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8.26「退職強要・人権侵害裁判」結審

2008年10月ー12月に行われたリソースアクションプログラムで、退職強要・人権侵害を受けたとして、2009年5月に4人(一人は追加)が日本アイ・ビー・エム(株)を提訴しています。 8月26日結審となり、判決日は12月16日です。東京地方裁判所619号法廷で行われます。

 

平成21年(ワ)第17789号損害賠償請求事件
原告 木村 剛 外3名
被告 日本アイビーエム㈱

平成23年8月26日

最終意見陳述

???????原告代表  木村 剛

2008年10月以降に被告日本アイビーエム株式会社が実施したRA(リソース・アクション・プログラム)では、被告の証言では1300人強、原告らが属するJMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本アイビーエム支部推定で約1500人の正社員が自己都合退職に追い込まれました。全社一丸となって実施されたこの大規模な社員削減施策の過程で、私たち原告4名を含む多くの社員が、意思に反する執拗な圧力をかけられました。その多くが被告による圧倒的な業務権限を濫用した強力な圧力に抗することができずに、退職していきました。形の上では「自己都合退職」ではあっても、実質は「整理解雇」でした。
私たち原告4名は、組合の支援を頼み、なんとか踏みとどまったものの、被告から受けた精神的、経済的被害は筆舌に尽くし難いほど大きいものでした。

2008年10月28日の最初の退職勧奨の面談以降、私は一貫して退職の意思が無いことを、繰り返し繰り返し表明し続けました。そのような私に対して、会社側の管理職たちは、「あなたは会社に貢献していない」とか「あなたの業績は低い」などと一方的に決め付け、長年会社のために鋭意努力したきた私の誇りをズタズタに切り裂きました。
さらに会社は「あなたの業務態度は悪く、多くの苦情が来ている」などと言いがかりをつけ、「年末の評価は低く、賞与は減額される」、「改善が見られなければ降格もありうる」などと脅してきました。
一人で戦うことの限界を感じて組合の支援を仰いだ後も会社の攻撃は止まず、「あなたの今後のキャリアについて話し合うため」と称して法務担当執行役員との面談を仕掛けてきました。「業務の一環」で行うものであり、断ると「解雇を含む処分がありえる」とまで恐喝し、私に対する圧力はますますエスカレートしていったのでした。
これらの圧力により受けた恐怖はかつて経験したことの無い、強いものでした。
2006年年初に受けた別のパワハラにより発症した鬱病の投薬治療中であり、2008年秋はようやく病状が快方に向かいつつあった時でしたが、このような強烈な圧力により病状は一気に悪化し、結果的に治療期間が大幅に長引きました。
このような、会社による退職への圧力は、組合がマスコミに対して行った記者会見で、私が実名を出し、顔を出して世間に訴えるまで、延々と続いたのでした。
他の原告も、細かい経緯は異なっても、いずれも同程度あるいはそれ以上の強烈な圧力を会社からかけられました。

このような強烈な圧力は、退職勧奨として許容される程度を大きく逸脱したものであり、違法な退職強要であって、私たち原告は人権を侵害されたと認識しています。
原告が属する組合、JMIU日本IBM支部は会社との団体交渉に於いて繰り返して退職強要を止めるよう要求しましたが、被告会社は聞く耳をもたず、「裁判の判断を待つ」とまで言い切りました。私たち原告は、団体交渉による解決を諦め、組合の支援の元、提訴して被告の違法性を訴えるに至ったわけです。
本件は、決して原告4名と会社との間の個別紛争ではありません。被告会社が組織ぐるみで行った人員削減施策の過程で発生した、組合員に対する退職強要と人権侵害の非を問うものであり、組合との労使関係に関わる、集団的労働民事紛争であります。

3回に分けて実施された証人尋問で、4名の原告と、その属する組合の委員長の5名は、被告会社が行ったRAプログラムで経験した事実を、正直に、何ら脚色することなく、ありのまま証言しました。
一方、会社側の証人たちは、(1)都合の悪いことは、忘れた、あるいはわからない、と言い逃れ、(2)原告が言ったことを「聞かなかった」と言い、(3)原告が言いもしないことを「言った」という、虚偽の証言に終始しました。
「ありのままを述べて、裁判所の判断を仰ぐ」、という裁判の基本を踏みにじる、卑怯な態度に終始したことは、とても許せるものではありません。
このような、会社側の証人たちの「真実を語らない」態度自身が、「退職強要はしていない」という被告の主張そのものを自ら否定していると言わざるをえません。

私、木村 剛は原告を代表して、裁判所に対して以下を強く主張し、要望します。

1.?あらゆる裁判の結果は、「社会正義」を実現するものでなくてはなりません。
2.?本件は、社会的にも広く注目を集めています。大量解雇・分限免職など、企業や組織による乱暴な解雇・人員削減が横行しているなかで、同列に位置づけられた紛争です。本件の結果は、企業・組織で働く労働者の労働環境に強い影響を及ぼします。
3.?以上の諸点に鑑み、今後50年、100年という歴史の検証に耐える、公明正大な判断をしていただきたいと、切に望みます。

以上

本社事業所長空白問題その2

労基署が「指導票」を交付せざるをえなかった
会社のまずい対応

 2ヶ月間の空白を経て、7月1日にやっと新事業所長の発表がありましたが、会社の労基署への回答は事実とは異なる言い訳をしていたことが、労基署からの返事でわかりました。
 前回の紙面で、『事業所長は退職前の長期休暇中であるが会社に籍はある』と苦しい言い訳をしていることまでを紙面に掲載いたしましたが、さらにその話には続きがありました。

◆言い訳が退職前の長期休暇から『代理がいる』へ
 
 6月24日に会社は「総括安全衛生管理者の代理は総務部長のAさんです。安全衛生委員会の議事録に『総括安全衛生管理者一号委員が未定』とあるのは、間違いです」と労基署に回答したそうです。しかし事前に代理者がAさんと決まっているなら、回答に4日もかかる訳がありませんし、また議事録が間違いであると安全衛生事務局が聞いたら怒るような嘘をつく必要もありません。 
 また、本社の安全衛生委員会の事務局担当者に確認したところ、Aさんがその期間会社のいうように、総括安全衛生管理者の代理の自覚があったかというとまったくなかったとのことですし、安全衛生委員は誰ひとりとして代理だという認識はなかったと聞いています。これも明らかに嘘ですし、苦しい言い訳です。

◆労基署は口頭で済ませるつもりが

 労基署は当初は口頭での指導で済ませるつもりだったようですが、会社に対して「7月1日までに総括安全衛生管理者を選任するよう」指導票を交付せざるを得ませんでした。
 さらにこのAさんは6月1日付で幕張事業所に異動しました。『6月以降は後任の総務部長Kさんが代理』と会社は回答したそうですが、安全衛生委員会では一切そのような話はありませんでしたし、そう思っている委員もいませんでした。逆に『まだ、決まらないのかしら』となかなか決まらない統括安全衛生管理者にとまどいの声が多くありました。
 ようやく新事業所長が発表され、この異常な状態が解消されましたが、度重なる会社の労基署への嘘の発言が発覚しました。「インテグリィティ」を標榜する会社のすることではありません。またこのような重要な問題を2ヶ月近くも放置していたことは、問題ですし、法律を遵守していないことになります。 組合はこのような事態が再発しないよう、会社の責任を追及していきます。
 

グローバル企業の横暴を許すな

「2015年ロードマップ」達成のために
徹底した人員削減を継続
6月7日に「2011年度の給与調整・昇進昇給の実施」が、ウエブを通じて、会社から従業員に一方的に発表されました。会社は2005年10月3日発表の「人事制度の改革」発表以来、徹底した成果主義のもと、ベースアップすらないゼロ昇給の恒常化、年齢別保障給の廃止、更に減給などにより異常な格差拡大が進んでいます。

◇恐怖政治が蔓延する会社◇

 成果主義の実態は、人件費の抑制が目的であり、PBC制度を悪用し、多くの社員の処遇を下げ、労働者の管理を強化することです。いま、社内では会社の施策に公然と意義をとなえる労働者がいなくなっています。これは、成果主義が生んだ「恐怖政治が蔓延する会社」と言えます。

◇米IBMへの送金が最優先◇

成果主義により、従業員は個別に分断され、労働者の権利を失っています。会社は、PBC制度を悪用し、リソースアクションプログラム(人員削減)の実施、またそれを拒否した者に対し異常な低評価の実施と年収の大幅な切り下げを行い、次は自分か、と多くの社員を不安に陥れてきました。ごく一部の社員は異常なほど優遇され、大多数の社員が冷遇されることにより社員間の格差はますます拡大し、チームワークを阻害し、モチベーションを低下させる原因となっています。IBМが掲げる目標「2015年ロードマップ」達成のため、利益増大のために継続的に徹底した人員削減を進める、という極めて異常な経営姿勢をとっています。米IBМへの送金を最優先する姿勢からは、日本において社会的責任を果たそうとする企業の姿はみられません。これは、「グローバル企業の横暴」と言えるでしょう。

◇全員昇給は、労使対等の目安◇

 組合は、団体交渉で貢献のあった社員に上限なしに昇給をすることは、大いに行ってくださいと会社にいってます。ただし、賃上げは、生活を維持し向上させるために必要なものです。会社がいかなる理由をこじつけても、5連続ゼロ昇給は断じて許されないのです。労働者の安定した生活設計を保証するためにも、PBC評価に関係なく、全従業員に一律賃上げ(ベースアップ)を行う必要があります。このようなごく当たり前の労働者の権利が、会社によって奪い去られています。賃上げの意味は大きく、それは労使が対等かどうかを意味します。それが達成されて「自由闊達な会社」と生まれ変われます。

◇立ち上がれ、従業員◇

 減給通知を受けた従業員の方は、上司からしっかりとその理由の説明を受けましたか。減給を安易に許してはいけません。一度受け入れると、減給と降格が繰り返し実施され、やがて解雇にされます。会社の好きなように労働者の賃金を変更できません。減給されてしまう前に是非、組合にご相談を下さい。

投稿

有期雇用社員は、契約期間が終了すれば雇用関係が終了するわけではない

 コンサルタント職で働くPC契約社員に対し、本人が契約更新を希望しているにもかかわらず、雇い止めを行う問題が発生しています。会社は、PC契約であれば、会社の都合で自由に雇い止めができると思っているようです。しかし採用時に「心配しなくても契約更新が行われるよ」と期待権を持たせる説明を行っていることが、採用された方の聞き取りからわかっています。その結果、レギュラー契約であった会社を退職してまで、転職をしてきた方が多いのです。これは大きな問題です。有期雇用に関する投稿がありましたので、掲載します。

◆過去の判例◆

 有期雇用の社員は、契約期間が終了すれば雇用関係が終了するわけではありません。1974年判決確定の東芝柳町工場事件では、仕事の内容が正社員である本工と差のない契約期間2か月ごとに更新していた臨時工の雇止めに対して、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で労働契約が存在していたとし、その後の雇止めは実質的に解雇にほかならないので、解雇に関する法理を類推適用すべきとして、有期雇用契約の更新後の雇止めに対して解雇に準じた制限が加えられるルールが確立されました。これに対して1986年判決確定の日立メディコ事件では、雇止めを受けた臨時員の上告は棄却されました。これは臨時員の雇用関係が比較的簡易な採用手続きで締結された短期契約を前提とする以上、雇止めの効力を判断すべき基準は、正社員である本工を解雇する場合とは合理的な差異があるべきであるとされたためです。

◆明確でない雇止めのルール◆

 有期雇用の雇止めのルールは明確でなく、紛争も多いため、厚生労働省は、2003年に「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の告示が行われました。この基準は、2008年に改正されましたが、その1条1項では「使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない」とし、同条2項では「使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」と規定して、使用者に契約時に「更新の有無」及び「判断の基準」を明示することを求めています。
 永墓さんのケースについて考えてみると、期間3年の契約を一度更新して6年間の雇用期間があり、コンサルタントとして正社員と同様の仕事をこなしており、臨時員の様な内容ではありません。また契約更新時には、雇用継続を前提としているから当時の使用者であるIBCSからは「更新の有無」の明示はなく、当然「更新判断の基準」の明示もありません。
 このような状況で、永墓さんを有期雇用だからといって雇止めすれば、解雇法理が類推適用されることは自明の理であります。
 震災ボランティアも大事であるが、世間にアピールするイベントばかりに注力せず、足元の社員の救済に目を向けてはどうでしょうか。

ラインが 「中間PBCの評価が低い営業はPIPの対象」と言明

 6月に入ってから、多くの営業系部署でラインがセクションミーティングにおいて「1H終了後、中間PBCを行う。その評価が低い営業はPIP(業績改善プログラム)の対象になる」ことを宣言しています。そして事実、1stラインには「2期連続で目標の70%を下回った営業リスト」が配布されているようです。

◆営業まで退職強要の輪広がる

 いよいよ営業にまで組織的退職強要の輪を広げてきました。PIPは、目標未達成となれば、降格、減給、解雇、職種変更という一方的不利益変更が実施されるプログラムです。
 会社は震災の翌労働日に新たな従業員を面談に呼付け退職勧奨するなど、1Qまでは積極的にリストラを進めてきました。震災対策のためか、2Qはおとなしかったのですが、2Qの反動もあって3Q以降は牙をむいてきそうです。
 もし所属長からPIPの話をされたら、すぐに組合に相談してください。一人では絶対に対抗できません。
 一度PIPを始めると「解雇」のレールに乗ることになります。

改善目標管理フォーム」による指導や減給について都道府県労働局長がIBMを 44回 助言・指導

「改善目標管理フォーム」による指導や減給について、2010年以降、のべ44回にわたって都道府県労働局長は、会社を助言・指導しています。

◆改善目標管理フォーム 降格・解雇のエビデンス

 「改善目標管理フォーム」(業績改善進捗管理用)には、始めから「改善計画が達成されなかった場合の対応の可能性 減給、降格、解雇など」と印刷されています。また、「過去の業績改善進捗管理の実施状況」という欄に、3回分の日付の記入欄があります。これらから、この書類は、降格や解雇を目的としていることが明らかです。さらに、会社は、団体交渉においても、「降格・解雇のエビデンスである。」と明確に述べています。

◆労働者が個別に労働局へ訴え

 現在に至るまで、会社によって恣意的に選択した一部の社員に対して、この「改善目標管理フォーム」を用いた指導が、繰り返し行われています。
 この書面を使用した降格処分や減給は、労働条件の一方的な不利益変更であり、減給、降格を前提とした 「改善目標管理フォーム」を使った評価システムに精神的な苦痛を感じる、として、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づき、労働局へ労働者が申し出ました。
 それを受けて、組合が把握しているだけでも、2010年においても、のべ29回、2011年に入ってからは、東京労働局が6回、神奈川労働局が1回、千葉労働局が5回、京都労働局が3回に渡って、会社を助言・指導しました。
 組合は、「改善目標管理フォーム」を使用した指導や一方的な減給は不適切であると考え、引き続き、都道府県労働局長の助言・指導に速やかに従うよう、会社に要求しています。

会社公表2010年度労働時間と休暇取得状況

2010年は例年になく残業が多く
休暇取得が悪化

健康問題を労働時間との因果関係が明確でないことで放置

 会社が毎年この時期に公表している年間の「労働時間と休暇取得状況」について、2002年より2010年までを表にまとめました。
 それを分析すると、一般職の総労働時間と所定外労働時間(残業時間)は、急増しています。
 月当たりの所定外労働時間は2009年度12.9時間に対して2010年度は16時間と24%増加しています。また、休暇の取得状況は、一般職も専門職も、表のとおり、取得日数、年休取得率の低下、年休カット日数・人数の増加、年休カット人数率の上昇、などすべての項目で顕著に悪化しています。この傾向から、2010年は例年になく残業が多く、休暇がとれない状況が生まれ、2009年までと比較して悪化は歴然です。
 2010年春を中心に派遣などの有期雇用社員を切ったことや、2010年の1Qのリストラによる人減らしが労働強化につながったものと考えられます。残業代申請時間の増加と共にサービス残業が増加している恐れもあります。 
 2002年からの傾向を見ても着実に労働環境は悪化していますが、2010年は特にひどく、メンタル疾患を含めた健康への影響が非常に懸念されます。健康問題と労働時間の因果関係が明確でないことをいいことに放置されていると推測されます。
 会社発表の労働時間は、残業請求しづらい状況の中での増加であり、また、休暇を消化できない状況であることが分ります。

会社は休暇奨励期間とりやめも検討
 
 会社は、このような状況を改善するどころか、今夏の休暇奨励期間はとりやめることを一時は検討しました。
 会社は、今まで組合の要求「年次休暇取得率向上のために実効性ある施策を明確にすること」に対して「休暇は、心身のリフレッシュ、家族や友人とのふれあい、さらには自己啓発の機会となるなど、さまざまな意義があると考えています。ゴールデン・ウィーク期や夏季の「年次有給休暇取得奨励期間」を設定するなどより多くの社員がより多くの年次休暇を消化できるよう奨励していく考えです。」と回答していますが、まったく逆行する事態になっており、健康問題、エネルギー問題などからも改善が必須となっています。

本社事業所長空白問題

『退職前の長期休暇中だが、籍はある』苦しい言い訳

 本社では、2ヶ月間事業所長が空白となっています。また、事業所長が兼任していた総括安全衛生管理者は、長期有給休暇のため不在の状況が続いています。東日本震災後、多くの企業では従業員安全確保の強化を急務としています。組合は団体交渉で会社に対し改善を要求しましたが、会社が対応をしないため、労働基準監督署に申し出を行い、会社の怠慢が明るみになりました。
  かいな2182号にて、「前本社事業所長が4月末付で退職」とお伝えしましたが、正確には「4月末付で本社事業所長を退任した」とのことです。会社との団交で、いま事業所長を探していますからもう少し待ってほしい」と発言していたので、本社事業所長が2ケ月近く、空白であるのは事実です。事業所長は極めて重要な職責を持っており空白など許されません。

◆労働基準監督署に総括安全衛生委員未選出の疑いを申し出る

 特に事業所長は総括安全衛生管理者も兼務しています。労働安全衛生法第10条にて、本社は総括安全衛生管理者の選任が義務付けられており、次の業務を行わなければなりません。①労働者の健康障害の防止②労働者の衛生のための教育の実施 ③健康診断の実施その他健康の保持増進 ④労働災害の原因の調査、再発防止対策 ⑤その他労働災害を防止するため必要な業務です。
 組合は労働基準監督署に「総括安全衛生管理者が選任されていない可能性がある」と申し出を行いました。それに基づいて労働基準監督署は6月20日に会社の担当者を呼び出し、労働基準監督官に対し「事業所長は4月末付で本社事業所長を退任したが、従業員としては残っており、総括安全衛生管理者のままである。」と苦しい言い訳をしたようです。しかし総括安全衛生管理者は「事業所などを実質的に統括できること」が求められます。そのためほとんどの場合、事業所長や工場長が兼務します。

◆監督官『出社していないなら職務は果たしていない』と指摘

 会社は「現在、前事業所長は退職前の有給休暇取得中です。」と説明したようですが、労働基準監督官は「出社していないなら、総括安全衛生管理者の責務を果たしていないのではないか、代理はいるのか?」と質問しましたが、会社は満足に答えられなかったようです。監督官はさらに「安全衛生委員会はどうなっているか?」質問しましたが、これも「総務に確認する。」と苦しい答弁をしたようです。組合が5月、6月の議事録を確認したところ、総括安全衛生管理者一号委員は「未定」となっており、代理はいませんでした。すなわち、責任者が不在で委員会が実施されています。

◆会社は安全衛生問題を軽視し、利益最優先

 有給休暇消化中で全く出社していない従業員が総括安全衛生管理者として選任されている」といった事実に驚かされます。またこのような重要な問題を2ヶ月近くも放置していることは、会社が従業員の安全衛生問題を軽視し、米IBМの指示どおり、利益最優先で物事を考えている証拠でもあります。
 組合は本社事業所長の後任を早く決め、正常な状態に戻すことを求めると共に、会社の責任を追及していきます。

退職強要・人権侵害裁判 人事担当取締役証言

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1300人以上の人員削減について
『営業実績同等の高いプライオリティ』での取り組みを指示
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5月20日、東京地方裁判所六十九号法定において、退職強要・人権侵害裁判の第3回証人尋問が行われました。午前に、最大の山場である人事担当取締役の証人尋問が行われ、午後から4人目の原告の尋問と上司・上長の証人尋問が行われました。

人事担当取締役の主尋問では、「2008年のRAP(リソースアクションプログラム)については、8月頃業績が悪く、先行きは益々業績の悪化が予想されたので、1300人のRAPを予定したこと」 「RAPは米国IBMの指示ではなく、日本の経営陣の決定であり、それを実施したいと米国IBMに報告すると、承認されたこと」 「2.5倍から3倍の社員に声をかければ、予定数に十分達すると考えたこと」 「人事・法務・管理などを中心にプロジェクトチームをつくったこと」 「部門長宛てのRAガイドにアカンタビリティ(結果責任)を明記したのは、高いプラオリティを持って取組んでほしいと考えたこと。営業実績、売上げをあげるなどと同様に取組んでほしいと考え、結果責任をとらせるようなことはなかったこと」 「RAPガイド作成の責任者は私であり、1300人の目標を決めた責任者のひとりであること」を証言しました。

◆正確な退職人数覚えていないと発言
反対尋問では「RAPで退職した人数は1300人を超えたぐらいであること」 しかし、正確な人数は覚えていないと発言をしました。また2008年業績は2007年とほぼ同じであることを指摘されると「2008年の目標と比べて下回りそうだった」と反論をしまいた。

◆裁判長も疑問 なぜアカンタビリティ
裁判長の補充尋問では、このRAPガイドの最初のページにリスポンシビリティではなくアカンタビリティ(結果責任)を使用しているのはなぜかという質問をされ、明確な回答はできませんでした。
続いて4人目の原告の尋問が行われました。2008年のRAプログラムによる退職強要について切実に訴えました。またその後の低評価予告メール通りの低評価および、翌年の業績改善プログラムは「退職強要の継続である」と何度も伝えたことを説明しました。
上司への反対尋問で、RAPの対象者として3人をリストアップしたが、内2人は応じなかった。このため、新に2人を追加して面談を実施。結果的に3人が退職したことを認めました。目標人数がないという主張に疑問を呈しました。
上長の反対尋問では、RAPガイドを会社は配布していないと主張していましたが「HRパートナーから添付ファイル付でメールされた」ことを認めました。
本当にラインの結果責任は問われなかったのか、退職を断られた場合、本当に無理強いしないように研修が実施されたのか。上司や上長の証言は「覚えていない、記憶にない」との証言が多くありました。
組合側証人と原告4人はすべて事実を証言しました。この裁判は、8月に結審し、年内に判決がでると思われます。

  団交の翌日に通告、
       会社の不誠実な対応に怒り

 一方的に協議を中止し、減給を強行

 5月16日、減給問題に絞り、会社と団交を持ちました。(組合は、全従業員の昇給を要求しています)

 会社は減給の対象者を①相対評価でPBC3を二年連続(4は一回)取得した者②マーケットに比べ給与が高い者③業績の改善の見込みがない者、と説明をしています。しかし、相対評価の元では、会社の業績によりどれだけ貢献をしても15%の低評価者がでます。現状のPBC制度そのものが崩壊しています。更にマーケットに比べ給与が高いとは何を示すのか、どこの企業と比べているのか、と質問をしても一切の回答をしません。会社の決めた基準であるというのです。すなわち、バンド7の給与レンジの中間位置の給与がマーケットと比べ高いと言う説明ができないのです。もちろん、客観性、透明性はありません。上司の気分で減給を実施しているのです。そのことは、団交の中で会社が減給理由を説明できないことからも明らかです。最終的には「離席回数が多い」からと言い出す始末です。会社は組合の主張を覆すことができないため、あせりを感じ減給を強行したのです。これは、典型的な従業員に対する一方的不利益変更と言えます。このような横暴は絶対に許すことはできません。

 8400人の中に2人も同じ課にいるのは、多すぎる。
 何人ではなく、結果である。人数については、会社側からは言っていない。実際は1%よりはるかに少なく、限定的な人数にとどまっている。3つの条件にあてはまっているので、該当している。
 減給については組合は合意していない。きわめて不自然である。
 7月1日付で減給予定者ではなく、可能性がある人をあげている。10月1日で2人を確定した。
 改善の見込みがないというのはどういう基準なのか。基準が明確でない。
 個々の事象の中で決めている。
 説明責任を果たしていない。改善の見込みについては隔たりがありすぎる。
 評価ですでに差別化されている。給与の差別化だけでは物足りないということか。
 世間の給与水準で調整している。
 給与水準がまったくわからない。資料をだせ。数字の開示がなくては、議論できない。
 会社の都合で仕事を変えられ、新しく就けた仕事のみで賃下げをしようとしている。会社にも原因はある。

◆クレームメールは評価に反映、サンクスメールは無視

 業績の改善はないというが、サンクスメールなどは沢山営業などからもらっている。クレームのノーツなどは評価に反映させるが、サンクスメールは評価に反映させないのか。
 改善についてはまったく平行線だ。
 減給が正しいと判断した時点で、情報をとっていないのはおかしい。 減給しなくてはならない具体的な問題が何ひとつない。
 
 団交の翌日、話合いが平行線のまま、見切り発車で会社は一方的に減給を実施する旨のメールを送りつけてきました。団交の中でも、強行するような話は微塵もでませんでした。だましうちのような不誠実な会社の対応に怒り以外ありません。
 減給の強行を直ちに中止し、誠実に協議を継続するよう要求します。
 また、会社から減給を実施された従業員の方は、組合に相談をしてください。そして大きな闘いにしていきましょう。

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本人の怒りの一言

その①
 団交では、まだ協議を続けると言っておきながら、その翌日に通告してくるとは、結果ありきで理由は後付けで、実績を作ろうという卑怯なものです。約束は破るためにあるのか!
 信頼を裏切る行為であり、公平性やコンプライアンスを謳っている会社とは思えません。一方的に制定してきた種々の制度も、すでに形骸化していることを如実に示していると言えるでしょう。

その②
●5月16日の団体交渉で「引き続き協議する」ようなことを言っておきながら、翌日に強行突破するような行為にうんざりです。
●団体交渉では反論途中で終わってしまいましたが、沖縄BSCに比べて、PH(作業量にして)8分の1の作業項目しか与えられていないにもかかわらず、「貢献が少ない」というのは、「恣意的に低評価にするためのものであった」としか思えません。

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