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「春闘闘争宣言行動」「国民春闘総決起集会」

 賃金あげろ!物価高騰から生活を守れ

 23春闘の行動が本格化しています。
 1月12日昼、国民春闘共闘・全労連・東京春闘共闘・千代田春闘共闘は、東京都内で「23春闘闘争宣言行動」として、厚生労働省前行動、丸の内デモ、経団連包囲行動(左写真)を行いました。
 また1月24日の夜、国民春闘共闘委員会と東京春闘共闘会議は、中野ゼロホールで「23国民春闘総決起集会」を開催しました。

経団連包囲行動10%の賃上げを

 1月12日昼、厚労省前行動と丸の内デモを行った後の経団連包囲行動には「賃金を上げろ!物価高騰から生活を守れ」と横断幕やプラカード、のぼりを掲げ500人が参加しました。
 経団連前で主催者あいさつに立った国民春闘共闘の小畑雅子代表幹事(全労連議長)は、コロナ禍、物価高騰のもとでも大企業は内部留保を着実に増やし続け505兆円になったことを指摘。「賃上げができないのではない。労働者に正当な分配がされていない」と述べました。さらに「長引くコロナ禍、それに追い打ちをかける物価高騰のもとで大幅賃上げ・底上げは私たち働く者にとって待ったなしの課題だ。10%以上・月額で3万円以上の賃上げを求めて労働組合の交渉力と団結力で春闘をたたかい抜いこう」と呼びかけました。
 続いて、産別の代表者が春闘をたたかう決意を表明し、JMITUの鈴木透副委員長は「今春闘は、40年ぶりの物価高騰の中で賃金をなんとしても上げる必要がある。そのため定昇と物価高騰分に加え、実質賃金を下降から上昇に変えるために大幅賃上げが必要だ。JMITUの春闘方針において、納得のいく回答を引き出すまで絶対に妥協しない構え、ストライキを軸とした行動でたたかうことを提起している」と述べました。最後にシュプレヒコールあげ行動を終了しました。

23国民春闘総決起集会ストライキでたたかおう

 1月24日夜、国民春闘共闘委員会と東京春闘共闘会議は、「たたかう労働組合のバージョンアップ」「低賃金と物価高騰から生活をまもる大幅賃上げ・底上げを」「軍拡・増税でなく社会保障の拡充を」をスローガンに掲げ、23国民春闘総決起集会(右写真)を開催しました。会場の中野ゼロホールには600人を超える参加者が集まりました。
 主催者あいさつに立った東京春闘共闘会議の矢吹義則代表は「いま政府がやるべきことは、実質賃金が低下し続けている労働者の賃金を引き上げるためのその方策を作ること。物価高騰から暮らしを守り経済を立て直すこと、が喫緊の課題である」と指摘。実質賃金を上昇に転じさせるため「たたかう労働組合の出番だ。ストライキを構え賃上げ交渉をしていくことが大切だ」と述べました 。
 続く基調報告で国民春闘の黒澤幸一事務局長は「最大の交渉力であるストライキを構えて春闘をたたかおう」と訴えました。続いて産別・職場の代表者による熱のこもった春闘の決意表明、集会アピール読み上げ・採択、行動提起が行われました。
 最後に閉会のあいさつで全労連の小畑雅子議長は「たたかう労働組合を進化させよう」と呼びかけ集会は終了しました。

23春闘では組合に加入し、大幅賃上げを実現しよう

 2023年の年頭にあたり、よき新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
 JMITU日本IBM支部(以下、組合)は昨年秋からすでに23春闘の準備を始め、新年を迎えて23春闘の準備を本格化させています。物価高騰が収まる様子が一向に見えないなか、言うまでもなく、23春闘は例年にない非常に重要な春闘です。23春闘では物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げをなんとしても実現しなければなりません。
 日本IBMグループ、キンドリルジャパン・グループの従業員の皆さん、23春闘ではぜひ組合に加入していっしょに大幅賃上げを実現しましょう。一人でも多くのより大きな声が組合の力となるのです。

23春闘を取り巻く情勢

 新型コロナ感染がもたらした、生産減による物価上昇、人手不足・輸送力不足による物流運賃の上昇という状況があり、そこへロシアによるウクライナ戦争の長期化、異常な円安が重なり、電力・ガスや食料品、様々な生活必需品の値上げが続いています。
 昨年10月の消費者物価指数は前年同月比3.6%上昇、上昇幅は消費増税時を上回り、1982年2月(3.6%)以来40年8カ月ぶりの上昇となっています。電力やガスなどのエネルギー価格は、1980年以来の上昇となっています。円相場が1ドル=140円台後半になったのも32年ぶりの円安水準です。1世帯当たりの負担増は年間13.1万円となります。40年前のオイルショック時や31年前のバブル経済の時は物価が高騰しましたが、それ以上に賃金も上がっていました。今は賃金が上がらず、物価だけが上がっていく異常な状況となっています。

政府・財界頼みではだめ、組合に加入しよう

 岸田首相は1月4日の年頭記者会見で「今年の春闘について、連合は5パーセント程度の賃上げを求めています。是非、インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたいと思います」と述べました。
 一方、経団連の十倉会長は1月5日の経済3団体の新年祝賀会後の共同会見で「物価高に負けない賃上げを会員企業にお願いしている。これはもう企業の責務」だと語り、さらに、今回は物価上昇にともない賃金を引き上げる動きが久しぶりに見えているとし、「基本給の引き上げ(ベースアップ)を中心とした賃上げを企業に働きかけていく」との意向を示しました。
 政府・財界はインフレ率を超える賃上げの必要性を認めている点では一致しています。しかし、岸田内閣の経済政策の中身は、①「ジョブ型雇用」移行の指針づくりなど財界と一体となった成果主義賃金の推進、②転職・副業の受け入れ企業への財政支援、③解雇規制の緩和(無効解雇の金銭解決)などというものです。これでは賃上げどころか、雇用とくらしは破壊されてしまいます。
 岸田首相は同じ会見で「そして、この賃上げを持続可能なものとするため、意欲ある個人に着目したリスキリングによる能力向上支援、職務に応じてスキルが正当に評価され、賃上げに反映される日本型の職務給の確立、GXやDX(デジタル・トランスフォーメーション)、スタートアップなどの成長分野への雇用の円滑な移動を三位一体で進め、構造的な賃上げを実現します。」と述べています。職務給と一体であるジョブ型雇用は仕事がなくなった時の退職勧奨とセット、リスキリングは退職勧奨・転職とセットにされ、無効解雇の金銭解決は解雇自由につながります。解雇自由、退職勧奨の自由を職場に持ち込ませてはなりません。
 従って、このような経済政策を推進しようとしている政府・財界頼みでは賃上げは実現しないのです。自身も企業であるマスコミは、利害関係から賃上げに関する報道で企業・政府への忖度があり得ます。企業にも政府にもはっきりと賃上げを訴え実現できるのは労働組合だけです。従業員の皆さん、ぜひ組合に加入していっしょに大幅賃上げを実現しましょう。

春闘の役割と産業別統一闘争の重要性

いっしょに行動し賃金を上げよう

 物価高騰は、食料品をはじめ、電気・ガスや燃料代など生活必需品の値上げが相次ぎ、40年前のオイルショックに迫る勢いです。オイルショック時は、物価が高騰しましたが、それ以上に賃金が上がっていました。物価高騰が続く中、くらしを守るための大幅賃上げは労働組合が実現すべき必須課題です。今年の春闘では、大幅賃上げの実現を目指し取り組みます。

賃金を上げるために

 海外ではコロナ禍、物価上昇のもとでも賃金が上がっています。労働組合に加入する人が増えて、「賃金を上げて」と声を上げ行動しているからです。
 日本の労働者も賃金や労働条件について会社と対等に交渉すること(団体交渉権)や、ストライキをすること(団体行動権)が憲法で保障されています。従業員のみなさんが組合で声を上げ、行動を起こせば、賃金は上げられます。
 次に、春闘が果たしてきた役割や産業別統一闘争の重要性について、JMITUの春闘パンフから紹介します。

春闘が目指したこと

 春闘は1955年、金属や化学など8つの産業別労働組合が話し合い、はじまりました。その後、60?70年代にかけて、全国的な闘いへと大きく発展しました。労働組合が春闘でめざしたのは次の2つです。
 第一は、それまでばらばらだった賃金交渉を全国の労働組合が春の時期に一緒に闘うという統一闘争を組むことです。
 第二は、「賃金の生計費原則」を前面にかかげ、企業業績や規模にかかわらず、すべての仲間の賃上げをめざすことです。

春闘が果たしてきた役割

 半世紀にわたる春闘によって、労働者・国民のくらしや職場は大きく改善しました。春闘が前進するなかで、「春になると賃金があがる」というルールがつくりあげられました。労働組合は、春闘をつうじて、すべての仲間に人間らしく生活する権利があり、経営者には労働者のくらしをまもる責任があることを明らかにしたのです。
 春闘は、労働組合が勝ちとった賃上げを地域の賃金相場に反映させることによって、労働組合のない職場の仲間のくらしをまもる役割を果たしてきました。また、中小企業での賃上げが全国で実現したときは、それを背景に下請単価も上がるなど中小企業の地位と発言力も高まりました。さらに、「国民春闘」をかかげ、最低賃金制度や年金・医療など社会保障制度を改善させてきました。

春闘解体の攻撃のなかで

 90年代以降、春闘解体の攻撃が強まるなかで賃金の生計費原則が否定され、「賃金は成果や業績で決まるという考え方が押しつけられています。それは、私たちが春闘をつうじて勝ちとってきた憲法25条の「生存権保障」(人間らしく生活する権利)や28条の「労働基本権」(賃金・労働条件は労働組合との協議をつうじて決定されるべき権利)の理念を真っ向から否定するものです。

産業別統一ストの重要性

 どんなに立派な工場や機械があっても、労働者が働かなければ、企業活動は停まり、企業は利益をあげることができません。ストライキは労働者の最も基本的な闘い方です。労働組合はストライキを背景にして初めて使用者と対等に交渉することができ、要求への切実な思いを経営者と職場内外にアピールすることができます。
 経営者は自分の企業だけ労働条件を上げれば競争に負けると考えます。産業別統一闘争、なかでも産業別統一ストライキで多くの企業でいっせいに労働条件を引き上げることを求めることで、各企業が同じ土俵で競争が行えるようなり、経営者の労働条件引き上げへの抵抗が弱まります。産業別統一ストライキ、全国一斉ストライキが要求実現への大きな力を発揮する理由はここにあります。
 とりわけ回答指定日に要求に応える誠実な回答を引き出すうえで、回答指定日翌日の統一ストライキは極めて重要な意義をもちます。
 当労働組合が所属するJMITUの統一スト(リレースト)は、ひとつの職場のストにも地域の仲間が激励にかけつけることで少数支部でも孤立せず、職場と経営者に組合の団結力をアピールすることができます。こうした産別の力を発揮する工夫と準備を行うことがストライキの効果をさらに大きくすることができるのです。

組合に加入しよう

 組合に加入して賃金を上げましょう。組合員が増えれば、賃上げ、労働条件改善を実現する力となります。さらに雇用をまもり、労働条件の不利益変更を抑止する力ともなります。

 

従業員代表選挙

組合推薦候補へのご支持ありがとうございました

 今年の従業員代表選挙は、日本IBMグループでは11月22日に、キンドリルジャパン・グループでは11月28日に投票が締め切られ、組合推薦候補は左表の通り、日本IBM本社第4ブロックで12月1日の再選挙の結果、当選させて頂くことができました。ありがとうございました。
 また今回の選挙では、当選できなかった組合推薦候補も相手候補に対して善戦したことがわかります。つまり、上表の対有権者数得票率が2%~6%ほど高ければ再選挙で当選していた可能性があるからです。当選まであと一歩というところまで押し上げて頂きました。
 改めまして従業員の皆様の組合推薦候補へのご支持に御礼申し上げます。

日本IBM本社従業員代表互選問題

 12月2日に行われた日本IBM本社従業員代表を選出する互選において不適切事案が発生しましたので、以下に紹介させて頂きます。
 互選は、オンライン会議で開催され、日本IBM本社第1~第5ブロックのブロック代表6名と、司会者1名(別会社の総務の人)が参加しました。
 立候補者の受付では、組合推薦の第4ブロック代表の吉野さんと、第5ブロック代表の2名が立候補しました。
 続く立候補理由の説明で、吉野さんが(ブロック代表選挙用の)立候補趣意書を元に立候補理由を説明したところ、「組合の人になってもらったら困る」という、吉野さんにとっては妨害行為となる不適切発言がありました。そして投票では、吉野さん以外は全員第5ブロック代表に投票し、結果は第5ブロック代表4.5票、吉野さん0.5票で、第5ブロック代表が従業員代表に決定しました。
この発言があった時、司会者は注意をせず、そのまま互選を進行しましたが、果たして、このような不適切発言に続いて行われた投票の結果が有効なのでしょうか。この発言が無ければ投票結果は変わっていたかもしれないのです。
 誰がこの不適切発言をしたかは現在不明ですが、発言者は司会者ではない、第5ブロック代表ではない、男性である、ということまでわかっています。

不正行為の情報提供を

 今回の日本IBMグループ、キンドリルジャパン・グループの従業員代表選挙で、ラインマネジャーからの立候補依頼、特定候補者への投票依頼などにあわれた従業員の方は、是非、組合トップページ(JMITU IBMで検索) の上部にある「従業員代表選挙不正行為通報」ボタンを押して、情報をご提供下さい。

組合推薦候補へのご支持を

 組合推薦候補は、労使対等原則(労働基準法第二条第一項)の立場に立ち、従業員代表に選ばれれば、労働条件の維持はもちろん向上を図ります。会社提示の制度変更提案には改善を求めます。
今後とも従業員代表選挙では、組合推薦候補を是非ご支持下さい。

23春闘討論集会・組織建設全国会議

物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げを

 

 11月26日・27日の2日間、「国民総ぐるみの春闘で大幅賃上げを実現し、物価高騰による暮らしの危機を跳ね返そう!」をスローガンに、JMITUの23春闘討論集会・第7回組織建設全国会議が静岡県熱海市で開催され、現地およびオンラインで全国から約100名が参加しました。
 春闘討論集会では、参加者がJMITUの23春闘の指針である「23春闘パンフ」を読み合わせた後、JMITU三木委員長から23春闘をとりまく情勢の説明と、春闘方針案の提起がありました。春闘方針案としては、生計費原則に基づき大幅賃上げを要求すること、産業別統一闘争と組織の拡大強化で要求を実現することなどを確認しました。

23春闘をとりまく情勢

 三木委員長は23春闘をとりまく情勢を次のように説明しました。
 新型コロナ感染の出口がまだ見えない状況にあって、コロナによる生産減、人手不足による物流の混乱、ロシアによるウクライナ戦争の長期化、異常な円安が重なり、電気・ガスや食料品、様々な生活必需品の値上げが続いています。10月の消費者物価指数は前年同月比3.6%上昇、上昇幅は消費増税時を上回り、1982年2月(3.6%)以来40年8カ月ぶりの上昇となっています。電力やガスなどのエネルギー価格では、1980年以来の上昇となっています。円相場が1ドル=140円代後半になったのも32年ぶりの円安水準です。1世帯当たりの負担増は年間13.1万円となります。40年前のオイルショック時や31年前のバブル経済の時は物価が高騰しましたが、それ以上に賃金も上がっていました。今は賃金が上がらず、物価だけが上がっていく異常な状況となっています。

賃上げは実現できる

 23春闘パンフの「第二章賃上げは実現できる」から一部を以下に紹介します。
 * * * * *
 23春闘は、なんとしても大幅賃上げを勝ち取らなければならないし、がんばれば必ず要求は実現できます。要求実現の条件は以下のとおりです。
・異常な物価高騰のもと、職場にも地域にも大幅賃上げを求める切実な期待が充満していることです。こうした職場・地域の思いに依拠してたたかえば、大幅賃上げをはじめとする要求を実現する大きな力となります。
・商店街や地域経済を活性化するためにも大幅賃上げが求められていることです。大幅賃上げで国民の消費購買力を高めることが不可欠です。
・日本の賃金の異常な低さが社会的な認識となり、大幅な賃上げを求める国民世論がひろがっていることです。異常な低賃金は、国内の消費購買力を弱め、経済成長の足かせとなっています。
・人手不足が引き続き深刻なことです。大企業はいぜん新規採用を拡大させています。中小企業でも優秀な人材を確保するために、若者にとって魅力ある賃金・労働条件が求められています。
・岸田内閣の経済政策には「賃上げ」が位置づけられています。しかし、その中身は、①「ジョブ型雇用」移行の指針づくりなど財界と一体となった成果主義賃金の推進、②転職・副業の受け入れ企業への財政支援、③解雇規制の緩和(無効解雇の金銭解決)などというものです。これでは賃上げどころか、雇用とくらしは破壊されてしまいます。政府頼みでは賃上げは実現しないのです。

賃上げ実現のために労働組合に加入を

 賃上げの実現は労働組合にしかできません。みなさん、労働組合に入っていっしょに大幅賃上げを実現しましょう。
※組合ホームページから23春闘アンケート回答のご協力をお願いします:「各種アンケートかいな」で検索できます。

2023年春闘アンケートはこちら

2023年春闘アンケート

冬ボーナス回答状況

今年も堅調なJMITU主要各社
IBM、キンドリルは今年も圏外

 今般の諸物価高騰の影響と、いまだに続くコロナ禍の影響で今年の冬ボーナスの水準が懸念される中、製造業、情報通信産業を主体とするJMITUの22年末一時金闘争は、11月18日現在、100支部分会が有額回答を引き出しています。うち主要各社(左表の上位15社)は今年冬も80万円を超える回答を引き出しており、昨年冬に続き堅調です。全体としても昨年冬の水準を上回っています。
 また、各地でストライキを軸にしたたたかいを背景にした団体交渉で上積み回答を引き出した報告が続いています。
 東京西部・超音波工業支部は、17日に半日ストライキをかまえて交渉にのぞみ、初回回答を8万円上乗せの第二次回答102万円を引き出しました。これは金額では過去最高です。このほか、栃木・レオン自動機支部が昨年妥結を0.4ヶ月12万円上回る3.0か月101万円、埼玉・芝浦電子支部が昨年を15万円上回る110万円、東京西部・リガク支部が昨年を11万円上回る104万円、大阪・北陽電機支部113万5千円など、各地で100万円を超える回答を引き出しました。また、文化シャッターは、15日の第3回交渉で9万円超上積みの73万3197円(2.6ヶ月)を引き出したほか、大興電子、三鷹精工、カイジョーなど、20年ぶりの水準を引き出しているところも少なくありません。日本ロール支部は、第二組合の年間協定を上回る過去最高の回答(71万円)を引き出しました。
 一方、日本IBMでは、ボーナスの年間支給額がご存知の計算式で決定されるため、賃上げ日が5月1日だった今年の冬ボーナスの組合推定平均支給額(会社本体バンド7以下一般職平均)は、夏ボーナス時と同額の79万2千円(2.0ヶ月)で、昨年冬より1万6千円アップでした。
 また、キンドリルジャパンでは、ボーナスの年間支給額は同じ計算式で決定されますが、賃上げ日が7月1日だった今年の冬ボーナスの組合推定平均支給額(会社本体バンド7以下一般職平均)は、夏ボーナス時より1万2千円アップの79万2千円(2.0ヶ月)で、同様に昨年冬より1万6千円アップでした。
 日本IBM、キンドリルジャパンともに、支給額は昨年冬よりアップしましたが、この上昇率では今般の諸物価高騰を補うには極めて不十分な水準です。昨年冬に続きすでに上位15社の圏外に去ってしまいました。

パート・有期雇用者へのボーナス支給進む

 さらに、パートタイム・有期雇用労働法の施行で社会的に注目されているパート・有期雇用者へのボーナス支給もJMITUでは進み、今年冬にも次々と回答を引き出しています。例えば、東京南部・東京測器研究所支部が正社員の60%から70%に改善させたほか、大阪・田辺鉄工所支部では継続雇用者37万6千円、栃木・日本板硝子支部では嘱託・契約社員2.0ヶ月、千葉・小川商店支部ではパート6万円という回答を引き出しています。

 

【証人尋問】定年後再雇用不当労働行為事件

調査せず「適切に運用」と言い切る」

 10月28日、組合が日本IBMとキンドリルジャパンを相手取って東京都労働委員会に申し立てている定年後再雇用不当労働行為事件の証人尋問が行われました。
 この事件では組合が、日本IBMから会社分割でキンドリルジャパンに移籍したシニア契約社員の低すぎる給与に関して、会社が労使交渉に誠実に応じなかったことに対する救済を求めています。
 今回の証人尋問は、定年後再雇用賃金差別裁判(原告2名が東京地裁に提訴、現在係争中)の原告1名(以下、Aさん)の定年前後の待遇の相違に関する質疑応答を中心に行われました。
 定年後再雇用者の定年前、再雇用後の待遇の相違については、パートタイム・有期雇用労働法についての厚生労働省の通達で「法14条2項の説明内容のうち、待遇の相違の内容及び理由に関する説明をする際に比較の対象となる通常の労働者は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等に最も近いと事業者が判断する通常の労働者であること」と定められています。さらに「職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等に最も近い労働者」を判断する基準が定められています。
 今回、日本IBMの元人事・労務担当(以下、証人)が会社側証人に立ち、組合側弁護士(以下、弁護士)の尋問を受けました。そして、その証言から、定年前後の待遇の相違とその理由に関する十分な説明も無く、シニア契約社員をバンド3に格付けし、生活保障を全く考慮していない低賃金で雇うという、シニア契約社員制度の不当性が明らかになりました。
 以下に質疑応答の内容(要旨)を紹介します。

仕事を月給17万円相当に引き下げる

 証人は、シニア契約社員が月給17万円相当を超える仕事をしていた場合には、賃金をそれに見合うように引き上げるのではなく、仕事の方を月給17万円相当に引き下げる、と証言しました。
弁護士 現実に、もしね、実態の仕事をしている人が、重要度を含めて、バンド3以上のことをやっていたら、先ほど「正す」という言葉を使われたんですね。
証人 はい。
弁護士 「正す」というのは、どう言うことをいうことになりますか。
証人 基本的には、その会社の設計制度に合わせるように仕事を軽くする、縮小する、そういうことが含まれます。
弁護士 仮に、「じゃあ、これは本当はバンド3の仕事じゃなかったら、じゃあ(バンド)6とか7で賃金をあげます」とか、そういう正し方は、そうすると、そもそもない?
証人 それは、制度設計を根底から揺るがすので、基本的には運用レベルでの訂正になります。
弁護士 だから、「正す」という言葉は、逆にオーバーしていた分はやらなくていいよ。
証人 「そんなに任せちゃだめですよ」ということを部門にいうわけです。
弁護士 バンド3の仕事の範囲内でいいんだよと。
証人 おっしゃるとおりです。
弁護士 これが正す?
証人 これが制度だから。はい。

正社員との比較による待遇差の説明なし

 証人は「シニア契約社員制度は適切に運用されている」と団交で繰り返し回答していましたが、その根拠となるシニア契約社員と正社員との比較をしていなかったと証言しました。
弁護士 組合は、Aさんと同一部署の正社員として4人を特定して、Aさんとの待遇の相違の内容及び理由の説明を求めていますよね。
証人 はい。
弁護士 会社は、Aさんとこれら4名の正社員との待遇格差について、先ほど、「バンドがあまりにも違うから」ということをおっしゃっていますが、実際、仕事が同じなのかどうなのかというのを、具体的に所属長に確認はしたんですか。
証人 他の人との比較ということは、先ほど申したとおり、調べる以前の問題だと考えていますので、「この人とAさんどうですか」という調査はしてないですね。バンド7、8の人と3の人がそもそも違うということは、我々としても、先ほど言ったように、運用としては適切だと思ってましたので、その比較はやっておりません。
*  *  *  *  *  *
 組合側証人のAさんへの尋問の後、公益委員がAさんに質問し、シニア契約社員がしている仕事は定年前から継続している仕事であることに驚きを隠せない表情になりました。つまり大幅なバンドと給与のダウンを念頭に置いてのことと思われます。

IBM従業員代表選挙

組合推薦候補に投票を

 11月1日、日本IBMで従業員代表選挙が公示されました。従業員代表は「時間外および休日労働に関する協定書」いわゆる36協定、「裁量勤務制度に関する協定書」などの諸協定の締結、ならびに改訂される就業規則の締結を担います。任期は今年12月1日から来年11月30日までの1年間です。
 労働基準法は、こうした労使協定等の労働者側の締結当事者を、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者と定めています。この法的要件のため、日本IBMグループには私たちJMITU日本アイビーエム支部(以下、組合)という立派な労働組合がありながら、従業員代表を選出しているのです。
 現状では従業員代表選挙に組合から立候補せざるを得ません。

会社のYESマンが従業員代表になることの恐ろしさ

 会社のYESマンの従業員代表は、労働条件の不利益変更が含まれていても会社からの制度変更提案に同意してしまいます。会社はこれまで、会社のYESマンの従業員代表の同意を得て、組合との事前協議も十分に行わずに諸制度の改悪を強行してきました。
 実際に行われた制度改悪の象徴が、賃下げを可能にする格付規程の改悪です。その結果が、会社がパワハラ4点セットを使って行ってきた人員削減と人件費削減なのです。
 皆さん、立候補趣意書の推薦人欄を確認しましょう。ここにラインマネジャーの名前が記載されていれば、その候補者は会社側の人から推薦されているのですから、会社のYESマンの可能性があります。もし会社のYESマンが従業員代表になれば、会社提案になんでも同意しかねない恐ろしさがありますから、投票にあたっては十分に注意する必要があります。

組合推薦候補に投票を

 組合推薦候補は、右趣意書のとおり、労使協定の締結や就業規則等の改訂に際して、労働条件を向上させるよう会社に意見し、協議することをお約束します。
 従業員の皆さんにとって重要なのは組合推薦候補の当選です。ぜひ、組合推薦候補者への投票をお願いします。

22秋闘 キンドリル秋闘2次要求の紹介

重点要求以外の要求より

 かいな前号(2414号)2面では組合が10月26日に日本IBMに提出した秋闘2次要求から主要な詳細要求(1次要求から継続する重点要求以外の、職場のさまざまな労働条件の改善を求める詳細要求)のいくつかをご紹介しました。
 これに続き今回は、組合が同日にキンドリルジャパンに提出した秋闘2次要求から主要な詳細要求のいくつかを以下にご紹介します。

事前協議・同意協定の締結要求

 組合は、会社は以下の(1)~(5)の事項については組合と事前に協議し、同意を得たうえで実施するという「事前協議・同意協定」を締結することを要求しています。
【事前協議・同意協定】
キンドリルジャパン株式会社(以下、会社という)とJMITU、同東京地方本部、同日本アイビーエム支部(以下、組合という)は、労使の信頼の確立と職場の活力が企業経営の安定・発展の土台であるという労使の共通認識のもとに、以下のとおり合意したので、協定する。
(1)会社は、解雇・転籍、雇い止め、希望退職の募集、出向・配転、職種の変更などについては、労働組合と事前に十分協議し、労働組合と本人の同意のうえに実施する。
(2)会社は、賃金、労働時間・勤務形態など労働諸条件の変更、その他労働者の権利に係る一切の事項については、組合と事前に十分協議し、同意を得たうえで実行する。
(3)会社は、事業所の移転・統廃合、分社化・合併・会社分割など企業組織の変更、子会社の設立・解散、海外進出、新業種への進出・転換、海外を含む生産の移転、企業間提携の締結、増減資、他社の買収、営業譲渡、会社解散、企業倒産に係る私的・法的手続の申立・実行、その他、重大な経営施策の変更・実行については、組合と事前に十分協議し、同意を得たうえで実行する。
(4)会社は、臨時・パート・契約社員など有期雇用者、派遣労働者・出向者、請負・業務委託・下請・外注の導入・改廃については、組合と事前に協議し、同意を得たうえで実施する。
(5)会社は、管理職を含む従業員教育の実施、職制制度の改廃、昇格については、事前に組合と十分協議し、同意を得たうえで実施する。組合が必要と認めた場合には、従業員教育への組合の傍聴を認める。

食堂・カフェテリア・ベンディングマシンに関する要求

①横浜北事業所に、社員食堂・カフェテリアを設けること。
②リロクラブの割引対象として社員食堂・カフェテリアも含めること。
③社員食堂が利用できない社員には食費補助金を出すこと。
④1つの事業所が日本IBMとキンドリルジャパンのスペースに分割されたことにより、キンドリルジャパンの従業員がベンディングマシン、給茶機などを利用できなくなる状況が生じています。この状況を改善し、キンドリルジャパンの従業員がベンディングマシン、給茶機などを利用できるようにすること。

手当に関する要求

①消費税増税を受け、各種出張手当を一律500円増額すること。
②2時間以上の時間外労働をした際に支給される食事手当を500円にすること。

福利厚生に関する要求

①永年勤続表彰制度を下記の通りに見直すこと。
・勤続25年
特別休暇20日
特別一時金50万円
・上記以外
勤続5年ごとに
特別休暇5日
特別一時金10万円
②借り上げ社宅制度を創設すること。
③住宅費補助を創設すること。

健康及び安全衛生に関する要求

①有料の健康診断オプション項目を家族検診も含め無料にすること。また、無料オプション検診については最初から検診メニューに組み込んだ形で提供すること。さらに、血液検査を従業員の年齢にかかわらず毎年無料で実施すること。
②定期健康診断の検査項目に、(1)甲状腺エコー検査を無料オプションとして追加すること、(2)血液検査に甲状腺ホルモン関連の項目を無料オプションとして追加すること。
③インフルエンザの無料予防接種を実施すること。

第8次ストライキ決行!

日本IBM・キンドリルジャパン
減らされた1回分の賃上げ実施を拒否
22秋闘 他方で分かれる両社の交渉姿勢
キンドリルジャパン、シニア賃上げで前進回答

 22秋闘において、日本 IBM、キンドリルジャパン両社は、組合が9月21日に提示した秋闘1次要求への会社回答で、就業規則通りに実施されなかった2022年9月1日付賃上げを実施しない旨回答しました。
 これで両社ともに(キンドリルジャパンは会社分割前後にわたり)、2020年から、9月1日付賃上げを実施しないという就業規則違反を3年連続で行い、「3年に3回」あるべき賃上げを2回に減らしたことになります。(上図参照)
 そして、これを受けた10月5日の団体交渉でも、 日本IBMはこの減らされた1回分の賃上げ実施を拒否しました。(以上、かいな前号参照)
 さらに10月14日の団体交渉でも、キンドリルジャパンは減らされた1回分の賃上げ実施を拒否しました。理由は、今年の7月1日付賃上げが2022年度分の賃上げであり、9月1日付賃上げを前倒し実施したものである、ということでした。
 よって組合は、両社が減らされた1回分の賃上げ実施を拒否したことを不服とし、10月24日午前9時から2時間、小雨がぱらつく中、第8次ストライキを決行しました。

キンドリルジャパン、シニア契約社員の賃上げを回答

 10月14日の団体交渉では、秋闘1次要求に対するキンドリルジャパンの在宅勤務関連手当での前進回答(かいな前号参照)を受けて、その組合要求への不足部分についても協議しました。会社は、在宅勤務手当(月額8000円、日額400円相当の要求に対し日額200円)、自宅環境整備手当(一時金5万円の要求に対し300米ドル相当)ともに上積みしない旨回答しました。
 その後、週末をはさんだ10月17日、キンドリルジャパンは、シニア契約社員の給与(現在は月給17万円、年収204万円)を、2023年1月より月給19万円、年収228万円に賃上げすることを書簡で回答してきました。組合はこの賃上げ回答を、まだ不十分ではあるものの、前進回答として評価しています。
 明らかなのは、キンドリルジャパンのこれら一連の前進回答には、交渉姿勢の日本IBMとの違いがはっきりと見て取れることです。

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