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TLS部門の深い闇

年収が減る可能性のある報酬プランを強要

 物価高騰の折、もしも現在よりも年収が減る可能性のある報酬プランを強要されたら、あなたはどうしますか?「部門の方針だから」「グローバルからの指示だから」仕方がない・・と言って黙って受け入れてしまうでしょうか?こうした報酬プランを有無を言わせず一方的に従業員に強要し、従業員の生活を顧みない部門がTLSです。今回はこの部門の深い闇の一例をご紹介します。

オンコミッション制度非適用部門に強制適用

 Nさんの所属部門であるTLSソリューションデザインには、U担当のもとに営業職と非営業職の部員が所属しており、Nさんは非営業職の部員です。このTLSソリューションデザインでは、年初の部門会議において、所属部員の給与制度が今年から営業職、非営業職の区別なくオンコミッション(営業報酬)制度に変わるという話しがありました。しかし、今回のオンコミッション制度の適用方針は、今まで適用されていなかった部門に現在より年収が減る可能性のある給与制度の適用、つまり労働条件の不利益変更を強要しようとしており、従業員の生活を軽視した方針であると言わざるを得ません。また、レベニューのような営業目標を持たない非営業職にオンコミッション制度を適用することは不適切です。

理由を示さない不十分な説明

 U担当からは、次の2回の部門会議において、所属部員の給与制度が今年からオンコミッション(営業報酬)制度に変わるという話しがありました。
■1月24日の部門会議
 U担当が、所属部員の給与制度が今年からオンコミッション制度に変わることを伝えただけで、それ以外の説明はありませんでした。
■2月2日の部門会議
 U担当が、営業職5名と非営業職4名から成る所属部員9名全員がオンコミッション制度に移行する、段階的に今年2月から3月にかけて営業職5名と非営業職1名が、5月から6月以降にNさんを含む非営業職3名がオンコミッション制度に移行するという方針を伝えましたが、非営業職にオンコミッション制度を適用する理由の説明はありませんでした。また、所属部員の営業職の1人が、オンコミッション制度の仕組みの説明と、オンコミッション制度では営業成績によって現在よりも賞与が減り、そのため年収が減る可能性があるという説明をしましたが、この説明は、説明者が個人的に作成した資料を自身でオンライン会議画面に表示しながらの説明であり、会社が作成した正式な資料を配布した上での説明ではありませんでした。

会社の一方的な労働条件の不利益変更を絶対に許さない

 組合はNさんへのオンコミッション制度の適用に関して、書簡にて会社に以下の1.2.の要求への文書回答を要求し、現在、団体交渉にて協議中です。
1.オンコミッション制度に関する質問に文書回答すること。
非営業職にオンコミッション制度を適用する理由を含め詳しい説明が無い、また会社が作成した正式な資料に基づいた説明が無い、などの問題点がありますので、下記の要求に文書回答することを要求します。
(1)非営業職にオンコミッション制度を適用する理由を回答すること。
(2)非営業職にオンコミッション制度を適用する際、営業職のレベニューのような明確な目標が無いなか、目標をどのように設定するのかを回答すること。
(3)オンコミッション制度が適用されると時間外勤務手当を請求できなくなるのかを回答すること。
(4)会社が作成した正式な資料として、オンコミッション制度の仕組みの説明資料、および非営業職であるNさんにオンコミッション制度を適用した場合、適用前後の年収の変化を含め労働条件はどのように変わるかの説明資料を提示すること。
2.Nさんへのオンコミッション制度の適用を実施しないこと。Nさんはオンコミッション制度の適用を受ける意思がないことを通告します。オンコミッション制度の適用にあたっては、その実施内容を組合と団体交渉で事前協議し、合意のもとで実施することを要求します。また、Nさんへのオンコミッション制度の適用について組合と協議中に、オンコミッション制度の適用を強行することは、組合活動に対する支配介入になります。このような行為を行わないよう要求します。

 * * * * *

 組合と協議中にもかかわらず、TLS部門はオンコミッション制度への移行を強引に進めています。今後の展開については「かいな」にて続報させていただきます。

6月下旬5次スト計画

5次回答
 物価高騰を上回る水準に
 賃上げ、ボーナスを上積みせよ

 今23春闘の情勢を、組合のストライキに対する会社の時系列の動きで振り返ってみます。
■日本IBM
○3月9日 1次スト
○3月10日 GDP回答(組合員個別)
○3月23日 2次スト
○4月12日 3次スト
○4月27日 5月1日付賃上げの実施発表
○4月27日 5月1日付賃上げ回答(組合員個別)
○5月19日 6月ボーナス回答(組合員個別)
○5月24日 4次スト
■キンドリルジャパン
○3月9日 1次スト
○3月15日 4月1日付就業規則一部改定案が発効した場合、賃上げ日が7月1日になると団体交渉で回答
○3月23日 2次スト
○4月12日 3次スト
○5月24日 4次スト
○5月24日 6月ボーナス回答(組合員個別)
○5月30日 7月1日付賃上げ回答(組合員個別)
○5月30日 GDP回答(組合員個別)

低水準の賃上げとボーナス

 今23春闘では、組合の強い要求によって、両社とも賃上げの実施を発表しましたが、組合推定平均賃上げ率(本体・バンド7以下)は日本IBMが1.0%、キンドリルジャパンが1.7%と、両社とも低水準です。
 また、6月ボーナスの組合推定平均支給額(本体・バンド7以下)の昨年からの増加額は、日本IBMが5万7千円、キンドリルジャパンが5万円と、年額換算すれば両社とも10万円程度ですから、これは多くの従業員にとって年収の1%台に過ぎない低水準です。
 このように両社とも賃上げ、ボーナスの水準は、下表の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)の上昇率(対前年同月)をはるかに下回り、実質賃下げです。生鮮食品を除く総合指数は今年4月現在、20ヶ月連続のプラスとなっており、物価高騰は収束するどころか、いまだに高い水準にとどまっています。
 そこで組合は6月下旬に5次ストを構え、5次回答指定日を設定して、両社に以下を要求することを計画しています。
①両社は、組合が求めている物価高騰を考慮した、加えて年齢別本給下限額を踏まえた、組合員個別の賃上げ額の上積みを行うこと。
②両社は、組合員個別の6月賞与支給額を、昨年より10%増となるよう上積みすること。
③両社の昨年9月の賃上げ無視で賃上げが1回分足りない状況(2020年から22年の3年間に2回)を解消するため、日本IBMは、就業規則通り今年9月に賃上げを行うこと、キンドリルジャパンは、7月と今年中にもう1回賃上げを行うこと。
④両社は、集団的労使交渉に必要な情報として全従業員の賃上げデータ(平均賃上げ額、平均賃上げ率など)を回答すること。

組合に加入しよう

 従業員の皆さん、今からでも遅くありません。ぜひ、あなたも組合に加入してストライキ、賃上げ交渉に参加しましょう。組合加入申込書は、組合ホームページ「当支部の紹介」の「組合加入申込書」からPDFでダウンロードできます。必要事項を記入し組合メールアドレスに送付して下さい。

JMITU夏ボーナス回答速報

組合員平均、昨年を4万3467円上回る

 JMITUでは6月9日現在、103支部分会が夏ボーナスの有額回答を引き出しました。ストライキや交渉で上積み回答を引き出したところは、15支部分会に及びます。JMITUの組合員平均(加重平均)は、昨年の同時期との比較でプラス43,467円(プラス0.06ヵ月)となっています。

両社ランキング圏内に復活

 6月9日現在、JMITUの夏ボーナス回答速報の主要企業ランキングは左表の通りとなりました。日本IBMとキンドリルジャパンは昨年はランキング圏外でしたが、今年は圏内に復活しました。両社のボーナス支払いに適用される会社業績達成度が前年を上回ったことなどが今年の支給額を押し上げたと思われます。(下表の夏ボーナス、決算、会社業績達成度参照 )
 今年の会社業績達成度は、日本IBMが前年の38から69、キンドリルジャパンが前年の64から80となりました。しかし、会社業績達成度は、算定根拠が不明確な状態が続いています。日本IBMは、どのような指標を使用しているかすら回答をしていません。

GDP支給が実現

 組合が両社に要求していたGDP支給が実現しました。日本IBMは2019年以来、実に4年ぶりの支給、キンドリルジャパンは昨年に続く支給となりました。全社推定平均支給額(本体・バンド7以下)は、日本IBMが8万1千円、キンドリルジャパンが9万9千円でした。(下表のGDP参照)

シニア契約社員にもボーナス支給を

 両社は、組合が要求しているシニア契約社員へのボーナス支給を、今年も行いませんでした。パートタイム・有期雇用労働法は、ボーナスについて正規・非正規雇用のあいだの不合理な格差を禁止しています。定年後継続雇用者や有期雇用者も生活に必要な支出は正社員と同じであり、物価高騰による支出増は深刻です。定年後継続雇用者を含む非正規雇用者にもボーナス支給を求めます。

組合員について交渉継続

 両社から、夏ボーナスが6月9日に支給されました。組合員の賃上げ額とボーナス支給額については、まだ交渉継続中であり妥結していません。ボーナスについては、会社業績達成度の算定根拠と個人業績率の理由についても交渉を続けます。

5月24日4次スト決行

5次回答
 物価高騰を上回る賃上げをせよ
 全従業員の賃上げデータを回答せよ

 今23春闘の情勢は、4月12日に3次ストを決行した組合の強い要求によって、4月27日、日本IBMは5月1日付賃上げの実施を発表しましたが、日本IBMの5月1日付賃上げの組合推定平均賃上げ率はわずか1.0%と、下表の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)の上昇率(対前年同月)をはるかに下回り、実質賃下げです。
 そこで組合は4次ストを構え、4次回答指定日を5月22日として、日本IBM、キンドリルジャパン両社に以下を要求しました。
①日本IBMは、組合が求めている物価高騰を考慮した、加えて年齢別本給下限額を踏まえた、組合員個別の賃上げ額の上積みを行うこと。
②両社の昨年9月の賃上げ無視で賃上げが1回分足りない状況(2020年から22年の3年間に2回)を解消するため、日本IBMは、就業規則通り今年9月に賃上げを行うこと、キンドリルジャパンは、7月と今年中にもう1回賃上げを行うこと。
③両社は、集団的労使交渉に必要な情報として全従業員の賃上げデータ(平均賃上げ額、平均賃上げ率など)を回答すること。
 しかし、両社とも5月22日の4次回答で前進回答は無く、組合は5月24日、9時から12時、13時から17時36分のあいだに設定した5つの時間から組合員が時間を選択して参加する形で、出社・在宅にてストライキを決行。さらに昼休みには両社の箱崎本社前で宣伝行動(写真上)を実施し、両社の大幅賃上げをさらにプッシュました。

物価高騰いまだ収束せず

 今年4月現在、左表の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は20ヶ月連続のプラスとなり、上昇率(対前年同月)は昨年4月以降が毎月2%以上、昨年9月以降が毎月3%以上という高水準が続いています。一見、今年2月以降は、政府による電気・ガス料金の抑制策により、昨年12月、今年1月の4%以上よりは低下しましたが、物価高騰はいまだに収束していません。
 そこで組合は5次ストを構えて、引き続き日本IBM、キンドリルジャパン両社に上記の内容を要求し、キンドリルジャパンの7月1日付賃上げの水準を踏まえた対応を実施することを計画しています。

組合に加入しよう

 従業員の皆さん、今からでも遅くありません。ぜひ、あなたも組合に加入してストライキ、賃上げ交渉に参加しましょう。組合加入申込書は、組合ホームページ「当支部の紹介」の「組合加入申込書」からPDFでダウンロードできます。必要事項を記入し組合メールアドレスに送付して下さい。

夏ボーナス一次回答出る

バンド7以下(一般職)推定昨年上回る
 日本IBM 平均92万6千円
 キンドリルジャパン平均90万円

 6月9日は夏ボーナスの支給日です。日本IBM、キンドリルジャパンから組合に一次回答が出ましたので、下表の全社推計をお知らせします。

昨年よりアップも不十分

 日本IBM本体のバンド7以下(一般職)の全社推定平均支給額は92万6千円、昨年より5万7千円のアップ、月数では2.06ヶ月でした。5月1日付の賃上げを反映しています。
 一方、キンドリルジャパン本体のバンド7以下(一般職)の全社推定平均支給額は90万円、昨年より5万円のアップ、月数では2.05ヶ月でした。7月1日付の賃上げは6月のボーナスには反映されません。
 両社とも年額換算のボーナスは昨年より10万円程度のアップですが、この10万円程度という金額は多くの従業員にとって年収の1%台に過ぎず、現在も続く物価高騰を補うにはまだまだ不十分な水準です。

ボーナスの計算方法

 両社では下図の通り、従業員の年収相当額をリファレンス・サラリー(以下、RS)と呼び、RSの計算式は「本給×12カ月+賞与基準額」となっています。
 そして、このRSを元に、固定部分と変動部分から成る賞与支給額が計算されます。固定部分の計算式は「賞与基準額?RS×6%」、前年度の業績が反映される変動部分の計算式は「RS×6%×会社業績達成度×個人業績率」となっています。
 したがって、実際の年収額がRSと同額になるには、会社業績達成度、個人業績率ともに100%でなければなりませんが、会社業績達成度が100%になることはまずないので、実際の年収額はRSより低いのが通常です。つまりRSは満額受け取ることのできない計算上の金額なのです。

ボーナス減のからくり

 以上の計算式を見るとわかるように、会社業績達成度が下がれば、賞与支給額が下がる仕組みになっています。
 例えば、RSを1000万円(RSの6%は60万円)、個人業績率を100%と仮定したケースでは、会社業績達成度「45」の2017年支払時には、賞与支給額の変動部分は27万円となり、RSの6%との差額33万円はもらえません。
 さらに、個人業績率というもう一つの業績値があり、賞与支給額の変動部分の計算式では会社業績達成度と個人業績率を掛け合わせていますので、どちらかの業績値がゼロ%になると、賞与支給額の変動部分はゼロ円になります。
 このように会社業績達成度と個人業績率が賞与支給額にいかに大きく影響しているかがおわかりいただけたと思います。

会社は会社業績達成度の判断基準を開示せよ

 会社業績達成度は賞与支給額に大きく影響し、また下表のように毎年変動しますので、会社業績達成度の判断基準は検証を要します。
 日本IBMでは2016年度には税引前利益が前年の2倍以上である1996億円もあったにもかかわらず、会社業績達成度「45」という発表に大きな疑念が生じました。
 この時、団体交渉で組合が会社業績達成度の判断基準をただしたのに対し、会社は、会社業績達成度の基準はUS?GAAPに基づく決算資料であると説明しましたが、その資料を労使協議で未だに開示しません。一方で、会社は都労委では「必ずUS?GAAPが判断の要素になるということではない」と違う主張を始め資料開示を免れようとしています。
 会社は会社業績達成度の判断基準を開示すべきです。

日本IBMでリストラ

リストラ
 新手法にもご注意を
 今すぐ組合に加入しよう

 日本IBMでリストラが進行中であることは、かいなで報じましたが、今回は既報の内容を含め、これまでに組合に集まっている情報を元に、日本IBMでのリストラについてまとめます。

リストラの開始時期と発表

 組合に寄せられている情報によると、日本IBMで今年2月頃から退職勧奨が行われています。より早いケースでは昨年12月下旬や1月にも退職勧奨が行われています。
 一方、これとほぼ同期して、米IBMが2022年第4四半期の決算発表と同日の1月25日、従業員の1.5%にあたる約3900人の人員を削減する方針を明らかにしており、今回のリストラはこのグローバルの人員削減の一環と見られます。

今回のリストラの特徴

 今回のリストラには新手法を含め、次の特徴があることにご注意下さい▼①退職勧奨を断っても再度行われるケースが少なく、退職勧奨の様態が比較的軽度である▼②目標未達になると次にPIPに進むLPIC(LowPerformance Identification Conversation)の実施をラインから提示された従業員がいる(下記チャート参照)▼③営業成績によって現在よりも賞与、年収が減る可能性があるオンコミッション(営業報酬)制度を適用していない部門に適用しようとする動きがある。さらに適用対象者にレベニューのような営業目標を持たない非営業職も含まれていることも不適切である。
 つまり、①のように退職勧奨の様態が軽度でも、将来、重度の退職勧奨にあうかもしれず、また②、③のような退職勧奨以外の新手法のリストラもありますので、安心は禁物です。
 次に、将来の大規模リストラに発展するであろう、従業員のAI(人工知能)への置き換えについてお知らせします。

AIで代替可能な職種のAIへの置き換え

 5月2日のFоrbesの記事に、IBMのアービンド・クリシュナCEOがブルームバーグのインタビューに対して述べた、次の内容が掲載されました。
・IBMはAIで代替できそうな職種の採用を打ち切る方針だ。
・IBMで現在、人事など非顧客対応の職種についている2万6千人ほどのうち、約3割(7800人)は5年のうちにAIに置き換えることができそうだ。
 はたして従業員のAIへの置き換えは非顧客対応の職種にとどまるものでしょうか。いえ、将来その範囲がサービス・デリバリー部門に拡大することがあっても、けしておかしくはありません。

組合に加入しよう

 リストラを含む組合員の労働条件や処遇については、労使協定に従い、会社は組合と団体交渉で協議しなければなりません。①~③のリストラにあわれた方、AIへの置き換えを言われた方、またそうでない方も、今すぐ組合に加入しましょう。

4月12日3次スト決行

4次回答
 日本IBMは賃上げ額を上積みせよ
 両社は全従業員の賃上げデータを回答せよ

 今23春闘は、3月23日の2次ストの前後に、日本IBMは賃上げ日が5月1日となる可能性が出てきた上に、キンドリルジャパンは賃上げ日が7月1日となったことを受け、組合は4月12日に午前半日の3次ストを構えて、3次回答指定日を4月11日として両社に賃上げの有額回答を要求しました。
 しかし、両社とも4月11日の3次回答で賃上げの有額回答は無く、組合は翌12日、両社の箱崎本社前で午前8時45分から宣伝行動を実施し、9時から3時間のストライキを決行。9時から9時30分までは箱崎本社前でスト行動(写真上)を実施しました。同時に在宅勤務の組合員も午前9時からの3時間、全ての業務を停止しメールも見ない在宅ストを決行しました。
 この3次ストを決行した組合の強い要求によって、4月27日、日本IBMは5月1日付賃上げの実施を発表しました。

推定平均賃上げ率1.0%

 今年3月現在、下表の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除く総合指数が、19ヶ月連続のプラスとな り、昨年9月以降の上昇率(対前年同月)は毎月3.0%以上、最高で4.2%に達しました。
 しかし、前号の通り、今23春闘では、JMITU主要企業(上位15社)の賃上げ回答は昨年を上回る高水準な成果を上げており、賃上げ率回答の分布は5%以上5社、4%台6社、3%台後半3社、2%台後半1社となっています。

 一方、日本IBMの5月1日付賃上げの全従業員平均賃上げ率は回答が未だになく分かりませんが、組合による推定平均賃上げ率はわずか1.0%で、消費者物価指数の上昇率をはるかに下回り、昨年5月1日付推定平均賃上げ率の1.5%と合わせても及ばず実質賃下げです。 そこで組合は4次ストを構えて会社に以下を要求します▼日本IBMは、組合が求めている物価高騰を考慮した、加えて年齢別本給下限額を踏まえた、組合員個別の賃上げ額の上積みを行うこと▼両社の昨年9月の賃上げ無視で賃上げが1回分足りない状況(2020年から22年の3年間に2回)を解消するため、日本IBMは、就業規則通り今年9月に賃上げを行うこと、キンドリルジャパンは、7月と今年中にもう1回賃上げを行うこと▼両社は、集団的労使交渉に必要な情報として全従業員の賃上げデータ(平均賃上げ額、平均賃上げ率など)を回答すること。

組合に加入しよう

 従業員の皆さん、今からでも遅くありません。ぜひ、あなたも組合に加入してストライキ、賃上げ交渉に参加しましょう。組合加入申込書は、組合ホームページ「当支部の紹介」の「組合加入申込書」からPDFでダウンロードできます。必要事項を記入し組合メールアドレスに送付して下さい。

テクノロジーと労働Barboraさん来日講演

 ~AI・アルゴリズムにどう立ち向かう~

 4月15日、日本労働弁護団と法政大学大学院フェアレイバー研究所が主催し、ILAWのテクノロジーと労働プロジェクトの主任研究員であるBarbora Cernusakovaさん講演会が法政大学(東京・市ヶ谷キャンパス)において開催されました。同講演のテーマは「テクノロジーと労働~AI・アルゴリズムにどう立ち向かう~」です。

AIへの問題意識が拡大

 Barboraさんの講演は、企業がAIやアルゴリズム(以下AI)を活用して、労働力の管理や人事評価、生産性の監視を行なっていることが問題になっているという問題提起で始まりました 。
 そして以下の具体的な問題点を挙げ、もともと不平等な労使関係をさらに悪化させる恐れがあると警鐘を鳴らしました。・AIによる労働条件の決定は、仕組みや判断の過程が労働者には不透明であり、どのような情報が収集され管理・利用されているかも労働者には明らかではないこと。・AIが労働現場で使われることで、労働者側の交渉力が弱まるだけでなく、個人情報をコントロールする権利が脅かされかねないこと。
 まさしくこのことは、日本IBMで起きている事案と類似しています。

労働者保護が進むヨーロッパ

 Barboraさんから、ヨーロッパの労働現場におけるAI管理に関する現状や取り組み、裁判判例が紹介され、労働者の保護がかなり進んでいることが理解できました 。
 例えばスペインではライダー法( 64条)が施行され、使用者が自動化された意思決定システムを利用した場合、システム管理者は労働者とその組合に対して、以下を含む相当な情報を提供しなければならないとしています。
・プログラム開発者とシステム導入者の名前
・システムの内容とその目的
・システムで用いられるトレーニングデータと変数の具体的情報

日本でも労働者保護を

 Barboraさんは、日本において、使用者によるデータの取得・利用、AIによる自動決定、労働条件の透明性確保、データへの労働者や労働組合のアクセス権などにもっと注目し、労働者の立場を改善するための行動が必要であると提唱されました。

来日の目的

 Barboraさんは、G7広島サミットに合わせて開催されているCivil Society7(C7)の会議に参加するために来日されました。公正な経済への移行ワーキンググループによる分科会では、Barboraさんが登壇し、AIによる労務管理の中で、労働者と消費者の権利を確保するための方策について議論がなされました。

日本IBMのAI不当労働行為事件を聴取

 JMITU日本アイビーエム支部が東京都労働委員会に申立を行った「AI不当労働行為事件」について、Barboraさんが強い関心を寄せ、組合の担当弁護士と組合を交え事件の詳細について聞き取りを行いました。今後この事件について、ヨーロッパ諸国に広められることが予想されます。

両社とも大幅賃上げをせよ 不当回答なら4月12日半日スト

3次回答

 JMITUの23春闘の情勢は、左表の4月6日時点の主要企業(上位15社)の賃上げ回答で見ると、昨年を上回る高水準な成果を上げています。
 一方、日本IBM、キンドリルジャパンは前号の通り、両社とも3月22日の2次回答で賃上げの有額回答が無く、組合は翌23日に午後半日の2次ストを決行しました。しかし、賃上げの実施時期については、日本IBMは5月1日の可能性が出てきており、キンドリルジャパンは7月1日となりました。
 そこで組合は両社の大幅賃上げをさらにプッシュすべく、3次回答指定日を4月11日として両社に賃上げの有額回答を要求しました。3次回答が不当回答の場合は、組合は4月12日に午前半日の3次ストを実施します。
 従業員の皆さん、ぜひ、あなたも組合に加入してストライキや賃上げ交渉に参加しましょう。

 

 

日本IBMでリストラ  今すぐ組合に加入しよう

 リストラ 

 組合に寄せられている情報によると、かいな2422号1面の通り、日本IBMで今年2月頃から退職勧奨が行われています。より早いケースでは昨年12月下旬や1月にも退職勧奨が行われています。一方、これとほぼ同期して、米IBMが1月25日、従業員の1.5%にあたる約3900人の人員を削減する方針を明らかにしており、今回のリストラはこのグローバルの人員削減の一環と見られます。
 今回のリストラには次の特徴があることにご注意下さい▼①退職勧奨を断っても再度行われるケースが少なく、退職勧奨の様態が比較的軽度である▼②目標未達になると次にPIPに進むLPIC(Low Performance Identification Conversation)の実施をラインから提示された従業員がいる▼③営業成績によって現在よりも賞与、年収が減る可能性があるオンコミッション(営業報酬)制度を適用していない部門に適用しようとする動きがある。
 つまり、①のように退職勧奨の様態が軽度でも、将来、重度の退職勧奨にあうかもしれず、②、③のような退職勧奨以外のリストラもありますので、安心は禁物です。
 リストラを含む組合員の労働条件や処遇については、労使協定に従い会社は組合と団体交渉で協議しなければなりません。①~③のリストラに今回あわれた方も、そうでない方も、今すぐ組合に加入しましょう。

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