退職勧奨、PIP、賃金減額、いじめやハラスメントなどで困っていませんか?そんなときは組合に相談しましょう。上の「ご意見ご感想」リンクをクリックしてメールで送るか、平日なら右のボタンで相談窓口へご連絡を。
相談窓口

日本IBM残業代裁判和解にあたっての声明

(1)日本IBMの社員2人が東京地裁に起こした未払い残業代の支払いを求めた平成24年(ワ)第11915号 未払賃金支払請求事件において、2013年1月に会社と和解が成立した。
(2)この事件は、JMIU日本IBM支部の組合員2名が、会社に対し実際に働いた時間数よりも少なく勤務時間を申告させられたとして、実際に働いた時間分の残業代の支払いを求めていたものである。和解内容は明らかにできないが、2人の社員にとって納得できる内容である。
(3)2人の社員は組合に加入する直前まで会社に過労死水準の残業をさせられていたにもかかわらず、e-Attendanceと呼ばれる勤務記録システムへの実態通りの申告が許されなかった。
(4)組合は2人の社員が組合に加入後、聞き取り調査を行った結果を受け、直ちに過労死水準の残業をやめさせるよう会社に申し入れるとともに、実態通りに請求できていなかった残業代を請求した。
(5)組合との団体交渉を経て会社は一部残業代を支払ったが、実際に働いた額よりも少ない額で、その一方的な計算方法にも疑問が残った。
(6)組合は再三に渡って会社に残金の支払いを求めたが、会社が支払いに応じなかったため、2人の社員は東京地裁に未払い残業代の支払いを求めて2012年4月に東京地裁に提訴するとともに、組合がバックアップしていた。
(7)わたしたちは、日本アイ・ビー・エム(株)に働く社員がサービス残業をさせられることがないように今後も監視を強めるとともに、e-Attendanceのような自己申告方式でなく、出退勤記録を客観的に記録できる環境を会社が整えることを強く要求するものである。

2013年3月

全日本金属情報機器労働組合(JMIU)
同         日本アイビーエム支部
日本IBM裁判弁護団 

サービス残業強要を許すな

残業代裁判で和解成立

 組合では退職強要・人権侵害裁判とロックアウト解雇裁判の他に、残業代裁判を闘ってきましたが、2013年1月23日に東京地方裁判所にて和解が成立しました。和解調書に口外禁止条項があるため詳細をお伝えすることは出来ませんが、原告2名にとって十分納得のいく内容でした。以下はその経緯です。
 本社事業所在勤の組合員のAさん・Bさんの2名は、組合加入前の2008年から2010年にかけて、過労死水準を遥かに越える時間外労働を行っていました。異様な長時間労働のため、Aさんはメンタル疾患を発症し、現在も週1回の通院を余儀なくされています。しかし当時の所属長の圧力のため、時間外労働手当を請求することはほとんど出来ませんでした。
 2010年2月に組合は二人へのインタビューをとおして異様な時間外労働と、二人が始業時間・終業時間を記録していることを知りました。そこで中央団体交渉で、会社に残業実態の調査を求めました。その後、会社は所属長を通じて、二人に時間外労働手当の請求を指示しました。 
 二人の請求に対して、会社は2010年12月に「時間外労働を行ったことは認める」として、一方的なロジックを作成して請求額の一部を支払いました。しかし組合はこれに納得せず、未払金全額の請求を行いました。

■東京地裁へ提訴■

 組合の再度の請求に対して会社は「これ以上の支払いは応じられない」と支払を拒絶しました。さらに二人が所属長の圧力のため、e―Attendanceに実際の残業時間を入力できなかったにもかかわらず、「会社は勤怠を正しく報告するよう求めているのにAさん・Bさんは従わなかった」と言いがかりをつけてきました。時間外労働手当を正しく請求できている社員がいったい何人いるのでしょうか?
 会社の不誠実な態度にこれ以上の交渉は無駄であると判断した組合は、未払の時間外労働手当の支払を求めて2012年4月に東京地裁に提訴しました。
 裁判の中で会社は(退職金を除く)労働債権の短期消滅時効2年が既に成立していると主張してきました。組合側弁護士は2010年12月の支払で一部弁済が行われ、「時効の中断」があったため、時効が成立していないと反論しました。
 また会社は二人が記録した始業時間・終業時間メモが手書きであることから「信頼性に欠ける」と指摘しました。
 さらに所属長に強制されて入力した「e―Attendanceの9時~17時36分の所定労働時間の記録が正しい」と主張しました。組合側弁護士は、e―Attendanceに入力された労働時間が所属長に強制されたものであることを指摘し、会社が使用者として労働者の労働時間を管理する義務を怠っていると反論しました。
 双方の主張を聞いた裁判所は和解を勧告してきました。裁判所の和解案を元に交渉し、1月23日会社と和解が成立しました。

■サービス残業を許さない■

 組合は、会社が社員にサービス残業を強制することを許しません。所属長の有形無形の圧力で、時間外労働手当を請求出来ない場合でも、始業・終業・休憩時間は必ず、正しく入力してください。そうすれば長時間労働によるメンタル疾患発症の証拠となるだけでなく、あとで時間外労働手当を請求できる可能性があります。年俸制や裁量労働制の社員も同様の理由で、e―Attendanceは必ず実態どおりに入力してください。
 組合は今後も中央団体交渉や労働基準監督署への申告、裁判などあらゆる手段を駆使して、サービス残業をすることのないように闘っていきます。

中央団交報告・PBC低評価撤回せよ等

 2月28日に中央団体交渉を行い、PBC低評価の撤回とシニア契約社員制度を追及しました。

◆低評価撤回せよ◆

 まず組合からの抗議申入れに対して、代理出席していた2人の組合員に対する回答が示されました。二人とも「回答内容はウソばかりだ」と激怒するものでした。組合から二人が低評価されることになった具体的な事実を示すよう要求しました。
 会社は「全ては示せません」と回答しました。組合がさらに「全てを示せとは言っていない。代表的な事実だけでよい」と追及しましたが、満足な回答は得られませんでした。組合は反論の抗議申入れを、文書で再度、提出することを宣言しました。
 次に別の組合員に対して、所属長からPIPの開始が告げられた件が議題になりました。この組合員はPIPについて、「組合との協議事項である」と抗議したところ、所属長から、白紙のPIPフォームを送りつけられ、さらにセイムタイムで、「『改善』は私も含めて部門全員の今年の宿題ですよ」と虚言を弄しました。
 組合は「部門全員の宿題」なら、個人でPIPを行う必要がないことと、PIPそのものにも反対しているが今回のケースはその運用を逸脱していると追及しました。会社は調査を約束しました。

◆処遇低すぎる◆

 前回に引き続き、シニア契約社員制度の問題点を指摘しました。シニア契約社員制度の週5日勤務で一律月額17万円の処遇が低すぎること、与えられる業務は本人が60歳より前に行っていたものとは異なること、PBC評価の対象となり、これが契約継続を拒否する口実に成りうることを指摘しました。
 組合は高年齢者の最低限の生活を守れるよう、シニア契約社員の改善要求を続けていきます。

パワハラ被害の実態

 会社では、対象とした社員を退職に追い込むために、パワハラが行われています。このパワハラの実例を紹介します。
 Aさんが所属している部門では、2008年以来人員削減が継続して行われていて、当時の所属長Y担当は毎週の部門会議で、決まって特定の人を攻撃し、皆の前で嫌がらせをすることによって、退職させるという手段を繰り返してきました。2010年にターゲットになっていた社員Bさんは、4月に早期退職をしました。
 次に攻撃目標となったのが、Aさんです。
 2010年5月の中間PBCでは、「Aさんができる仕事は、売店のおばちゃんぐらいかな」など、人格を攻撃しました。
 同年8月の部門会議では「バカじゃないの」「頭おかしいんじゃないの」「外れてくれる」などと尊厳を傷つけました。
 同年9月には、Aさんの残業に対して、「就業規則をきちっと理解した方がいいんじゃないですか」「Aさんの行動には問題が多い」「前々から社会人として欠落している」「自主的にはお店でやってください」と罵倒しました。
 同年12月のPBC面談では、1回目はAさんが他部門に異動するための教育を受けることを支援するような発言をしました。ところが翌週2回目の面談では、教育支援の発言は反故にして、Aさんが他社に就職口を見つけることだけを追及しました。さらに翌週3回目の面談では、評価3を告げられました。
 翌年Y担当は同じ部門のスタッフとなり、新しくF担当が着任しました。
 同年5月から年末まで、毎週月曜日朝30分の面談が休むことなく続けられました。業績改善プログラムの一環の面談のはずが、毎回明確な改善目標も示されず、何ら本人の業務改善に寄与するものではなかったのです。
 2012年になっても月曜日朝の面談は毎週続き、実に53回を数えるまでになりました。
 同年6月半ば、F担当はスタッフとなって同部門に所属を続けることとなりました。後任はT担当となりましたが、毎週の面談にはT担当のみならず、元上司のF部員まで参加し、Aさんへ圧迫面談を繰り返しました。
 この状態は今年になってからも続けられており、団交で中止を求めたのは、前回の中央団交報告で記載の通りです。
 以上のようにAさんは2010年から3年間にわたって、2nd LineのU担当下、Y元担当、F前担当、そして現在のT担当からパワーハラスメントを受け続けてきました。2012年のPBC評価では、パワーハラスメントの一環として、「4」を付け、Aさんを追い込んでいます。

PBC低評価から始まる
  減給・降格・退職勧奨・解雇

あなたはPBC評価に納得できますか?

 2013年3月1日付でロビン・スース人事担当が社内Webにて発表した「Performance Managementについて」の施策に基づき、組合が考えるPBC制度(成果主義)の矛盾と、そこから生み出されるPIP対象者およびPIP目標未達成者に対する減給・降格・退職強要・解雇への道筋の問題点を指摘し、この間組合に寄せられたご意見をご紹介します。引き続きみなさんのご意見をお待ちしております。

▼PBC評価に透明性なし▼

 会社はPBCの実際の評価分布を開示することを頑なに拒否しています。私たちの賞与や給与調整に直結する人事評価システムをどうして開示できないのでしょうか。それは賃金抑制のために作り出された成果主義の正体が露呈してしまうからと推測します。すなわち、日本IBMの成果主義に透明性はないと断言できます。
 2012年度のPBC面談において、低評価になった理由について、上司が次のような説明をしていることが分かりました。どれをとっても首をかしげたくなるものばかりです。「何ら理由を示さず低評価」「時間管理について注意する必要がある」「PBC評価3が2年連続した場合はPBC評価4になるのがIBMのルールだ」「インビテーションメールの宛先を間違えたことがある」「他部門社員とのやりとり方法が気に入らない」「スピード感や正確性が足りない」等。これらの作り上げられたといっても過言ではない理由で低評価がつき、賃金差別を受けるだけに留まらず退職勧奨を受けることになります。

▼減給対象者2千人以上▼

 ロビン・スース人事担当発「2013年度のPerformance Managementについて」の発表では、PBC評価3、4の従業員に対し業績改善プログラム(PIP)を実施します。PIPの結果次第で5%~10%の減給調整をします、という労働条件の変更に関する一方的通告です。
 しかし、この発表内容には信じがたい内容が多く含まれています。「会社は、業績が芳しくない社員を対象として、その業績を改善していただくため、業績改善プログラム(PIP)を実施しています」としていますが、相対評価で下位15%になっただけで「業績が著しくない社員」と判断をする根拠は何なのでしょうか。毎年、低評価を理由に退職勧奨が行われ、2008年4Qのみでも1300人が退職しています。次から次と成績不良者が作り出されているのです。
 また、「社員のPerformance Improvementを通じて会社全体の業績の改善、ひいては組織全体の活性化・健全化を目指す考えです」としていますが、過去5年間をみても会社業績の改善とPIP実施の因果関係を示すデータがあるとは思えません。
 更に「全てのバンドの社員に対して、現在の給与水準が現在の職務や業績およびマーケットに比べて高すぎると判断された社員については減額調整を行い」としていますが、マーケットとは何を指すのか会社は回答しません。
 実態の見えないPBC評価制度で評価され、PIPに放り込まれ、減給、退職勧奨そして解雇へと追い込まれるのが実態なのです。
 このようなことになる前に組合に加入し対抗するしか方法はありません。PBC低評価のみなさん、組合加入を検討してみませんか?

組合に寄せられたPBC評価・PIPに関するご意見をご紹介します。
(組合のWebアンケートより)

●もともと評価を50%にするという一文を追加させられているため、最初から評価が「3」しかつけてもらえない。 1年に3回もPIPをさせられて仕事をするヒマがありません。(本社・30代・女性)
●1HはTargetに到達できず、PIPを書くように言われました。内容としては数字を達成するということで記載したと思います。しかし、2HにEnterpriseに異動となり、全体として数字の結果は悪かったと思います。ただ、その中でPrimary(TCV)149%達成(年間通じても101%以上)しているにも関わらず、この評価は無いと思います。2nd Lineの決定だと言われましたが納得いきません。 High Performance Cultureと言って、数字でしか評価しないような事を会社は言っているのにも関わらず、149%達成した社員をこういう扱いをするなんて、信じられません。(本社・40代・男性)
●評価は所属長の上長が決めたと言われた。能力不足のため低評価なのか聞いたところ、そうではなく、所属長の上長に嫌われているからとのこと。全く納得できない。IBMにいても未来がないので、転職活動している。 全く不可解な理由でPBCが付けられている。恐らくPBCを低くしてやる気をなくさせ、転職させようという趣旨なのだろうが、このようなことをしていたらただでさえ悪化しているIBMの評判がさらに落ち、優秀な人材が入社せず、業績悪化を招くだけではないか?(本社・30代・男性)

中央団交報告


即刻パワハラやめよ!
低評価撤回せよ!
シニア契約社員の賃金上げよ!

 組合は、2月15日に会社と団体交渉(団交)を行い、パワーハラスメント(パワハラ)の即刻停止、PBC低評価の撤回、および、高齢者雇用安定法改正への対応(シニア契約社員、シニア・プロフェッショナル制度)に対する改善を求めました。しかし、またもや会社の回答は不誠実なものであり、会社がパワハラに対する自浄機能を失っていることが明らかになりました。

■即刻パワハラやめよ■

 3年間にわたり、上司と元上司2人がかりで1人の社員を取り囲み、些細なミスをあげつらい、圧迫面談を毎週続けていることに対して、被害にあった社員が、団交や抗議書を通じて「パワハラはやめて欲しい」と再三再四要求してきました。しかしその面談は中止されることが無いため、今回の団交で即刻停止を要求しました。
 社員からパワハラを受けているとの訴えを受けた場合、被害者の人権を尊重することを第一に考えるべきです。しかし、会社の回答は「まずは調査をする。訴えが事実かどうかわからない間は、面談は止められない」というものでした。この「事実調査が先なので、申し出があったからといってすぐに止めることができない」のは、パラハラだけでなく、セクハラ(セクシャル・ハラスメント)の場合も同様とのこと。昨年の元最高顧問の事件のみならず、社内の事件に対しても、会社として自浄能力が無く、人事部の存在意義も無い会社であるということが露呈しました。

■案件紹介件数ごまかし■

 次に、稼働率が低いためPBC評価が4となった社員について、スキルに合致するプロジェクトを所属長が紹介できなかったことを指摘すると、会社は紹介回数を回答してきました。
 回答書では10件紹介したとありましたが、当社員によると、紹介されたのは4件のみ。そのうち1件は「バイリンガルでかつ金融業界の将来をお客様と語れるだけのスキルを有するコンサルタント」というスキル違いの募集。他の1件は、お客様が即戦力のプロジェクト・メンバーを求めている案件でした。
 とてもまじめに紹介しているとはいえないものです。このように、会社の回答は非常に不誠実でした。

■ワーキング・プアに■

 高齢者雇用安定法改正への対応では、会社から選ばれた社員(BAND8以上であることが必要)のみがなれる「シニア・プロフェッショナル」と基本的に希望者がなれる「シニア契約社員」制度ができました。後者については、週5日勤務で月額17万円、ボーナス無しで年収204万円になります。仕事は定年前に行っていた仕事ではなく、給与に見合った補助的な仕事になるとのことです。
 週5日勤務してもいいし、4日や3日などを選択してもいいのですが、勤務日数の割合に応じて、月額は減額されます。逆に、週5日の勤務希望であっても、それだけの仕事が無い場合、短い勤務でしか契約できないこともあることが判明しました。
 年収200万円ということは、いわゆるワーキング・プアであり、年金や生活保護世帯よりも可処分所得が少なくなるということです。退職金も401Kになり、実際にいくら貰えるかは、社員自身の運用実績によります。このままではIBMから餓死者が出ることになりかねません。 
 会社は「月額17万円の根拠は、必要な生活費から算出したのではなく、依頼する仕事のレベルから決めた」と回答しました。他社の動向も参考にしたとのことです。他社との比較では、「イコール・オア・ベター」ではなく、「ワースト」を目指しているかのようです。
 夫婦二人世帯で普通に暮らしていくためには、月額30万円が必要と試算されています。最低限の生活を守れるように、これからも会社に増額の要求を続けていきます。
 そのためには組合にさらに大きな団結力が必要です。是非みなさんも組合に加入して、自分自身の生活を守っていきましょう。

第2回ロックアウト裁判 原告側の意見陳述

相対評価、解雇理由にならない

 2月18日午前10時より、東京地裁第103号法廷にて、ロックアウト裁判の第二回口頭弁論が開かれました。
 今回は、原告側の意見陳述をおこないましたので、代理人の意見陳述書を紹介します。
 なお、次回口頭弁論は4月15日(月)10時30分からで、場所は今回と同様、東京地裁103号法廷です。 IBMにおけるロックアウト型解雇の全容に迫りたいと思います。
 大法廷の傍聴席を満席にして、この裁判が世間から注目されていることをアピールしていきたいと思いますので、ご支援よろしくお願いいたします。

平成24年(ワ)第29095号 地位確認等請求事件
原告  鈴木裕治 外2名
被告  日本アイ・ビー・エム㈱
意 見 陳 述 書
東京地方裁判所 民事第36部 合議A係 御中
2013年2月18日
原告ら訴訟代理人 弁護士 今泉義竜
1 求釈明に対する被告の不誠実な対応
 原告らは、前回法廷で、組合員に対する大量解雇予告が労働組合に対する不当労働行為の可能性があるとして、非組合員に対して行った解雇予告の実数を明らかにするよう被告に求めた。
 しかし、被告は解雇予告した非組合員の実数を明らかにすることを拒んだ。
 解雇予告した人数という客観的事実について明らかにすることになんら不都合はないはずである。被告の対応は真実の究明を徒に遅らせようとするものと言わざるを得ない。本件解雇の正当性を判断する上で、被告で行われている能力不足解雇の全体像は必ず明らかにされなければならない。
 次回、解雇理由に対する反論とともに、改めて、具体的に求釈明を行う予定である。
2 相対評価の低さは解雇理由にならない
 解雇理由の主張・立証責任は被告にある。しかし、これまでの被告主張の内容は抽象的で具体性に乏しく、解雇理由を裏付けるものとして提出された証拠もPBC評価とPIP結果のみである。
 そもそもPBC評価それ自体被告の恣意的な主観的評価に過ぎず、それをもって解雇を正当化する根拠とはなり得ない。
 百歩譲ってPBC評価を一つの指標とするとしても、被告も認めるとおりPBCは相対評価に過ぎず、PBC3、4が付けられる労働者は最大15%必ず発生する。
 相対評価である以上、必然的に下位評価の労働者が発生することは避けられらない。だからこそ、低評価であること自体をもって解雇の合理性・相当性が認められることはないというのがこれまでの確立した裁判例である。
 なお、被告は2008年に成績下位15%を対象とした大規模退職勧奨・退職強要を行い、全従業員1万4000人のうち1300人、約10%もの労働者を退職に追い込んだ。本件解雇は、それに引き続くものとしてなされたものである。
3 解雇規制への挑戦
 被告がやろうとしていることは、会社が低評価を付けた者について自由に解雇できるという前例を作ることである。
 この流れは、被告日本IBMだけで起きていることではない。低評価後のPIP、そして追い出し解雇という同様のやり口がされた通信社ブルームバーグの事件は、昨年10月に御庁にて解雇無効の判断がされ、高裁でも会社の追加立証を許さず即日結審となったところである。
 アメリカ系企業を中心とした正規労働者の解雇規制への挑戦に対し、日本の労働法制に基づいて毅然とした対応をとることが裁判所に求められている。
以 上

解雇や退職強要行うな !!
春闘要求決定し提出

 組合は2月16日に日本IBM支部中央委員会を開催し2013年春闘要求を決定し、21日会社に対して16項目の要求書を提出しました。特に10点を重点要求とし、これらに対する回答には必ずその根拠となる理由を記載することを求めています。
 またすべての労働者の雇用を守り処遇改善を実現するため、①解雇、退職強要をやめさせよう②PIP・減給・降格をやめさせよう③すべての仲間の賃上げを実現させよう④組合に団結しよう、の四つのスローガンで要求の前進をはかることを採択しました。
 2013年春闘の重点要求は次のとおりです。
①解雇や退職勧奨を行わないこと。
②労働条件変更は、組合と事前協議を行い労使合意のもとに実施すること。
③解雇を撤回すること。
④部門解散に伴う整理解雇を撤回すること。
⑤脅迫的な自己都合退職強要を禁止すること。
⑥PBC不当評価是正とPBC結果による賃金格差、差別を無くすこと。
⑦減給・降格を撤回をすること。
⑧バンド8以上の組合員を認めること。
⑨PBCによらず、全従業員に定期昇給を実施すること。全従業員にベースアップを行うこと。
⑩65歳までの定年延長をすること。定年延長実施を理由に定年前の賃金引下げ、賃金制度の見直しを行わないこと。

◆リストラ・人減らし「合理化」・パワーハラスメントに反対する要求◆

 社内で雇用への不安が急速に広がっています。組合は雇用を守ることを強く要求します。

(以下要求から抜粋)

 会社は、利益増大のために継続的に徹底した人員削減を進めるという雇用責任を放棄した経営姿勢をとっている。職場は殺伐とし、メンタル疾患患者を大量に発生させ、その人たちを退職に追い込むという人道的問題が続出している。さらには退職に応じない者を解雇するという暴挙に出ている。これらの人権侵害を直ちに止め、社会的責任を果たせる企業となるために、以下を要求する。

●恫喝、高圧的発言などによって労働者に対して退職強要を行なうことを直ちにやめ、退職を拒否した労働者に対してその後の退職勧奨は一切行わないこと。
●会社は解雇、退職強要に関わったライン、および、指導した経営層と人事担当をBCG、インテグリティーに則り処分すること。
●一切のリソースアクションプログラムの実施をしないこと。
●米IBMからのアサイニーに対し日本の労働に関わる法律、慣習等を教育し理解させ日本の法律を遵守させること。
●労働条件の一方的不利益変更に繋がる「業績改善プログラム」を直ちにやめること。(以上抜粋)

◆賃金に関する要求◆

 日本IBMの人事施策は、全従業員に対し処遇を改善するという賃金制度すら存在しません。組合はPBC評価に関係なく全従業員の賃上げ実施を要求します。

(以下要求から抜粋)

 賃上げは、生活を維持し向上させるために必要なものであり、2006年からの連続ゼロ昇給は断じて許されない。PBC重視ではなく、労働者の安定した生活設計を保証するためにも、以下の内容を要求する。
●一律6万4000円の本給あるいは月額本棒のベースアップを行なうこと。年収700万円のモデルケースで試算すると、政府が公言している今後2%のインフレ分、消費税や復興税などの増税負担分、2006年から定期昇給ゼロ分の家計赤字額を合計すると64000円となる。
●「昇給ゼロ」「減給」をなくし、PBC評価によらず、全社員の賃上げをすること。
●全ての臨時雇用者・派遣労働者も賃上げをすること。 (以上抜粋)

 3月6日が春闘統一回答指定日になっています。会社に対し雇用を守り、全従業員の賃上げを行うように強く要求します。

中央団交報告

PBC低評価撤回せよ!
高年法対応内容提示せよ!

 組合は、1月30日会社と団体交渉(以下、団交と記載)を行いました。
 主な議題は、PBCの低評価撤回と、2013年4月から改正される高年齢者雇用安定法(以下、高年法と記載)対応のための日本IBMにおける人事制度変更内容を明らかにさせることでしたが、会社は相変わらず不誠実な対応に終始しました。

▼PBC評価分布提示せよ▼

 まず、PBC評価の分布について追求しました。組合の集計では、評価3または4の割合が昨年よりも増えていますが、会社回答は「例年と同じ」つまり、評価3・4の社員はあわせて15%しかいないことになります。 一方、評価1または2+の社員は、あわせて50%弱いるとのこと。残りが評価2です。
 みなさんの職場でのPBC評価分布はいかがでしょうか?
 組合では、本当に会社回答通りの分布になっているのか、みなさんにPBC評価のWebアンケートをお願いしています。会社に要求を出す裏付けとなる統計資料は力となりますので、是非ご協力ください。会社回答が正しいものなのか、組合では今後も団交で追求していきます。

▼低評価に根拠なし▼

 次にPBCで低評価を受けた社員について、その根拠を追求し、評価の是正を求めました。
 「PBC評価3が2年連続した場合はPBC評価4になるのがIBMのルールだ」と所属長が発言したことに対しては、会社は「結果としてそうなることもあり得る」と言いながらも、制度としてそのようになっているとの回答はできませんでした。
 その他、低評価の理由として「Invitationメールの宛先を間違えたことがある」「他部門社員とのやりとり方法が気に入らない」などの説明が所属長からされており、一度のミスや所属長の気分で低評価にしたのではないかと追求しました。
 「スピード感や正確性が足りない」という理由で3となった社員のケースでは、仕事の期限に遅れたことは無く、前工程の改善無くしては正確性を保てない業務内容のため、事実と評価が乖離していることを追求しました。
 同じ組織の社員と数分話をするだけでも、都度所属長の許可が必要と言っておきながら、当の所属長は朝10時を過ぎても出社せず、朝から業務ができない状態にされたにもかかわらず、PBC低評価だった社員のケースでは、所属長の資質を問いただしました。
 所属長より「仕事が増えるから」とプロジェクトから呼び戻されたにもかかわらず、戻ったら仕事が無く、稼働率が低いという理由でPBC低評価を付けられた社員のケースにおいて、所属長の発言について会社に問いただしました。
 組合はすべてのケースにおいて、あらためて事実関係を確認するよう要求しました。

▼65歳定年にせよ▼

 次に高年法改正にどのように対応するのかを追求しました。組合は「定年を65歳にする」と変更すれば、完全に高年法改正の趣旨にも合致した人事制度になるではないかと提案しました。
 しかし会社は「定年を65歳にする考えはありません」と回答するにとどまり、後日書面での回答となりました。そこで会社が提出した高年法に対応した人事制度変更内容は、60歳で定年を迎える社員を単年度の契約社員とします。
 大きく2つの制度に分け、一方では週5日勤務して月額17万円、年額204万円という安い賃金の「シニア契約社員」、もう一方では、会社が特に残って欲しいと思うバンド8以上でPBC評価の高い社員用に、会社からの指名で、条件のよい「シニア・プロフェッショナル」として契約が行われるとしています。このように会社は、すべての人事施策において、格差を付けています。
 組合は、今後の増税やインフレなど家計費増に対して、生活ができる賃金とすることを要求し、団交を続けていきます。

ここが危ない BCG 同意は慎重に!!

 今年も全社員がBCGへの同意を求められる時期になりました。多くの社員が「早くBCGに同意するよう」にと所属長から迫られているでしょう。しかし自らの雇用を守ることを考えると、安易にBCGに同意してはいけません。
 組合では以下の4点を留保することを、会社に伝えてあります。

▲チャネルの選択▲

 「2.1 問題点の提起と違反の報告」では、社員が社内の非倫理的行為やその可能性に気づいた場合は、会社が指定するチャネル(所属長や人事、弁護士など)を通じて、会社に知らせることを求めています。しかし大歳元社長の盗撮事件で分かるように、会社はすでに自浄能力を失っています。
 また4000億円の申告漏れに代表されるように、会社ぐるみの不正行為が疑われる場合には、会社が指定するチャネルを通じて報告すると報復を受ける可能性があります。組合は、会社が指定するチャネルを通さず、第三者機関に直接訴ええることがあり得ることを通知しました。

▲録音・録画で証拠保全を▲

 「3.1 職場環境」では、マネージメントやIBMの弁護士の許可を受けずに、録音・録画することを禁止しています。しかし社内で退職強要・パワハラが相次ぐなか、これらの証拠を取得しないことには、自分の身を守れません。
 JAL契約社員雇止裁判でも、退職強要発言の録音が損害賠償請求の証拠になりました。また組合との交渉のなかで、会社は証拠がないものについては、「そのような事実はあるとは聞いていません」「確認できていません」と一方的に否定してきます。組合は退職強要・パワハラその他の不法行為の証拠を残すために、社内で録音・録画することがあることを通知しました。

▲盗聴・検閲や所持品検査▲

 「3.2 IBMの情報と財産 アクセスおよび使用に関するIBMの権利」では、社内施設への私物の持込を一切禁止していることを建前にして、社員のカバンや携帯電話へのアクセスを認めています。またE-MailやPC、USBへの検閲も許しています。
 大和事業所内で自殺した社員は、荷物で膨れたカバンで出社していましたと遺族から話がありました。しかし、返却されたカバンの中身はペン一本、紙一枚でした。
 組合は会社による盗聴・検閲行為を一切認めないことおよび、合理的な条件が満たされない場合の所持品検査を認めないことを通知しました。

▲報告の正確さ▲

 「3.5 情報の報告、記録、および保管」では、社員に対して、正確な報告を求め、不正確・不完全な報告を行うことを禁止しています。
 一見、正しいことに思えますが、IBMでは、組合員以外で正しく時間外労働手当を請求できる社員はどの程度いるでしょうか。
 残業代裁判では、組合加入前に長時間残業を行った人が、所属長の圧力でe-Attendanceに定時に出社・退社したと入力したことをとがめてきました。
 組合は社員が勤務時間を正確に記録しなかったことを以てBCG違反とすることに反対することを通知しました。
 このようにBCGは一見、素晴らしい倫理的な項目が並んでいますが、実は社員の雇用を脅かす内容が隠されています。社員の皆さんはBCGの恐ろしさを自覚したうえで行動してください。

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