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これから始まる大量解雇の地ならし

労働者の権利擁護の砦 !組合つぶし! 水口弁護士
 10月18日、ロックアウト解雇裁判の一次提訴の第6回口頭弁論、同二次提訴の第2回口頭弁論が東京地裁103号法廷で行われました。
 訴訟代理人・水口弁護士の弁論要旨は以下のとおりです。
水口弁護士

2013(平成25)年10月18日
弁  論  要  旨
(本件解雇は不当労働行為)
東京地方裁判所民事第36部合議A係 御中
原告ら訴訟代理人
弁護士 水口洋介
1 組合員に集中した解雇予告
 2012年7月1日から本日まで解雇予告を言い渡された組合員は合計25名にのぼります。解雇予告後に労組に加入した原告松木以外、2012年9月30日までに解雇予告された非組合員はわずか4名にすぎません。現時点で判明している解雇予告を受けた30名のうち組合員は25名と8割も占めています。被告の従業員数が約1万4000名にものぼるにもかかわらず、組合員に異常に集中しているのです。誰が聞いても偶然とは思えません。被告は、労組に業務遂行能力がない者が多く加盟しているなどと主張するでしょう。
 しかし、恣意的な人事評価において、低位の者は従業員のうち約15%を占めると被告自身が明らかにしてます。これをボトム15と呼びますが、この低評価の者が2000名を超えるはずです。この2000名の中から30名が選択されたのです。この低評価者2000名のうち解雇予告されなかった者が大部分であるにもかかわらず、解雇予告対象者の8割が組合員なのです。異様な数字といわざるを得ません。
2 労使関係の経過と2000年以降のリスト
 1959年5月、380名が参加して労働組合が結成された。その後1961年には組合員数1638名、組織率9割の強力な労働組合に成長しました。しかしその後、被告が労組に対して昇進賃金差別、脱退強要の攻撃を加えたため、組合員が激減し、1969年には組合員は130名までに減少してしまいました。その後、労組は昇進差別に対抗して争議を行い、不当労働行為救済を申し立てました。その結果、1982年12月茶宇王労働委員会中労委で、被告との間で勝利的な和解を獲得しました。
 この中央労働委員会和解成立後2000年頃まで、比較的平穏な労使関係にて推移したのですが、2000年頃から被告は大規模事業再編、リストラを開始しました。そして2008年~2010年頃までに1300人もの大量の人員削減を実施したのです。
3 2000年以降のリストラに対する労組の抵抗
 これに対して、少数の組合員であったが、このリストラ、大量人員削減に抵抗し、争議を敢行し、裁判等を提起して、労働者の権利をまもる活動を粘り強く続けてきました。例えば、人事リストラ・転籍事件、会社分割事件、退職強要損害賠償請求事件等です。このように頑強に抵抗する労組を頼りにして、退職強要された労働者の駆け込み寺となり、労働者の権利擁護の拠点となってきました。しかし2012年7月1日までは、組合員が業績不良を理由として解雇されたことは一切ありませんでした。
4 労組潰しの労務方針の変更(不当労働行為意思)
 ところが、2012年5月、現社長のマーティン・イェッター氏及び人事担当役員ロビン・スース氏が就任した直後から本件一連の解雇が開始されたのです。この両者が経営者として就任してから明らかに労務方針が変更されたのです。
 このことを示す例の一つとして次のようなことがあります。被告の団体交渉担当者であった堤氏は、2012年7月の原告鈴木裕治の解雇予告について「この解雇は極めて例外的なケースで、今後、起こることはない」旨を団交で述べたが、その後突然、堤氏は被告を退職してしまったのです。その直後9月から10名以上の組合員に対して次々に解雇予告が発令されました。被告の団交担当者は自らの発言の矛盾に嫌気がさして、退職したのではないでしょうか。
 また、本件解雇に際して、組合員の解雇予告から解雇効力発生日までの間に、本件解雇とは別件議題の団体交渉が予定されていました。労組は当然、予定団交期日に本件解雇についても議題として追加を求めました。にもかかわらず、被告は団交議題の追加に応じなかったのです。当然、東京都労働委員会は、これを不当労働行為にあたると判断しました。被告ほどの大企業、しかも超一流の法律事務所を顧問事務所として抱える被告が、団交拒否に該当しないと考えるわけがありません。確信犯的な団交拒否は、被告が本件解雇について労組が関与することを嫌悪し労働組合活動を弱体化させる意図を有していることを如実に示しているのです。
 今後、被告は、さらなる大量3000名を超える人員削減を予定しています。イェッター社長は、この人員削減を実行するために56年ぶりに被告の社長に就任したのでしょう。そして、この人員削減計画完遂の障害になる労組を弱体化させようとしているのです。本件解雇の本質は、大量人員削減の完遂のための労働組合潰しなのです。

大阪ロックアウト解雇裁判 次回口頭弁論期日
12月20日(金)11:30から 大阪地裁609号法廷
許すな!日本IBMのロックアウト解雇 12・4大集会
12月4日(水)18:30から 日本教育会館大ホール(一ツ橋ホール)
第一次・第二次ロックアウト解雇裁判 次回口頭弁論期日
12月10日(火)10:30から 東京地裁103号法廷

組合役員狙い撃ち

ロックアウト解雇原告 意見陳述書

 ロックアウト解雇で東京地方裁判所に提訴しているAさんの意見陳述書の概要は以下のとおりです。

1 入社以来、誠実に業務を行い、評価を受けてきたこと

 私は199X年3月に大学を卒業し、その年の4月に日本IBMに入社しました。200X年に主任に昇格し、同年1月から、アウトソーシングの営業プロセス管理と営業が使用するシステムの運用・管理を行う部署へ配属されました。
 以後今回解雇されるまで10年以上もの間、同部署でシステムの運用・管理の業務を行ってきました。200X年には部門内で将来性がある社員が1、2名選ばれる「トップ・タレント」に選ばれ、当時の部門理事と話をするイベントに参加しました。日常業務の中で、営業担当者や現STS部門の担当者から「サポート頂いたおかげで、契約が取れました」などと感謝されることも度々ありました。
 2013年の年初から、継続中のプロジェクトのタスクを進めると同時に、2013年5月から始まった新しいプロジェクトにも、オーナー側リーダーとして関わっていました。また、今年になってからもいくつかのプロジェクトを期日通りに、承認されたコスト内で、要求定義された品質でサービスインさせてきました。
 このように、私は10年間同じ部署に所属し、会社が求める品質に見合う業務を提供し続けてきた自負があります。解雇の直前までプロジェクトのリーダーを任されていたことが、会社が私の仕事ぶりを認めていた何よりの証拠だと思います。

2 突然の解雇通告

 そんな中、今年の5月31日に突然、解雇を言い渡されました。
 私は当時大事なプロジェクトやタスクを抱えており、まさか自分が解雇されるとは思ってもみませんでした。解雇されたときも、まさに進行中のタスクの進捗状況について、会議室でファーストラインに報告を始めたところでした。
 話し始めて数分経ったところで、突然セカンドラインマネージャーと部門人事を名乗る初対面の女性が会議室に入ってきました。そして、前振りもなく、セカンドラインマージャーが解雇予告通知書を読み上げました。
 私は、あまりに突然のことで頭が真っ白になりました。部門人事担当者の女性は、6日後の6月6日までに自主退職を選択した場合には、解雇を撤回して自己都合退職とし、退職加算金を支払うことや、会社の負担で就職支援会社のサポートを無期限で利用できることなどの条件を淡々と読み上げ、自主退職を選択する場合の書類一式と転職支援会社のパンフレットを渡してきました。先に解雇された組合員に対して、会社がとった手段と全く同じでした。
 翌日、私は労働組合の書記長と一緒に出社しましたが、私のセキュリティカードは既に使えない状態になっていて、会社に入ることはできませんでした。
 プロジェクトから無理やり引きずりおろし、ヘルプデスクで仕掛かり中だった調査への回答もできず、10年間誇りをもって取り組んできた業務を突然取り上げ、引継ぎも行わせず、反論の材料をそろえる時間も与えずに職場から締め出す、このような解雇のやり方は、絶対に納得できません。

3 組合の執行役員であったことから狙い撃ちされたこと

① 私は、今回の解雇は、私が労働組合の執行役員であったことから狙い撃ちにされたのだと確信しています。私は、2012年4月上旬から、執拗に退職勧奨をされたことをきっかけに、同月26日にJMIU日本IBM支部に加入しました。それまでは、課長や人事との面談が2、3日に一度の頻度で繰り返され、何度「IBMで働き続けたい」と言って断っても執拗に退職を求められ、「辞める」と言うまで面談が続くのではないかと思うほどでしたが、組合に加入するとあからさまな退職勧奨はピタリとなくなりました。私が組合に加入したことで、会社は簡単には自主退職させることができなくなくなったと思います。その年の7月、私は組合の中央執行委員に就任しました。

② 私が所属していた課には、10人弱の課員がいましたが、昨年9月に組合の書記次長が同様の手口でロックアウト解雇され、今回私が解雇されたことで、部署に組合員がいなくなりました。昨年9月以降、私たち2名以外に退職した人は一人もおらず、私たち2名に対する解雇が、課内から組合員を一掃するための解雇であることは明らかです。また私より11日早く解雇を通告された方も中央執行委員であり、一緒に提訴した原告の酒本さんも本社分会の副分会長でした。このように、会社は労働組合を嫌悪し、組合員を会社から排除するために組合員を狙い撃ちにして解雇していることは明らかです。
 裁判所におかれましては、解雇の実態をご理解いただき、公正なご判断を賜りますよう、よろしくお願い致します。

従業員の利益を代表する人に投票を

従業員代表・健保互選議員選挙

 36協定締結のための従業員代表選出選挙が今年も行われます。組合は会社の従業員代表選出方法に、従来から反対し続けています。
 会社は2010年までは、就業規則改訂のたびに従業員代表選出を行い、従業員に改訂の是非を問うてきました。しかし2011年以降は、36協定締結時に選出した従業員代表を任期一年とし、その間の就業規則改訂についても意見を求めるようになりました。
 現在の方法では、従業員は36協定締結についてだけは従業員代表の選出を通して意見表明できますが、その後の就業規則改訂の是非についてはそれもできませんし、また任期中の従業員代表に委託したわけでもありません。
 実際、今年行われた「借り上げ社宅制度の廃止」「住宅費補助の廃止と本給への組み入れ」などの「大改悪」に対し、社内では反対の声があふれていました。しかし組合の調査では、この改悪に明確に反対した従業員代表はいませんでした。神戸事業所の従業員代表にいたっては「特になし」という極めて無責任な意見を述べただけでした。
 組合は就業規則改訂のたびに従業員代表選出を行うよう要求していますが、会社は拒絶し続けています。

真の従業員代表選出を

 そこで組合からのお願いです。それは、今年こそ従業員の皆様に「本当に従業員の利益を代表する候補者」に投票いただくことです。それが就業規則の改悪を阻止し、皆さん一人一人の生活を守ることになります。「本当に従業員の利益を代表する候補者」がいない事業所では、不本意な候補者を選ぶ必要はありませんので、「不信任」にて投票ください。

電子投票にも反対

 本社事業所(箱崎)では、ノーツメールを利用した電子投票が行われています。現在の方法では誰がどの候補者に投票したかがわかるため、組合は現形式での電子投票にも反対していますが、これが悪用されたという話は聞いていません。勇気を持って、自分が信じる候補者に投票してください。どうしても心配な方は、匿名性が担保される投票所での投票や郵便投票をご利用ください。

要改善点多い健保互選議員選挙と健保理事会

 10月22日に健康保険組合の互選議員選挙が公告されました。投票日は11月25日です。
 従来から組合は、「同一選挙区の20人以上の推薦人がいないと立候補できない」こと、選挙区と選挙人についての管理が極めていいかげんであることを問題視してきました。今回は選挙人範囲の公示で組織コードを公開するなど多少の改善を行ってきましたが、各選挙区別の選挙人の数を公示しないなど、要改善状態に変わりはありません。
 健康保険組合の理事会は、事業主(会社)の選定議員16人と、非保険者による互選議員16人とで構成されますが、理事会の議事録は非公開で、各議員別の出席率等もわからず、その運営が公正に行われているかを検証する手段がありません。組合はこれらの問題点について改善させるため、組合推薦候補を擁立すべく鋭意努力中です。

【レノボ団交報告】 雇止めの根拠示せず

 10月18日、レノボ社との団体交渉が行われました。引き続き有期雇用社員Aさんの雇止め問題と正社員の退職勧奨について交渉しました。
 まず雇止め問題ですが、会社が提示したものは、当時Aさん所属「ノートブック開発」の、契約社員5人について、①契約終了が3人、継続が2人 ②2人の継続理由は新規プロジェクト1件と複数プロジェクトのメンテナンス業務を持っているため、という2点のみでした。会社全体の話には一切触れず、雇止めの根拠となる「財務諸表」「人員計画」「製品計画」についても、神奈川県労働委員会からも組合に開示するよう求められているにも関わらず非開示のままです。
 正社員の退職勧奨と11月末締めのプログラムの有無について、会社は、「随時見直しをしている」とだけ繰り返し、明言を避けました。組合へは、上司から、「あなたのポジションはありません。
会社に残るのであれば、降格、職種変更、米沢への転勤もありえますよ。」という「退職強要」が行われていると相談があります。米沢にリストラ部屋を作るつもりでしょうか。
 組合は、団体交渉中に次回団交の日程を決めるよう会社に要求しましたが、時間切れと言い残し、席を立ち会議室を出て行きました。これは不誠実団交、不当労働行為です。10月25日に、神奈川県労働委員会で、会社の不当労働行為について審議されました。結果は追ってお知らせします。

会社の理不尽に尊厳かけ闘う

減給の不当性訴え提訴

 9月26日、減給の不当性を訴えて、9名の組合員が東京地裁に提訴しました。原告の決意表明を紹介します。

◆「大変重要な社内アナウンスがあるので必ず読むように」という所属長の指示があったのは5月15日の午後でした。w3(社内向けWeb)の減給通知を見た私は、そのひどい内容に唖然としつつ「そもそもこんなことが許されるのか?」と大急ぎで就業規則を読み直しました。
 就業規則の中で減給について触れているのは、懲戒のみ(注)。一方、今回はPBC低評価を理由に15%もの減額で、影響は永続的です。このように、評価で賞与が大幅に減らされた上に、さらに懲戒処分のような減給処置に深い怒りを感じました。
 そもそも、PBCの評価もたいそう理不尽なものでした。所属長からは「相対評価なので、たとえ部門の全員が十分な貢献をしても、その中であえて差をつける必要があるのです」という説明にならない説明が繰り返されるだけでした。

懲戒よりひどい仕打ち

 これまで真面目に働き、評価2を続けても、給料は一銭も上がらず、税や社会保険の負担増で手取りは減る一方。あげくに、低評価で、懲戒よりもひどい仕打ちとは。会社は黒字で、株主への配当はあるのに、です。
 「顕著な業績を挙げた社員を表彰」といった会社の言い分がまやかしなのは、誰もが知っています。こんな会社を見限り、6月には、多くの同僚が会社を去っていきました。
 でも、私は辞めません。こんな理不尽を黙って受け入れることは、自分の尊厳にかけて許せない。闘うことを決めました。
 最後に、こんな会社のために働けるのか?と自問しました。会社のためにではなく、お客様と、そして、家族と自分自身のために、しっかり働きたいと思います。

(注)就業規則ではなく「格付規定」に「業績が職務内容に対して著しく低いと判断された場合は、本給、賞与基準額、本俸及び定期俸基準額を減額することがある」という一文が、3年前にひそやかに追加されていたことを後日知り、会社のずるさに感じ入りました。

◆会社は、納得しがたい相対評価による低評価者に、既に賞与で十分なペナルティを強いています。にもかかわらず、懲戒処分以上に厳しい減額調整を社員との合意もなく一方的に実施しています。
 一方、9月30日に発表された昇給では客観的な基準は全く示されず、誰が、いくら昇給できるのかわかりません。社員を犠牲にしてでも利益を追求する体質は、「人事施策の毒見役になる」と公言していた元社長の頃より更にエスカレートしてきています。会社は、リストラの実態隠しのためか従業員数の公開をやめました。賞与支給額算出係数であるGDP値の下落に対する十分な情報公開や説明もありません。平均支給額の年々の減少が明るみにでるのが都合悪いのでしょう。

安心と誇り持てるように

 このままでは私たちの労働条件が悪くなるばかり。暴走する会社を正し、社員が安心して誇りを持って働ける職場を取り戻すため、そして未来の子供たちに行き過ぎたゼロサムの成果主義を継承しないために闘うことを決意しました。
◆過去3回懲戒処分なみの減給を受けています。一方的に減給されるのは納得いきません。
◆昨年の低評価だけで、本給の継続的な減給は過酷。多くの会社では、懲戒でも「数か月間の減給」ではないか。
◆多くの社員が懲罰的減給措置で、正に恐怖政治。育児休暇、産休取得は控えめにしろというのか。
◆IBM、これこそまさにブラック企業の代表だ。右手で法律を守ると言いながら左手でぜんぜん守ってません。
◆好き勝手な会社の横暴には、断固闘います。
◆家族との生活のために命を削って得た自分の給与の減給された分を取り戻すために頑張ります。

【IBM団交報告】 昇給は7月から4ヵ月遅れ

不誠実な対応に終始

組合は、10月2日に会社と団体交渉(以下、団交と記載)を行いました。主な内容は、昇給についてと減給の撤回要求、都労委命令の履行要求などです。


昇給対象者はまだ決まらず


 会社は、就業規則上は7月1日に行うべき昇給を10月1日に行うと言っていました。しかしながら、10月末までに昇給対象者に通知する、と一方的に通知しました。このことについて会社は、昇給は10月にさかのぼって行われるので問題ないと開き直った回答をしました。
 給与の支払いが遅れることは、労働者に対して重大事であることを、全く認識していません。会社から昇給についての情報が全く出てこないことに対して、まだ昇給の対象者の選定ができていないのではないかと質問すると、昇給実施が11月にずれたのは、単に給与の処理が10月に行うための締め切りに間に合わなかっただけだと答えました。
 昇給対象者については、仕事を頑張っているのに、マーケットの水準に対して著しく給料が低い社員が対象になるとのことでした。PBC評価1、2+に加え、評価2の社員の昇給の可能性についても否定しない、との回答です。しかし、マーケットの水準より給料が低くても、PBC評価が3、4の人は昇給対象外です。
また、成績が良くても、マーケットの水準よりも充分高額の給与の人には、昇給が無い可能性もあるとのことです。
 今回の昇給で、今まで初任給あるいはそれに近い水準で働いてきた若手が報いられるのであれば、それはとてもいいことです。ただその一方で、大多数の社員は昇給の恩恵にあずかれないことになります。
 給料には、労働者とその家族の生活を維持するという側面があります。しかし、いまの会社の態度は、率先して大幅減給は行うが、昇給はごく一部にのみ行われる、というものです。これでは多くの従業員の生活はさらに苦しくなる一方です。
 また、各従業員の給与がマーケット水準よりも低いかについては、比較対象を会社は「紳士協定だから」と言って明かさないため不明です。昇給の際の調整もライン専門職が行うため、そこに不公平が生じる危険があります。
 なお会社は、今年6月の賞与について、昨年まで公表していた、対象人数、平均賞与月数などの統計データを発表しませんでした。組合は、公表しない場合は不誠実団交になると詰め寄りました。


減給は撤回しない


 このような環境下でも、会社は、Pay for Performanceの考え方に基づいて給与を決めているため、減給を撤回しないと回答しました。


都労委命令は履行しない


 東京都労働委員会の命令は、例え中央労働委員会(以下、中労委と記載)に再審査申立を行っても履行しなければならないことは、労働組合法にも明記されており、また、小泉純一郎元首相も国会答弁で同様の回答を行っています。それを会社は無視し、未だに履行していません。中労委に実行状況を報告する期限は10月9日でした。組合は中労委に、会社が都労委の命令を履行していないことを報告しました。

【レノボ団交報告】交渉決裂し地裁へ提訴

有期雇用社員雇止問題

 9月27日、30日、レノボ社との団体交渉で、緊急に、有期雇用社員の雇止め問題について交渉しましたが決裂し、交渉の本舞台は裁判所へ移りました。
 組合は「事務的に6回もの契約更新が行われており、更新の期待権がある。一方的な雇止めは不当である」と契約の更新を要求しましたが、会社は「有期の契約であり、契約を終了するのに何の問題もない」との回答で全くの平行線で何の歩み寄りも見られず、会社は2時間で交渉を一方的に打ち切り、会議室を後にしました。このため、9月30日での雇止めが実行されました。
 労働契約法19条では社会的な客観性、合理性がなければ一方的に契約を終了できないとあります。これに基づき、組合は、会社に、財務諸表、製品計画、人員計画の資料の公表と、雇止め理由の客観的、合理的な説明を求めました。しかし、会社は、資料は機密事項であり、一切見せることはできないと拒否し、雇止めは理由書に書かれた1行だけで、他の理由はない、と言い切りました。
 会社の主張する「プロジェクトの終了に伴いやってもらう業務がない」というのは全くの根拠がなく、終了したとしたプロジェクトもメンテナンス業務が10月以降継続しますし、これまでは、プロジェクトが終了すると新しいプロジェクトにアサインされてきていました。まず人員の削減が最初にあり、理由は後付けされたものです。
 組合は、雇止め無効を訴え、9月26日に横浜地裁へ提訴しました。団体交渉は今後も続けていきますが、舞台は裁判所へ移り、11月26日10時502号法廷で第一回口頭弁論が行われます。
 横浜事業所では9月30日付で、11人の契約社員、17人の派遣社員、3人の業務委託の方が退職しました。
 10月末で契約終了となる方もいるようです。さらに、11月末を目標に正社員の退職勧奨が続いており、多くの相談が組合に寄せられています。
 セカンドラインは、パワハラまがいの言動で退職を迫っています。退職勧奨が誰に行われているかをファーストラインは知らされておらず、セカンドレベルでノルマがあると見られます。

レノボで大規模リストラ

契約社員は雇い止め、社員は退職勧奨

 2010年3月以来の大規模なリストラがレノボの開発部門、横浜事業所で始まりました。
 社員、契約社員には、マネジメントメッセージという「具体的な数字のない業績」が公開されています。2013年第一四半期は全ての項目で目標を達成できたが、第2四半期は全ての項目で目標に到達できていない、となっています。
 しかし、利益がマイナスとは言っていません。リストラの必要は全くないのです。

契約社員は見境なく雇い止めに

 それにもかかわらず、9月には何通もの「退職のお知らせ」というメールが舞いました。8月末現在で四十人弱在籍している契約社員の多くが、9月末日付けで「業務縮小」を理由に、成績に関係なく雇い止めの通知を受けました。何年にもわたり契約更新してきた人、数か月の勤務で終わった人、見境なしにです。
 多くの人が抵抗する術もなく雇い止めを受け入れ、残務をこなしつつ次の職探しを始めざるをえませんでした。しかし、このままではまた同じ境遇の人が量産される、と一人の方が組合の門を叩き、声をあげました。
 9月18日、神奈川県労働委員会に不当労働行為救済、実効確保勧告申立を行い受理されました。また同25日、横浜地裁に地位確認を求めて提訴しました。これまで5回の更新が行われ契約期間が4年を超えること、契約更新は書類に判を押すだけの形式的なものだったこと、10月以降の業務の引き継ぎを受けていたこと、評価に問題がなかったこと等から、契約更新の期待は十分にあり、雇い止めは不当である、との主張です。

正社員にも退職勧奨が

 しかも、契約社員の雇い止めだけでは収まらず、正社員への退職勧奨が始まりました。11月末日での退職を求めています。「あなたのポジションはない」「会社が決めたことです」とセカンドラインが個別に呼び出し、加算金を提示し、再就職斡旋会社を紹介する、マニュアル通りのやり方です。
 かいなを読み、会社に対抗するには組合に加入するしかない、と二人の方が退職勧奨に対抗すべく組合へ加入しました。
 退職勧奨にYESということは簡単です。しかし、自分の為、家族の為を考えて、NOという勇気を持ってください。その勇気の後押しをするのが労働組合です。

都労委命令を履行せよ ! 中労委が社長に要請

 東京都労働委員会(以下都労委)は、組合が申し立てていた、会社の不当労働行為(組合員へのロックアウト解雇予告に対する団体交渉拒否)に対して、今年8月28日組合の申立を認める命令を会社にくだしましたが、会社はこれを不服として中央労働委員会に再審査申立をしました。
 しかし、労働組合法27条の15により、たとえ再審査申立をしても、都労委命令「このような行為を繰り返さないということの組合宛文書通知と、社内への掲示」は履行しなければならないことになっています。会社は、下記のとおり10月9日(水)までに中央労働委員会宛に報告義務があります。

2230号-3面 カット:命令履行報告

地裁提訴と都労委申立を追加
   減給撤回とロックアウト解雇で

 ロックアウト解雇裁判でさらに4人が追加提訴したほか、賃金減額撤回で9人が東京地裁に提訴し、東京都労働委員会に対しても不当労働行為の救済申し立てを行うなど、組合は日本IBM相手の大反撃を開始しました。
 9月26日、ロックアウト解雇裁判で、4人の組合員が日本アイビーエムに対し、社員としての地位確認と賃金支払いなどを求めて東京地裁に追加提訴しました。一連のロックアウト解雇裁判で、昨年10月に3人、今年6月に2人が東京地裁に、さらに8月に大阪地裁に1人提訴しており、今回の提訴を合わせて原告は10人になりました。
 さらに同日、会社がおこなっている賃金減額は違法、無効であるとして、減額措置によって支払われなかった差額賃金の支払を求め、9人が東京地裁に提訴しました。これにより、退職強要・人権侵害裁判を入れると23人が会社を訴えたことになります。
 加えて同日、東京都労働委員会に対しても、一連のロックアウト解雇及び賃金の減額措置は、組合の弱体化を狙った不当労働行為であるとして救済申し立てを行いました。
 その後、厚労省記者クラブで記者会見を行いました。
 
ロックアウト解雇で4人追加提訴

 会社に対して、4人の組合員の労働契約上の地位があることの確認を求めるとともに、同契約上の賃金(賞与・DC拠出金額相当分を含む)の支払いを求めました。
 また、会社が解雇無効であることを知りながら違法な方法で行ったものであり、かつ労働組合員である4人を会社から排除する目的で行った不当労働行為であることを理由に、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求するものです。

減給撤回裁判で9人も

 日本アイビーエムは、違法な就業規則の変更を行ったうえ、9名に対し、当該変更後の規定を根拠に、減額率8.25%~12.8%にも及ぶ大幅な賃金減額を行いました。
 会社が行った就業規則の変更は違法、無効であり、変更後の就業規則に基づいてなされた賃金減額も違法、無効であるから、当該減額措置によって支払われなかった差額賃金の支払を求めました。
 また、この就業規則の変更及び賃金減額は、会社が労働者を退職に追い込むための退職強要の手段としてなされたものです。

不当労働行為救済命令申立

 全日本金属情報機器労働組合(JMIU)とJMIU東京地本、および日本アイビーエム支部は、不当労働行為救済命令申立を東京都労働委員会に行いました。
 8月28日には別件で「全部救済命令」を勝ちとっていますが、今回の申し立ては、一連のロックアウト解雇及び減額措置は、組合の弱体化あるいは壊滅を狙って行った不当労働行為で、労働組合法第7条1号及び3号に該当することが明らかであるとして救済命令を求めたものです。
 そのなかで「現職に復帰させること」「解雇の日から復職までの間、組合員らが受けるはずであった賃金相当額に年6分相当額を加算して支払うこと」「陳謝文の掲示」などを請求しました。
 組合は20人の弁護団の支援を受け、これらの事件の解決を進めます。
 また不当な減給撤回を求める裁判にさらに多くの方が結集されるように呼びかけます。減給にあった方は組合にご相談ください。

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