれぞれの反論を提出するよう公益委員から指示が出されました。
その後、会社が証人申請した、昨年までの人事・労務担当であり、団体交渉の会社側代表が年末に退職したため、組合から証人申請に変更があるか質問しました。
会社からは「再検討する」としか回答はありませんでした。組合から、「会社が証人申請するなら、組合も委員長を(都労委に続いて)再度承認申請する」旨を伝えました。公益委員は「証人を採用するか、白紙である」と発言しましたが、証人調べなしで、どうやって救済命令を取り消させるのか、組合は会社の出方を見守っています。
裁判・労働委員会日程
裁判・労働委員会日程
ロックアウト解雇裁判
1次・2次 2月14日(金)10:30東京地裁103号法廷
3次 2月20日(木)11:00東京地裁823号法廷
大阪 2月21日(金)13:10大阪地裁609号法廷
賃金減額裁判
2月20日(木)10:30東京地裁620号法廷
東京都労働委員会期日(不当労働行為申立て)
2月25日(火)13:30東京都庁 南34F
中央労働委員会期日(団交拒否)
3月11日(火)13:30中労委第3部会
全国主要事業所前で一斉行動
ブラック企業無くそう
全国主要事業所前で一斉行動
1月17日に早朝、日本IBM主要事業所前で「ロックアウト解雇」撤回を求め一斉宣伝行動を実施、その後厚労省前行動・経団連包囲行動へと繰り出しました。
◆本社事業所前
多数の支援を得て、約50名規模で元気に宣伝行動を行いました。出社してくる多くの従業員にビラを配布する中、ロックアウト解雇や大幅な賃金減額など、会社の暴挙に対抗するために、組合が組合未加入者の「楯」となって闘っていること、そこにさらに多くの従業員が団結し、ともに闘うことが何より重要であることを訴えました。
また、生熊JMIU委員長や伊藤東京地評議長、東京地本の東西南北各地協や品川労協などの支援者からも連帯挨拶があり、参加した組合員にとっても士気の上がる行動となりました。
このあと、一日行動参加者は、外資に買収され、工場を閉鎖されたタイコフローコントロール(旧・北村バルブ製造)の解雇闘争を支援し、厚生労働省前・丸ノ内仲通り・日本経団連前の行動に合流しました。
◆大阪事業所前
IBMがブラック企業と化していることの報告、大阪での裁判の報告、今の政策に対する報告等をし、通勤前の労働者に訴えました。
会社の横暴なやり方に対し、個々人では歯が立たなくても、泣き寝入りするのではなく、皆さんが協力して立ち向かうことが大切で、そのために労働組合に結集し、団結の力でもって会社に改善要求をしていくことを訴えました。
◆豊洲事業所前
JMIU本部、東京地本からの応援を受け事業所前宣伝行動を行いました。宣伝ビラも大量にさばけ、IBM従業員だけでなく周辺他社の従業員の方々にもビラをとっていただきました。
周辺の声として「懲戒処罰者ですらこのようなひどい扱いはしない」などを聞きました。IBMの行っている違法なロックアウト解雇に対する社内外の関心の高さを感じ取ることができました。やはり従業員はほとんどの人が組合に大儀ありと思ってくれていることを感じ取れました。
◆名古屋事業所前
支援者と一緒にビラ配りを行い、ロックアウト解雇撤回裁判の原告やJMIU愛知地本の早川委員長、愛知県労働組合総連合(愛労連)の榑松(くれまつ)議長らがIBMの非道を訴えました。
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名古屋事業所前で解雇の非道を訴える
◆海浜幕張駅前
JMIU千葉地本、千葉労連の支援を受け海浜幕張駅前でIBMでの非道なロックアウト解雇などの問題について、通勤の人たちに訴えました。
厚労省・経団連包囲行動
春闘の賃上げ・雇用問題などを改善するために、丸の内仲通りのデモ行進と経団連前および厚労省前での訴えを行いました。
総勢述べ1000人余りの各組合の仲間が集い、鳴子を鳴らしながら丸の内ビジネス街で行きかう多くの人に、賃上げ、雇用確保や原発反対などの要求をシュプレヒコールで訴えました。
また、300人を超える人たちが厚労省の前で、「ブラック企業をなくそう」「派遣法改悪反対」などの訴えをしました。寒風の中、手袋をしていてもみんな賛同の意を示していました。
当日はちょうどオウム真理教の事件の公判も開かれていて、裁判所から霞ヶ関の交差点に掛けてものものしい雰囲気もありましたが、集まった人たちの熱気で、寒さも吹き飛ぶ勢いでした。
身を守るため組合結集を
今後も、事業所前だけでなく駅頭や裁判所前でも継続的にIBMでのロックアウト解雇や過酷な労働実態を世間の人たちに訴えていきます。
そして、労働組合に入ると攻撃を受けると従業員の多くの方が思い込んでいるかもしれませんが、組合に入って団結しないことの方がよほど危険です。
会社の人員削減のためのターゲットは組合ではなく、一般従業員全体だからです。物言わぬ一般従業員が今一番あぶないのです。今こそ組合に団結し、自分の雇用・生活を守ることによって、日本の雇用破壊を食い止めるために力を合わせる必要を強く感じます。自分の身を守るために、ぜひ組合に加入しましょう。
すべての従業員に賃上げを
すべての従業員に賃上げを
春闘で賃上げ要求提出
組合は賃上げ要求をふくむ春闘要求を提出し、「すべての仲間の賃上げと雇用の安定」を目指します。 |
消費税増税で負担増必至
2014年4月から消費税が8%に、さらに15年10月には10%に引き上げられようとしています。あらゆる商品に課税される消費税の増税は労働者の生活の悪化に直結します。物価は年度平均で4%上がることが確実とされており、賃上げがなければ家計は破綻、日本経済も崩壊しかねない状況です。
たとえば、年収500万円家族4人モデルでは、年間6万6800円の負担増になり、さらに社会保険料の負担増を加え、2011年と比べると、年間の消費に使える所得である実質可処分所得は2016年の時点で31万円減少するといわれています。
春闘で賃上げ要求提出
そのため、日本経済の行き詰まりを根本的に解決するためには国民の雇用と暮らしを安定させ、消費を増やし、地域経済を活性化させることが何より重要です。そのもっとも有効な方法は「すべての仲間の賃上げと雇用の安定」です。
組合は、2月20日に会社に対し賃上げ要求を含む春闘要求を提出します。
賃上げしない会社
日本の戦後、収入が増えない中で物価のみが上昇したことはありません。しかし政府からの賃上げ要請について、団体交渉の場で会社が「日本IBMでは実施しない」と何度も発言をしたことは、労働者の生活を守る組合として到底看過できません。そこには「今年は賃上げがありそうだ」などという楽観論はありません。すなわち、企業の収益は株主配当や役員報酬に回すといってるのと同じであり、超格差社会への先駆者となっています。
これが成果主義か
会社はPBC評価によって賃金を個別・一方的に決めます。しかし、なぜ従業員の半数しか昇給せず、15%の従業員に対し減額を行う賃金制度が成果主義と言えるのでしょうか。これは、会社が一方的に決めた総額原資を抑え込むために都合の良い賃金制度といえるでしょう。
いま労働組合の出番
いまこそ労働組合の出番です。会社に対しまともにものが言えるのは組合しかありません。しかし会社はその組合を攻撃することで、みなさんの賃金を抑え込もうとしています。組合が弱体化すれば、ますますみなさんの賃金は上がらなくなります。すべての従業員の賃金の底上げが行えなければ、すべての従業員の賃金がおさえ込まれる結果になります。
労働者が将来展望開く
労働者は「企業の力」を生み出す源泉です。労働者の雇用と暮らしの安定に努力して、労働者のやる気を引き出してこそ企業の将来展望を切り開くことができます。
消費税増税によるくらしの悪化を真剣に受け止め、くらしと雇用を守る立場から、組合は、断固として一律の賃金底上げと格差是正、また青年の賃金の大幅賃上げを要求します。
組合は皆さんの声をWebアンケートにより募集しています。皆さんの生の声をお寄せください
大阪地裁第三回口頭弁論
大阪地裁第三回口頭弁論
傍聴席あふれる中、
会社は不明瞭な説明に終始
2013年12月20日11時半から、大阪地裁609号法廷にてロックアウト解雇撤回裁判第三回口頭弁論が開かれました。20日は、大阪で争議支援共闘している三つの裁判すべてが時間をずらして同じ期日となったため、定員の倍近い傍聴者であふれた状態になりました。
前回会社が提出してきた資料における不明な点について、原告側から説明を求めましたが、今回会社から出された資料はまたも不明瞭な点が多く、しかも改ざんと考えられる所もあり、そのブラックな部分をまざまざと見せつけられた思いです。
原告側は、今回会社から出された資料を検討した上で、不明点につき再度の説明を要求し、第四回口頭弁論に臨みます。
この日は、弁論終了後昼休みの時間に地裁前にて宣伝行動とビラ配布を行い、午後は他の二件の裁判を傍聴しました。どの裁判にも共通していることは、経営者側のわがままにより労働者の生活が苦しめられている、ということです。現場の労働者あっての企業経営であることを、経営者には再認識していただきたいものです。
次回期日
2月21日(金)
13:10より
大阪地裁609号法廷
IBM争議大阪支援共闘会議と
ロックアウト解雇と闘う仲間を
支える会 1.24結成集会
1月24日(金)18:30より
大阪天満・国労会館3階大会議室
大阪および近辺勤務のみなさん、ぜひご参加ください!
短時間勤務が解雇理由?
大阪でのロックアウト解雇裁判の原告Aさんは育児のために、法令や就業規則で保障されている「短時間勤務制度」に基づき短時間勤務を選択しました。すると会社は、成績評価を最低ランクにし、低評価を理由に解雇してきました。会社は短時間勤務申請を認めたにもかかわらず、子育てで「十分な勤務時間がとれない」Aさんは「十分な仕事ができていない」と決め付けたのです。
会社側は、Aさんに対し「その結果について責任を持つべきであるし、またその状況を改善するために個人的事情を最大限調整するなど、積極的な努力をするべきであった」などと述べ、解雇は当然だと開き直っています。
Aさんはこう話しています。
「私には解雇される覚えもありませんし、自主退職する理由もありません。長年まじめに働いてきた労働者にこんな仕打ちをする会社が悲しく、つらい……とはじめは落ち込みました。けれど、こんな卑劣なことに負けて会社を辞めたなんて自分の子供には言えないし、いずれ社会に出る子供たちに、こんな理不尽がまかり通る世の中を残すわけにはいきません」
Aさんは、二十数年にわたりIBMに勤務し、会社に貢献してきました。そんなAさんが、ロックアウト解雇を告げられ、お世話になった人へのあいさつもできないまま、そそくさと私物だけを持って職場を追い出されるのは、あまりにも悪質な人権を無視した行いであり、到底許されません。
IBMの職場で働くみなさん、今こそ労働組合に結集して、IBMの乱暴なロックアウト解雇をやめさせましょう。
「国内最大のブラック企業」から 一番働きやすい会社を目指して
あけましておめでとうございます
「国内最大のブラック企業」から
一番働きやすい会社を目指して
JMIU 日本IBM支部 中央執行委員長 大岡 義久
あけましておめでとうございます。
年頭にあたり一言ご挨拶を申し上げます。
財界やアメリカの強い要望に応えて、政府は「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりのために、真っ先に労働者派遣法の見直し、残業ゼロ、解雇事由の緩和を進めようとしています。労働規制の緩和は、雇用の破壊をもたらし、大量の失業者、非正規労働者を生み出し、平均賃金を下げています。そして、過労死・過労自殺、メンタルヘルスに追い込み、労働者を使い潰すブラック企業を作りだしています。
社内では、「これぞ毒見役だ」ともいうかのようにロックアウト解雇による社外への追い出しや2000名以上の従業員に対し15%にもおよぶ賃金減額を行っています。さらに政府が企業に要請している賃上げは行わないことを明言していることはご存じのとおりです。
このような状況の中で日本IBMのことを「国内最大のブラック企業」と呼称するマスコミまででてきています。これは企業の横暴を許してはならないという警鐘でもあります。
すなわち、私たちが目指すべきものは「世界で一番生活しやすい国」であり「一番働きやすい会社」です。それが企業の健全な発展につながるのです。
いま組合は会社に対し「今の人事施策は間違っています」と声をあげています。それは労働者の安定した生活を実現し、家族を守る必要があるからです。それをさらに推し進めるにはみなさんからの後押しが必要です。まず、みなさんの声を組合にお寄せください。そしてみなさんの労働組合加入をお待ちしています。
この新しい年がより佳き年になるよう心より祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。
就業規則変更は違法、無効-賃金減額裁判始まる
12月12日に行われた第一回賃金減額裁判での原告側の意見書を掲載します。次回期日は東京地裁620号法廷にて2月20日10時30分開廷です。みなさんの傍聴をよろしくお願いします。組合Webサイトでもご意見を募集しております。
代理人意見書
東京地方裁判所民事第11部 御中
原告ら訴訟代理人
弁護士 岡田 尚
1 事案の概要
本件は、被告が、違法な就業規則の変更を行ったうえ、原告らに対し、当該変更後の規定を根拠に、減額率8.25%~12.8%にも及ぶ大幅な賃金減額をなしたという事案です。原告らは、当該被告がなした就業規則の変更は違法、無効であり、当該変更後の就業規則に基づいてなされた賃金減額も違法、無効ですから、当該減額措置によって支払われなかった差額賃金の支払を求めるものです。
2 就業規則変更の違法・無効
本件減額措置の根拠は、「業績が職務内容に対して著しく低いと判断された場合は、本給、賞与基準額、本棒及び定期棒基準額を減額することがある」とする被告における格付規定第6条3項にあります。同規定は、平成22年3月1日付けの改正で規定されたものです。
しかし、かかる格付規程の改正は、労働者にとって極めて重要な労働条件である賃金を減額するというそれまでになかった規定を創設したものであり、明らかな不利益変更です。この場合、労働契約法10条が適用されるところ、同条にいう「合理的なもの」とは到底いえません。
まず、本件変更後の就業規則は、減額の基準及びその幅について何の規定も存在しません。労働者にとって最重要事項の労働条件である賃金についての使用者による一方的減額措置すなわち労働条件の不利益変更について、使用者にフリーハンドを与えるものです。また、変更にあたって、代償措置は何らを講じられていません。内容は極めて不相当というほかありません。
そして、被告は本件就業規則の不利益変更により、高率の賃金減額を毎年行うことも可能になりました。これが累計された場合の労働者の不利益は甚大です。
さらに、業績順調な被告にとって本件就業規則の変更をなす経営上の必要性は全くありません。就業規則変更にあたって、労働組合との利益調整もすることもありませんでした。以上の事実からすれば、本件就業規則の変更は、労働契約法10条に違反するだけでなく、労使間の信義則に反するものであり、また、権利の濫用として、無効です。
3 被告による賃金減額措置の無効
被告が、原告らに対し、違法・無効な就業規則変更に基づきなした賃金減額措置が違法・無効であることはいうまでもありません。
具体的にみても、今回原告らの賃金減額率は、8.25%~12.8%となっており、賞与を含むリファレンス減額率にすると最高15.00%、最低でも9.99%、平均11.22%と高率の減額措置がなされています。原告Aにいたっては、2年連続でそのような高率の賃金減額がなされています。
このような高率の減額は、労働者の生活を脅かすものです。長年にわたって被告に勤務、貢献し、わずかながらの昇給で生活基盤を築いてきた原告らの実績を一気に台無しにするものです。
このような賃金減額は、労働者の権利を著しく侵害するもので、到底許されるものではありません。
4 賃金減額が労働者を退職に追い込む退職強要の手段であること
本件就業規則の変更及び賃金減額の特質は、被告が原告ら労働者を退職に追い込むための退職強要の手段としてなされたものであるところにあります。
被告は、被告が自由に賃金の減額ができるよう就業規則の変更をなし、原告ら一部の労働者に対し大幅な賃金減額をしたうえで、解雇通知をします。そして、労働者に対して、自主退職をするのであれば解雇を撤回し、賃金減額を行わない等の誘因を与え、労働者を自主退職に追い込み、これに応じない労働者については解雇するという手法をとっているのです。
現に、平成25年度に賃金減額をされた労働者は労働組合が把握する限り40名程いましたが、そのうち約15名は既に退職に追い込まれました。被告の狙いは実現されつつあります。また、被告は、平成24年以降、違法なロックアウト解雇を急激に推し進めています。違法なロックアウト解雇については、解雇された労働者らの訴えにより、その違法性が明らかにされつつあります。
被告による違法な退職勧奨、解雇のための第1手である被告による賃金減額が違法であることを明らかにし、被告の違法な退職強要により退職に追い込まれる労働者の増加を阻止しなければなりません。