退職勧奨、PIP、賃金減額、いじめやハラスメントなどで困っていませんか?そんなときは組合に相談しましょう。上の「ご意見ご感想」リンクをクリックしてメールで送るか、平日なら右のボタンで相談窓口へご連絡を。
相談窓口

2015年に向けてリストラプロジェクト進行中

 近年、リストラを考えていない経営陣はひとりもいないのが現実です。したがって、労働者もリストラから身を守る体勢を整えておく必要があります。特に日本IBМは、2015年に向かって、大リストラプロジェクトを押し進めています。組合が提供を受けた情報では、従業員が震撼する規模です。今後、解雇や退職強要、会社分割や営業譲渡、労働条件の不利益変更を強行してくる可能性が極めて高い状況です。

評価『3』が1回でも危険

 2010年締めくくりとして、PBCインタビューがありました。そこで突然振りかかってくるのが低評価です。人事はPBC「3」「4」を15%つけるように部門に対し指示を出しているようです。更に業績の悪かった部門では、18%に達していると組合は推定しています。
 そして、そのPBCを利用して、今年もRAP(リソースアクションプログラム)面談が開始されています。今回の特徴は、①PBC「3」一回で退職面談が行われ②3月末の退職を迫り③就職斡旋会社の紹介をします。

リストラ実施理由説明できず

 会社は、リストラを実施する理由を説明できません。 大儲けしている会社が更に大儲けするために従業員を犠牲にしているに過ぎないからです。 そこで嫌がらせや、いじめで自ら退職するように追い込みます。退職強要を受けた社員は、今まで真摯に業務に勤め、会社のために貢献してきました。にもかかわらず多くの従業員は自分に何か過失があるように考えてしまうのです。

「辞めません」といえば大丈夫?

 退職面談が行われたとして、あなたが「辞めません」と決意していれば、大丈夫なのでしょうか。相手は「わかりました」なんて言いません。リストラのプロがついています。あなたを退職に追い込むためのシナリオは出来上がっています。次から次へと新たな攻撃が仕掛けられます。
 労働条件の不利益変更やリストラに立ち向かうために労働組合に加入して闘うことが力になることは明らかです。

レノボの解雇通知撤回させる

 まず、労働組合は、憲法や労働組合法で保障された「団体交渉権」をもっています。そして、会社の行っていることに対し抗議行動を行ったり、社会に訴えるためのチャンネルを持っています。更に相談できる仲間や当支部には10名もの弁護士がついています。昨年そのことをレノボ・ジャパン従業員の解雇通知を撤回させたことで証明しました。
 私たちは、従業員の雇用や労働条件を守るために闘う組合です。そのことをみなさんへお伝えしておきます。

退職強要・人権侵害裁判
『会社の組織ぐるみ』の退職強要を明らかに


退職強要はラインの暴走?

 2010年12月20日号に引き続き、IBM退職強要・人権侵害裁判の進捗状況についてお知らせします。先日の記事では、主に裁判の進め方を説明しました。
 最初に原告から、裁判を起こした理由、被告への要求を記述した「訴状」を提出して裁判が始まります。
 原告の訴状に対して、被告は「答弁書」という反論をまとめた文書を提出します。それに対して、原告が反論の文書を提出します。これらをまとめて準備書面といいます。この準備書面の交換を、公開の法廷で1ヶ月に1回程度の頻度で約1年間続けました。
 それと並行して、原告が証言台に立って、自らの心情を述べる「意見陳述」を行い、退職強要を受けたときの悔しさや無念さを証言しました。
 この準備書面の交換をとおして双方の主張の差異や争点が明らかになった時点で、ドラマでおなじみの「証人尋問」に移るわけですが、実はその前に「進行協議」という闘いがあります。進行協議では、誰を証人として呼ぶかを決めます。証人尋問のような華々しさはありませんが、裁判の勝敗を大きく左右する重要な局面です。
現在はこの進行協議の終盤にあたることを先日の記事で説明しました。

取締執行役員の証人尋問要求

 この裁判では「一部のラインの暴走による、個別の退職強要事件の集まり」なのか「会社ぐるみで行われた退職強要」なのか「退職強要すらなかった」のか、その事実が証人尋問での焦点になると思われます。
そのため、進行協議で、原告側は4人の原告に対して、実際に退職面談を行ったライン(所属長や上長など)を1原告あたり2~3人、申請しました。同時に今回の退職強要が会社の組織ぐるみの違法行為であることを証明するため、組合の委員長と当時の取締執行役員も申請しました。
 それに対して会社は、いきなり、人事のライン担当を証人として申請を行い、取締執行役員よりも、この担当が証人になるのが適切であることを訴える「陳述書」が、裁判所に提出されました。
 2008年のRAプログラムは、全国の数千人のラインを巻き込んだ大掛かりなものです。人事のライン担当が主導出来る規模のプログラムとは思えません。
 裁判官は「証人尋問の結果、人事ライン担当だけでは不十分と判断したら、原告から申請のあった取締役執行役員らを証人として追加採用することもある。」としています。
 私たちは、証人尋問で退職強要が「会社の組織ぐるみ」で行われたことを証明する所存です。

委員長2011年新春挨拶

あけましておめでとうございます
労働者の権利を守るために
   組合に結集し、共に闘いましょう

JMIU日本アイビーエム支部 中央執行委員長 大岡 義久

 「かいな」読者、組合ホームページをご覧のみなさん、明けましておめでとうございます。
新年にあたり、組合への日頃からご支援、ご協力に心から御礼申し上げます。

今年、IBMコーポレーションは設立100周年を迎えます。初代社長のトーマス・J・ワトソン・シニアは「良き企業市民たれ」を目指しました。そして、IBMの基本的信条は「個人の尊重」「最善の顧客サービス」および「完全性の追求」でした。これらは、私たち従業員の誇りでした。その後、これは2003年に見直されIBMすべての活動の基礎となる価値観・理念であり、社員の行動指針であるIBMer’s Valueがまとめあげられました。
 
しかし、成果主義による弊害が日本IBMの土台を揺さぶっています。それは、技術力を失い、更にお客様満足度が低下し、そしてチームワークのゆがみという形で現れています。

その結果、売上は2009年にはピーク時のほぼ半減の1兆円を下回る水準まで減少してします。それにもかかわらず、恒常的な事業売却とリストラやゼロ昇給、更に減俸を含むコスト削減により、非常に高い経常利益を維持し続けています。この利益は、従業員の犠牲の上に成り立っているという異常な状況です。

 会社は、一方的に従業員の処遇を不利益変更し、それを押し付けています。
今、労使対等という言葉がこの会社から消え去ろうとしています。会社が健全に成長し、利益を社員へ分配するという構図が崩れることは、非常に危険な方向に進んでいることを意味します。

 私たち組合は、会社のこのような姿勢に疑問を呈し、労働者の権利を守るために闘っています。
2011年も組合への支援をお願いするとともに、組合に結集されることを熱く訴えます。

団交報告
『ゼロ昇給』が何年も続くことの弊害を訴え
全社員の昇給要求

 組合は12月21日に会社と団体交渉を行い、賃金制度について会社を追求しました。以下は、その団交の抜粋です。

◆昇給について

 会社からこれまで、利益の760臆円をどのように、昇給原資に回しているか、なんに使ったから昇給に回らなく、お金がないのかの説明が全くされておらず理解できない。「TCRは評価1と2+のみが昇給するから、2以下は昇給しないのは当たり前じゃないか」と平然と言うが、組合は会社の提示したTCR、MBAという制度に合意したことは一度もない。従って、組合は今まで通りすべての社員に対しての昇給を要求する。
 利益が沢山あったから沢山昇給します、逆に利益が出ていないので昇給しないという考えではなく、世間の賃金水準/賃金動向を見て競争力のある賃金を実現するというのが会社の考え方だ。(中略)
 もう一方では、職務と業績に応ずる処遇ということで、職務といえばバンドの高低、責任の重い軽い。業績という意味では個人の貢献度によって賃金をより上げていく人、そうではない人。会社の考える公平とはそこである。ものすごく貢献していてものすごく重い責任を持っている人と、相対的に責任が軽い、貢献が低い人を同じに処遇するという考えはないから、貢献度に応じて処遇をする。組合は差別というが、会社は適切な格差を付けていくという考えだ。
 0昇給が何年も続くことの弊害ということがものすごく大きい。モチベーションに関して・・・。生活が出来る、出来ない・・・。生活が出来ないということはとんでもない。人によっては持ち家を持っている人もいるし、持ち家を持っていながら遠隔地に移動させられて両方の借金を背負って苦労している人もいる。そういう人にとっては、生活はギリギリだ。余裕がない人がでてきていると思っている。経営陣はそれが見えない状態になっているのではないかと言いたい。

◆生活保障給について

 年齢別保障給にたいしても、セーフティネットという形で復活せよ。組合は年齢別保障給の撤廃に際しても合意していない。毎年、昇給の時点で、必ずその書類をつけて組合に明示していたはずだ。それをいきなり「はい、撤廃しました」といわれても組合は納得できない。
 セーフティネットが時代によって本当に生きていけないような水準の時代と今のようにある程度の水準が保たれた中での格差という意味では、会社が適切と考える格差の中でとても生きていけないような水準で格差がついているとは考えていない。 (中略)
 セーフティネットがないと大変なことになってしまうという状況ではないというのが会社の考えで、今般、撤廃したということだ。

IBMの自浄システムは完全に機能停止

IBMコーポレーション(US)の
コンフィデンシャリースピーキング調査結果を回答

従業員を守ってはくれないことが判明

 以前お伝えした通り、コンフィデンシャリースピーキングコーディネーターが2度にわたって受理を拒否、組合ではこの問題をIBMコーポレーションにエスカレーションしていましたが、2か月の調査を経て回答が得られました。
 その結果は極めて表面的なもので「コンフィデンシャリースピーキングコーディネーターのロ―ルは、提示された懸念を当該問題の専門家に調査依頼することであり、その観点で今回の問題に関しては正しくハンドリングされていた。」という内容でした。
 日本IBMコーディネーターである労務所属のH氏も、USで調査を担当したグローバルコンフィデンシャリースピーキングコーディネーターも、自らの職務ロールを非常に限定した狭い範囲でとらえ、その範囲内で「問題はなかった。」との結論を出したものです。
 USの調査においては、労働契約法10条違反についてはまったく考慮されておらず、日本IBMのコンフィデンシャリースピーキングの運営が職務ロール通りに運営されていたか否かだけが調査・判断されました。その結果、本来問題とされるべき従業員に対する不利益については全く考慮の外に置かれた形となっています。
 一人の従業員として会社の違法行為を告発することはこのようにきわめて困難であり、したがってIBMコーポレーションの自浄作用はグローバルレベルでも全く機能していないことが明確になりました。「IBMの良心」ともいうべきコンフィデンシャリースピーキングがもはや従業員を守ってくれない今、自分を守る方法は皆が力を合わせて会社の違法行為と闘う以外には残されていません。退職勧奨やPIPを提示されたら、すぐに組合に相談してください。

退職強要・人権侵害裁判も山場に
年明けに証人尋問始まる

 証人尋問の期日が決まり、いよいよこの退職強要・人権侵害裁判も山場にさしかかっており、かいなで折に触れ、裁判の進行状況をお伝えしていきます。

退職強要・人権侵害裁判とは?

 2008年4Qのリストラ(会社の言うResource Actionプログラム:以下、RAプログラムという)で1500人もの仲間が会社を去っていきましたが、会社が辞めさせようとしたのは、この1500人だけではありません。数千人の社員に対して「退職勧奨」を行い、これを拒んだ社員には様々な形で違法な「退職強要」を繰返してきました。
 そして退職に応じなかった社員に対して、更に「業績改善プログラム」による退職強要を継続してきました。この過程で「心の病」を発症したり、悪化させて無念のうちに「自己都合退職」していった社員も少なくありません。
 これに対して、2008年4Qのリストラで「違法に退職を強要され、人権を侵害された」として、損害賠償と退職強要の差止めを求め、2009年5月に3名の組合員が東京地方裁判所に民事訴訟を起こしました。10月に1人の組合員が追加提訴し、現在、原告4人で闘っています。

裁判の進行

 テレビドラマでは提訴の後、すぐに証人尋問が始まり、華々しい論戦を繰広げますが、実際の裁判の進め方はこのようなものではありません。以下は、本裁判の説明です。

訴状の提出
 原告は裁判を起こす理由を訴状という文書にまとめ、裁判所に提出しました。本裁判では「会社から違法な退職強要を受け、人権を侵害された。会社に対し慰謝料の支払と退職強要の差止めを求める。」が訴状の内容です。

準備書面の交換と意見陳述

 原告の訴状に対して、被告は「答弁書」という反論をまとめた文書を提出します。それに対して、原告が反論の文書を提出します。これらをまとめて準備書面といいます。この準備書面の交換を、公開の法廷で1ヶ月に1回程度の頻度で約1年間続けました。準備書面の交換をとおして、双方の主張とその相違、争点を明らかにします。
 会社はこの準備書面で「RAプログラムにおいて退職強要はもちろん退職勧奨すら一切なかった。また会社が組織として、社員を退職させようと計画したこともない。(仮に退職強要が行われたとしても、ラインが勝手に行ったことであり、これを会社が計画したり、ラインに命令したことはない)」と主張してきました。
 それに対して、組合は「RAプログラムは会社ぐるみの退職強要プログラムであり、原告の上司たちは会社の命令で退職強要を行ってきた」ことを準備書面で主張し、証拠を提出して証明してきました。
 このため会社は一部の原告について陳述書(後述)で「業績改善プログラムでは退職勧奨そのものが一切なかった」と主張を後退させてきています。
 この準備書面の交換と並行して、意見陳述が行われました。これは原告が証言台に立って、自らの心の内を裁判官に語るものです。準備書面は代理人(弁護士)が客観的に事実を主張するものであり、原告は「原告A」と表現されるのに対し、意見陳述では「私」を主語にして、被告の違法行為のためにどのような悲しく辛い思いをしたかを述べます。一部の原告はRAプログラムの酷さと自らの無念を涙ながらに裁判官に訴えました。

進行協議

 双方の主張が出揃い、その相違、争点が明らかになったところで、進行協議を行います。これは誰を証人尋問に呼ぶかを決めるものです。
 双方が裁判所に証人を申請し、誰を証人として採用するかを裁判官がこの進行協議で決めます。この時、証人として申請された人を採用するよう裁判所に求めるために、証人候補者が自分の意見を述べる陳述書を提出する場合もあります。また場所は公開の法廷ではなく、裁判所の会議室で行われ、原則、非公開です。誰を証人尋問するかが、裁判の勝敗に大きく影響するため、双方の代理人が激しく火花を散らし、証人尋問とは異なるやり取りがあります。
 原告は4人の原告に対して退職強要を行ったライン(所属長や上長など)を原告1人につき2~3人、申請しました。同時に今回の退職強要が会社の組織ぐるみの違法行為であることを証明するため、組合の委員長と当時の取締役人事担当執行役員、取締役法務担当執行役員の3人も申請しました。
 現在、本裁判はこの進行協議の終了段階にあり、12月21日の協議で証人が決定される予定です。組合は退職強要が会社の組織ぐるみの違法行為であることを証明する所存です。

証人尋問 結審 判決

 年明けにいよいよ証人尋問が始まる予定です。進行協議で決められた証人が、主尋問(味方の弁護士が自分たちの主張を裏付けようとする質問)→反対尋問(相手側弁護士が主尋問の主張を突き崩そうとする尋問)→補充尋問(裁判官が疑問に思ったことを質問)の流れで証人尋問が行われます。
 そして証人尋問が終了すると結審し、数ヵ月後、判決が言い渡されます。

2010年12月~ リソースアクションプログラム開始か

組合に寄せられた情報をまとめると「リソースアクションプログラム」が全国で開始された模様です。

上司から個室に呼び出され、早期退職の面談が実施されます。
そこで「退職期限の提示」「再就職支援プログラム」の説明があります。

この初期段階で組合に相談を入れてください。
この面談を安易に考えると取り返しのつかない事態になります。退職のレールに乗ることになります。

退職を断っても次回の面談が設定され、次のステップに追い込まれます。

あなたの雇用、そして家族を守るために立ち上がって下さい。

レノボ・ジャパンに解雇通知を「撤回」させる!#2

 レノボジャパンがA組合員(東京工業大学・工学部卒 41才)に対し、11月13日で解雇をすると予告(10月13日通知)をしていた問題で、11月10日、一転して「真摯(しんし)に業務を遂行することを期待し、業務をアサインする(割り当てる)ことにした」と組合に対し解雇撤回を通告してきました。
組合は、11月9日に東京地方裁判所にAさんの地位保全を求め仮処分申請を行い、厚生労働省記者クラブにおいて記者会見を行いました。
 また大和事業所において6回の抗議行動(100名が参加)を行いました。
 A組合員は入社以来一度も業務低評価はありませんでした。しかし突然低評価を付けられ上司から退職強要が始まり、それに応じなかったため開発業務を取り上げられ、翻訳業務をアサインされました。 そしてその翻訳の品質が悪いから解雇するという経緯です。解雇撤回は当然の結果です。 本人が会社の不条理と闘う意思を貫いたこと、家族の支援があったことが大きいと思います。
 闘えば道が開けることを証明したと思います。

シンポジウム開催報告

「新型解雇をうちやぶれ! PIPという名のアリ地獄」

11月16日夜、文京シビックセンターにて、「PIP」に関するシンポジウムが新聞労連とJMIU(全日本金属情報機器労働組合)の共催で開催されました。
 当日は100人を超える一般参加者と7名の報道関係者が会場に詰めかけ、新型の解雇形態として最近では社会問題にまで発展してきた「PIP」に対する一般社会の関心の高さを示していました。
 このシンポジウムの発案者である新聞労連中央執行委員長のあいさつで始まり、PIPを理由として解雇された、ブルームバーグ社の記者からブルームバーグにおけるPIPの実態報告がありました。
 株価など金融情報提供サービスを行っている米国資本のブルームバーグでは、PIPを使った社員の解雇が行われ、犠牲となったこの記者は新聞労連の協力を得て労働組合を立ち上げ、会社と闘っています。

PIPの実態報告

 ブルームバーグのPIP解雇の特徴は、達成不可能な出稿記事数などの目標設定で社員を追い込む手法は同じですが、最後通告の時点で社員証を取り上げ会社に入ることができなくする点です。その後は自宅待機を命じて、給料は払うが自宅でじっくり退職勧奨について検討してもらいたいと主張します。
この手法は「ロックアウト型退職勧奨」とよばれて違法性が問題視されています。会社は裁判資料の隠滅を狙っているとみられています。
 ブルームバーグの実態報告につづいて、IBMからは大岡中央執行委員長より、「業績改善プログラムと闘おう」というタイトルで、IBMでのPIPの実態およびPIPとの闘い方のアドバイスが報告されました。

弁護士・大学教授の報告

 IBMからの報告に続いて、IBM、レノボをはじめとする労働問題裁判の弁護団の一員として従業員の弁護に活躍している弁護士からの報告がありました。
 PIPによる解雇の法的根拠は労働契約法16条における「労働者の労務提供の不能や労働能力または適格性の欠如・喪失」に依拠するが、単に「能力不足」での解雇はできないことが、セガ・エンタープライズ事件の判例(解雇を無効とした)をもとに説明されました。 また、PIPに対抗するために、不当な業務命令であることを早期に抗議して証拠化すること、退職勧奨の言動を可能な限り録音・写真・メモなどの証拠に残すことがアドバイスされました。
 続いて、青山学院大学経済学部教授から、解雇自由化要求の歴史的背景と財界・会社側主張に関する経済学的考察が報告されました。
 まず、解雇自由化の要求の背景には、グローバル化・労働運動の後退・株式保有形態の変化があり、特にグローバル化が長期雇用慣行の必要性を薄くしたことがある、と説明されました。ただし、雇用側の主張である「解雇規制は雇用に悪影響を及ぼす」という主張に関しては長きにわたって実証分析が試みられた結果、現在でも明確に実証されていないことが報告されました。

会場の参加者より

 その後、レノボから解雇撤回を勝ち取ったJMIU Aさんからの発言、日本メドトロニック(心臓ペースメーカーでトップシェアの米国企業)をPIPによって解雇された社員の発言などがあり、活発な意見交換が行われました。

PIPは解雇の道具

 PIPには絶対にサインしてはいけません!
PIP=業績改善プログラムは解雇の理由作りのための道具なのです。 「業績改善プログラム」を提案されたら、すぐに組合に相談してください。

レノボ・ジャパンに解雇通知を「撤回」させる!

レノボ・ジャパンは、Aさんに対し10月13日に解雇通知(11月13日付けで退職)を出しました。
組合は、10月29日、11月5日の団体交渉において、会社を徹底追及しました。事前協議の違反、解雇権の乱用を行っていることが明確になっているにも拘わらず、会社は不誠実団交を繰り返しました。

そこで組合は、11月9日に東京地方裁判所にAさんの地位保全を求め、仮処分申請を行い、厚生労働所記者クラブにおいて記者会見を行いました。
レノボ・ジャパンは、11月10日に解雇通知を撤回することを組合に連絡してきました。

闘えば道が開けることを証明
団体交渉での徹底追求、大和事業所での5回の抗議行動、そして仮処分申請により解雇通知を撤回させました。何より、本人が闘う意思を貫いたこと、家族の支援があったことが大きいです。仮処分申請は取り下げていませんので、裁判所と団交で協議を継続します。

(毎日新聞に掲載された解雇撤回記事は下記になります)
<レノボ・ジャパン>解雇予告の男性社員への通告撤回
毎日新聞 11月10日(水)21時6分配信

 中国のパソコン最大手、聯想(レノボ)集団の日本法人レノボ・ジャパン(東京都港区)の男性社員(41)が解雇予告を受けていた問題で、同社が10日、一転して男性の加入する労働組合に解雇撤回を通告したことが分かった。

 同社は開発部門縮小のため技術者29人を退職させ、応じなかった男性に11月13日付での解雇を予告。男性社員は全日本金属情報機器労働組合日本アイビーエム支部(大岡義久中央執行委員長)に加入して撤回を求めたが、会社側の態度が変わらなかったため、9日、東京地裁に地位保全の仮処分を申し入れたことを公表した。

 会社側は10日、同労組に「真摯(しんし)に業務を遂行することを期待し、業務をアサインする(割り当てる)ことにした」などと通知してきたという。大岡委員長は「報道による影響を恐れたのではないか。仮処分は取り下げず、今後の条件について書面で協議する」と話している。レノボ・ジャパン広報部は「コメントできない」としている。

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